『好きな本』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「好きな本」
私が大好きな本。
少女の物語。
少女は最後深い穴に落ちて消え去っていく。
私によく似てる。
お題【好きな本】
《異形探偵社 イルシオン(仮)》-1
ザァ......
六月。梅雨の季節。今日も相変わらず雨続きである。そんな日が続いては何もやる気が起きないものである。
なのに......
「なんでいつも二人なのに、今日に限って私が一人で仕事しなきゃいけないのよぉー」
きな子は、柘榴色の傘を突き上げ叫んだ。
歳は十六、七歳くらいだろうか。ゆったりしたガウチョが似合っていた。
「仕方ないだろう? 用事が入ったんだよ。道案内だけはちゃんとするからこれ以上駄々こねんな」
耳元のインカムから声が聞こえた。
「そういえば烏丸、この前ボーナスもらってたよね? 許してあげるからさ、何かご褒美ちょうだいよ。」
はぁ、っと大きなため息わついてから烏丸と呼ばれた男がインカム越しに答えた。
「仕方がない。ちゃんと仕事こなせたらな?」
何頼もうかなーっとぶつぶつ言いながらきな子は住宅街を進んでいった。
「ついたよ」
インカムに話しかける。
そこは日本家屋風のお屋敷だった。広い庭の松がよく似合っていた。
門の前で一人、中年の女が傘をさして待っていた。
「お待ちしておりました。奥様はこちらです」
女はスタスタときな子を客間へ案内した。
奥様元へ案内しきると女はさがっていった。
「探偵社イルシオンのきな子です。身辺調査、人探し、『異形事件』までどんな事件もお任せください」
奥様は美しき気品あふれる方だった。ただ、相当困っているのか顔色はいいとは言えなかった。
「私は雅奈恵と申します。本日はお越しくださりありがとうございます。噂は本当ですのね。異形事件に強い探偵社であると言うのは」
「はい。我が社の受ける依頼の八割は異形の関連が疑われるものですから」
「あの、異形って本当に存在するのですか? 」
「います」
雅奈恵の問いにきな子ははっきりと答えた。
「すいません、別に怖がらせたいわけではないんです。異形事件というのはほとんど起こりませんから。万が一、雅奈恵さんが依頼しようとしている内容が異形事件だったとしても私が解決します。私は雅奈恵さんの依頼解決の為にここにいるので。よければ早速依頼内容を教えていただけますか? 」
雅奈恵は少し安心したようで、小さく頷くとゆっくり話し出した。
「ええ。あれは先月のことでしたの」
雅奈恵によるとちょうど一ヶ月前、雅奈恵の部屋に蛇が出たという。人の腕より遥かに太い大蛇だ。雅奈恵は急な出来事に気が動転した。騒ぎを聞きつけた、使用人たち四人でなんとか深傷を負わせ追い払った。しかし次の日、一番初めに駆けつけた使用人が事故に遭い、救急搬送された。その後、別の使用人も通り魔に襲われ入院、食中毒で入院と不幸に見舞われた。残る駆けつけた使用人は、きなこを案内した女、幸子だけだと言う。周りは皆蛇の呪いだと恐れているらしい。依頼はこの事件は偶然か、人間の仕業か、はたまた本当に蛇の呪いなのかを見極め、呪いならば祓ってほしいとのことだった。
「はい、依頼内容はわかりました。では、調査させていただきますね」
きな子はそう言うと、蛇を殺した雅奈恵の部屋、キッチン、お風呂から使用人寮も、屋敷の中を行ったり来たりした。外のことなど幾つかインカム越しに烏丸に聞いて言った。
「これで犯人は決定だね」
二時間後、きな子はもう一度雅奈恵と客間にいた。
「では、報告させていただきますね」
「はい」
雅奈恵は早すぎる調査報告に驚いているようだった。
「結果を言うと、呪いではありません」
雅奈恵は安堵と戸惑いの色を浮かべる。
「全て、殺人未遂の事件。人の仕業です」
「では誰が....... まさか外から!?」
「いえ、外部はないでしょう。明確に蛇を襲った使用人を狙うのは困難ですから」
「では......」
「はい、犯人は屋敷の中にいます」
からからから
そこでちょうど案内役の女、幸子が入ってきた。
「お茶をお持ちしました」
淡々とお茶を並る姿はベテランそのものだった。
「ちょうどいいところに来ましたね、犯人さん」
湯呑みが倒れた。幸子が倒してしまったのだ。
「すいません、今拭きます」
慌てて布を取る幸子の手をきなこは制した。
「あなたでしょう? 三人の使用人を病院送りにした犯人は」
きな子は冷たい笑みを向けた。
幸子は引き攣った笑みを浮かべた。
