『涙の理由』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『涙の理由』
「好きです!俺と付き合ってください!!」
今日の放課後幼馴染に告白された
すっごく嬉しくてOKって言ったけど
素直じゃない私は少しぶっきらぼうに接してしまった
すっごく後悔してる
あ~ぁ...
なんで素直になれないんだろ
もぉ!悔しぃ!そして彼が羨ましい だってあんなに素直に自分の気持ち言えるんだよ?いいなぁ...
ピロロン♪
彼からのメールだ
嬉しい...
『今日はありがと!俺すっごい嬉しかった♡』
嬉しいなぁ そう思ってくれて
でもつい手が動き
『もう!あんまり学校ではイチャイチャしないでよ!(怒)男子にひやかされるんだから!(怒)』
...やってしまった あぁ...きつく言い過ぎたぁ
塩対応って思われてるんだろうなぁ
いつかは彼みたいになれるかなぁ
そうだといいなぁ
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「えっ!?彼が記憶喪失!!?」
「らしいよぉ 可愛そうだよねぇ」
と今日私の親友に伝えられた
交通事故だったらしい
命はなんとか無事だったが重症
手術の結果記憶喪失が判明したという
うそうそ...私のこと忘れちゃった!!?
こ、こんなことになるならもっと...優しくしておけばよかった
「えっと...はじめまして...」
ねぇそんなこと言わないで
悲しくなっちゃう
ずっとそばにいたのに
神様はズルい
私には不幸しか与えない
こんなの こんなの 生きてる価値なんて無いよ
「ねぇ!ずっと好きだったの!あんたのこと!お願いだからもとに戻ってよぉ...」
私は子どものように泣きじゃくった
彼は記憶喪失のくせに温かい目で私を見守っている
ズルい そんな顔しないでよ
だって よけい好きになるじゃない
「その言葉待ってた...」
あぁ神様が与えた試練は
こんなにも私を苦しめるの?
私が好きって言えばよかったの?
ホントの気持ち彼に届けさせたかったの?
全部 全部 涙を流してきた理由は
ここに この日のために この一瞬のためにあったんだね
とにかく彼の記憶喪失が戻ってよかった
今一瞬を素直に 彼の隣で歩いて行こう
この運命の赤い糸がほどけぬうちに
『涙の理由』
何の涙だろうね?それ。
私が泣いてるときは向き合ってくれなかったのに、
今、見せつけるように泣くのは何故?
私ね、あなたと暮らしてるこの部屋で、
ずっと、
悲しかった、
悔しかった、
寂しかった。
私の元へ帰ってくる夜をずっと待ってた。
でも、あなたはいつも朝帰り。
涙は枯れ果てて、もう一滴も落ちないの。
あなたがくれた最後の薔薇は、
花瓶の中でドライフラワーになってた。
私は私の物が何もないこの部屋を出るときに、
ドライフラワーを握りつぶしてゴミ箱に捨てたわ。
もう連絡して来ないでね。
バイバイ。
涙の理由
「大丈夫?」
空閑が自販機からジュースを取り出し、愛寧に渡してきた。
「日本史のあれ?」
「まあね」
「確かに、畤地にしては珍しかったけど、あれで成績落ちたりはしないじゃん?」
「成績がどうこうじゃないの」
急に当てられて、答えが浮かばなかった。その時点で愛寧にとっては大きな失態である。教師は愛寧に期待していたのだろう。他の生徒より時間を取ってくれたが、それが却ってプレッシャーとなった。誰も喋らず、時計の針の音だけが響く教室。頭が真っ白になって、すみませんと頭を下げるしかできなかった。
「小学校の頃のトラウマがあって」
畤地のくせにわかんねぇのかよ!
