『束の間の休息』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「束の間の休息」
今日は久々に有給をとった。
まぁ…とったというよりとらされた、だけど。私は趣味のためにお金を集めていて、毎日の残業もその一貫。でも流石に酷かったのか、上長に「頼むから休んでくれ」と言われた。
久々の休み、どうしようか。しばらく休むことなんてなかったから、何をしたらいいのかわからない。
とりあえず趣味のもの集めでもしようか。困ったときは趣味だ、趣味。ちなみにさっきから連呼しているその趣味というのはメイク。コスメを集めるためにお金を貯めている。
そうと決まればさっそくショッピング!
レッツゴーである。
さあやってきましたショッピングセンター!の中の化粧品売り場。やぁ心が踊りますなぁ。可愛い入れ物に入ったファンデや微妙に色がちがうリップがたくさん並んで…ハッッ!!!
こ、これはまさか、人気のインフルエンサーさんがあれだけ探し求めていた激レア期間限定メイクセット!??まさかこんなところにあるだなんて…。
即買い決定。
と、来て早々にテンションが上がって買ってしまったがこれ、だいぶお高い。死ぬほど残業した甲斐もあってまだまだ財産はあるけれど、今日の財布の中身はほぼ空である。
1つしか買っていないのにもう強制帰宅だ。さいあく。
束の間の休息、可もなく不可もなくって感じでした。
end
歩いている。
覚束無い、だけど確実に
酒に溺れた酔っぱらいのように、
あるいはどこかネジを一本なくしてしまった人のように
ピンクの空を見あげれば
私の部屋の窓際の小さな丸い金魚鉢に住んでいた
あの子が泳いで
泳いで、、
私はひっくり返されたみたいに地面に寝転がった。
嗚呼、泳いでいるなぁ、
ピンクの空に薄ピンクの雲
ぜんぶ、ぴんくぴんくぴんく
やっぱり私は酔っ払っているのかしら
多分、きっと憶測でしかないけれど
今は昼間なのに、
星が輝いてる
落ちてくるんじゃないかしら
落ちてきて、私はピンクに染まる。
いいね
楽しみだ
ケトルに水をセットして、沸くのを待っている間にカップにドリップバッグをセットする。お湯が沸いたら、少量のお湯を垂らし、頭の中で15秒を数える。
いち、にぃ、さん……鼻腔を珈琲の芳ばしい香りが擽る。ああ、早く飲みたいなあ……なんて思いながら、15秒を数えきり、カップに追加のお湯を注ぐ。くるくる回すように注げば、白と、茶が混じり合った泡がぷくぷくと揺らめく様が見える。それを、ニ、三度繰り返す。
そうすれば、珈琲の完成。ミルクも砂糖も入れない。黒黒としたそれをそっと口に含む。ふぅわり、香りが脳天まで突き抜けるような感覚にほぅ、と息を吐いた。じわじわと体内を珈琲に侵食されていくこの感覚が、たまらないのだ。
香りを味わうように口に含んでは嚥下し、そうしてカップの中身はいつの間にか空になっていた。と、同時にスマホでセットしていたアラームが、けたたましく現在時刻を知らせてくる。
カップを洗い、シンク横に置いて、小さく背伸び。デスクにつくと、緩んだ表情を引き締めて、珈琲を飲む直前まで手にしていた書類に手を伸ばす。ここからは、現実の時間。
書類を捲る。キーボードを叩く。ほんの僅かな休息だったけれども、腔内に残り続ける安らぎの香りで、まだ少し、頑張れそうだ。
テーマ「束の間の休息」
「やぁやぁ真人(まひと)クン~✋」
手を上げて軽く走ってきたのは少し疲れた顔をした陽太(ひなた)だ。
「なんでこっち来たんだよ」
「いやぁーちょっと疲れたから休憩がてらに」
ぼけっと立っていた真人の隣に当たり前の様に立った。
「でもすぐあっち行けるよな」
「真人もきっと行けるよ」
「俺は元から居るから戻れないんだよ」
「えー悲しい😢」
「まぁ俺の分まで頑張ってくれよ」
そう言って軽く笑うと陽太は「よっしゃ陽太クンいっちょやったるで~」と軽く肩を回した。
「あ、来た」
「はい、いってらー」
陽太は味方からボールを受け取る。
「佐々木ぃ!!食らえッッ!!!」
振り上げられた腕を勢いよく振り下ろすと、とんでもない速さで佐々木に向かってボールが飛んで行った。
「ギャアッ!!!」
バゴンッと音を立てて佐々木の肩にボールが当たった。
「いってぇ!次俺陽太当てるから!!」
「当てれるものなら当ててみな!!」
じゃあ、また!と陽太は真人に手を振る。
「真人も頑張ってこっち来てね!!」
「だーかーらー俺元々外野だから戻れないって!」
話聞けよ!と戻る陽太の背中に向かって言い放った。
お題 「束の間の休息」
出演 真人 陽太
そこの君。
そうだよ。これを読んでる、そこの君だよ。
君、ちょっと疲れた顔してるね。
そんな寂しそうな、疲れてる顔見せて…まったく。
ちょっと、頑張りすぎじゃないの?