「私には何のことだか......」
「一人目の事故は自転車のブレーキが壊れていたことによるものです。二つ目は人気も防犯カメラもない路地裏での通り魔事件。三つ目は毒による食中毒を装った事件。あなたが今日出したゴミの中にブレーキを切ったペンチ、犯行のナイフ、小瓶の中の毒が見つかりました。どれも今朝、私の話を聞かされて慌てて証拠隠滅しようとしたのですから指紋の一つや二つ、すぐに見つかるのでは? 」
幸子は何か言おうと口をパクパクさせた。しかし、もはや弁明の余地がないとわかるとぽつりぽつりと話し出した。
「あの人たち、横領してたんです。挙げ句の果てのは奥様のものを盗んでお金に変えようと...... このままでは奥様の大切なものまでとられてしまうと思った時に蛇の事件があったんです。使えると思い、偶然を装って襲いました。すいませんでした、私が勝手なことをしたまでに奥様に迷惑をかけてしまい、本当にすいません......」
幸子は何度も頭を下げ、泣き、謝った。
「では私はこれで。依頼金は指定の口座にお願いしますね」
きな子は雅奈恵らから離れると、門ではなく庭にある一際大きな松の前へ向かった。
きな子は木を見上げ叫んだ。
「蟒蛇さーん、うーわーばーみーさーん。」
すると松の上の方からシュルリシュルリと大蛇 蟒蛇が降りてきた。真っ赤な舌をペロペロと出し三メートルほどの高さの枝に巻き付いた。
「何じゃ、久しいな『玉藻前』よ」
玉藻前と言われたきな子は、やあっと笑った。
玉藻前は日本三大妖怪にも数えられる大妖怪である。
「400年ぶりくらいかな。蟒蛇さん、たった四百年の間に何があったの? たった四人の人間にやられかけたみたいじゃん」
蟒蛇は笑った。
「たとえ異形とて歳には敵わんよ」
きな子は蟒蛇に一歩近づいて話し出した。
「私は今、探偵社イルシオンで働いている。イルシオンは幻影を意味だよ。私たちは今異形の街を作っているんだ。いわゆる幻影都市だね。蟒蛇さんにそこにきて欲しいんだ。今日は蟒蛇さんを誘うためにここの奥さんの依頼を受けたんだ。いつか蟒蛇の伝承を広めて蟒蛇さんを若々しくしてあげるから、絶対そのまま消えさせないから、私についてきて」
きな子はしっかりと蟒蛇の目を見た。蟒蛇は小さくため息とついた。
「おぬしは昔から変わらん。何をすれば相手が思い通りに動くか、よくわかっておる。連れていってくれるか、その幻影都市とやらに」
蟒蛇はニヤリと笑った。きな子は頷くと肩に蟒蛇を乗せて歩き出した。
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この後幸子はあれから自首した。今は罪を償っているところだ。横領をしていた使用人たちも今は牢屋の中である。
蟒蛇ものんびりと幻影都市で暮らしているらしい。
「きな子、約束のご褒美置いとくぞ」
真っ黒なローブを羽織った男、烏丸は紙袋をどっさっと置いた。
「!! ありがとう! 」
きな子は嬉々として袋を開けた。そこのは二十冊ほどの本が入っていた。モーリス・ルブランの『アルセーヌ・ルパン』全巻だ。
「もう何百年も生きてきてるのに読み損なってたんだよね」
フランス語で書かれたその本をきな子はスラスラ読んでいく。知識者であらゆる人を騙し惑わす玉藻前。しかし、今はどこからどう見ても、ただただ本が好きな少女だった。
ピッコン
烏丸のスマホが鳴った。
「きな子、仕事だ」
烏丸が振り返り言った。
「ちょっと待って! 今ガニマールが頑張ってるところなの」
「ほらいくぞ」
きな子は烏丸に本を取り上げられ、ずるずる引きずられていく。
「イヤー、至福の読書タイムがー!! 」
大妖怪の威厳はどこへやら。今はただの本の虫である。
「ついたぞ」
結局烏丸に連れられてきてしまったきな子。
ガチャッと扉が開く。
「探偵社イルシオンのきな子です。身辺調査、人探し、『異形事件』までどんな事件もお任せください!」
今日も一日、きな子の、人としての、探偵としての一日が始まる。
狂いなく、
巻数を揃えて並べられた、
私の本たちは、
汚れ1つなく、
そこにあった。
私は本が好きだった。
気持ちが落ち着いた。
呼吸を忘れられた。
視線を逸らせられた。
だから本が好きだった。
それでも本にはどうしようも出来ないことが起こった。
私は綺麗なものを、
どうしても壊したくなる病気らしいので、
ふと気づいたら本の数ページを破いていた。
罪悪感のような、
全く違う感情が、
私の中に入る。
私は呼吸を覚え、
息は思い出したかのように音をたて、