あの年頃ならクラスに必ずひとりはいる、人の失敗を無邪気に笑うお調子者。席に座った時、あいつの声が聞こえた気がした。
「なんでそんなこと気にするんだって思うでしょ」
目頭が熱くなって、鼻がツンと痛い。
「分かってるよ。あの場で答えられなくても別に死ぬわけじゃないって。でも、どうしてもあの時を思い出すんだ」
それでも、あいつの幻影に馬鹿にされないためには、上手く言葉を返さなければならない。
「ごめん」
震える声を押し殺したが、空閑に背中を摩られると涙が抑えきれなかった。
【涙の理由】
ネガティブに聞こえるかもしれないけど。
息をしている限り、騙された事や辛い思いをした事を思い出してしまうことがある。だけど、お酒を飲んだり、あなたの声を聞いたり。そんなひとときの癒し、「鎮痛剤」を飲み込みながら息をする喜びも見出している。それを踏まえて、私は「生きる」を「耐える」と読んだのです。
従兄弟は僕に言った
「なんでバイトしたいの?」
「なんか欲しいものあるの?」
..にぃちゃんはすごく優しいんだ。
だけど僕は
「んー、お金があれば安心できるじゃん」
「なにかあってもそこそこ大丈夫じゃん」
にぃちゃんが
「悩みでもあるの?笑」なんて言うから
「なんで?」と答えてみる
にいちゃんは
「それってそこそこの大人が言う考えだと思って」
と言った。
「こーんくらい小さかった湊が、大人になったね」
なんて言うんだ..
にぃちゃんのせいだ。こんなにめがあついのは
にぃちゃんがわるいんだからな...
【涙の理由】
✂ーーーーーーー⚠ーーーーーーーーー✂
僕は父親と喧嘩すると
「じゃあ一人で生きていけよ」と必ず怒鳴られる。
僕の祖父が祖母を傷つけてる事が小学生の頃に発覚した。
僕は大きくなれば助けられると思ってた。でも、違った
だから、準備をするしかないと思った。
もしもの為の準備。
【本当の理由】
【涙の理由】
泣いている。
涙は無いがいつもと違う。
何かがあった顔。
悲しい顔。
そういうことに気づける目があるのに、
大丈夫?って聞ける勇気が無かった。
手を差し伸べても、悪化した過去しか無かった
だから気付かぬフリをした。
他の人と同じように、傍観者になりきった。
裏は見ずに表だけを見た。
私は耳が良かった。
言うなれば地獄耳だ。
悪いことばかり聞こえる。
誰かをいじめている声も、ヒソヒソと広める噂話も
一語一句漏らさず、全て。
自分が言われているかのようで苦しくなる。
注意しても気味悪がられるだけだ。
見ないことは出来るが、聞こえないフリは無理だ
かと言って耳が悪くなるのは嫌だった。
だからそんな声もかき消すような音楽に手をつけた。
声が消えて、心地の良い音楽が聞こえるのなら
とてもいい。
目も耳も両方悪くして、責任から逃げてきた。
真実から目を背けて、知らないふりをした。
最低だ。
誰かが泣いている、誰かが噂している、
それに気づく才能は、私にはない
見えない、知らない、聞こえない。
また誰かが泣いている。
悲しい顔、いつもと違う顔。
ヒソヒソ噂話。
今日も私はピアノを弾く
聞き心地の悪い、嫌な音楽だ。
逃げた自分に言い聞かせるように
「見えない、知らない、聞こえない……」
学校七不思議
『音楽室から聞こえるピアノ』
『誰も居ないはずの教室の独り言』
この話はフィクションです。
実際の人物とは関係ありません。
涙の理由
1秒、いや、0.1秒…
僕はこの一瞬で涙し、交差点の真ん中で姿勢が崩れ跪いてしまった。
涙の理由はホワイトムスクとベビーパウダーが混じった少し重めで粉っぽい匂いがしたからだ。
この匂いは僕の中でずっとずっと封印していた香り。
2年間その香りを手に取ろうと思ったけど君を余計に思い出すからやめた。
でも偶然にも君と同じ香りを今日買嗅いでしまった
それにより君と海で夜の23時から朝の6時まで語ったことも、悩みを打ち明けたことも全てを思い出してしまった
…やっぱり君が好きだ。
あの時僕は女性だけど、女性の君に告白してしまったのが悪い。
そのせいですべてが崩れていった
本当の自分をうちあけた後悔と
君に少しでも近づきたかった気持ちも
全部が溢れてきた
「…やっぱり彼女は僕から離れていったんだなぁ…」
【涙の理由】
ぽろぽろこぼれる涙が美しすぎて、見惚れてしまった。
どんな表情でも見せてくれるようになったのがうれしい。
そっと涙をぬぐえば、真っ赤な目がこちらを向いた。
「……ごめんね」
お題【涙の理由】
———地獄の様な道のりだった
硝子の道を歩いた
骨ばかりの道を歩いた
灼熱の道を歩いた
吹き荒ぶ凍土の道を歩いた
血塗れの道を歩いた
茨の道を歩いた
何度も、何度も
足が痛くて、辛くて、
虚しくて、呪わしくて、
『足を止めたい』
と思った。
何度も、何度も、
苦しくて、疲れて
泣いて、叫んで、
『足を止めよう』と思った。
それでも、足を止め無かったのは何故か。
何故だろう。
足を止める度に、何だか涙が出る。
涙の理由はわからない。
痛いから涙がでてる訳じゃない(いや、既に出てるけれども)
辛いから涙がでてる訳じゃない(いや、やっぱりそれもある)
それでも、歩き続ければ、この涙の理由もわかるだろうか?
