涙の理由』の作文集

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涙の理由』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

9/28/2025, 8:15:30 AM

星空を見てたら怖くなったんです。

もしこの真っ黒な世界に吸い込まれたら。

もしこの広い世界に放り込まれたら。

もしあの無数の星に生まれ変わったら。

そんなことを考えたら無性に怖くなってしまったんです。

星は好きです。綺麗だから。

宇宙も好きです。面白いから。

でもたまに怖くなるんです。

自分ってちっぽけだなぁとか、

自分って弱いなぁとか、

自分ってなんなんだろうなぁとか、

そんなことを考えてしまう日が少なからずあるから。

でもそんなときに見つけたんです。

頭の真上から地平線に向かって流れる彗星を。

カメラでちょうど写真を撮っていたから、奇跡的に写り込んだんですけど、

もったいなくて捨てました。

私の暗くなった心にちょうど光をくれたみたいだったから、

誰にも見せたくなくて捨てました。

もし写真、欲しければ言ってください。

私の言葉で差し上げます(笑)

9/28/2025, 8:14:20 AM

重なる 淋しさ
流れる 涙 涙

溢れて止まらない 愛憎の形
あぁ あぁ あぁ

傷ついたのは 私か貴方か
心の奥の 真実はいつも

言葉よりも 鋭い眼差しで
ぷすり ぷすりと

涙 涙 涙の理由は
あの日の選択にあったのかと

時を遡ることなどできず
涙 涙 涙の理由は

ただ静かに 流れてゆくだけ

9/28/2025, 8:08:47 AM

葬式で涙した本当の理由。
それは、心の底から愛していたから

9/28/2025, 8:03:17 AM

「涙の理由」

涙には様々な種類があると、私は考えている。

悔しいときの涙。悲しいときの涙。嬉しいときの涙。

どの涙も我慢することはしないで欲しい。

どの涙も大切な涙だからだ。

9/28/2025, 8:02:48 AM

質問に答えるのが出来なかった
答えづらくて何も言えなかった
どう話かけれなくて何も言えず
家に帰った

9/28/2025, 7:48:31 AM

涙の理由

涙の理由もあなたがいい

これからも色んなことがあると思うけど

涙の理由も笑顔の理由も全部全部あなたがいい

9/28/2025, 7:02:28 AM

バラのアーチの影で、たたずむ女性に目を奪われる。

鳴り響くウエディングベルの音に、身をふるわせて。
涙するその横顔は、とても美しく。
胸に手を当て、少し乱れた呼吸を整える姿が儚げで。

消えてしまいそうに淡い。

守りたいと、思ってしまう。
どうか、聞かせて。

涙の理由を。

(やべー、笑いすぎて涙出てきた)

9/28/2025, 6:55:06 AM

涙の理由


運命というのは扉一つ挟むだけでこんなにも変わるのだろうかと、どこか悟った気持ちで指先の指し示す先を見つめた。

もう残りの時間もないだろう。
本能的にわかる命の限界をどこか他人事のように眺めながら見えなくなっていく目を凝らして見えないはずの扉の先を見ようとした。

いつの間にか夢を見ていた。
目を閉じる事で見た事がない夢を、終わりを迎える事で見ることになると誰が想像しただろう。
生きるという事は与えられたコマンドをこなす事で、
当たり前のことで、快楽も苦痛もかけ離れた場所にあるものだった。死ぬことも同じ。そんな程度だったのに。

面白かった。
同じような境遇なのに、怒って、笑って、照れて。
くるくる回る姿に自分を重ねた。
同じようで違う私と貴方。
田舎に憧れてすり減るネズミと都会に憧れて何も知らないネズミ。違うようで同じ私と貴方。
面白くて面白くて、貴方とならと夢を見た。


そう、夢を見た。
同じように笑う自分を。
田舎のネズミも都会のネズミもネズミでしかなったのに。田舎のネズミに憧れて都会から逃げたかったネズミが、都会のネズミもいいかな、と思えるくらいに。
二人一緒なら何処ででもいいかな、なんて。

