『最初から決まってた』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
最初から決まってた/
あなたがいなくなったから
やっとあなたを追いかけられる
あなたが遺していった
たくさんのうちの ほん の わずか
手の中に残ったそれらを
私は目を凝らして見つめる
砕けたガラスに七色の光が
どれもこれも違う形の違う顔で
なぜ気づかなかったの、こんなに
たくさん、細やかにあなたが
刻んでいた心に
(……あなたがいた、から。)
(ずっと居るとおもっていた……)
あなたがいなくなったから
わたしはやっとあなたを見ている
呼んでもかえらない
だからあなたの骨から聞こえる
音楽をわたしがたくさん描くよ……
星とガラスと泥砂のひかり……
小学5年生の時、本を手に取ってはまってしまったことは
偶然じゃなかったんだと思う。
もちろん、幼稚園児から小5になるまで本を全く読んでいた訳じゃない。
小学生の朝の読書タイムとかそーゆう時間には本を手に持ってたけど、適当に読んでた。
だけど、小5で本をちゃんと読んで少しレベルアップした本を読んで面白さを知った。
うちの家族は私以外みんな本をあまり読まない。
眠くなるから〜とか。
そんな時間取れない〜とか。
うちの家族も友達も親戚もみんなみんな本をあまり好きじゃない人はそういう理由だ。
そんな両親や親戚に囲まれて育ったのに私は小5の時に本にハマって面白さを知った。
本を読んでると眠くなるから嫌〜って言っている人のもとで。
別に全部が全部遺伝って決めつける訳じゃないけど、私は日々の生活のなかでお父さんと同じだ〜、とか、お母さんと同じだ〜って思うことが多い。
でも、私はお母さんとお父さんと違って本が大好きだ。
「この世で1番好きなものは何か?」
って聞かれたら
「本です。」
って即答できるほどに。
本がなかったら今の私はいなかった。
想像もできない。
本がない人生なんて想像できない。
だから、あの小5、本を手にとって本格的に読み始めたあの瞬間の出来事は私の人生の中で大きい大きい重要なことは最初から決まってたのかもしれない。
本が大好きだ。
嫌なこと一瞬でも忘れさせてくれるし、嫌な時でも元気にさせてくれるし、何よりワクワクして面白くてたまんない。
あの時ちゃんと本を手に取って真剣に読んで良かった〜
心から思う。
あの時の自分を褒めてやりたいし、
何よりも本を書いてくれている作家さんに感謝だ。
本当にありがとう。
【10,お題:最初から決まってた】
きっと、これは最初から決まっていたことなんだ。それこそ俺が生まれるずっと前から
「俺は、1番にはなれない。」
俺は双子だった。俺は弟で兄がいた。
それこそ、顔も声も好きなものだって、そっくりそのまま俺の生き写しのような奴だった。
でも何故だか、やることなすこと全てにおいて兄貴は俺の上を行った。
俺がかけっこで1位を取った時、兄は市内のマラソン大会で1位を取った。
俺がゲームで最高記録を出した時、兄はそれを2分で越えて見せた。
俺が絵を描いたときも、工作で本棚を作ったときも
俺が努力をして積み上げたものを、容易く兄貴は踏みにじった。
そして周りの大人たちは、比べっこが好きらしい。
どんなことでも俺と兄貴を比べた。
......いや比べてない、一方的な贔屓だこれは
弟は兄の引き立て役にしかなりえない
どんなに努力をしても、兄貴という存在が邪魔をする
兄貴なんて、いなければよかったのに..
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「ーーーっ!?~~ッッーっ!」
「ーーー✕✕✕っ!~ッッっ!」
ドンッッッ!..............ドスっ
兄貴をベランダから突き落とした。
「はーっ...はーっ...はーっ...」
これで、俺は...
「ハハ......ッッハハハハハハハハハ!」
俺は狂ったように笑い続けた。
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それから数年後、俺はふざけて落下死した馬鹿な弟を持つ兄として生きている。
目の上のたんこぶが消え失せて、俺は自由に生きれると思った。だが
「兄だけでも生きててよかったわ、弟のほうは無能すぎて要らないもの」
「弟は死んでよかった」「兄だけいればよかった」
......そうか、最初から俺は要らない奴だったのか
全部最初から決まってたんだ、この結末も......
