『月夜』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『月夜』
タイミングの良いことに、今夜はとても明るい月夜だ。
月光には安眠効果があるらしいので、少しだけカーテンを開けて寝ようと思う。
きっと、美しい夢が見られる気がする。
それでは、みなさん、おやすみなさい★
いつの間に眠っていたんだろう?
本を読んでいた時は、暖かな日が差し込んで、このお部屋いっぱいに温もりが溢れていたのに、カーテンも閉めずにいたこの部屋は、ちょっぴり肌寒く、ソファーの背に掛けてあったカーディガンを思わず羽織った。
電気も点けずにいたから、お部屋は真っ暗な筈なのに、ベランダに続く大きな掃き出しの窓に掛かったレースのカーテンは白く煌々とした明るさで、暗い天井まで、仄かにその白さが判る程に明るかった。
手に持ったままの読みかけの本を閉じると、それをテーブルの上に置き、その明るさに惹かれる様に、カーテンの向こうを覗き込む。
何も見えない……。
座っていたソファーからお尻を上げ、白く輝くレースカーテンの方に歩み寄る。ほんの少しカーテンを開き、ベランダの方を眺める。ベランダの手摺りが鈍い光を放っているのが見える。
サーッとレースカーテンを大きく開け、外に並べて置いてあるサンダルを履き、ベランダに出る。
水平に視線をぐるりとするけれど、それらしきものは見えず……。
ふと、空高くを見上げると、そこにはお月様。
こんなにお月様が明るいなんて、知らなかった。
「良い歳をしたおばさんが笑っちゃうよね」
と独り言。
目を凝らして見ると、月の模様が見える。何十年か前に、あそこに人が立ったのよね、と思う。ただ、平凡な日常を過ごしているだけなのに、月を見ていると、別の世界に誘《いざな》ってくれる様な感覚になる。
今、この時、何人の人が同じ月を眺めているのかな? みんな何を想っているのかな? そんな事、ふと考えてしまう。
寝起きの頬に、夜風が心地好い。
# 月夜
「はぁ、はぁ」
立ち止まって、息を整える。
薄暗い路地裏は、わたしの乱れた呼吸の音以外には、満月の光がひんやりと降り注いでいるだけだった。
「なんとか巻いたかな・・・」
懐を探ると、出てきたのは控えめな装飾が施された短剣。
王宮からこれを盗み出して二日が経った。
後は亡命の手筈さえ整えば、というところまで来た。
「これさえあれば・・・この剣の力さえあれば」
この剣は、ただの短剣ではない。
知る者こそ少ないが、この剣は遥か昔、この王国の王が神々から与えられた、魔剣だ。
王国の千年をこえる歴史が紡いできた叡智が魔式としてこの小さな剣に刻み込まれているのだ。
この剣さえあれば、幾億の星々を支配することも、巨万の富も思うがままだ。
でも、わたしにはそのどれも興味がない。
わたしはただ、もう一度妹や、母さんたちと一緒に暮らせるようになりたい。
「この世界は間違ってる・・・突然隣国が介入してきたせいで、内乱まで起きて・・・国が分裂して、突然母さんや、シャーニア・・・妹にも会えなくなって・・・この世界は呪われてるんだわ」
愛する家族と共に笑って暮らせないのなら、そんなものが平和と言うのなら、わたしは、たとえ化け物に成り果てたとしても家族を守りたかった。
「お願い、剣よ、所有者の命に応えよ」
短剣で切りつけた親指から血が滴る。
その血液が一滴、また一滴と落ちると、突然夜闇を切り裂くような光にあたり一帯が包まれる。
「わ!」
“誰だ 我を呼び起こす 理知らずの愚か者は”
男とも女ともつかない声。
目の前に現れたのは、月夜に照らされ輝く白金色の髪、短剣と同じ斑模様が編まれた長い聖衣をまとった存在だった。
神、というよりは医者のように見える。
仮面をかぶっているため、顔は窺い知れないが、もし顔が見えたとしても、その心中を推し量ることはできないだろう。
そう思わせる、人間のような感情を持たない別種の生き物の雰囲気が漂っている。
なるほど、神というのは案外、人間より欠けた存在なのかもしれない。
月夜
月夜の夜は必ず手を振る
いつも見守っていてくれていると感じられる
体も心もあたたかい優しい光に包まれる
【月夜】
スマホで推しの動画を見るのが毎日の楽しみだ。
いつも面白いのだが、なぜだろうか。時々どうしても、つまらなさが拭えなくて、動画を閉じることがある。
気分転換に大好きな曲を流してみるが、どうにもヒマを持て余している感が埋めきれなくて……まだ再生中にも関わらず、曲を止めた。
ならば、他の事をしようと、スマホをいじってみるが、これといって、特に何もすることは思い浮かばない。
こうなってしまうと仕方がないので、いつもより早めの時間だけど眠りにつこうと、ふとんの中にもぐる。ただ眠ろうと思っても、案の定すぐには眠れない。ならば、このヒマな時間を有効に活用してやろうという野心で、ありとあらゆる妄想をひねり出すが全く続かない。
時々ハマってしまう、この"味気なさ"しか感じられない負のループは何なのだろうか?