初めて見た夢が今、終わりを迎える。

ここにいるよ。
ずっと間違えていた世界のままでいい。
ここにいるよ。

視界が霞んで目が見えない。
見えない先の扉に貴方がいるのに届かない。
夢を見た。
夢を見てしまったの。
見えない目から溢れたなにかはどこか塩辛い味がした。



『現場到着しました。こちら通報がありました裏路地に少女と思われる身元不明の遺体が…』

9/28/2025, 6:54:24 AM

涙は、はっきりと感情が動いた時に出ると思っていた。まずは、悲しい時。どうしようもなく悔しい時、安心した時、そして、うれしい時にも。そのうちに、自分の情けなさを思ってもあふれてきた。

 でも時を重ねてくると、感情は動くのにちゃんと涙が出なくなってきた。それを我慢することが多かったせいだろうか。まるで、涙のタンクがつっと枯れてしまったみたいだ。

 それなのに、訳の分からないところでふと涙が滲むことがある。たとえば、人と普通に話していて、そうそうって分かり合えた時なんかに。どうやら自分でも気づかないような、心の引っ掛かりとも連動しているようなのだ。


「涙の理由」

9/28/2025, 6:53:51 AM

『涙の理由』

そこには同じ悲しみがあった

家族であったり
友だちや恋人であったり
家族でもあっても
両親や配偶者
わが子、兄弟姉妹

悲しいという気持ちは同じでも
みんな立ち位置がちがうから
それぞれの悲しみの深さや想いの数だけ理由はある

自分だけの涙
自分だけの涙の理由

9/28/2025, 6:41:03 AM

004
『涙の理由』




君は泣いた。
なんで、どうして
と言いながら、ひたすら涙を零していた。


なんで、なんて僕の方が言いたい。
何故泣いてるの、嬉しいことでしょ?


僕と2人だけの空間なのに、なんで?



暗くて窓ひとつなく、最低限の家具が置いてある部屋。
ベッドの柱に繋がってる手や足の鎖。
それを見て、何故か泣いている君。



僕には理解できない。

嬉しいでしょ?
なんで怖い、なんて言うの?

僕たちは相思相愛、なのに。
監禁したくらいで泣かないでよ。

本当は嬉しいくせに、なんで泣いてるの。

9/28/2025, 6:06:17 AM

涙の理由

今まで一生懸命やってきたから
とても悔しかったから
あの人が亡くなったから
あの人と別れたから
自分が苦しかったから

涙の理由

人生のシナリオ沢山あるから
沢山の涙の理由がある
だからこそ涙は大事だと思うんだ
沢山頑張ってきたからこそ涙もある

9/28/2025, 5:44:28 AM

分からない

ただ、凍り付いている心の
外側が少し溶けただけ

だからきっと、
君の零す涙が綺麗な理由は



#涙の理由

9/28/2025, 5:43:19 AM

よく晴れた日。まさにBBQ日和だ。
「うわ!後で川入ろ!?」
「いいね!絶対気持ちいいよ!」
大学4年生の夏。幸運なことにサークル仲間は自分も含めて、早々に納得のいく企業への内定を貰うことが出来て、大学最後の思い出づくりに集まってBBQをすることができた。
ザクザクと野菜を無心になって切っていれば、視界の端に重そうなものを持つあの子が入ってきた。そこへ颯爽と彼が近付いていく。
「俺が運ぶよ。」
「え、私でも別にそれくらい持てるって!」
「はいはい。俺が運びまーす。」
「もー!!」
サークル仲間との楽しい時間。移動中からずっと楽しかった。思い出話や卒業旅行の計画にも花が咲いていた。
「あの2人、ついに付き合い始めたんだってね。」
他の作業をしている子たちも同じ光景を見ていたのだろう。
「ねー!アイツのアプローチ凄かったのに、あの子鈍感だからさあ。」
彼が彼女にしてきたたくさんのアプローチは、私がアドバイスしたものがいくつもある。話を聞いて、相談に乗れば乗るほど、彼の一途さが素敵だと、いつの間にか目で追うようになっていた。だから、誰よりも彼には幸せになってほしいと思った。
「え!?ちょ、大丈夫!?」
肩を叩かれて、顔を覗き込まれて、初めて自分が涙を流していることに気付いた。手元を見れば、まな板の上には、輪切りにされた玉ねぎがあった。
「マジで玉ねぎ目に沁みるわ。」
「なんだ、玉ねぎか!吃驚した!」