え?自分の仕事をやってるだけだから、普通だって?
なぁに言ってんのさ。自分の気持ちを隠すのが上手な君が、顔に出してしまうくらいに疲れてんだろ?
そりゃあ、普通の量の仕事じゃないよな。
ただ、きっと仕事の量を減らしてもらうなんて難しだろうし…助けも、求められないよなぁ…だって、全部「大丈夫」って、言っちゃうだろうし。
はぁ…もう少し、ゆっくりする時間があれば、君も少しは休めるのになぁ…
まぁ、これを読んでる間は、気も抜けてるだろうし、肩の力も抜けてるだろ。
その休みで、少しでも休んどきな。
ま、束の間の休息、ってところだな。
頑張ることもだいじだが、ほどほどにな。
上手くやっていけよ。
束の間の休息
走る走る とにかく走る
頑張れ あと少し
声がする ありがとうと答える
走る走る どんどん走る
走って走って
ゴールはまだ無い
見つけるまで 走るのだ
その前にちょっと一息
ふぅふぅふぅ
息が上がる
また立って
走り出す
『走る』
束の間の休息
もしこれが束の間の休息だったとしても、あなたと一緒にいられるこの時間を少しでも大事にしたい
お疲れ様です
コーヒーにアーモンドはいかがでしょうか
それとも
お茶とお団子をご用意いたしましょうか
一息ついてくださいね
「ロランス、今の僕たちにとって一番恐ろしいのは……君が倒れることだ」
「アンセルムの言う通りよ、ここ最近ずっと働き詰めで……」
あぁ、確かに。言われてみればそうなのかもしれない。だが、南部のカダルナスと東部のロエンディアが落とされた。湾岸と工業、二つの主要都市を一気に失った以上、早急に手を打たねばならない。残った部隊を撤退させ、首都の防衛に徹するよう王に進言はしたが……。
「わかった。くれぐれも無理はしないでほしい……君たちがいなくなったら、さすがの私も堪えるから」
アンセルムを筆頭とした奇襲部隊を見送る。彼らの腕は確かだが、一緒に学んだ友人が前線に出るのは今も怖くて仕方がない。マリオンも同じ気持ちのようで、最後まで祈りを捧げていた。
「何かあればエレーヌに声をかけてほしい。私は部屋で眠るとしよう」
マリオンを妹に任せ、部屋に戻る。数日ぶりのベッド、その上で横になるとあっという間だった。
─
花畑の中を走る獣道。道に沿って歩けば、絵本の中で見たような小さな家が建っている。いつからか、私はそんな夢を見るようになっていた。夢の中だとわかっているから、これはいわゆる明晰夢というものだろう。
「やぁ、待っていたよ」
少し歩いたところ、家の前で彼は待っていた。いつもはノックした後に出てくるはずだが……。
「すまないね、久しぶりに君に会えるのが嬉しくて」
手招きされた先はクッキーとカップ、いつものお茶会セットだった。贅沢はあまりしない方だったし、最近は最低限の食事で済ませていたんだっけ。
「肩の力を抜いて。ここは誰もいないから」
公国の揺籃
wip
束の間の休息
【お題:束の間の休息 20241008】【20241010up】
じっと自分の指を見て、1本ずつ折って数える。
まだ厄年ではないはずなんだけど、今年は本当についてない。
年明け早々に、婚約者の浮気が発覚。
相手は彼の会社の後輩で、既に妊娠5ヶ月との事で早々に婚約破棄。
慰謝料の話をしたら、これからお金がかかるから、とか何とか言い出す始末。
面倒なので、サクッと弁護士挟んで対応してもらった。
元々お見合いで、上司のすすめもあってのこと。
恋愛感情はなくても結婚はできると言っていた親友の顔が浮かび、まぁ、そうだよな、と思いそのまま話を進めた。
向こうも出世のため、のような空気を醸し出していたので、そこはお互い割り切って。
でもそこそこ上手くやれていたと思う。
半年経ってプロポーズされて、感動とかそういうのは全然なくて、こんなものか、とか思ってた。
別に、他に好きな人ができたなら言ってくれれば良かったのに、と思う。
恋愛感情がない分、その辺は寛容に対応するつもりでいたから。
けれど流石に、式の3週間前はキツイ。
式場のキャンセルに、既に招待状を送った人たちへの説明、気落ちした両親と殴り込みに行きそうな兄夫婦を宥めるのに奔走して、気がついたらハゲができていた。
会社で影でヒソヒソ言われつつも、今まで通り過ごせるようになったのが3月の中頃。
新入社員の受け入れ準備で、教育計画やら何やらを通常業務と並行して作成。
年度末進行と相まって、だいぶ睡眠時間が削られたけれどどうにか対応した。
やってきた新人2人のうち1人は2週間もしないうちに出社しなくなった。
何でも、一日中座っているのが苦痛、とか何とか。
えっ?だってうち、ソフトウェアのプログラミングしている部署なんで、ほぼ一日座りっぱなしですよ?座りっぱなしじゃない部署って言ったら、営業とかかな?