いつもは、ループにハマってしまうと、無気力になり、テンションは急速に低下し、心がへこんでしまう。
しかし、今日は、窓際に淡く照らし出された月夜の光に目を向けたからか、なんとも言葉では表しにくい感傷に浸ることができた。別に気力は増さないし、テンションが高まるわけでもないのだが、"いつもの"とは違うだけで感じる謎の高揚感は……一体、何なのだろうか?
お題「月夜」
なんとはなしに空を見上げた。
視界には辺り一面の星空…ではなくただありふれた暗闇と
少しの星。別段普段と変化はなく、広がる夜空に溜息を溢す。白む息が蒸気となって景色に滲む。
あれが冬の大六角だよと、教えてくれたのは彼女だった。
自分は彼女の寒さで余計に白くなった細い指に目を奪われてそれどころではなかったけれど。
寒いからと理由を付けて、手を差し出す。仄かな月明かりに照らされた横顔に、涼やかな声に、柔らかな眼差しに。
幸せな時間だった。いつまでも続けば良いと願った幸福。
たぶんあれは幸せだった。
彼女が居なくなって、もう8年。
母も父も寝静まった頃、
一人ベットで目を覚ます。
この一人という状態に寂しさを感じる
だから、両親の部屋へと足を動かす
両親の部屋の前で顔をひょっこりと出しては
寝息を立てる親を見詰め静かに部屋へと戻る。
自分の我儘で眠りを妨げるのは気が引けて
何時も一緒に寝ようとするのを止めてしまう
そんな時に、寂しさを紛らわしてくれるのが
窓から明るく照らす月。
夜で明るさに追いつけなく目が痛むのも
隣にある星を見詰めるのも
幼い頃、一人夜の時の特権だと思っていた。
月夜。
今日は月が綺麗だった。
またまた推しの話をするが、いつしか、日本語を頑張ってくれたテヒョンくんが、「月が綺麗ですね」と言ってくれてたのを思い出した。
私は空が好きで、空って何気なく見たりするけど、考えて見ればほんとに表情豊かだなあと思う。
私は特に星いっぱいの空や、三日月の綺麗な空が好き。
温かい色味の
美味しそうな月
淋しい日常に
ほっこりとイロドリヲ
ここ最近は皆既月食という天体ショーがあって、それはもちろん趣深かったのだが、初めて月食を見た時のことも忘れられない。部分月食、それもふちがちょっと欠ける程度のものでしかなかったとしても。
当時はいわゆる受験生で、それを加味しても寝ているべき時間ではあったが、新聞に小さく取り上げられていた月食の記事を読んでしまったために気付けば真夜中にベランダから空を見上げていたのだった。皆が寝静まった時間に、ただただ月を見つめているのは悪くない気分だった。
ところでこの時、月見のお供にイヤホンを通して音楽を聴いていた。そのうちの一曲は、澄みきった心地よい冷たさのようなものがあるメロディーに月の綺麗な夜が本当によく似合っていた。今でもその曲を聴いていると月夜が目に浮かんでくるのだ。
「春の月夜」
仕事を終えて、外に出た
「そろそろこの場所ともお別れか」
そう思いながら仕事場を離れた。空を見上げるとやけにハッキリとした月があった
すこし寒かったからか、空気が澄んでいたのか。まだ冬らしさを残す月のシルエットにどこか安堵した
電車に揺られ、携帯を見つめる。表示される日付と時間をまた見つめる
惜別、新しい生活への不安・希望、ごちゃまぜになる15分。ふと顔を上げると車窓から街灯に照らされた葉混じりの河津桜が見えて、変に脳裏に焼き付いてしまった
駅から降りると、月はさっきより濁っているように見えた。場所が変わってあったかくなったのか、空気が濁ったのか、目の痒みのせいなのか、私の気持ちのせいなのか