それとも、歩き終えたその時に、この涙の理由は分かるのだろうか?
By 滅びを回避した神王の最期の回想
感情が高ぶってしまって、流れ落ちる。
困るだろう、急に泣かれちゃ。泣いて解決するなんて思ってないし、格好悪いから泣きたくないんだ。
慰めてくれるのは嬉しいけどそんな事求めてない。
「ゴメンね、私急に… 気にしないで。」
「幸せになってね。一人でも、誰かとでも。」
強がって、そんな事しか言えない。
行ってしまう。追えない。彼女を
きつい修行を課した自覚はある。私は、『月夜の魔法使い』の名の下に、弟子に未熟さを残すわけにはいかないのだから。
「泣いたって、優しくしないよ。」
目の前の弟子は肩で嗚咽まじりに荒い呼吸をしている。
「…知ってる、よ。」
彼女は杖を構え直した。
「じゃあなんで、涙なんてこぼすの?」
「…泣いてない。」
どう見ても、泣いてる。
「悲しいから?きついから?怖いから?」
「泣いてないって!」
彼女は私に魔法を繰り出した。私は同じ魔法を同じ威力で相殺する。
「無力な自分に失望した?それとも、圧倒的な力の差に絶望した?」
「…どれも、ちがうよ。」
彼女は膝をついた。魔力切れだ。
「今日はここまでだね。」
私は杖を魔法空間にしまった。
「師匠。」
「何?」
「私は失望なんてしないよ。前向きなのは、取り柄なんだ。」
彼女はキッと私を見つめた。
「そう。」
そして視線を下げ、つぶやいた。
「…悔しいんだ。今の自分には、どうにもできないこと。」
たしかに、数日訓練したところでできるようになることではない。
「…そうだね。」
私は彼女の頭をなでた。
「やめてよ。…もっと、泣いちゃうじゃん。」
「…泣けばいいよ。泣くなとは言ってない。」
彼女は急に頭を上げた。そして、少し笑った。
「そうだね。」
彼女は泣いているのに笑っていた。涙が太陽の光に反射して光って、輝いて見えた。
私は今まで、何人もの弟子をとり、逃げ出した子も見てきた。彼女はきっと大成する。
「!っ、痛…」
不意に片目に何か異物感を感じ立ち止まる。
何かが目に入ったらしい、チクチクと瞳を刺すような痛みに思わず目を擦った。
なんだろう、なかなか取れない……。
ごしごしと少し強めに擦ってみると、更に角膜を傷つけてしまった。
瞬きする度にチクチクとした痛みが訪れ、じわりと涙が溢れてくる。
ちょうどいい、もしかしたら異物も一緒に流してくれるかも。
ぽろりと流れた涙をそっと指先で拭ってみる。
するとそこには涙と共に一本の睫毛が浮かんでいた。
「なぁんだ、睫毛だったの。」
異物感はなくなったけど、目は擦ってしまったせいで少し痛みが残ってるなぁ…なんて、目を気にしながら再び歩みを進めた時だった。
「チェル、どうしたの?どうして泣いているの?」
目の前に心配そうな顔をしたお姉さまが立っていた。
「あっ…お姉さま大丈夫。泣いてないよ。あのね睫毛が入っちゃって……」
慌てて説明するが、お姉さまは私の顔を覗き込んで何やらぶつぶつと考え事をしているようだった。
「お姉さま、聞いてる…?」
「チェル、私の部屋に来て。冷やして薬を塗りましょ?