涙の理由

9/28/2025, 5:25:49 AM

ぼろぼろと涙がこぼれる。
絶え間なく流れるそれは決して理性では止められなくて。医療の力でどうこうできるものでもなくて。
ああ、これを治す薬があれば、どんなに幸せだろうか。
「っひぇーくしゅん!!!!」
秋にも花粉は飛ぶんです。

「女のくせにでけぇくしゃみだな」
「うっさ、くしゅん!とめられるなら、ひっくしゅ!とめてる!っくしゅん!!」
「おーおーくしゃみの大名行列」
くしゃみを続けたせいで胸が痛い。生理的な涙も止まらない。ついでに鼻水だって垂れ流しだ。なんて汚い。
同僚の男は花粉症はないらしく、けろりとしているのがまた腹立たしい。
「くすり、くしゅん!きらせちゃ、ひっきしゅ!」
「タブレットみたいに飲んでるからだろ、ほれ」
差し出されたのは鼻炎薬。いつも使ってるメーカーのものだった。まさに天の恵み。
「耳鼻科いけよ。ひっどい顔してるぞ」
「さいきん、くしゅ!いそがしかったの!くしゅん!」
もぎ取るように薬を受け取ると、錠剤を水で飲み込む。こくり、と喉を鳴らして流れる水はくしゃみが続いた喉に酷く染み渡った。
「目も洗うか?」
「あらう……」
かれから洗眼薬を受け取ると、ふらふらとお手洗いに向かった。そういえば、どうしてやつは花粉症でもないのに鼻炎薬や洗眼薬を持っているんだろう。数秒考えたが、ひっくしゅ!と大きなくしゃみと共にそれは吹き飛び、ただただ、薬の存在に感謝することにした。


「あー……自覚ねぇんだろうな……」
赤くなった目、目尻にたまった涙、紅潮した頬、ハァハァと荒れた息遣い。
彼女は秋も花粉症で苦しむことを知っていたが、相変わらずの酷さだった。そして、妙に興奮した。
この感情は絶対知られたくないし、知らせたくないし、認めたくない。とんだ変態じゃないか。
それでも彼女の涙が綺麗で、ぐしゃぐしゃになった顔がまたそそられて、気持ちに蓋をするために鼻炎薬と洗眼薬をドラッグストアで買って会社の引き出しの奥に突っ込んでいた。
まさか今日役立つなんて。
薬をひったくり、必死に飲み込む喉をつい凝視してしまったのを気づかれなかったか。
洗眼薬を差し出した時、震えていた手に気づいていないだろうか。
第一、花粉症どころか鼻炎アレルギーの類を持っていない俺が鼻炎薬と洗眼薬を持っていることに疑問を持たないだろうか。
ぐるぐると回る思考を尻目に、彼女へ渡した薬が役に立ったことに喜びを感じる自分もいることは見ないことにした。



【涙の理由】

9/28/2025, 5:20:37 AM

『涙の理由』
    〜星の図書館〜


――――――ん?
泣き寝入りの匂い…ですかね


おや、いらっしゃ…、…!

あなたでしたか
今にも泣きそうな顔なのに
星の栞を必死で握りしめて…
よく、いらしてくださいました

すぐにあなたの
「プラネタリウム」ルームに飛びましょう
さぁ、泣く前に一瞬だけ
「枕」のイメージをしてください
はい、あの万能な夢枕
あれが今のあなたに必要な「なにか」に
全て変わってくれます

―――よし、出ましたね
ではそのままで大丈夫、
すぐ場所を移しますね


―――あなたの
 【プラネタリウム】ルーム―――


あなたは確か…カルピスでしたね
熱帯夜が続きます、
なるべく冷たいやつを
お出ししておきますね

今すぐ思う存分泣いてもいいですし
今頭に思い浮かんでることを
私に話してくれても大丈夫です


……

……ふむ、
なぜ涙が出るのか分からない?