ありもしない視線を感じた。
これは何回目だろうか。
「好きな本」
「好きな本」
昔ちょくちょく行ってた親戚で
そこのおじさんの好きな本を思い出した
当時小学生だった俺に
この本好きな本なんだけど
お前が大人になったら見せてやるよ
そう言われたことだけ鮮明に覚えいてる
おじさんっていっても当時20代半ばぐらい
時は流れて
自分もおじさんと同じくらいの年になった頃
久々にこの親戚の家に遊びにいった
おじさんは結婚して
もうこの親戚の家には住んで居なかったが
当時の部屋はそのままで
ベットの下を覗くとあった!
そのままの本が出てきた
ソフトカバーでタイトルは不明
パラパラとめくると
あっ
ざざっとチラシの切れ端が落ちてきた
チラシは
すべて女性の下着姿の広告だった
切り抜いたヤツや
そのままの折込チラシだ
え?
これって
当時のおじさんのおかず?
そっち方向に動き出しそうな自分の思考に
もうひとりの自分が止めるように
本を閉じた
好きな本って
本じゃないのか
中学二年生の夏休み。図書館で目が合ったような。そんな気がした。分厚い背表紙に描かれた緑がかった灰色の瞳の女性。ドキドキしながら手に取ると、ずっしりとした重みを感じた。中をパラパラと目を通したが、難しい言葉が多く使われていてよくわからなかった。だが、それぐらいのことでこの本を諦めたくないという強い思いを抱きながら、貸出カウンターに向かった。初めて借りた国語辞典よりも分厚い本に胸が高鳴っていた。
それから毎日時間を見つけては読み進めていた。自宅にある国語辞典を隣に置いていた。わからない言葉が出るたびに索引する。本の貸出期間は一週間だったが、その期間では到底読みきれず、何度も一度返しては再び借りていた。
二学期が始まってからも、まだ読んでいた。続きが気になって気になって、授業に集中できなかった。教室の中で一番後ろの席に座っていたこともあり、国語の授業中に国語辞典を使うふりをして、その本を読んでいた。
「これ辞書じゃないよね。本は片付けなさい」
先生の巡回に気づかず、怒られてしまった。仕方なく引き出しの中に入れようとすると、先生にこんな難しい本を読んでいるのと感心された。先生がそれを没収したことによって、なぜかクラスメイトからは授業中に辞書を読んでいると勘違いされた。
放課後、職員室に行って本を返してもらった。授業中は読まないようにと注意を受けただけで済んだ。だが、私はそれを授業中以外は好きに読んでいいと受け取った。それからは登下校中も、給食の時間も、休み時間も、部活の時間も全て読書に費やした。
それぐらい、その本の虜になっていた。たった一枚の紙から伝わってくるピリピリとした緊張感や、主人公の感情が脳に流れ込んでくるような感覚があった。初めての感覚に私は息をするのを忘れてしまうぐらい集中していた。
そして、二ヶ月ほどかけて読み進めたその本を閉じた時。頭の中には、私もこんな物語を綴れる人になりたいという欲に染まっていた。決して、後味のいい話ではなかった。胸糞が悪くなるような展開も多く、人が死ぬこともあった。それでも、それは私の今までの価値観すべてを塗り替えられたような感覚があった。
返却期限がやってきて、私はその本を返した。あれから習慣のように読書を何年も続けているが、あの本を超えるものには出会えていない。間違いなく、私はあの本に恋をしていた。今でもあの本以上に好きな本は見つからない。
51好きな本
子供のころ、川の中洲にエロ本を拾いにいくという大冒険が流行っていた。誰がなんの目的でそうしているのかは知らないが、とにかくそこにいけば、捨てられたエロ本にありつけたのだ。まだインターネットも普及しきっていない頃の話である。
当たり前だが非常に危険な行動であるからして、見つかれば大問題になったしこっぴどく怒られた。それでも小中学生男子は中洲を目指して全身ずぶ濡れで歩いた。捕まっても、誰も真実を言わなかった。懐かしくバカバカしい、昔の話である。
内容が頭に入っていても、読み返してしまう。
小説は、自分の想像力次第で情景を想像できる。
私はそうして自分の世界に浸っている時が一番好き。
誰にも何も言われない、自分の中の空想世界。
推理小説なら犯人を考えてハラハラする。
ホラー小説ならどんな展開になるのかソワソワする。
恋愛小説なら誰とどんな恋をするのかワクワクする。
ファンタジー小説なら非現実的な事だらけで楽しくてドキドキする。
どの小説も好き。
色んな想像ができて楽しいから。
貴方はどんな物語が好きですか?
