沼崎落子

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 結婚の知らせが届いた。私は式に招待されていない。した、という噂を聞いた。


 昔から親に気厳しい躾を受けていた。当時の私にはそこから逃げるという考えさえ持てなかったが、高校の時にあった彼女はそんな私を叱りつけて私に親の言うことを無視して遊ぶ、ということを覚えさせた。
 私は買い食いも寄り道も初めてのことで、親から禁止されていた自分の好きな服を買うということも高校生になって初めてやったのだった。
 大切な人だった。それなのに、今では原因さえも忘れてしまった些細なことで大喧嘩をして疎遠になった。SNSはブロックされて、共通の友だった人も私から離れていった。
 私は彼女のことなんて忘れればいいのに、どうしてもふとした瞬間に彼女と笑いあったあの時を思い出すのだった。
 彼女といるその時間が、わたしのとっての自由であり足枷のない楽園だった。

4/30/2023, 11:49:19 AM