そうですか……
では、きっかけはありますか?
今 そんな風になってしまった
どんな小さなことでも構いません
それが 歌詞や本のワンフレーズでも、
誰かの死、世界のあり方、
誰かへの嫉妬、些細な一言、
ほんの少しの物理的なかすり傷でも、
私はそれは
あなたがないてしまう理由になり得る
―――と 考えてます

もしも言いにくいのであれば
とてもとても遠回りをしてもいいですよ
カルピスの思い出から話しても大丈夫、
ここでかんしゃく起こし
言葉で当たり散らしても大丈夫、
罵詈雑言でも平気ですよ
内緒にしときますので、


………

それは、
時計が逆回し始めたように
ひとつずつ、ゆっくりと、
過去に遡っていくように―――
過去を話してくれた
なぜ思ったのか
なぜこのきっかけがあったのか
そもそもの教えはなんだったのか
原因を、
原因の原因を、
原因の―――その理由を、
ひとつずつ、丁寧に、辿っていく

……


ふむ、それはそれは……

ではまずは、整理 をしていきましょう

すごく簡単にまとめますが、
なりたい自分の姿と言うのに
他の人がたどり着いたと
気付いてしまったその時に、
急に涙が止まらなくなった、と


話してくれて
ありがとうございます
いえ、もちろん 笑う理由がありません


ん〜そうですね…


ではここからは
私なりに思ったこと 感じたことを
私なりの言葉で聞く形になります
答えられるものだけ
あなたなりの言葉で返して貰えたら
それで大丈夫ですし
聞いてもらうだけでも大丈夫ですからね


ん〜、
あなたはずっと……
「ずっと頑張ってた」んじゃありませんか?

いえ、確かに直接的に
夢に向かって頑張ってた、わけではなくとも
あなたは それでも 、
「夢をあきらめるために頑張ってた」
という形で 夢を追いかけてた
という可能性はありませんか?

まず、なりたいを否定されたのは
よくある話かもしれませんが
あなたの話を聞いてると…
それだけではなく、
「あなたの好きや
在り方を否定されてた」
ような気がするんですよね

あなたは、自分の好きではなく
他人に望まれる好き を、
ずっと選んできませんでしたか?
そして同時に
「自分の好きや夢を押し殺すこと」を
「頑張って」やってませんでしたか?

何年も、
特にあなたの場合それが何十年も
心の奥の奥のさらに奥底で
ずっとずっと押し込めて、
その無意識の気持ちが熟成され
今のこの時になって、爆発した―――

いいえ、おかしくありません
あなたはずっと、
諦めることを頑張っていたんですよ
諦めるという形で、
あなたはずっと 夢を頑張ってた
だから―――
報われたかったですよね、きっと
傍から見たら、全然違う、おかしなこと、
だと笑われるでしょうね
ですが……それは
あなたの気持ちを知らない残念な人なだけ

それをよくぞここに来て
話してくれましたね
その勇気ある行動、すごいことですよ
ほんとにそう思います
とても……とても怖かったかと―――


さて、これからあなたは
どうしたいですか?
あなたの心の奥底で熟成された
その「気持ち」は、
まだしばらくの間はあなたの心を
襲うような形になると思いますし
心の傷として当分は出てくるでしょう
私もどこまでできるかわかりませんが

ほんの少しでも、あなたの心の整理の
お手伝いが出来ればと思います
思い出した時で大丈夫ですので
ここに足を運んでください

……

…ふむ、
今は整理を続けたい
なりたい自分も探したい

……ええ、いいと思います
きっとあなたの中では、
ホントのホントの本当に
なりたい自分以外と言うのが
あなたにとってはそれが
なれない、たどり着けないと考える故に
妥協や劣化な自分だと
自分を責めて悔しく感じるかもしれませんね