お題〚好きな本〛
思えば、私がこれまで読んできた本のジャンルはかなり雑多である。身体を動かすのが苦手であったから、専ら読書を好んでしていたし、元々好奇心旺盛な性分だったというのもあるのかもしれない。そんな私ではあるが、本日のお題「好きな本」に沿って、創作などではなく、実際にある出版物からかつて好きだったものも含めて紹介していこうと思う。
まずは、『怪談レストラン』シリーズ。怖い話や怪談を知ったのは、小学校に上がるか上がったか位の頃に見た『本当にあった怖い話』の中のとある作品だったが、今の私が確実にハマったと言えるきっかけはこのシリーズだろう。後に方向性を間違えた興味をもつきっかけの「ギロチン」の存在を知ったのもこのシリーズのひとつ、『殺人レストラン』である。これは私が『怪談レストラン』シリーズで初めて買ってもらった本でもある。小学校の図書室や祖父母の家の近くの図書館に置いてあったのも手伝って、よく読んでいた。
次に、『黒魔女さんが通る!』シリーズ。これは学級文庫に置いてあったのを友人が読んでいたので気になり、読んでみたら見事にハマった。知ったのは小学校高学年で、卒業までに当時出ていた分は全部読んでいた。聞いたところによると、主人公たちも一学年進級したらしい。
3つめは『ガラスのウサギ』。小学校で読んだし、児童書と分類されているが、今でもふと読み返したくなることがある。戦争ものは国語の教科書で取り扱われるが、この作品は教科書で読んだことはない。何で知ったかは忘れてしまった。戦争については、その存在を知ってからずっと関心をもっている。
4つめは『浜村渚の計算ノート』シリーズ。中学校で読んで、数学が好きになったきっかけの作品だ。学校で習うものからかなり高度なもの、難問とされるものまで幅広く扱いながらも分かりやすく説明されている。
5つ目は『創竜伝』。友人が読んでいたものをお薦めされて読んでハマり、当時出ていた分は全巻買った。最近約10年ぶりに新刊が出た。主人公4兄弟の名前とやり取りが非常に面白い。
お題の変わる時間が迫っているので一旦ここで切ることにする。
また時間のあるときに追加していきたい。
『好きな本(中の人の好み)』
森絵都先生の「カラフル」と神永学先生の「心霊探偵八雲」です。
カラフルは死んでしまった魂が別の人間の体にホームステイして自分の罪を思い出すみたいな話だった。
心霊探偵八雲は幽霊の見える青年八雲が事件解決していく話。
ざっくり紹介しちゃったけどめちゃくちゃおすすめです!