月に照らされた人影は、閑静な住宅の海に沈んで消えた。
運命に抗う、みたいな…そういう話が無数にあるけれど、でもその、「抗うことにな」ったのも運命じゃないの?と私は思う。
ー星空が決めた始終は滞りなくすすみ、それは自覚することさえできない。
もしできたと思うならそらは虚構で、あなたが勝手に生み出した妄想でしかなく、抗うなどという無知蒙昧な行動と思想は哀れで醜く滑稽だ。
星空を揺らがすことのできない私は、ただ愚かに踊る
7日目 お題:最初から決まっていた
きっと、最初から決まっていたんだ。片思いだと分かりきっていた。君の好きな人を見る目は僕を見る目と違うのも知っていた。やっぱり長年一緒にいた幼馴染だからそういう感情で見られないのだろう。
今日、君が好きな人から告白されていたのを見た。君は幸せそうに涙をながしていた。僕も涙を流した。本来では祝わう所だけれどなかなか祝う気になれなかった。久しぶりに1人で帰った帰り道はやっぱり寂しくて少し寒かった。
貴方が私を好きになること、知ってたよ。
私の言葉に長い前髪の下で目を逸らした彼の手を握ると、白い耳が面白いほど鮮やかに色づいていく。こういう可愛いところが好きなのだ。心を閉ざして外界から自分を切り離しているかのように見えて、その実柔らかくて脆い心を守っているだけ。一度受け入れさせてしまえば、純粋な感情を簡単に晒してくれるようになった。
初めて彼を見つけたのは、旅行中に急な雨に降られてこの図書館に避難したとき。彼は覚えていないだろうけれど、無言でタオルを差し出したときのあの目。絶対に本を濡らしてくれるなと言うかのような瞳に見下ろされた瞬間、この人が欲しいと思った。
この街に引っ越して通いつめて、他の人が話しかけないのをこれ幸いと彼に話しかけ続けた。押しに弱そうだという読みは当たっていて、いつの日からか私が話しかけると動揺で睫毛が震えるのが好きだった。そうなればもうこっちのものだ。
神様になんか任せてられない。最初から最後までプロデュースして、手のひらの上で転がしてあげなきゃ。
『最初から決まってた』
最初から決まってた。
歌の話をすることを。したすぎて、する。するもん決めたもんするから。する。するったらする。
当方、歌が大好きである。
どれくらいかと言うと、小さい頃から常に何かは口ずさんでいるし、授業中は何かしらがずっと頭の中を流れているし、お風呂の中では熱唱し、今まで生きていた中で音楽に触れなかった日は無かったと断言出来るほどには歌及び音楽が大好きである。
これを書き始める前も部屋の中で『怪獣の〇唄』の練習をしていたのだが、最後のフレーズがどうも出なくて苦戦していたところだった。
小さい頃によく聴いていたのはアイ〇ツ、そしてハートをキャッチするプリ〇ュアからプリティなリズムら辺。それから太鼓の〇人に出会い、子ども向け音ゲーから少しランクアップした(それでも音ゲーに本格的にハマったのは中学生にしたオンゲ〇)と思えば、空前絶後のボカ〇ブームがやってきた。
東〇もあったな。プロジェクトの方。お父さんがとても歌が上手いので、点数で(ちなみに機種はちゃんとDAMである)勝ってやるぞー!と意気込んで歌いまくって当時サブスクも無いので歌詞をノートに書いて頑張っていた記憶がある。その当時の点数が大体72〜75点。
しかし中学生の頃は専ら聴き専で、受験生になるまではあまり歌うことはなかった。
受験生になるまでは。
ある日気晴らしに風呂場で歌ってみたら、これがもう楽しい。とりあえず、打倒父を目指した。女で背が低いのにも関わらず地声が低く、とても低く、合唱コンクールでアルトでも高いような声帯を持っている為、高音は捨て低音を極めることにした。
結構出るようになった。
どのくらい出るかと言うと、女性が出せる低音の限界を超えて半音かもう一音くらい低く出せるようになった。
何故か俺は女性にも関わらず、喉仏が目立つレベルで出ていて、それが俺にとってはコンプレックスどころか嬉しくて堪らなかった。モチベーションなんて湯水のように沸いて出た。故の結果だった。