そうですね、
その思いもこれから一緒に
新たに探しに行きましょう
それは外にあるかもしれません
それか内にあるかもしれません
外はもちろん、外の世界ですね
生きてるうちに心が答えるかもしれません
内は、あなたの心の声
これからたくさんあなたがあなたに
質問を繰り返すことになるかもしれません

自分は何がしたいだろうか?と
それはもう、聞き飽きるほどに
っふふ、大丈夫ですよ
あなたはあなたが思ってるより
あなたは強い
私を頼りに来てるのが
何よりの証拠です

だから、大丈夫ですよ


―――ええ、
思う存分泣いて 声を上げてください
まだこの世界の時間はあります
カルピスも、お好きなタイミングで
ゆっくり飲まれてください

ずっと、
よく―――頑張りましたね


〜シロツメ ナナシ〜

9/28/2025, 5:12:30 AM

涙の理由 波音希星作

静かな夜に ひとりきり
頬をつたう雫は 止まらない
笑顔の裏に隠した言葉
誰にも届かず 消えてゆく

弱さを見せたくなくて
強がりばかりを重ねてた
けれど心は叫んでる
「わかってほしい」と
涙の理由は 寂しさだけじゃない
君に出会えたこと 愛せたこと
溢れる気持ちが 形をなくして
透明な想いに 変わってゆくから

歩いた道の記憶たち
誰も知らない痛みを抱いて
見上げた空に問いかけても
答えは風にさらわれる

願いが遠くてもいい
心が向かう方を信じたい
流れる雫のひとつずつ
未来へつながる

涙の理由は 諦めじゃなくて
明日を信じたい 強さになる
悲しみの果てに 光を探して
新しい私を 始めてゆくから

涙の理由が 愛を映すのなら
流した瞬間さえ 大切にしよう
君に伝えたい この心ごと
もう隠さないで 抱きしめて欲しい

9/28/2025, 5:06:02 AM

涙の理由

自分には贅沢過ぎる存在だった。
これから先、そんな責任を背負ったまま
生きていくなんて、あの頃の自分には重荷過ぎた。
そう思いたかっただけで、実際は新鮮さを求めて
別の相手に心が向いていただけ。
だったのかもしれない。。

お互い、涙が止まらなかった。
それぞれ思いの向きは
違う方法に向いていた。

9/28/2025, 4:52:23 AM

涙の理由


あなたが泣いていた理由を私は知りません。
きっと永遠にわからないのでしょう。
あなたがあなたである限り。私が私である限り。
それでいいのだとあなたは言うけれど、
私たちの道が決して交わらないことが私は悲しいのです。
ああ、こんなにも悲しいのに、私は泣けなくて、酷いでしょうか。
せめて、あなたが泣く理由が私であれば良いのにと、
これはせめてもの祈り

9/28/2025, 4:51:58 AM

巨大な隕石が地球を直撃した。
 その衝撃と爆発、そして発生した津波により、人類は滅んだ。
 また、続く異常気象で南極の氷が溶け、世界は水の底へと沈んでしまった。
 ようやく平穏を取り戻したその後の世界で文明を築き上げたのは、素早い動きで高いところへ逃げ、難を逃れた『猫』だった。

「本日は海底の調査だ。アクア、頼んだぞ」
 一匹の猫がもう一匹の猫――アクアに向かって声を掛けた。
 ――とうとう一番やりたくない仕事が回ってきてしまった。
 アクアは溜め息を吐いた。
「…………水は苦手だ」
 その言葉を聞いて、アクアに指示を出した猫は笑った。
「水が得意な猫なんて変わり者だ。みんな苦手だが、少しでも文明の発展の為に調査をしているんだ。諦めて調査へ向かえ」
 潜水服に身を包み、アクアは大きく広がる海を見下ろした。
 ――水は苦手だ。涙みたいで。
 そんなことを思いながら、とうとうアクアは観念して、海の底へと身を投げた。