それからお話を聞かせて?私が一緒に居て...」
…あぁ、お姉さまったら。
「待って、お姉さま!違うの、睫毛が入っただけなの…!!」
「………まつげ?」
きょとんとしたようにそう言って、私の顔を再び覗き込んでくるお姉さま。
まじまじと目を見つめられ、少しくすぐったい気持ちになる。
「………かわいそうに、睫毛に泣かされたのね?やっぱり私の部屋に行きましょ?手をきれいにしてから取ってあげなきゃ。午後の授業は休みましょう。たくさん擦ってしまったから目も休ませてあげて、それから…」
「………お姉さまってば過保護…」
わざとちょっぴり呆れたように言ってみる。
だけどお姉さまに心配されているのがひしひしと伝わってきて、心がじんわりと温かくなった私は、お姉さまにバレないようにふふ、と微笑んで後ろについていくのだった。
とある昼下がりの廊下にて。
#涙の理由 HPMA side.C
涙の理由
なんで泣いてるの、と隣の家のお姉さんは僕に心配そうに言った。
理由なんてないよ、と僕は答えた。本当に理由なんてなくて、強いて言うなら泣きたくなった、が理由だったから。
お姉さんはその言葉に困ったように眉を下げると、優しく諭すような声で告げる。
「あのね、君は理由なんてないって感じてるかもしれない。そういう涙もあると思う。でも、今の君の涙はそれじゃないでしょ」
そうかな、と考えた。僕は何か理由があって泣いているのかな。何も分からなかった。
困っている僕を見て、お姉さんは少しだけ辛そうに瞳を細める。痛そうに顔を顰めたお姉さんの姿は、なんだか見たくなかった。
「……なんで泣いてるの、なんて聞いたけどね。お姉さんは、君がなんで泣いてるのか知ってるよ。でも、その理由は君が見つけなきゃいけない」
お姉さんはそうただただ暖かい声で語りかける。それと同時に冷たさも感じた。……けど、多分それが僕の成長の為なのだということも、分かった。
お姉さんは瞳の縁を微かに光らせると、いつも僕に話しかけてくれるよりもうんと甘く優しく笑う。
「お姉さんは、君のことをいつまでも見守っているからね」
……何も分からなかった。なんで泣いてるの、と聞かれてもまだ答えられそうになかった。
だけど、何故だか涙が止まらくて、それで。もう少し大人になったら理由を見付けられそうだ、なんて1人きりのその場所で思った。
ある日、お母さんとお父さんが出かけたまま帰ってこなくなった。
家にいるのは、小学5年のお姉ちゃんと中学2年のお兄ちゃんと小学3年生のわたしだけだった。
お兄ちゃんは、自転車で家の周りを探してくると言って家を出て探しに行った。
お姉ちゃんは、お母さんのLINEにメッセージの何個も送っているが、既読がつかないらしく、とても心配していた。
2時間半ほどたったらお兄ちゃんから、電話がかかっていた友達に色々聞いていると友達が「お父さんは見たよ。だけど何かから逃げていながら誰かを探してる感じだったよ」ということを聞いたらしく
今、その方向に向かっているという連絡らしい。「だけど、一つ聞いてほしいことがある」といいその話を聞くと、いえの窓やシャッターを全部閉めて、鍵も閉めろ。それから電気も消して地下室にに入って
スマホやゲーム機は持って行くな。食べ物や飲み物は、持っていってもいいと言い電話は切れたらしい。
お姉ちゃんは、お兄ちゃんの言う通りにして「地下室に行くよ」と言い地下室に行ったそしたら、地下室はすごく快適で別途もありエアコンまで設置されている。
机で、おにぎりを食べながら過ごしていると、すっかり夜になったらしく私はお姉ちゃんとベットで寝ていた。
その時地下室の扉を叩く音がし、お姉ちゃんを起こして聞いてみると「喋らないでね。安心したかもしれないけど、お母さんやお父さん、お兄ちゃんじゃないよ。知らない人だからね」
お姉ちゃんは、もう1つお兄ちゃんから聞いていることがあったらしい。
それは、「夜中にきっと、家の中に誰かが入ってきてお前たちを探しに来る。だから地下室の扉をたたかれても絶対に開けるな。開けたらどうなるかだいたい想像できるだろ?だからとりあえず。、絶対に開けるな。分かったな?」ということを聞いていたので、まさにこれだなと革新したらしく「早く布団を、かぶりなさい」とお姉ちゃんは言い私はそれに従い布団に潜り込んだ。
気づいたら、朝になっていて地下室を出るよといい家の中に出ると、物が沢山散乱していた。
玄関を出てみると、人だかりができていてその目の前には、誰か分からない焼け焦げた◯体2つとナイフで何箇所か刺されたあとがある見覚えのある人だった。
ところどころ、あざもできていた。
それは........
