『楽園』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
楽園とは何だろうか?
一人一人が違うものを想像するだろう。
辺りがお菓子で埋め尽くされていたり、漫画やゲームが山ほどあったり、楽園とは人それぞれなのだ。
でも、僕が想像する楽園は......."天国"だ。
お題 楽園
蜘蛛の巣張る、夏の日。
あんな人生、嫌で
こんな人達が、嫌で
どこに行くかも決めずに飛び出した、夏の日。
どれだけ走ったのか。どれだけつまづいたのだろうか。それすらも分からないほどに、ただ走った。
メラメラと自分の体力を炙り出す陽がしつこく追って来るみたいで、余計に走った。
やがて走り終えた先は果てしなく海が続いていて、もう走れなかった。
広く深い海は、二度とこのばしょから出られない事を物語っていた。
楽園は、ないことを
お題
楽園 より
結婚の知らせが届いた。私は式に招待されていない。した、という噂を聞いた。
昔から親に気厳しい躾を受けていた。当時の私にはそこから逃げるという考えさえ持てなかったが、高校の時にあった彼女はそんな私を叱りつけて私に親の言うことを無視して遊ぶ、ということを覚えさせた。
私は買い食いも寄り道も初めてのことで、親から禁止されていた自分の好きな服を買うということも高校生になって初めてやったのだった。
大切な人だった。それなのに、今では原因さえも忘れてしまった些細なことで大喧嘩をして疎遠になった。SNSはブロックされて、共通の友だった人も私から離れていった。
私は彼女のことなんて忘れればいいのに、どうしてもふとした瞬間に彼女と笑いあったあの時を思い出すのだった。
彼女といるその時間が、わたしのとっての自由であり足枷のない楽園だった。
楽園
「おかえりー」
玄関を開けると××がリビングから顔を出す。
「ただいま」
と返事をすると、ぱたぱたとスリッパの音を立てて××が廊下を歩いてきた。靴を脱ぎながら、俺の目は××に釘付けだ。待て、お前が着てるソレ、俺のパーカーだろ。
「ちょうど今、ロールキャベツ出来たから」
「ん」
ぎゅう、と××を抱きしめた。可愛い。可愛すぎる。反則だろ。すーはーと深呼吸を繰り返すと、××が俺の腕の中でくすくす笑う。
「何、疲れてんの?」
疲れてはいる。休日出勤なんて意味分からないことをしてきたのだ。疲れてはいるが、今、この瞬間、全てが吹っ飛んだ。ここは楽園か?
「最高……」
「へ?」
××に頬擦りしながら小さく呟く。口にするつもりではなかったが、出てしまったのなら仕方ない。腕に力を込めて、××の香りで胸をいっぱいにした。
「おい? マジで疲れてんの?」
「疲れてる。××によしよししてもらわないと動けない」
「はあー? っとに……」
顔は見えないけど、××は笑っているんだろう。肩に顔を埋める俺の頭をよしよしと撫でる。嬉しい。癒し。はあー、元気になる。明日は休みだからのんびりするぞ。
そのためにはまず、
「ありがとう。ロールキャベツ楽しみにしてた」
「ん。いっぱい作ったからな」
美味しいご飯を食べよう。パッと顔を上げて、体を離す前に××の額にキスをした。
同じ場所、同じ体験でニコニコ楽しそうにしている人を見る。なんでも楽しめるというのは一種才能だと思っていた。羨ましい。
同じことをしても不満に思う人もいれば、最高の時間だと感じる人もいる。それは好みのようなもので変えられないと思っていた。
けど少しの気の持ちようで変わることなのかもしれない。少しだけの楽しさでも「楽しかった!」と笑える人ならその瞬間は「最高の時間」となり、少しの不満が殊更目につく人なら「最低の時間」になる。
できれば私は前者のような人になりたい。
「楽園」
花が咲いている、
青い小ぶりな花が見渡す限りに広がっている。
ここは何処だろうか
空を見上げれば青みがかった白い雲に覆われている。
曇っているようだが何故か晴天の下のような明るさがある。
足元に何かが触れて見てみればそこには猫がいた。
マーキングするようにすりすりと顔を己のスラックスに擦り付け体毛が静電気によってへばり付く。
思わずしゃがみこんで頭を撫でてやれば足元で転がる。
花を潰しながらごろごろするのをあーあとか言いながら撫でているといつの間にか十匹ほどの色んな猫に囲まれている。
若干の恐怖を覚えたものの特に害は無く、ただ得体の知れない花畑にただの猫が沢山居るだけだ。
