『星空』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ひさびさに、ももを冷やして時間をかけてむいて、あまい匂いをした指を口に放り込んで、舌でごろっとした幸せをたしかめてからじゅっと噛みしめてみる、ひとは季節をたべるために生きていると勝手に思う
晴れの日の夜でも都会のこの街で星空と言えるほどの
星を見るのは難しい。
そんな小さく輝く星を探しながら歩く夜が
私は好きだなと思う。
でもね、私の1歩先を歩く君の背中を
みることはもっと好きなんだよ。
【星空】
やることがなくて退屈だな、と思っていた時。
ふと夜空を見上げると、無数の星が見えた。
たとえば、眠れなくて羊を一匹、二匹と数えるように。
暗い空に輝く光の粒を一つ、一つ数えるのは忙しくて、あぁ、今日は充実していたな、と思いながら眠った。
そんな思い出がある。
ふわりふわりと霞のような雲が漂っている、そっと手を伸ばせば届いてしまいそうだ。
月明りのせいだろうか、漆黒に塗り潰されているはずの空はグラデーションのように少しずつ趣が違う。
海の地平線を見つめていると地球は丸いことを実感するが、いま私が見上げているこの空も半円球であるということがわかる。きっと都会では知ることはなかっただろう、この景色。
空は落ちてくるのではないかと思うほど近くにあり、どこまでも果てしなく、そして数多に輝く光の粒達は、綺羅びやかに瞬いている。
この光達はいつから地球を見守っているのだろうか?
遥か先人達も見た星はあるのだろうか?
たしか金星あたりなら……
そんなどうでも良いことを、つらつらと考えながら、また歩き出す。
辺りから、芳しくも美味しそうな献立が浮かぶ香りが漂ってい来る。
幸せな日常を噛み締めながら、家路へ向かう足取りは自然と軽くなっていく。
『 星空 』
「心臓蘇生は希望されますか」
「いいえ…」
「いいんですか?」
「ええ、もういいんです。今のままのように寝たきりなら、生き延びても母も私も辛いだけだわ」
子供の頃の私は、母の言っていることがてんでわからなかった。入院している祖母に何かあったとき、生き延びられる方法を、母は諦めたのだ。祖母は死んでもいいということか?自分の母親なのに。そう思っていた。
人は死んだら、お星様になる。
そうして、大切な人をいつまでも見守っている…。
こんな話を、きっと一度は聞いたはずだ。
今になって、やっと分かった。
あのとき、母が祖母を無理矢理この世に引き留めなかった理由。
ベットの上なんかじゃなくて、お空で、昔のように生き生きと、私たちを見守ってて欲しかったんだね。
分かったよ、私。もうあの時の子供じゃないよ。
だから戻ってきてよ。
綺麗な星空は、あんなにも遠い。
我儘でごめん。でもね、私はお母さんに、隣にいて欲しかったんだよ。
「星空」
三題噺「星空、スマートフォン、サイコロ」
「今日はもうお開きだな」
天体写真家は雲には勝てない。誰だって知っている。
星空の美しさを追い求めてこの業界に入ったが、理想の星空というものを撮ったことがなかった。撮れるのはつまらない星空ばかり。
私はため息を付きながら山の上に作られた観測所から降り、駐車場に戻ろうとした。
「――ん」
スマホが車の前に落ちていた。私のものではない。戻って観測所の受付にでも預けるかと思った時、画面に指が触れ、待ち受けが表示される。
「――――――!」
理想の星空だった。目が離せない――――
「はぁっ! はぁっ!」
呼吸を忘れていた。脳が混乱している。いけないと思いつつもスマホを調べる。電話帳には何も記載もなくチャットアプリすら入っていない。ただ写真フォルダには2枚画像があった。
「星空の写真とサイコロの写真……」
若干の気味の悪さを覚えつつもサイコロの画像をタップする。
「……サイコロの目が変わってるような」
サムネイルをタップした時に5だったものが3に変わってる気がする。
「あれ」
画像をスワイプすると星空の画像が写っていた。しかし先程の待受の画像ではない。理想的な星空ではない。間違えるはずがない。再びスワイプする。サイコロが1になっていた。GIFファイルかなと思った時、ふと月明かりが照らし出された。晴れたらしい、上を見上げる。
――知らない空が写っていた。星座も月の位置も何もかもぐちゃぐちゃな空。月が落ちてきそうなほど近い。