入社時の希望は⋯⋯SEって書いてるね、どういうこと?踊りながらプログラミングでもするつもりだったのかな?わからん。
もう1人はすごく真面目、超頑張ってる、時々空回りするけど、全然大丈夫、フォローで対応できる範囲だから。
そして彼に小さいながらも仕事を任せられるようになって、私の負担も徐々に軽くなってきたのがお盆前あたりで、雲行きが怪しくなったのもこの頃。
私含めたメンバー5人のうち2人が入院した。
1人は交通事故、もう1人は階段からの転落で2人とも2ヶ月近く仕事ができない。
退院後は可能であればリモートで対応する予定だけど、まだまだ先の話し。
そして盆明けに1人、介護休業を取った。
遠方にいる親の介護のためという事で、最長で3ヶ月。
会社からはリモートでの対応も可能である旨伝えてはいるが、どうするかは本人が決めることだ。
流石に5人中3人が抜けた状態では仕事が回らないので、短期間の助っ人を2人回して貰った。
それでどうにかなっていたのだけれど。
「はぁぁぁ」
「大きい溜息だな。幸せが逃げるぞ」
「もう既に逃げられてる」
あと5分で日付の変わる深夜、会社の休憩室で声を掛けてきたのは同期の1人、座間 巽。
海外営業部のエースで、1年の3分の1は海の向こうに行ったりしている。
顧客との時差のため勤務時間が夜型になってしまうのだと、いつだったか言っていた。
「ヤサグレてるな。愚痴なら聞くぞ?」
「愚痴かぁ、うーん、⋯⋯来週末が納期なの」
「あ?うん、追い込みか」
「そう、昨日全テス終わって、まぁ、小さいバグはあったけどほぼほぼOKで、来週の中くらいにはリリースかけられるかなって思っていたんだよね」
「おぉ、お疲れ様」
「あー、うん、ありがと」
「なんだ?嬉しくなさそうだな」
「それが、色々あって来てくれていた助っ人2人が、インフルエンザと例の感染症でダウンしちゃって」
「えっ、納期大丈夫なのか?」
「うん、まぁ、行けるかな、って午前中までは思ってたんだ、けど」
「けど?」
そう、小さいバグなので修正自体はそれほど時間は掛からない。
2人なら2日も掛からずに終われる程度だったんだけど。
「午後にメンバー最後の一人のお子さんが発熱したと連絡が来て、早退して病院に連れて行ったんだけど、手足口病確定で暫く保育園には行けないからお休みします⋯⋯って」
「タイミング悪いな。仕事の方は?」
「それは何とか。修正後のチェックを別グループで手分けして対応してくれることになったから。まぁ、月曜には修正終わらせないとなんだけどね」
「それでこんな時間まで残業か」
「そう。今のうちにできる部分はやっておきたくて」
お陰様で3分の2は終わったから、あと少しやったら帰るつもりでいる。
今日が金曜日で本当に良かった。
どんなに遅くなっても、明日、明後日は休みだからきちんと眠れる。
「なるほど。それであの溜息か」
「あー、あれは、今年に入ってついてないなぁって思って」
「⋯⋯⋯⋯そう、だな」
その間で色々な事を考えたね、わかるよ。
自分でもびっくりするくらい運がないよ、今年は。
この後、何が待っているんだろうって考えると⋯⋯。
「厄祓いに行った方がいいかなーって思ってたところ」
「厄祓いか⋯⋯、なら、これやるよ」
そう言った座間くんが胸の内ポケットから取り出したのは、黒と青の石を使ったネックレス。
黒い方は分からないけど、青い方はラピスラズリかな?