一体ここはなんなのかと思って周りに居た猫達を撫で回して転がしていれば少し離れた場所に木製の看板が立っていた。
猫達を避けて近寄ってみれば
【疲れた猫好きの人間用待機所】と書かれており
待機所????と首を傾げて居ると
ピンポンパンポーン
と謎のチャイムが空間に鳴り響く。
《来世の準備が出来ましたのでエントランスまで転送します》
来世?エントランス?とか思う間もなく気がつくと猫も花畑もなく真っ白い待ち合い室みたいな場所に立っていた。
柔和な笑みの人が来て受付の椅子に座らされて
死因とか来世の手続きみたいな話をされて、
そういや俺死んだんだっけとか来世も人間かよとか思うことは色々あったが言いたい事はただ一つ
「戻して、もう来世とか良いから!さっきの楽園に!!」
お題 楽園
きょう。晴れ 時々くもり。
朝から早起きして片道2時間、隣のとなり街まで。
ご機嫌でいい感じの洋楽を聴きながら運転。
(英語の歌詞はもちろん意味分かんない)
どこに行っても、ひと、ヒト、人に酔った。
あああああああ疲れたな。布団に入る。
楽園って聞いたら楽園ベイベーしか思い浮かばない。
ベイビーもいいけど、ベイベーって可愛い。
昔片想いしてた人が車の中でよくRIP流してたなぁ。
どきどきだったな。
この人の世代だとRIPが青春だったんだなぁ。
学生だった頃のこの人は、どんな恋愛してたのかなぁとか。
大人しく窓眺めながら、運転してる彼の横顔を盗み見て、内心にやにや想像するのが好きだった。
はー今聴いても最高。たまんねぇな
見渡す限りの草原へ、男女が手を取り合って走っていく。
黄金の太陽のもと、去っていく背をいつまでも眺めていた。
これで何組目だろうか。
造っても造っても、アレらは外に行ってしまう。
辛く苦しいばかりの外に憧れて、何も知らずに出ていくのだ。心底嬉しそうに。
直ぐに死ぬだろう、が私には既に関係のないことだ。
また、造るとするか。
次こそは、と儚い祈りを込めて。
テーマ「楽園」
『楽園』
レスリー・チャンという俳優さんをご存知でしょうか?
もう20年近く前にお空に帰った、香港の役者さんであり、偉大な歌手でした。
『張国栄』もしくは『張國榮』と漢字なら書きますが、その頃はまだ香港は英国領で英名をつけている人がほとんどでした。
彼の場合はレスリー。
段々と年齢を重ね、香港を代表するアーティストになってからは『哥哥』、香港語の兄貴というあだ名でも呼ばれていました。
繊細かと思えば鋼鉄の心臓ぶりを見せたり、陽気でハイテンションな人柄と見せて実は思慮深い落ち着いた人だったり、とても綺麗な笑顔が天使にも悪魔にも見えたり。
とても、とてもアンビバレンツな人。
本当にもう、レスリーを好きになればなるほど、その実態は見えなくなっていって、ずっと翻弄される推し活でした。
親に言わせれば、小さなマンションぐらい買えたかもらしいのですが、レスリーと共に歩んだ、レスリーと同じ時代を生きれた、何なら香港で、或いは来日してくれた東京や大阪の地で同じ空気が吸えた、もうそれだけで私の人生は満ち足りています。
いえ。
正直、何年かはレスリーの姿を見るのが辛い時期もあったんです。
でももう、それも乗り越えて、やっぱり今でもレスリー・チャンが好き!
彼の生きた証の、映画やコンサートの映像を見てるだけで幸せ!
レスリー・チャンが居なくなったショックは大きかったけど、じゃあレスリー・チャンを知らないままの人生を選びますか?と聞かれれば、輪廻転生があるのなら、何度ショックを受けてもレスリーと同じ時代を生きたい!と言いきれます。
昨年は、彼が出演した『男たちの挽歌』が4Kになったり、WKW4Kといって映画監督のウォン・カーウァイの作品が4Kになって、レスリーの『ブエノスアイレス』が上映されたりしました。
あまりに好評で、4Kになっていないのに『欲望の翼』や『楽園の瑕』なんかも急遽上映されました。
ここまで長く読んでくださって、どこに『楽園』のタイトルと関係あるんだと思っていられた方、お待たせしました。
ここでやっと楽園繋がりの映画『楽園の瑕』です。
この映画、レスリーの美しさが割と封印されていて、ヒゲなんかもはやしちゃったり、衣装も地味めなんですけど、一瞬見せる戦いの時のおろした長い髪が風になびく様や、女優さんとの絡みの艶っぽさや、本当にもう『ありがたや〜!』なシーンを繰り返し見てしまう大好きな映画の1つです。
個人的に、大オススメ映画なので、このGW、お時間あったら是非!