 目の前を大量の魚が泳いでいく。
 美味しそうだなぁ。せっかく海に潜ったんだし、調査じゃなければ魚を追いかけているところなのに。と、アクアは少し残念に思いながら、海底に沈む文明の姿を確認する。
 そこには崩壊した建物がたくさん眠っていた。中にはしっかりと形を残している建物もあった。
 昔はそこに『人間』という生物が生活していたのだろうが、今は魚達の棲み処となっている。
 さて、ここから先のエリアは今回が初の調査となる。現状を確認して、しっかりと目に焼き付けておこうと、アクアは周囲を注意深く観察し始めた。
 手足をバタつかせながら、先へ先へと進んでいく。

「ココア」

 突然、誰かの呼ぶような声が辺りに響いた。
 ――おかしい。今、この場には、自分一人しかいないはずなのに!
 驚いて声の方を振り返る。
「ココア」
 そこには、ワンピースを着た一人の女性が立っていた。微笑んでアクアを見ている。
 ――『ココア』とは? いや、何よりも。それ以前になぜこんなところに『人間』がいるんだ!?
 そこには文献で見た人間の姿があった。
 人間はもう、とうに滅んだはずだ。それに、仮にではあるが、人間の生き残りがいたとして、こんな海の底で、潜水服もなく、どうやって生きているというんだ。人間は我等と同じ肺呼吸だと聞いている。それなのに水の中で生きていて、しかも普通に声を発している。
 ということは、これは、何だ? 人間……ではない? 非科学的だが、人魚? 妖精、精霊? ……幽霊?
 女性が笑った。
「ココア!」
 もう一度その言葉を発する。
 意思疎通はできるだろうか? アクアもヘルメットの下で、声を発した。
「『ココア』とは、何だ?」
 彼女が何者なのか。それよりも真っ先に出てきた言葉は、そんなものだった。
 彼女は不思議そうな表情を浮かべる。
「…………ココア、じゃないの?」
 返答してきた。会話はできそうだ。
「? 私は『アクア』だ。海底の調査でやって来た」
「そう、なの……」
 女性は一瞬寂しそうな表情を浮かべたが、再び笑顔になると、
「私は『水奈』」
 そう名乗った。
 アクアは更に尋ねる。
「水奈はなぜここに?」
 ――人間がなぜここに? 生きているのか? 幽霊なのか?
 尋ねたいことはたくさんあるが、慎重に質問をしていく。
「私は、ココアを待っているの。約束したから」
「約束、とは?」
「もう一度会おうって約束だよ」
 なるほど。ココアとは、約束の相手で、それを待ち続けてここにいると。
 彼女の正体はわからないが、少しだけ事情はわかってきた気がする。
「アクアばっかり。私もいろいろ訊きたいな」
 水奈が笑顔を浮かべて言う。
 それにアクアは頷いていた。
 アクアのことをいくつか話し、水奈のこともいくつか聞いて。そうして、他愛ない話を続けていく。
「そういえば。調査って言ってたけど、なんで猫が調査してるの?」
 水奈が調査について尋ねてきた。
「なんで、と言われても……文明の発展の為だ。今は私達猫が文明を築いているから」
 現在の世界の様子を話す。すると水奈は目を輝かせた。
「今は猫の世界になってるの!? すごい!」
 水奈はよく笑う。
 その笑顔は、なんだかとても心地が良くて、いつまでもここにいたくなるような、そんな感覚に陥らせる。
 しかし、そういうわけにもいかない。アクアはここに仕事で来ているのだ。
「……そうだ。調査を続けないと」
 アクアは再び動き出した。――すると、
「私も行く! 私の方が町を知ってるよ」
 水奈がそう提案した。確かに、ずっとここにいる彼女ならこの辺りのことに詳しいだろう。
 その申し出に、アクアは有り難く乗っかることにした。