#好きな本
ゆる〜くて可愛い絵柄
たるしばたちのまったりライフを覗いたり、
名言を一緒に学んだり、
そんなアタモトさんの本が
大好きです。╰(*´︶`*)╯♡
好きな本
空気読めないのすいません無いです👍🏻 ̖́-
好きな本
小学生の頃は
頭が良くなるからって
推理小説を
よく読んでた
でも学校の勉強は
いまいち
あと歴史物や
偉人伝
学校の成績は
悪かったけど
語彙力は向上してた
社会人になってからは
自己啓発本や
占い本
マーフィの
眠りながら
なんちゃらは
全部読んだ
国際情勢の本とか
好きですね
学校では教えない系の
歴史物も今も読みます
歴史小説がやっぱり
好きかな
お昼休憩中。昼食を済ませたあと、デスクで本を読んでいると
「何の本、読んでるの?」
隣に座る同期の方に声をかけられる。
「え…っと、これです」
普段、仕事以外の会話をしたことがないせいか、緊張しながらも、何とか本の表紙を見せると
「あー、書店で平積みしてある、人気の本だよね」
自分のデスクにコンビニの袋をドサッと置きながら、にっかり笑う。
「そういうのが好きなの?」
イスに腰掛け、袋から商品を出し、律儀にも私に断りを入れてから食べ始める。
「はい。本を読むのが好きでいろいろ読みますけど、この本の作家さんが一番好きなんです」
「そうなんだ。いつもここで本読んでるの?」
「はい。読み始めると、続きが気になってしまうので、みなさんがお昼を食べに行っている間に読んでます」
「そっかぁ。そういう方法もあるんだね」
おにぎりを頬張りながら、なるほどねぇ。と呟き
「俺も真似しようかな」
と笑みを見せる。
「真似、ですか?」
訳が分からず、ぽかんとすると
「そう。俺ね、買っただけで読んでない本が結構あるの。けど、読む時間がなかなか取れなくて。いつもは昼飯をどっかで食べて来るだけで昼休憩終わっちゃうけど、昼飯を持参すれば、読む時間が取れるんだよね。絶対に邪魔はしないから、明日から昼休憩に本読んでいい?」
楽しそうに理由を教えてくれる。
「もちろんです」
笑顔で答えれば
「やった。何から読もうかな」
と、ワクワクとした様子を見せる。
「本、好きなんですか?」
「うん、いろんなジャンルの本読むよ…そうだ。許可してくれたお礼に、俺が一番好きな本、貸すね」
「え?」
「俺の周りに本好きがいないから、何か嬉しい」
にこっと笑われ、言葉を失う。
「あ、ごめん。こんなに喋ってたら読む時間無くなっちゃうね。静かにしてるから、続き読んで」
そう言うと、スマホを取り出し見始める。
本がきっかけで始まりそうなストーリー。今読んでいる本のように、ストーリーが続くといいなぁ。と思いながら本に目を落としたのだった。
栞ちゃんは本の虫
生息地は図書室
図書室の本たちは
ほとんど栞ちゃんに食べられている
佳奈ちゃんのお友だちは
栞センパイがまだ食べていない本を見つけるのが趣味なんだそうだ
わたしはそんなこと初めから諦めてるから
わたしが見繕った本は
みごとに栞ちゃんの食べのこしばかり
栞ちゃんの好きな本ってなに
本かじりのほんの合間にたずねてみる
えーっとねえ
ニコニコ笑って首を傾げる
えーっとねえ
ニコニコ笑って虚空を見つめる
えーっとねえ
答えなんて別に期待してない
この人受験はどうするんだろう
栞ちゃんは本の虫
生息地は図書室
『好きな本』
駅構内の小さな本屋に、導かれるようにふらりと立ち寄る。
平積みにされた色とりどりの表紙を目で追いながら、私の脳裏には遠い記憶が蘇っていた。
『――この本が好きなんだよね』
そんな言葉と共に、あの人の細く長い指が文庫本の表紙を撫でていた、たったそれだけの情景。
漫画の活字すらろくに読まなかった当時の自分には、タイトルすら覚えていられなかった、難しげな本。
今でもその藍色の表紙を、本屋の店先で探してしまうのだ。
そうして私は藍色に染まった本棚に、今日もまた一冊、蔵書を増やした。
【好きな本】
『せーんぱい!』
またか、と思いながら振り返ると
案の定そこには1人の後輩の姿があった。
『…なに』
我ながらそっけないなとは思う
それでもこの後輩は何故か私を慕ってくれるのだ
『この前の読み終わりましたよ。今日はなに読んでるんですか?』
そう言う彼の手には私が先週貸した2冊の小説がある。
彼は時折図書室に現れて私から本を借りていく
お互い名前どころかクラスも部活も知らない。
私たちの不思議な関係はもう半年も続いている
『あなた、たまには自分で選んだらどう?』
こうしてちょっと突き放してみるのも何度目だろうか。
『そうですね』