逃げなきゃ―― どこへ―― 半狂乱になりながら車に乗り込みエンジンを掛ける。とにかく月から逃げたかった。
スマホが鳴る。私のものではない。助手席に放り出されたスマホが鳴っていた。何かに突き動かされるように手に取る。
「サイコロを振って!」
頭が働かない。
「急いでっ!」
ようやく先程の画像のことだと気付いた。震える指先でサイコロの画像をタップして、スマホを外に放り投げた。そのまま逃げるように車を走らせた。
しばらくしていつもの空だとようやく気付いた。あれは何だったのか、夢でも見ていたのか。分からない。ただいつものつまらない星空が少し美しく見えた。
[星空]
星空のもとで、私たちはそっと寄り添った。左頬に感じるぬくもりが、私の心をほっとさせる。
じっと見つめる視線の先で、星々は少しずつ南に動いていく。夜が更けて、空気が冷んやりと身体を包みこむのを感じた頃、二人はようやく身体を引き離した。
これからの未来を想像すると、今の平穏さが奇跡のように思える。
「明日…。」
私は気持ちを引き締めながらつぶやいた。
「いよいよだね。」
答える彼の横顔は、暗がりの中にシルエットとなって浮かんでいる。この横顔がたまらなく好きだ、と思いながら私は目を逸らした。今は時間が惜しい。
「夜が明けたら出発だね。」
私は手近な荷物をまとめた。失敗は許されないのだ。
テントの中の小物を隅に押しやり、寝袋に入って眼を閉じる。まださっきのキスの余韻で、心なしか鼓動が早い。
そっと横を見ると、彼はさっさと眠る構えのようで、アイマスクを付けているのが薄暗がりの中で見えた。アイマスク?!
(なんでやねん…。)
私は心の中で突っ込みを入れた。
もう少しロマンチックな気分でいたかったが、アイマスクで防御されたら、すごすごと引き下がるしかない。
【星空】
夜空に瞬く星々は、私たちに夢を与える輝きを持っています。
それぞれが一つ一つ輝いているけれど、全体を見るとそこには壮大なシンフォニーが広がっています。
星々の光が私たちの心を包み込み、無限の可能性を感じさせてくれます。
星空の下で、私たちは小さな存在かもしれませんが、この広大な宇宙の一部であり、誰もが輝くことができるという希望を持っています。
星空は、私たちに勇気と希望を与え、私たちの心を満たしてくれる存在です。
《星空》
お題
『星空』
「綺麗………。」
この星空の中に私の目当ての星はあるのだろうか。
芝生の上に寝そべり空に手を伸ばす。
撫でると星が動く。理科で習った。今、見えているこの星は何光年も離れていて、もしかしたらもう消滅しているかもしれないと。
それでもこんなにも綺麗に輝いている星だということに変わりは無いのだ。
「よし……!」
伸ばしていた手の、手のひらを握りしめた。星がこぼれる。どんなに暗くてもこの光と私の心は光っている。この光景は忘れない。そう頭に入れてから、私は少しだけひんやりとしたこの場所で眠りについた。
過去というのは、過ぎてみればたとえどれだけ過酷な、惨憺たる光景でさえも美化されて人々の記憶に棲みつく。そうしなければ生きる事をしなくなってしまうだろう。経験されたものに関して我々は反復できない時、私という外部とは共有化し得ない想像の中で再現され、劇場を開く。再現という語が示すのは、現実に起きたことであろうと真実でなくなる記憶を基底としたフィクションである、という事を意味する。劇場と記してみせたのは過去は喜劇あるいは悲劇に変貌させられるからである。その変貌を美化と呼ぶ。美化された記憶は虚構なのだから外部に滲出すること無く内部で完結する。
我々はこうして今を生きていく事が出来るのである。
ピダハンは星空を見ない。見るのは現在だけだ。
視界に広がる星空は、今の私には、ただの星空でしかないけれど、あの日、君と共に見上げた星空があまりにも輝いて見えたのは、どうしてだろうか。私は、星空から地面に視線を下ろし考えた。けれど、私はすぐに考えるのをやめてしまった。答えはすでに出ていることが分かっているからだ。私は、再び星空を見上げると、かつての情景を思い出し、静かに涙を流した。その涙が、あの時の星空のような輝きをもつことを、密かに願った。
一等星が、地に堕ちて静かに消えてしまったことを私は未だに認められない。
お終い
星空/
Ⅰ.