「ここは煙草屋さんがあったの。ここはスーパー」
 水奈は踊るような足取りで、元々は栄えていたであろう町を得意げに案内していく。
 魚屋の紹介のときは、当時を想像して、思わず涎が出た。
「こっちは小学校。ここには文房具屋さんがあって――……」
 だんだんと、水奈の声に元気がなくなってきたことに気付いた。
「……水奈?」
 不思議に思い、水奈の顔を覗き込む。
「…………戻る」
 辛そうな表情を浮かべ、水奈は突然そう言い出した。
 一体どうしたというのか。アクアは驚いて声を掛ける。
「水奈!?」
 しかし、水奈は脇目も振らず、元いた場所へと駆け出していってしまった。
 それを慌てて追い掛ける。泳ぎが上手いわけではないので、少し時間が掛かってしまったが。
 水奈は、最初にいた場所に再び立っていた。
「……水奈?」 
 声を掛けると、暗い表情を浮かべた水奈が、ぽろりと涙を一粒零した。
「ど、どうしたんだ!?」
 その突然の涙に、アクアは狼狽した。
 水奈と会ってまだそんなに経っていないというのに、彼女の悲しそうな顔は見たくないと、そう思ってしまう。
 涙の理由を教えてほしいと、どうか笑ってほしいと。
「町の様子が全く変わってしまっているから――」
 水奈が小さく落とすように呟く。
「だから、自分がここで待っていないと、ココアがわからなくなって、迷っちゃうから。わからなくならないように、ココアをここで待っていないと。――ココアに、会いたいから」
 涙を流したまま、彼女は笑った。
 その言葉が、表情が、なんだか無性に切なくなって、悲しくなって。
「馬鹿じゃないのか!?」
 気付いたら怒鳴っていた。
 ――世界が海の底に沈んだのは、もう百年以上も昔の話。
 水奈が待つココアだって、きっともう死んでしまっている。それを知らずに、彼女は待ち続けている。きっと、彼女自身も既にいない存在なのに、それすらわからずに。その事実が、苦しい。
「……知ってるよ」
「…………え?」
「知ってるよ。もう、ココアは、いないってこと」
 水奈の言葉に、驚いて顔を上げる。
「知ってるの。ココアはもういない。……最期の時に、言ったの。生まれ変わって、また会いに来てって。ずっと待ってるって」

 ――ココアは水奈のペットの猫だった。猫の寿命は人間よりずっと短い。
 ココアの寿命が尽きる。最期のその瞬間、言葉は通じないが、水奈は大粒の涙を流しながらそう一方的に約束した。
 だから、約束が果たされるまで、水奈は待ち続けるのだ。たとえ、自分の命が尽きようとも。

「私はっ! ココアを待ってる! きっと会いに来てくれるって、信じて待ってるの!」
 約束した時と同じように、水奈は大粒の涙を零しながら、そう訴える。
 その泣き顔には、見覚えがあった。
「……水奈…………」
 ――そうだ。水奈は、いつも笑っていた。なのに、最期のあの瞬間だけ、ぼろぼろと泣いたんだ。

 ココアは生まれ変わっていた。よく似た猫のアクアに。
 いつも笑っていた水奈が、最期に見せた泣き顔に、ココアは衝撃を受けた。
 その泣き顔をよく覚えていた。そうして思い出した。
「水奈」
「…………ココア」
 ――水は苦手だ。涙みたいで。大切な人のあの悲しい涙を思い出してしまうから。
「……水奈。ねぇ、もう泣く必要はないよ。遅くなってごめん。……笑って」
 約束通り、ココアの魂は、今、水奈と共にここにある。
「ココア!」
 水奈が再び泣いた。笑いながら、大粒の涙をたくさん零して。力いっぱいアクアを抱き締めた。
 涙は溶けて、温かい水の中へと消えていった。

 どれくらいそうしていたのだろうか。もう酸素ボンベの中身も少ない。
 調査の結果を報告する為にも、そろそろ戻らないといけない。離れ難いが、行かなければならない。
「水奈……」
 再び訪れる別れの時を感じて、水奈が寂しそうな顔になる。
 アクアは告げる。
「生まれ変わって、また会えるのを待っているから」
 今は辛くとも、再会できるその時を――。
 アクアは微笑んだ。水奈も笑って、大きく頷いた。
 涙と共に水に溶けて、彼女もまた姿を消した。
 そこには、猫だけが一匹、広い海の中で浮かんでいた。


『涙の理由』

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