『…え?』
一瞬息が止まった。
いつもは笑って流す彼に
肯定的な言葉を返されたのは初めてだった
『なんでそんな顔してるんですか笑』
『なに。変な顔をしてるつもりはないんだけど。』
自分でもよく分からない動揺を見透かされたようで柄にもなく焦ってしまう
『僕は先輩が僕のために選んでくれる本が好きなんです。先輩の好きな本が僕の好きな本。』
『ん、そっか。』
どうしてか鼓動が早くなる。
気がついたら、言うつもりの無かった言葉が飛び出ていた
『じゃあ一緒に本屋にでも行く?』
しまった、と思った時にはもう遅く
彼は嬉しそうに頷いていた。
『行きます!絶対に!』
『そう。今度の日曜日は空いてる?』
『空いてます空けます』
名前も知らない彼と出かける予定をたてていることがなんだかおかしくて笑ってしまう
『せんぱい』
顔を上げると彼がいたずらっ子のような笑みを浮かべていた
『日曜、好きな本を見つけましょうね。』
『…?うん』
『先輩と僕、2人の好きな本。』
「せいち、好きな本とかある」
ひのきがきいた。
ぼくは、咄嗟のことで、「ああ、いや」
と吃ってしまった。
「俺は、川上眉山や牧野信一を読んでいるんだ」とひのきが言った。
この話は、清掃後のホームルームの時間になったため、ここで終わってしまった。
それから、彼は、突然、学校に来なくなった。
僕は、彼と親しいわけではないが、
中学校の3年感、唯一、同じクラスだったこともあり、なんとなく、気になっていた。
そのわけは、朝夕に涼しさが感じられる
11月の合唱コンクールの後に分かった。
かれは、死んだのだった。
家族では、ぼくが5歳のころ、おばあちゃんが死んだことは記憶されていたが、小さかったこともあって、何か大きな感覚は残っていなかった。
先生が教室の教壇上でなにか話していたが、
ぼくは、かすかな眩暈と耳鳴りだけを感じていた。意外にも、涙出なかった。
しかし、言葉もない。
後に、分かったことだが、
ひのきは不治の病にかかっていたそうで
また、噂では、自宅で療養中、タバコを吸ったことで体調を悪化させたとのことだった。
あれから、25年経った今、
中学3年生の細身で影がある虚ろな表情で話しかけたかれの顔が思い浮かぶ。
もし、生きていれば、その時は何度とも思わなかったが、彫りの深い顔立ちと冷たい眼差しを持つ彼のことだから、女子にもモテて、少なくとも彼女、恋人にこと欠かないそんな人生を送れていたんじゃないかと‥
そんな勝手なのとを思いながら、
独身、パート介護職員となった僕は
芥川の読みかけの小説を閉じ、コーヒーに砂糖とラッコー乳剤を入れた。
いつも、図書館で友達と楽しそうに話しながら君が
勉強するのを眺めていた。
だって、君は周りからは人気で話しかける勇気は私には
ない。だからただ見ているだけで良かったんだ。
いつものように好きなシリーズの続編を手に取ろうと
したら手が誰かと触れて慌てて謝ろうと隣を向く。
───そこには憧れの君がいた。顔が真っ赤になるのが
分かる。彼が私に笑いかけて言う。
「この本、面白いよな。君も好きなの?」
「う、うん! ストーリーは王道の恋愛物だけど登場人物たちのキャラがものすごくいいの。」
「ああ、分かる分かる。特に主人公はどんなことにも熱心に向き合ってて好感がもてるよな。」
「そう、そう! まるで──」
まるで君みたいな人。そう言いかけて自分がどれだけ
恥ずかしいことを言おうとしているんだと気付き飲み込んで話題を逸らす。
「でも意外だね。あんまりこういう恋愛系は読まないって思ってた。」
「お、俺だって読んでみたいなってたまには思う時もあるよ。」
何故か目を泳がせて早口になりながら彼は言った。
「なあ、よかったらさこれからも君の好きな本があったらさ教えてくれないか?」
「え? いいけどどうして。」
「いや、俺ももっと本を読んでいきたいなって思って。だから君のおすすめを参考にしたいんだ。
よかったら俺のおすすめも教えるから。」
「それなら全然いいよ。じゃあこれから読書仲間としてよろしくね。」
「ああ、よろしく。」
嬉しい。例え好きな本を語り合う友人であったとしても。これから始まる楽しい日々に胸が踊った。
『好きな本』
擦れた角 褪せた表紙絵 曲がった背
私と共に 歳取ったものね
お題:好きな本
【好きな本】
好きな本を買いに本屋に行ったはずなのに、
その本よりも好きな本を見つけてしまい、
どっちの本を買うのか大いに迷った挙句、
結局その日はどっちも買わずに本屋を出て、
コンビニでスイーツ買ってる自分がいる。
何でだろう?