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いつも、図書館で友達と楽しそうに話しながら君が
勉強するのを眺めていた。
だって、君は周りからは人気で話しかける勇気は私には
ない。だからただ見ているだけで良かったんだ。
いつものように好きなシリーズの続編を手に取ろうと
したら手が誰かと触れて慌てて謝ろうと隣を向く。
───そこには憧れの君がいた。顔が真っ赤になるのが
分かる。彼が私に笑いかけて言う。
「この本、面白いよな。君も好きなの?」
「う、うん! ストーリーは王道の恋愛物だけど登場人物たちのキャラがものすごくいいの。」
「ああ、分かる分かる。特に主人公はどんなことにも熱心に向き合ってて好感がもてるよな。」
「そう、そう! まるで──」
まるで君みたいな人。そう言いかけて自分がどれだけ
恥ずかしいことを言おうとしているんだと気付き飲み込んで話題を逸らす。
「でも意外だね。あんまりこういう恋愛系は読まないって思ってた。」
「お、俺だって読んでみたいなってたまには思う時もあるよ。」
何故か目を泳がせて早口になりながら彼は言った。
「なあ、よかったらさこれからも君の好きな本があったらさ教えてくれないか?」
「え? いいけどどうして。」
「いや、俺ももっと本を読んでいきたいなって思って。だから君のおすすめを参考にしたいんだ。
よかったら俺のおすすめも教えるから。」
「それなら全然いいよ。じゃあこれから読書仲間としてよろしくね。」
「ああ、よろしく。」
嬉しい。例え好きな本を語り合う友人であったとしても。これから始まる楽しい日々に胸が踊った。

『好きな本』

6/16/2023, 8:39:14 AM