「顧客にそういうのに詳しい人がいてさ、オニキスとラピスラズリを使ってるから最強の厄除けになるって」
「え、でも、コレは座間くんが持ってるべきじゃ⋯⋯」
「俺にはこっちがある」
そう言って見せられたのはネクタイピン。
同じような意匠のタイピンで、ネックレスと同じ黒と青の石が使われている。
「両方くれたんだ。あぁ、もちろん個人的な付き合いでだぞ。彼女にでもプレゼントしろって言われたけど、今、彼女いないしな。だからやるよ、貰いもんで悪いが」
「ううん、ありがと」
「それから、コレも」
目の前に差し出されたのは、ミルクたっぷりのミルクティーの缶で私の好きなやつだ。
「へっ?」
「好きだろ、ソレ。いつも飲んでる」
「あ、うん」
何だろう、ちょっとばかり恥ずかしいぞ。
「あと、帰る時声掛けろ、送ってくから」
「え、いいよ。すぐそこだし」
会社から家まで歩いて10分もかからない。
それに、座間くんにそこまで迷惑はかけれない。
「ダメだ。こんな夜中に何かあったらどうするんだ」
「何もないって」
「ダメだ。俺は車だから遠慮するな」
「⋯⋯⋯⋯わかった」
遠慮ではないのだけれど。
「あ、そうだ、もう1つ」
休憩室を出ようとしていた座間くんは振り返ってじっと私を見ている。
え、何?何か付いてる?
「誕生日、おめでとう」
「ほぇっ?」
あまりにも予想外の言葉に、変な声が出てしまった。
座間くんは肩を震わせて笑っている。
でも、あー、そうか、そうだった、日付が変わった今日は私の誕生日だ。
「で、これは誕生日プレゼント」
ぺろんと薄い長方形の袋状のものを差し出された。
これは知ってる、目に当てて温めるヤツだ。
血行が良くなって疲れた目に良いんだよね。
「少しの時間だけでも目、休ませてやれ」
「うん、そうする」
席に戻ってミルクティーをひとくち。
ほんのりとした甘さと、鼻に抜ける紅茶の匂いにリラックス出来る。
それから貰った温熱シートを目に当てる。
じわぁっと暖かくなる目元に、自然と深く息を吐いた。
「束の間の休息⋯⋯か」
月曜からはまた怒涛のお仕事が待っている。
そのためにもこの土日はしっかりと休んでリフレッシュしないと。
ついでに、リリースが終わったら有給取ってどこかに旅行に行きたいな。
温泉とかいいな、ゆっくり温泉に浸かって美味しい料理食べて一日中ゴロゴロして、神社に御参りして⋯⋯、うん、そうしよう。
あー、でもふたりが帰って来るまでは厳しいかな、どうかな、⋯⋯課長に相談してみよう。
「さーて、あと少し頑張りますか!」
仕事も私生活も順調とは言い難いけれど、今はできることをやる、それでいい。
もう少し余裕が出来たら、頑張った自分にご褒美をあげよう。
それくらいの贅沢、神様だって許してくれるよね。
━━━━━━━━━
(´-ι_-`) 頑張れ座間くん!