あまりに遠くへ旅をするこの船は
真珠色になるまで
気泡をたっぷり混ぜこんだ水あめみたく
空気を身にまつわらせて
先へ先へと落ちてゆくのでした
Ⅱ.
長い長いながれぼし
あとをふり返ると
わたしの過去の尾がみえる
さよなら
さようなら
別れをいいたいのに
こちらに気づきもせず
離れてくれもしない
ねばついた光の筋が、しろく……
星空を見上げる。そうすれば、地上のどんな苦しみも、どんな悲しみだって、癒やしてくれる。ぼくはそう信じていた。
行方不明になっていた、友達のお父さんが死んだ。彼の乗る船が北の海に沈んだのだ。ぼくはそれを、新聞の片隅の小さな記事で知った。
友人の家は、お父さんが行方不明になってからというもの、目に見えて生活が苦しくなっていた。友人は病気がちのお母さんに代わって、学校の合間に朝も夜も働かなくてはならなくなった。当然学校の勉強にも身が入らず、かつては誰より秀才だったことも、彼自身、忘れてしまっているようだった。彼は、いつかお父さんが帰ってくる、という微かな希望を頑なに信じた。彼の弱りきった繊細な心で、この不幸せな現実を生きていくためには、そうするしかなかったのだろう。
あの新聞をぼくの家に届けたのは友人だった。彼は朝早くから新聞配りの仕事もしていた。
だが、彼自身は父親の死を知らずにいた。彼には新聞を買うお金も、それを読む時間も無かったのだ!
ぼくは、この残酷な真実を友人に伝えることが出来なかった。苦し紛れに夜空を見上げたが、星はぼくを嘲笑うように、冷たく輝いているだけだった。
どうしようもない激情を胸にぼくは祈った。どうかあのかわいそうな友人に幸いを。彼の幸いのためならどんな犠牲をも厭わない、と。
─────
星祭りの夜、ぼくは銀河に置き去りにされ、かわりに死んだはずの彼のお父さんは、生きて家に帰った。
友人がそれを幸いと思ってくれるなら、ぼくにとってはそれが幸いだった。
(星空)
星空。
何千光年、何万光年と旅をするほうき星。
一瞬だけど美しく輝く流れ星。
永遠にも等しい光で、けれど一瞬にも思える。
星って綺麗ね……。
その時、砂のお城が壊れた。
一瞬、キラキラと輝く余韻が
広がった。
それは、何度繰り返されただろうか。
そして、その度に君は残念そうに、真空に漂う
消えたお城を探していたね。
しかし、僕は内心とても満足していたのだ。
昼から夜、夜から昼に
燃えるような
刹那の煌めきがあるから
それは、尊く、美しい‥
"星空"
今を生きる私達には、それをゆっくり見る余裕なんて無い人が多い。実際私もその一人だ。
明日に落胆し、将来に迷い悩む今に
"星空"とやらは何故あんなにも心を浄化してくれるのだろう
またいつかゆっくり星を眺める日が来るだろうか
空にある星の数を大切な人と一緒に数えたり流れ星に願い事を唱える、あの何ともない幸せな日が。
雨で星が見えなかったとしても、きっとそこに星はあるのだろうけど
それでもいつか煩わし世の中の幸せな部分に気づいて
星が綺麗に見える日が来る事を願っている。
冬の夜空は空気が冷たく澄んでいる分、星がきれいに見えると聞くが、東京駅まで走る新幹線から見える夜空は不気味なほど真っ暗だった。ホームに降り、改札を抜け、乗換口へ向かっている途中で、見知った人影を見かける。この頃の東京ではさして派手なほうではないが、上背が高いので威圧感がある男だ。
ここは月の上にあるコーヒー屋さん。
オーナーのひつじが出す、社会に疲れた人にだけ、その人の夢の中に現れる不思議なお店。
さて、きょうも新しいお客さんがやってきました……
1品目 「星くずのゼリー」
何をやってもうまくいかない。
会社員の星野祐介は、そう言って地面を見つめた。