分からない、分からない
「朧月夜」に近づいた空にため息をつき、家路を急ぐ。そんな夜
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毎年春になると童謡の「朧月夜」をめちゃくちゃ聴きたくなります。聴くと癒されます。
月に照らされ、
夜の闇に押し出され、
輝く君の
青白い肌が好き。
「月夜」
お題「月夜」
「今夜は荒れそうだな」
髭を生やし髪は全て剃って光を反射させながらホテルの受付に立ってる男は呟いた。
男の顔は言うまでも無く、体も良く鍛えられており大抵の人は彼と目が合えば一瞬尻込みしてしまうだろう。
「そろそろか」
男の一言でホテルのロビーの入り口が開いた。
「うひひ、今日一泊頼むよ」
「おっちゃーん僕も一泊お願い!」
体は腐敗が進んでいるゾンビの老人と、背中には赤く立派な羽が生えた少年がやってきた
「あいよ、ほら鍵だ。場所はいつものとこだろ」
「さんきゅーおっちゃん」
「うひひ、ありがとよ」
男は慣れた手つきで受付で手続きをしている
もうかれこれ何百年もこの仕事をしているので慣れたものだ
入り口が開いた音がした
団体の客が来たようだ
「俺と、あと30人いるんだが、今夜一泊大丈夫か?」
受付に来た男は頭にツノを生やしている。
ツノを生やした男の後ろには、同じくツノの生えた少年少女達が賑やかに談笑している
「ああ、あんたはここ始めてだな。」
「そうだ。」
「じゃあこれに名前を書いてくれ、部屋は何部屋に必要だ?」
「俺意外は5人ずつ6部屋用意してくれ」
「わかった。すぐ手配する」
受付の男はカウンターの裏の部屋にいき
数分してすぐ戻ってきた
「部屋は用意できた。これが部屋までの地図だから無くすなよ」
ツノの生えた男達は地図を受け取り会釈して部屋へ向かった。
「今夜はまだまだ新規の客が来そうだな。」
満月の日
とあるホテルは人知れず営まれている。
完
月夜
2人で歩く帰り道
ふと見上げると 満月だった
わぁ
綺麗なお月様だね と
彼女は微笑んだ
その笑顔が
とても可愛いくて
思わず そっぽを向いてしまった
月夜の明るさで
照れた僕を見られるのが
少し 恥ずかしかったんだ
月夜
満月ですね、そう書かれた置き手紙の上に重りのように乗せられていたのは結婚指輪だった。
左手の薬指につけられた自分のものよりも少し小ぶりで、それでいてそこに嵌められた宝石が美しく輝く。
置き手紙と指輪を手に取り、窓際へと移動する。見上げれば、そこには確かに満月が浮かんでいて、なんとなく指輪を持ち上げて、その穴から覗くようにして見てみた。
月は相も変わらず美しいのに、満月ですね、の意図がわからなかった。指輪はどう見たって別れを告げているのに、そこに添えられた言葉を都合よく解釈してしまう。
たとえば、愛に満たされていました、とか。あなたがいたから輝けました、とか。
良いように、都合よく解釈をしてしまえるのに、君はもう帰っては来ないから。
本当に満月のように満たされていたのなら、こんなことにはならなかっただろうに、月夜にそんなことを思いながら静かな部屋の中でため息をついた。
月夜
ぼた、と垂れたのは
もう白になることは叶わないような
黒の手前で踏みとどまった藍色
頭ではわかっていた
いくら綴ったところで
あなたは救えないこと
この色は書き殴ることさえ諦めさせた
もう一滴も残っていない空瓶
薄汚れたラベルに記された