そして今年の冬、前期受験を見事に落としたので気晴らしにカラオケに行った際、父に勝ったのだ。
既に父が91点を叩き出していて、点を狙いに行く歌い方こそいつもしないもののちょっと真剣にと思い選んだゆっくりな曲で93点出した。
勝った。
今でも写真が残っている。
嬉しい。
この前誕生日にカラオケ行ったら90点が何故か一回しか出ず負けたのだが、父は93点を超えられていないので勝負には未だ勝ち続けている。
今の平均が84〜90点くらい。90点はちらほら出るものの、しゃくりとビブラートが伸びない。こぶしはめちゃくちゃ出るんだけどさ。
なので、まだまだこれから伸び代はある。
今はとにかく自分がしたい歌い方を極めてみたり、好きな方の歌い方を参考にしてみたり、あと高音の限界も伸ばそうとしている。ここでの高音とは地声で張り上げられる範囲を広げることであって、一応女ではあるので裏声やらファルセット(実際には女性に裏声の概念は無いらしいが)を使えば結構出るが、迫力にかけるので喉にちょっと負担をかけている感じである。なんなら裏声なら『僕らの記憶を攫わないで』の一番高いところもギリ出るんだけど、地声だと全然そこらの男性の方より出ない不思議。
がなりはたまに出来る。意図しては出来ない。高ければ高いほどがなれない。喉を閉めるからなんだけど、最近開けて歌えるようにはなってきている。低いと全然いろんな歌い方ができて楽しいが、もっと練習して幅を広げたいので頼りきりにはしないようにしている。
正直、自分の声は好きだし歌も好きだしちょっとだけ上手い自信がある。今の目標は90点台前半の安定と95点を出すことだが、実はそんなにそれに固執していなくて、毎日楽しく歌えたらいいだけである。
別に将来、小説と違って仕事にしたいとは考えていないし、そりゃ友達と一緒に歌ったり動画を〜そしてバズり〜なんて出来れば楽しいことこの上ないが歌い手を目指す気もない。
俺の憧れている方でさえ素人と自分を卑下されているのだから、俺なんてど素人かそれ以外の自惚れ野郎と言われてもおかしくはない。
だから、歌は好きだし、これからも楽しめていければいいなくらいのもので捉えてはいる。
おしまい。
Shiro子先生の次回作にご期待ください。
最初から決まってた
生まれた時から私の結婚する人は決まってた。
親同士の仲が良く、男女だったら結婚させようと決めていたそうだ。
友達からは、最初から結婚する相手が決まっているなんて、かわいそうだと言われたが、生まれた時から婚約者がいる私には、他の人に恋している私の想像ができなかった。
だって、私は婚約者じゃなくても、きっと彼に恋をすると思うから。
そんな話を彼にしたら、
「僕達はたぶん生まれた時から互いに恋していたんだよ」
なんて言ってくれた。僕達はって何?なんて聞かなかったけど、きっと彼もわかっている。
ー私達は最初から恋することが決まっていたこと。
最初から決まってた
村は、燻された臭いで充満していた。
家屋は全て焼け落ちて原型を留めていなかった。
豊かに実っていた畑も真っ黒で、
もはや見る影もない。
仰ぎ見た空は煙を吸って、深く曇っている。
じきに、降り出してくるだろう。
まだ鎮火していないところが、
これで収まってくれると良いのだが。
ひとしきり村の状態を見て回って
男はひとり、呟いた。
「巫女様。貴女はどこまで知っていたのですか」
この村の結末も、
残された少年の運命も、
最初から、決まっていたのだろうか。
知っていて、自分に託したのだろうか。
ならば、抗ってやろう。
ここから先の運命も、
決まっているのなら、変えてみせよう。
男は踵を返し、村を後にする。
振り返ることはもうなかった。
「最初からきまってた」
貴方と出会うことなんて
最初からきまってた
じゃあいつか、貴方と離れるのは
最初から決まってしまってるのだろうか
私達の愛は
運命なんぞに負けてしまうのか?