なんて、結局推し活しちゃいましたね。
その国はロボットの楽園と呼ばれていたが、我々人型アンドロイドは異端者だった。
人に使役されるのを拒んだものたちが築いた楽園は、人を模した我々が暮らすには不便な場所であったのだ。
「君たちに売れるようなものなんてない!」
今日もまた小型ロボットたちに威嚇された私は、すこすごと店を出る。
我々のような中型に位置するロボットは、この国では満足に食事だってできない。人が乗り込むような大型のロボットには、それ用の補給場所が用意されている。人が入れないような場所で活躍する小型ロボットには、小型用の補給場所がある。人と同じサイズの我々だけが、いつも路頭に迷う。
「困ったなぁ」
だから私は今日も細道を慎重に歩く。大型用の道は怖くて歩けたものではないから、小型用の道に少しだけお邪魔することになる。これが彼らとしては気に食わないらしい。
「本当に困った」
私のエネルギー残量は三メモリほど。もうそろそろ省エネモードに入ってしまう。いつもはたまに出くわす心優しい小型ロボットに助けてもらっているが、今日は運が悪いらしい。
どうやら本当にそらそろまずいようだ。視覚の歪みを認知した私は足を止めた。
前方に何か人型のようなものが見えるが、この国でアンドロイドに出会ったことはない。まさか同胞? いや、まさか。
私は最後の力を振り絞るような気持ちで、視覚へとエネルギーを集中させた。
——違う。
そうして私は愕然とした。あれはアンドロイドではない。そう、あれは、人だ。人間だ。
ようこそ!何にも縛られない
あなただけの楽園へ!
ここではあなたの望む世界が
待っていますよ!
どんなことでも思い通り!
何にも縛られない
素敵な世界をお楽しみください!
…そう
その裏で私達や
それ以外の人たちが貴方だけのために
苦しんでいるとも知らずに。
浮かれていればいいさ。
世の中のことなぁんにも知らない
子供のようにね。
–楽園–
「はなのがくえん……」
大事に大事に取っておいた合格通知を、鞄の中から取り出して見る。学校名を読み上げ、目線を前へ。青い空の下で光っている立派な門扉に、輝かんばかりの校舎! 極め付けは至る所に飾られている花々だ。この学校のトレードマークだからである。
笑顔で隣をすれ違ってゆく制服の生徒たちはわたしと同年代だろう。胸躍って、思わず全員に挨拶してしまいそうだ。
改めて、これから三年間を過ごす事になる高校に思いを馳せる。華乃学園。中高一貫のエスカレーター式で、卒業生は皆輝かしい経歴を残しているらしい。ああ。一体わたしはどんな学校生活を送れるのだろう。
「よし、張り切って行こ───」
まずは第一歩。大きく踏み出した瞬間、急にぶつかってきた誰かによりバランスが大きく崩れた。
ドシン! 真新しい制服が地面と擦れる。
ここの制服かわいいのに、なんて事を。内心ムッとしながら相手の顔を見てやろうと頭を上げる。すると、その前に手が差し出された。
「痛かったよね。考え事してて前見てなくて……ごめんね」
あまりにも美しい人だった。咲き誇る花が人としてかたちを変えたらこんな風になるだろう。そう思わされる美貌。朝露に透けた花びらのような肌は羨ましいばかりである。
「あ、だ、大丈夫、です」
「良かったら使って。お名前、聞いてもいい?」
レースで縁取られたハンカチには皺一つない。使うこと自体気が引けてしまいそうなので、丁寧に申し出を辞退する。気遣うようにハンカチをしまい込んだ目の前の人が口を動かすのを、惚けて見守る。
え、もしかしてわたしに話しかけてる? お母さんどうしよう。すごく綺麗な人に、あろうことかお名前を聞かれてしまいました。家で入学式に向かう準備をしているであろう母にテレパシーを送った。たぶん受信できてないだろうな。
「……花」
ようやく答えようと声を出した。緊張して、小さくなってしまったというのに、しっかり聞き取ってくれていたらしい。美しいひとが微笑んだ。
「よろしくね、花さん。僕の名前は、カノ」
