ふわりふわりと霞のような雲が漂っている、そっと手を伸ばせば届いてしまいそうだ。
月明りのせいだろうか、漆黒に塗り潰されているはずの空はグラデーションのように少しずつ趣が違う。
海の地平線を見つめていると地球は丸いことを実感するが、いま私が見上げているこの空も半円球であるということがわかる。きっと都会では知ることはなかっただろう、この景色。
空は落ちてくるのではないかと思うほど近くにあり、どこまでも果てしなく、そして数多に輝く光の粒達は、綺羅びやかに瞬いている。
この光達はいつから地球を見守っているのだろうか?
遥か先人達も見た星はあるのだろうか?
たしか金星あたりなら……
そんなどうでも良いことを、つらつらと考えながら、また歩き出す。
辺りから、芳しくも美味しそうな献立が浮かぶ香りが漂ってい来る。
幸せな日常を噛み締めながら、家路へ向かう足取りは自然と軽くなっていく。
『 星空 』
7/6/2023, 8:23:12 AM