ちがう、そうじゃない。
私達の愛は運命にも打ち勝つ。
最初から、
地獄に落ちることが決まってたとしても、
最初から、
離れるという、大きな試練あると決まってたとしても
この人生
朽ち果てるまで
貴方にこの命捧げ
貴方を愛し続ける。
好きな作家の小説を読み進める
作中の登場人物で気に入ったひとが死ぬことは
最初から決まってた
それでも…!
堪え切れずに涙してしまうのは
彩られた起承転結と登場人物の生き様に
魅せられていたからだ
本を閉じたあとの消失感と
栞を外した手が、未だに震えて止まらない。
#最初から決まってた
書く習慣/125日目。
「 最初から決まってた 」
🔮「運命は絶対なのです。」
^ω^)「最初から決まってたと言うのか…」
なんと残酷な…結末だ
^Q^ )「イヤダぁ!死にたくない!」
👴「最初から決まってたことじゃ…」
🧿⚰️🕯️(:3 ⛓️ )_🕯️⚱️⚖️
🌫️🌫️🌫️🌫️🌫️🌫️🌫️🌫️🌫️🌫️
^ω^ )「めっちゃ、贄にする気やん」
💪「我が神、ウィラコチャラスカにささげる
栄誉の贄だ…有難いと思え」
^ཀ^ )「やめろ〜絶対に終わるって…」
👽「時が来た!〇〇〇生贄に降臨せよ」
〈ゴゴゴ〉
地面に響が入り大きな鳥が…
ピッ 🐣 ( OCG版 )
^ω^ )「コレも、決まってたのか…」
🔮「多分、違うと思う」(コナミ感)
🗺️👴👽<サヨウナラ
そして誰もいなくなった
^ω^)「宿命とは残酷なものです…」
・・・コレも最初から決まってたのか。
始まりがあって、終わりもある…
最初から決まってたと言うのだろうか、
もしかしたら誰かが決めていたのだろうか?
小説や漫画にゲームやアニメの様に…
最初から決められたルートを、
与えられた選択で、
向かわされる最後へとたどり着くのだろうか
終わり方を決めていて、始まりが生まれ、
終わりから始まりが作られるのか
始まり方を決めていて、終わりが生まれ、
始まりから終わりへとたどり着くのか
それが、最初から決まってた
と本当に決めつけられるのだろうか、
運命は気まぐれで変える事ができる…
だが、
今、コレを見ている君達は、
宿命の名の下にたどり着いた。
何故なら、
このアプリって1つ1つ見てから
少し目を通さないと次に行けないから…
( ^ω^ )宿命関係無し!
ジョースター家の運命(さだめ)くらい
めっちゃエグいわけじゃないから
頑張って変えるはずさ
では、また明日…
その血の運命 ♪
「この物語は……(以下省略)
『最初から決まってた』2023.08.07
子どもの頃からずっと一緒にいたから、そうなる事は分かっていた。
だってそうだべ。家も隣同士。両親同士も仲良し。そりゃ好きになるって。なまらかわいいもん。
可愛くなくても、好きにはなっていたと思う。
俺が彼女に惚れるのは、最初から決まってた。
気がついたら付き合ってて、手を繋いで、チューして、抱き合ってた。たぶん、告白らしい告白はしなかったと思う。
そして、気がついたら結婚していた。プロポーズはした。さすがに。
運命なんて言葉で片付けたくないぐらい、彼女との出会いは決まっていたのだ。
彼女こと以外だってそうだ。リーダーと大学で出会ったのも、ナマイキな後輩たちに出会ったのも。
そして、そんなやつらと芝居をしていることも。
運命なんて言葉で片付けたくない、とは言ったが、ここまでくると、本当に運命なのかもしれない。
俺が、この世に生まれたときから、なにかしらのシナリオ的なものに書かれているのだ。
でなければ、こんなに楽しい日々をすごせるはずがない!