お兄ちゃんだった.....
突然のことで、お姉ちゃんは崩れ落ち手で顔を隠して「嘘でしょ....」と何度も言い続けていた。
何十分かすると、警察がやってきて身元の捜査が始まり焼け焦げたのは、お父さんとお母さんで何箇所も刺されていたのはやっぱりお兄ちゃんだった。
わたしと、お姉ちゃんは突然家族を3人も失い、私達は保護されお姉ちゃんはお兄ちゃんが◯亡シたのがショックで精神を病んでしまい、精神病院に入院しているらしい.....
#12 めぐみ❄
涙の理由
悲しいことより、悔しいことで泣く方が多い。
口喧嘩の延長で自分の仕事を身近な家族に侮辱されたとか。
予想した反応と違ってショックだったとか。
書いていて思うけど、それってやっぱり悔しいと同時に悲しいのかもしれない。
感動して涙することも多くある。
私の心の内側の弱いところに共感されてしまうと
あっという間に心の枷が外れて崩壊の涙を流してしまう。濁流だ。
けれどやっぱり、涙は流したくないな。
悲しいも嬉しいも人生にはあるけれど、凪いだ風のような心持ちで過ごせる時間がとっても幸せ。
涙の理由
あなたの顔を濡らしているその涙の理由はなんだろう
あくび、タマネギ、カプサイシン等々。
一昔前から涙活なるものも出たと聞きます。
今回はドラゴンの涙のおはなしを、ひとつ、ご紹介しようと思います。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこでは様々な世界と世界を繋いだり、
その航路を保全したり整備したり、
あるいは、他の世界からの密入出によって、その世界が不当かつ過剰に開発されたり搾取されたり、植民地化したりしないように。
ともかく様々なことを、為しておりました。
そんな世界線管理局でしたので、
いろんな境遇、いろんな種族、いろんな世界出身の人間も、幽霊も、妖精も魔法生物も機械生命体も、管理局で仕事をしておりまして、
本日のお題回収役は、某世界で一番強いドラゴン。
ビジネスネームを「ルリビタキ」といいました。
ルリビタキはぶっちゃけ、食物を必要としません。
光と水と、ほんの少しの肉や果物さえあれば、自分の体の中でエネルギーを生成して、
それでもって、数日でも数週間でも動けるのです
が、
最強ドラゴン・ルリビタキ、世界線管理局に身を売ってからというもの、「食物を舌にのせて腹に収める」という娯楽を覚えまして。
つまり、美味いものの美味さを知ったのです。
それでいて、食ってもぜい肉にならんのです。
肥満という仕組み自体が存在しないのだから、本当にうらやましい限りなのです。
で、そんなルリビタキは、生まれてこのかた【ごにょごにょ】世紀、料理をしたことがありません。
食物を調理して摂取する必要が無かったし、
そもそもキッショク、喫食自体を、知らなかったのですから、仕方ないのです。
でもルリビタキ、管理局でそれを知ってしまったので、昼休憩には肉なり野菜なり、局内の局員専用食堂で頼んで、むしゃむしゃ。食べています。
再度、明言します。
料理をしたことがないのです。
で、今回のお題は「涙の理由」なのです。
さぁお題を回収しましょう。
ルリビタキをこの流れで泣かしましょう。
最強ドラゴン・ルリビタキに、タマネギを!