✳束の間の休息
「なんです?」
執務室に戻ると、弟のシャロが神妙な面持ちで銀の茶器と茶葉を見比べていた。
眉間には皺が寄り、こちらに気づくと口を開いた。
「姉上、実はこの銀の茶器と茶葉は、王女から姉上にと頂いたものでして」
「王女が?ふっ、珍しい事もあるものだな。で、シャロは何を惑っているのです?」
弟から茶器と茶葉を取り上げると、気にせず部下にお湯を持ってくるよう指示を出した。
「姉上、あの王女ですよ?毒でも盛られてるかもしれないものを口に⋯⋯ましてや、敵の施しほど屈辱なものはありません」
苦渋を噛みつぶしつつも、茶葉を取り返そうと手を伸ばす弟に、ミンシャは深くため息をつき、弟の手を軽く叩いた。
「王女がわざわざ銀の器を用意しているのですよ?その意味をお前は少し考えたらどうです?」
ミンシャは呆れたように言うと、部下が用意したお湯と茶葉を茶器に入れていく。
熱いお湯を注いだ茶葉からは、爽やかな香りが漂った。
「銀の器を用意したからといって何です?姉上は少し王女に肩入れしているのでは?」
弟の言葉に、そういえばそうかもしれないと、ふと思う。
もともと王女は嫌いではないのだ。
こうして、敵である自分にも気を効かせることが出来る器量を持っている。
それにこの銀の器は、毒に触れると変色するのだ。
それを堂々と弟のシャロに渡すということは、もし万が一毒があったとしたら、その矛先は王女に向かうのである。
それは王女を貶めるのに好機となりうる。
だが、今までの王女を見てきた私はある意味で、王女に信頼をも寄せていた。
そう、王女がこんなくだらない方法で私を貶めるはずがないと。
「お前は今まで何を見てきたのだ?私はただ、王女を信頼しているだけです」
「信頼⋯⋯ですか?」
銀の茶器にお茶を注ぐと、躊躇いなくお茶を飲んだ。
「ええ、この私に唯一立ち向かう勇姿にです。そして、最後まで見届けるのはシャロ、お前の役目ですよ」
弟の分のお茶も注ぐと、笑顔で手渡す。
戸惑いつつも受け取る弟は、覚悟を決めたように一気に飲み干した。
「俺が見届けるのは、姉上が勝つ所です」
先ほどとは一変して、殊勝な顔つきになった弟に感心する。
「それでこそ、私の弟です」
弟に足りないものは、覚悟だ。
命をかけるという。
ミンシャは再びお茶を茶器に注ぐと、今度はゆっくり味わうように飲み干した。
《束の間の休息》
保全させていただきます。
いつも読んでいいねを下さっている皆様にはいつも本当に感謝しております。
この場をお借りして、御礼を申し上げます。ありがとうございます。
力を込めて
【Dear Butterfly】
デパートから流れる歌に自然と耳を傾ける。この歌は壮五にとっても思いれのある曲の一つだ。
好きなものを好きだよって――
自分と同じく好きなものに躊躇っている人に届いてほしい。そう思いながら歌った歌。
ふと下から強い視線を感じて壮五が視線を下ろしていくと中学生ぐらいの少女が目に映る。
胸もとに大きな紫のリボンの着いたレース柄のワンピースを身に纏うその少女はこちらを見つめたまま言葉を発さない。
「えっと……迷子……なのかな?」
壮五も壮五で少し戸惑いつつも、膝を折って目線を合わせて話しかける。 少女は緊張のせいか両手を握り目を伏せて首を横に振った。
どうやら意図してこちらに来たらしい。
「あ、あの……」
「うん?」
少女は握る手に力を込めて今度ははっきりと壮五を見る。
――え?喉仏……?
「ぼ、ぼくは、MEZZOの歌の、おかげで、どうどうとこの格好をすると決めました」
そう言って少女――否少年はショルダーバッグを漁り可愛らしいうさぎのぬいぐるみを取りだした。
「小さい頃から可愛いのが好きで、でもお母さんから男の子はダメって言われて……友達も嫌な顔をするし」
そこで少年は笑みを浮かべ、思い出すように言葉を紡ぐ。
「偶然、街でDear Butterflyを聞いて、好きだって言っていいんだって背中押されたんだ」
遠くで父親らしき人が少年を呼ぶ声がする。少年は後ろを振り向いてからもう一度壮五を見る。
「だから……ありがとう。ずっと言いたかった」
壮五の瞳が揺れ動く。そうしてすぐに浮かんだのは相方の顔。
何故今隣に彼はいないのだろう。直接聞かせてあげたい。
去っていく幼きファンに手を振りながらそんな事を思った。
束の間の休息
静寂の中、教室からはシャーペンの走る音だけが鳴り響く。机に顔を伏せて寝息を立てている者、問題を見直している者……。時計の秒針を刻む音がやけに煩い。
「……そこまで!」
そう聞こえた声により時が止まったかのように音が鳴り止んだ。試験監督の合図に一斉にテスト用紙が回収されていく。