だとしたら、書いたやつは天才だと思う。
すごい! やるなぁ、お前!!
でっけぇ、花丸をやるわ!
私の寿命は最初から決まってたらしい。
どこかの誰かから聞いた、この世界に生まれる者たちは、神様とやらに自分の寿命を教えてもらうと。
そしてその寿命でも、生きたいと承諾した物だけがこの世に生まれるのだとも。
じゃあ、私の寿命はどう足掻こうともきっと変わらないのだろう。今この瞬間、私がここから飛び降りてもそれは最初から決まってた寿命という事になるのだろうから。
全く、つまらない人生だ。
最初から決まってた……。
自分の人生が台無しにされるの、最初から決まってた?
あの人のおもいを躊躇いもなく踏みにじった売女……犯罪者の娘、人でなしの今井裕子に。
最初から決まってた……。
う~ん。
『い』抜きが、凄く気になる。
もし
自分の
寿命が
分かっていたなら
わたしは
その日まで
自分の人生を
どう
生きるんだろう。
あと◯日しかない!
って
焦るのかな。
この日までに
これをしよう!
って
前向きになるのかな。
いや
でも
ほんとは
今の人生だって
寿命は決まってる
のかもしれないけど
何が起こるか
分からないからこそ
人生は
面白いのかも。
#最初から決まってた
最初から決まってた
私がどれだけ話しかけてもみんな無視するの
なんでだろうってずっとずっと思ってたけどやっと分かったよ
私は死んでたから聞こえなかったんだって最初から決まってたからなんだね
【最初から決まってた】
少女は、誰にも聞こえない声で言った。
がらがらと音を立てて崩れ行く足元。建物の燃えるにおい。高さあるものはすべて消し飛んだ。視界に広がるのは、曇天。目に見えない大きなもの、『運命』と呼ばれるそれは、少女の日常を一瞬にして奪い去った。
「最初から決まってたんだ」
緻密に絡み合った糸が解けて散り散りになるように、少女を形作っていたものは全て消えた。くだらないことで笑い合った友人。淡い恋心を寄せていた先輩。鬱陶しくも優しかった家族。チョークが黒板を擦る音。肩車する親子。香水の香り。揺れる吊り革。照りつける日差し。
「最初から決まってたんだ」
今さら気がついても手遅れだった。目眩がする。肺が焼けるように熱い。脳が理解を拒絶している。こみ上げる吐き気を飲み込んで、少女はふらふらと立ち上がった。
煤けた制服の裾は破けて、髪は暴風に乱れてぐしゃぐしゃだ。そんなの構わずに、天をきっと睨みつける。
最初から決まっていた。こうして、少女が世界にたったひとり、生き残ってしまうことすら。それならば、やることは決まっている。何の力も持たない、どこにでもいる少女にできることは。
「ふざけんなよ」
『運命』とやらに向かって、唾を吐きかけてやることだけだ。
最初からあいつが犯人だった事に
主人公は気づかなかった。
最初から決まっていた。
推理ミスの小説某サイトで
投稿中です。
春の小雨とは言えないほどの大雨の中、泣きながら運転していた。
一人息子が大学に進学するために、飛行機に乗って入学式を見届けた帰り道。
田舎すぎる我が家は、空港まで車で2時間近くかかる。
高速を降りて、土砂降りの雨の中、行きは2人で乗っていた車を帰り道は1人きり。
雨と涙とで、視界は最悪だけど、車通りの少ない道。
家に待つ人もいない。
若い子なら、こんな田舎じゃなくて都会に行きたい気持ちはわかる。
だから、私もパートを増やして塾代を稼ぎ、駅近くの塾に送り迎えもした。
単身赴任な旦那がいなくても、旦那の両親の家の近くに建てた家を息子と2人守ってきた。
私の身長を超えた頃、電球をかえてくれるようになった事。
重たい荷物を運んでくれた事。
些細な成長が嬉しかった。
都会に選んだ大学に進学したいと言われた時は