「で?これが、そのタマネギ?」
「いっぱい使いたいから、20玉用意した〜」
「本当にこれが、あの黄色いスープになるのか?」
「スープにもなるし、カレーにもなるぅ」
「信じられん」
「しんじなさぁい。しんじなさぁ〜い」
「こっち」の世界の東京で仕事をした際に、オニオンチキンスープを知ったルリビタキです。
穏やかな出汁の香りが好ましく、ちょっと一味を振れば面白く、なにより、優しい味だったのです。
市販品のコンソメ顆粒を使えば簡単だよと言われたので、自分の部下に振る舞ってやろうと、
管理局の料理上手、ドワーフホトにレクチャーを、さっそく頼んだのでした。
ドワーフホトも、美味しいものが大好き!
ルリビタキでも作りやすい、工程の少ないレシピでもって、オニオンスープを教えてくれます。
「じゃ、ルリビタキ部長さん、一緒に頑張ろ〜!」
えい、えい、おー!
ドワーフホトは可愛らしい、ウサギのエプロンとウサ耳キッチンハットで、丁寧かつ効率的に、
鶏肉の下準備と、野菜の皮切りを、始めました。
「部長さんは、包丁に慣れるのも兼ねて、タマネギを細かくみじん切りしといてー」
「ミジンギリ。分かった」
数日前の事前レクチャーとして、基本的な包丁の使い方を、丁寧に教えてもらったルリビタキです。
タマネギの皮をむいて、半分に切り、
トスン、トスン、とすん。
ドワーフホトの私物の包丁で、まだまだ不器用ではありますが、タマネギを切ってゆきます。
トスントスン、とすんとすん、
トントントン、とんとんとん。
20個のタマネギを反復して、皮をむいて半分に切って、小さく刻んでゆきますので、
ルリビタキのミジンギリは、少しずつ上達。
「良いよ良いよ、頑張って、部長さぁん」
ドワーフホトはルリビタキのスキルアップを、包丁の音で察します。なかなかスジが良いようです。
「とんとんとん、テンポよ〜く、焦らぁず」
ドワーフホトも順調に、鶏肉のスジを引き、タマネギ以外の野菜を切って、準備を進めます。
「がーんばれ、がーんばれっ。部〜長〜さん。
トントントンだよ、部〜長〜さぁん」
ところでさっきからルリビタキ、何もドワーフホトの言葉に、返事をしてくれません。
「部長さーん?」
どうしたのでしょう?
そうです、「涙」です。
ルリビタキ、ドラゴンだからか、そもそも身体的感受性が優れているのか、どっぱどっぱと落涙。
無事、お題を回収するのです。
「わぁぁー!部長さぁん!涙、なみだぁ!」
「涙が、どうした?」
「涙の量が、りょうが、ハンパじゃないよぉ!」
「そうだな。タマネギは切れているから問題h」
「大問題だよぉぉ!!」
「問題なのか?」
「ひとまずッ、部長さん、休憩ぃ!」
「そうか」
これが、涙の理由です。今回のお題です。
その後ルリビタキは全部のタマネギを切り終えて、それらは無事、美しいスープになりましたとさ。
君を悲しませるようなモノ
何でも無くしてしまうから
君を悲しませるようなモノ
何でも失くしてしまうから
君を悲しませるようなモノ
何でも亡くしてしまうから
だから教えてと問うたのに
君はただ首を振り続ける
‹涙の理由›
どん底からあなたが救ってくれて
いつも笑顔でいられたから
涙なんて忘れていたのに
今は、あの時涙を拭ってくれていた
あなたがいないから止まらないのよ
#涙の理由
涙の理由
私が落ち着くまで理由を聞くことはなく、
あなたは温かいコーヒーを淹れてくれた。
カップとあなたの気づかいが温かくて、
本当はコーヒーが苦手なことは黙っておいた。
今日の涙も、紅茶が好きなことも、
いつか言えるくらいの間柄に、なれるといいな。