「……んーッ」
緊張を溶かすように小さく伸びをした和泉一織は同じメンバーへ視線を向ける。視線を感じた環はにこやかに手を振り親指を立てた。
「……上出来です」
安堵の息を吐くと小さく笑みを浮かべた。
☆☆☆
「テスト期間しゅーりょー!」
ホームルームが終わると同時に環と悠が一織の席に集う。
「お疲れ」
「お疲れ様です、亥清さん、四葉さん」
そうして三人は上に掲げた片手をそっと重ねた。
「ねえ。この後仕事?」
「いえ。私も四葉さんも今日は休みです」
「どしたん?」
悠は鞄を探るとある一枚のチラシを机に置く。そこにはカラフルな文字で【でかすぎてぴえん!巨大フルーツパフェ!】と。
「でけ〜」
環は写真からでもわかる大きさに思わず声が漏れた。
「たまたま駅で見つけたんだけど」
「アイドルが食べる量超えてますよ、これ」
そこで三人はZOOLの棗巳波が頭によぎったが考えない事とした。
「やっぱ?テスト明けだし、息抜きにいいかなって思ったんだけどなー」
「いおりん的はどうなん?」
「……仕事に支障が出たり兄さんのご飯が食べられなくなったりしたら流石にやばいです」
「オレだってそーちゃんに何されっかわかんねーし」
「逢坂さんなら、もう、環くん。しょうがないなぁ……って終わるんじゃない?」
それを聞いて一織と環は揃って首を横に振る。
「いやまじでそーちゃん怖ぇから。スクリュードライバーと友達だから」
「は?」
「……まあ」
一織はチラシを眺めてぽつりと呟く。環と悠は一織を見つめ次の言葉を待つ。
「たまには、いいんじゃないですか。三人で一つ食べれば案外余裕かもしれませんし」
「いおりんも食べたかったんだな」
「つ、つ、疲れた時は甘いものって言いいますし」
一織はチラシの端をくしゃりとし目線を下げて白々しく早口に話す。
「で?行くの?行かないの?」
悠の問いに一織はカバンを提げて「行きます」と席を立ち上がった。
ほら束の間の休息のはじまりだ――
二次創作物です。昨日の分と合わせて
「束の間の休息」
溜まりきった明日に
さらわれてしまう前に
今日のすべては洗いざらい
排水口に押し流す
束の間の休息
ヘッドホンをつける。
曲が流れる。
話しかけられないまじない。
私は5分で旅に出る。
私の世界へと。
お題:束の間の休息
お気に入りの文庫本と豆から挽いた濃いめのブラックコーヒー。それだけでいい。
最近は老眼鏡も。
日本人はコピー用紙の匂いがするらしいよ、と夕食後にまったりとアイスを突いてた君がへらりと笑いながら言う。
ただの紙じゃなくて、コピー用紙限定?
仕事で度々手にはするが、まじまじと嗅いだことはない、どんな匂いだろうか。
洗い上げた食器を棚にしまいながら首を捻った。
キッチンペーパーとは臭いが違うだろうし、クッキングシートは紙じゃないしなぁ、キッチンに置いてある紙類をスンスンと嗅いで回りながら唸る。よくわからない。
アイス片手にバラエティ番組を見ながらケラケラと笑う君の隣に座った。
そのままスンスンと鼻を鳴らせば、君はギョッとして自分の鼻に着用している服の裾をあてて嗅ぎだした。
テーマ「つかの間の休息」
『束の間の休息』
コーヒーを飲む。
本を読む。
鼻歌を歌う。
妻子を思う。
それが心の安寧だ。生きている。それが分かることだ。
夜景が目に入る。
東雲の空を見る。
射し込む光に目を細める。
西日に照らされる。
また夜景を見る。
ずっと繰り返される光景だ。生きている。それが分からない。
コーヒーを飲む。
本を読む。
鼻歌を歌う。
妻子を思う。
それが出来れば、生きてた。
「束の間の休息」
最近は、仕事が忙しい。休憩の時間もあまりない。
お昼休みが30分間あるがご飯を食べたら終わってしまう。
今日も、忙しかった。仕事がひと段落ついて、休息をした。でも、またすぐに別の仕事があった。
この束の間の休息が続くといいな。
束の間の休息
¿?
寂しさを埋めるように好きな趣味が、好きな物が増えていく。
弱さを隠すように異端になっていく。
「今日の新作のあの服可愛い!」
「あのベット高いけど可愛い……」
「うわぁああのキャラビジュ良い…」
まるでそれらに恋をしているように、
飴玉のように甘く口に広がる。
さりとてそれは飴玉のように、吟味し尽くしてしまえば
段々と無くなり、気付かず内に消えてしまう。
恋と言うには余りにも身勝手で独り善がり。
けれど、恋じゃないのなら私は一度も恋なんてした事ないだろう。
きっとまた大切な物が増えて、またどうでも良くなる。
それまでどうか、この甘く麻薬のような思いに浸らせて