『あぁ、やっぱり』
って思ったし、反抗期ならでわの会話の少ない時にでも、話てくれた事が嬉しかった。
パート増やしてお弁当作って、洗濯掃除。
息子と2人。腹の立つこともたくさんあった。
これからは腹の立つ事もないんだなぁと思うと寂しくて泣けてしまう。
頑張って勝ち取った大学に入学できて良かったねと思って泣ける。
私が飛行機に乗る前に、「ありがとう」なんて言われて泣かないはずはない。
もう、嗚咽混じりで泣き出してしまって車を路肩に止める。
後続車も対向車もない。信号もない。
田んぼの稲が雨に濡れて、あたりに街灯もないから暗くて。1人なんだって実感した。
家に帰る前に久しぶりにお酒でも買って帰ろうかなと前を向くと、犬がいる。
犬である事はわかる。犬種とかなんとかはわからない。
ただ、ずぶ濡れで私の車のヘッドライトに照らされた犬がいる。
もう夜になりそうな時間。
ガリガリに痩せたずぶ濡れの犬。
降りたら私もすぐにずぶ濡れになるだろう。
犬は私の車の前から動くまいと、ジッとコチラを見ている。野犬だろうか。
食べ物は生憎持っていない。
迷子だろう。
そう思って、犬を車に乗せて一晩だけでも寂しさを分かち合う事ができるかもしれないと、運転席のドアを開け、降りようとしたら、犬もこちらに寄ってきた。
噛まれたりしないだろうか?
犬は私の目の前にくるとお座りをした。
行儀のいい犬だなと思って、行きには息子が乗っていた後部座席のドアを開けると、お邪魔しますと言ったそぶりで車に乗り込む犬。
シートには上がらず、足元で丸くなったのを確認して、車を走り出させる。
犬のおかげで泣かずに運転ができる。
お酒とつまみ。犬のご飯を買って家に帰る。
ただいまと言わんばかりに玄関へと歩いて入る犬。
自分がぬれているからか、部屋には入ろうとしない。
仕方ないから抱えて入る。
やっぱり犬臭いから、お風呂に入れる。ついでに私もお風呂に入る。
「朝になったら、病院と警察に連れてってあげるよ」
と声に出す。
犬はただジッとこちらを見るだけ。
何も言わない。犬だし、そりゃそうだけど。
でも、なんとなく、この犬はこれから私と一緒に暮らすんじゃないかと思った。
息子が巣立つ日を待っていたかのように現れた犬。
あれから5年。
最初からわかってた。
息子はやっぱり都会で就職した。
単身赴任の夫ももうすぐこちらに帰ってくるらしい。
旦那の両親も健在。
私も犬がいるから寂しくない。
②
ここいらでは素行の良くない学校で有名。
偏差値なんて知らないし、調べた事もない高校の子。
私は小学校から続く女子高生だし。
毎日、似たり寄ったりな時間に乗る電車で良く見かける子。
素行が良くない学校らしいけど、普通の高校生。
凄くハンサムってわけじゃないと思う。
いつも1人で音楽聴いてる?イヤホンしてる子。
他にも高校生はたくさんいるけど、なんとなく見つける男の子。
私は友達といたりするけど、いつも1人で電車に乗る子。
朝に見かけるけど、お互い?知らんぷりする。
今日もいた。
今日はいなかった。
そんな感じで、恋愛漫画的な要素はない。
その子が何年生かも知らないし、声すら知らない。席が空いても知らんぷりしてドアの側に寄りかかってる子。
私が勝手に、『あ、携帯変えた』とか『髪切ったんだ』って観察?してるだけ。
意識してるわけじゃなくて、目に入るだけ。
夏休みは会う事ないだろうと思っていたら、その子がいた。
初めて私服の姿を見た。白いTシャツに黒のパンツ。
どこにでもいる普通の恰好。
いつもと同じようにドアに寄りかかってるけど、
いつものイヤホンはしてない。
スマホも持ってない。
手には繋がれた女の子の手。
恋人繋ぎって奴ですか。
彼女がいるなんて、最初からわかってだけどねって。
自分に言い訳する。