インクの名前は。
月夜は好き
明るく輝く月を見ていると
その日にあった嫌なことを少しだけ
緩和させてくれて前を向ける気がするから
#月夜
月夜が輝く夜……。
言葉ってナイフ。
グサグサ刺さってくる。
言葉ですぐ傷ついてしまうし悲しくなってしまう。
だから気をつけないとって言われても他人はすぐ言葉のナイフを言う。
そんな時夜の空を見上げて……
ちょっと一息。
心が安らぐ……
輝く夜、それは月を指しているのか、星を指しているのか、現代に至っては夜景を指しているのか。
静かな部屋から外を眺める。
「どうしたんだい、電気もつけないで」
「ううん、ここからの眺めはやっぱりいいなって」
「新しい部屋気に入ったようで良かったよ。いつでもおいで」
「ありがとう」
そう言って男に抱きつく。
ベッドに倒れ、覆いかぶさる男の後ろからは月が監視している。
いくら高い所へ登っても届かない。
今度はなぜ迎えに来ないのか。
大切な人はいなくなった。
寄ってくる者は皆私の身体が欲しいだけ。
私の気を引くために様々な物を用意する。
―早くかえりたい
月を睨みつける。
『月夜』
「月夜」
「今日は先輩に会えなかったなぁ」
放課後、二階にある教室で下校する生徒達を見ながら深いため息をついていた。
昼過ぎまで雨が降っていたせいで昼休みに先輩は屋上にいなかった。雨の日は教室にいることが先輩は多い。
「はぁ、こんなに辛いんだ…」
部活に行く準備を始めようとしたとき生徒玄関から出てくる見慣れた後ろ姿が見えた。
鼓動が早くなるのを感じる。居ても立っても居られず声を出す。
「せんぱーい」
歩く足を止めチラッと後ろを振り向く先輩。どこから声がしてるのか分からなかったのか先輩は校門の方へ再び歩き出す。
私は友達に今日は部活を休むと伝え、急いで校門へと向かう。
「先輩だ、先輩だ」
私は自分の知る限り最短ルートで階段を駆け下りていく。
生徒玄関を通り過ぎ目当ての背中が大きくなってくる。
走っているせいもあるがもう自分の鼓動がやばいことになっているのが分かる。
私は私らしく元気よく後ろからおもいっきり抱きついた。
「先輩っ」
「うお」
不意打ちをくらった先輩の身体はビクッと反応した。
「先輩無視はだめですよ無視は!」
「なんだお前か」
「無視ってなんだ?」
「さっき私先輩のこと呼んだじゃないですか!私の声って分かったから振り向いたんでしょ?」
「聞き間違いかと思ったんだよ…」
「ふ~ん、そういうことにしといてあげます」
突然の出来事に下校途中の生徒達から注目を集めてしまっている。
でも私にはそんなこと関係ない。
私は抱きついた先輩の背中をさらに強く抱きしめる。
「てか恥ずかしいから離れろ!何これ公開処刑?!」
「先輩が無視したからです。変わりにお願い聞いてくれるなら離してあげます」
「お願い聞くから離してくれ、ほんと恥ずかしいから」
「言いましたね先輩!」
私は先輩から離れ前にまわって今できる一番の笑顔を先輩に向ける。
「今日は一緒に帰りましょ」
「ん、それがお願い?てっきりなんか奢れとか言われるかと思ってた」
「先輩私の事何だと思ってるんですか」
家に帰り自分の部屋で夜空を見ていた。
つい最近何かで見たのだが月は毎年少しずつ地球から遠ざかっているらしい。長い年月をかけて…
私は離れるわけにはいかない。今の先輩との距離は心地良い。
でも年月をかけすぎたら…
だから私は決めたんだ!歩き出そうって。
私は自分の想いを改めて実感しながら…