僕。え、と思い咄嗟に相手の制服をまじまじ見た。さっきまで顔しか見てなかったから気付かなかったけど、もしかして女の子じゃなくて。男の子なの。
何も知らないカノ、華乃くんとわたしが過ごす楽園生活は、また少し先の話。
つぎはぎの白地図
月明かりに透かして
誉れの道草 遠回り
海の向こうに
瓦礫の向こうに
皆が求める声がある
木々の結婚 夢見て
欺きの日々 尽くして
熟した年月 答えはここに
奏でよう 不確かでも
歌おう いつまでも
相愛の向こうへ
目を瞑って楽しいことを考える
いつの間にか眠りについて夢を見る
疲れすぎていると行けないけど、
たまに連れていってくれる。
ずっと笑顔で楽しそうにはしゃぐ
大好きな人が隣にいたり、
まだ知らない誰かがいたり、
だけど幸せな場所
目が覚めてもそんな場所で、
楽しい毎日が過ごせる日は来るのかな
どんなに幸せなんだろう
「楽園」
地球は
生きるものにとっての
楽園となりえるのでしょうか
生きることは過酷であり
死にゆくからこその
繋がり
続く命にとって
楽園は
いつか誰もがたどり着く
そちら側にきっと
#楽園
日に三度の食事、洗濯された清潔な着替え、雨漏りのしない、乾いたシーツの敷かれた寝床。
まるで楽園ですよ、とその青年は屈託のない、どこかあどけなさすら残した笑顔で男に語った。
「……だから、控訴する気はないと?」
厚いアクリル板越し、耳に当てた受話器を通じて、男は確認する。同じように受話器を耳に当てた青年は、あっさりと肯いた。
「まあ、君がそう言うなら……」
男は呟く。
弁護士としては、もう少し粘れると思っていた。青年の生まれ育った劣悪な環境――名前も分からぬ父親、ドラッグ中毒だった母親、学校にも通えず、幼い頃から万引きを繰り返して生き延びてきた。やがて母親が野垂れ死ぬと、彼女の遺したツケを払えと売人たちは青年に迫った。そんな売人たちのうちのひとりを、青年は拾った銃で射殺したのだった。あともう少し、陪審員たちの同情を引くことができたなら、多少の減刑はのぞめたのではないか。しかし、青年は悪びれることなく、堂々としていた。表向きの反省の色を示すことすらなかった。だから、陪審員の心象も良くなかったのだ。
「ひとりで十年」
青年は独り言のように言う。
「ふたりだと、何年くらいになりますかね?」
「…………」
青年にとって、売人の命など楽園へのチケットに過ぎないのだろう。
青年はにこにこしている。男が初めて出会ったときよりも、むしろ今のほうが血色は良い。彼の言うとおり、彼にとってこの刑務所は楽園なのだ――。
男は何か言いかけて、そして辞めた。
迂闊なことを言えば、男の命も楽園行きのチケットに替えられてしまうだろうから。
―楽園―
猫カフェを訪れた。
扉を開けると、数匹の猫がこちらを振り向く。
慣れたように足元へ来る猫もいる。
おもちゃで遊んだり、おやつをあげたりできて楽しい時間を過ごした。
猫好きにとってはまさに楽園。
今朝は夢を見た。
あなたがまだ生きている頃の夢。
事故で私と子どもを残して死んでしまうよりも
ずっと前。
初めて会った高校生の頃の夢。
苗字が同じで、出席番号が前後だった頃。
付き合っている頃が周りにバレて、結婚しても判子とか変えなくていいの楽だねとかからかわれていた頃。
実際は斉藤と齋藤で悩んだんだけどね。
そんなエピソードは覚えているのに、
もう顔は覚えていなくて。
久しぶりに動くところが見れて幸せだったな。
しまった。
さっきまで覚えていたのに、
朝食を用意している間に夢の大半を忘れてしまった。
あなたが好きだと言ってくれたフレンチトースト。
その喜ぶ顔が思い出せないのがとてもくやしい。
#楽園
世の中楽しい事、嬉しい事ばかりだと
結構つまらないものだよ
楽園に行ったってきっとすぐに飽きてしまう
ちょっと大変、くらいが丁度良いんだよ
*楽園
ベランダから足を投げ出しても、足首まで生ぬるい水に浸かっている。足裏を柔らかな藻が撫でていく。魚の鱗が当たる。随分前に、世界の半分が水の底となった。
お題 楽園