入社して5年が経つ。それなのに、まだ一つのプロジェクトも結果も出せていない。なのに仕事や雑業に追われる毎日で、帰宅するのはいつも20時過ぎだ。そしておまけに、ガールフレンドの明美にも仕事が忙しいせいで愛想を尽かされ、別れを切り出されるのではないかとヒヤヒヤしている。
今日も雑業を終えて電車に揺られていた。祐介の会社から家までは1時間弱、この電車1本に乗らなければならない。今日は特に疲れを感じ、うとうとしていたら眠ってしまっていた。
🫧🫧🫧🫧🫧🫧🫧🫧🫧
「いらっしゃいませ。
注文は今日のおすすめですね。」
祐介はその声にハッとして目を覚ました。視界に入ってきたのはどこかのカフェ……だろうか。おかしい。
さっきまで電車の席に座っていたはずが、今は木製の洒落た椅子に腰掛けている。
「ここは……」
祐介はそのあとの言葉が思いつかない。
「お客様、だいぶお疲れのようでしたが……。
大丈夫、ここにきたからには少しでも疲れが取れる
ように、僕が頑張ってコーヒー淹れますからね」
ひつじのオーナーが出てきてそう言った。
ひつじが話しているという状況を唖然としてみている祐介をよそに、オーナーは続ける。
「あ、そうだ。今日は特別にいい日なんですよ。
だから、
ここの天窓を開けさせていただきますね。」
オーナーが何やらドアノブのようなものぐるぐると回した。すると……
祐介は店の中央の天井を見上げた。ギギギという音と共に、そこには満点の星空が姿を現した。
「ね、綺麗でしょう?ここの星空は見た目も味も
一級品。お客様のために、ひとつ取って差し上げましょう」
そこからひつじは空を飛び、星空に手を伸ばした。そして素早く星をランタンの中に入れると、すっと調理場にひつじは戻り、星をキラキラな粉に変えていった。
コーヒーができたのだろうか。香しいその香りは、祐介をほっとさせた。ひつじがトレーを持って歩いてくる。そこには、コーヒーの他に夜空の色をしたゼリーも載っていた。
「星空ブレンドと、星くずのゼリーになります。」
星空ブレンドに口をつけてみた。
意外にも華やかな香りとは裏腹に、味は少し渋みがある。
「お客様、知っていますか。今宵は星空が特別綺麗なんです。でも、それに気づくひとは多くない……」
オーナーは続ける。
「どんなに綺麗なものだって、認められなければ、気づかれなければ綺麗とは言われない。それでも、健気に生きていけば、いつか必ず認められる日が来るんですよ。」
「この星くずのゼリーは、お客様そのものです。
誰しもみんなこんなふうに胸の中には輝く星を持っている。その存在を否定して、うまくいかないのは自分のせい、他人のせい、だなんて思うことこそ、この星に申し訳ないと思いませんか?」
いつだって、自分を信じれば、願いは叶うんですよ
ひつじはそう微笑んだ。
🫧🫧🫧🫧🫧🫧🫧🫧🫧🫧
あれからどう帰ったかはあまり覚えていない。気がつくともう朝で、いつもの会社に出社していた。
自分の中には星という可能性がある、そう思って仕事
をしながら、今日はどんな星空が見られるだろうか、と祐介は思いを馳せた。
煌めく星(きみ)に手を伸ばす
手に入らないと思っている高嶺の花でも
挑戦してみたいだろ?
何千何万のなかから見つけた僕だけのステラ
もし、叶うなら
キミから見た僕も光り輝きますように
#星空
晴れた日の夜空を、庭から見る。月も星も輝いてとても綺麗だね。
晴れた日の夜空を、家も木も何も無い草原で夜空だけを見るところを想像して。きっと誰もが、地球という星にいることを実感する。
そしてあなたはそこで寝転ぶ。あなたは魂が浮いている錯覚に陥る。すると、あなたは宇宙に放り出されたように感じる。その感覚になれば、私たちは宇宙に存在しているということを実感することができるね。