『好きじゃないのに』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「また雨だってー」
「えー! 今週はお花見行くって決めてたのにまたぁ!? せっかく開花が早くたって、これじゃ意味ないってーのぉ。あーどこ行くか話し合ってたのに〜」
「春が好きなわけでもないのに、花見には熱が入ってるよなぁ毎年毎年」
「春はお別れの季節だから好きじゃない! でもお花見はお別れする前に最後に楽しめるイベントだから好きってだけ。わかるっしょ」
「花見は会社の場所取り地獄って印象しかないわ」
「なにそれ。花がなーい! 絶対みんなとお花見すんだからなーくっそ、ちゃんと半日くらい晴れろ!」
「はいはい。来週末は晴れるといいね」
#好きじゃないのに
にっこり笑顔は仮面。
家族にとって自慢の子供と呼ばれましょう。
友人にとって共感できる友達と覚えてもらいましょう。
先生にとって手のかからない優等生と頼られましょう。
添加物や余分な糖分は食べずに、お菓子はオカラやドライフルーツを食べましょう。
ニキビ、肌荒れは厳禁です。化粧で隠すことは禁止です
黒髪でおかっぱ。膝下まで隠れるスカートを履き、常に姿勢良く、礼儀正しく振る舞う事を心がけましょう。
最後に、にっこり笑顔は必須です。
《好きじゃないのに》
『好きじゃないのに』
僕の好きなものはかわいいフリルやレース。
それとお人形。
かわいいもの、美しいものが好きなだけ。
彼女たちは引っ込み思案でいつも下を向く僕に、前を向ける強さをくれた。優しいあの人との会話を生んでくれた。
僕は君たちがいれば幸せなのだと、いつも彼女と話しかけた。幸せだった。楽しかった。
なのにそれを周りは許さなかった。
「おとこなのに人形遊びが好きなんて変なヤツ!」
「神田くんて女の子遊びなんてするんだね。気持ち悪い」
「なんで他の子みたくできないの?」
うるさいな、うるさいうるさい。
僕はこの世界で生きていくんだ。
彼女たちだけいてくれたらいいんだ!
そう思っても成長していくたびに変化していく自身が憎かった。変声期を迎えた、声が低くなった。
第二次性徴期が来た、肩幅が伸び可愛い服を着れなくなった。望んでないことが次から次へと襲ってくる。
彼女たちとの共通点がなくなっていく。
いつしか僕はおとこになって、周りに合わせた服を纏う。
「あんたがものを受け取るなんて珍しい。特に花は嫌いだって言ってなかったかい」
「ええ、好きじゃないわ。でも今回はお断りする理由がなかったの」
「……相手はあのお客か」
「うふふ。好きな人からの贈り物って、なんでも嬉しいものね」
そう言って女は腕の中の花束を大事そうに抱え直した。どこに飾ろうかしら、と鼻唄でも歌うように呟くその表情は、向けられればころりと相手を落としてしまう甘やかなもの。恋する乙女の顔をした女を前に、女将は深くため息を吐いた。
「悪い女だよ、まったく。贔屓の客に自分の好みも教えてやらないなんて」
「健気って言ってちょうだい。それにね、あの人は贈り物に意味を込めているの。その意味を直接言葉で伝えてくれない限り、本当のことは教えてあげないわ」
「ロマンチシズムってやつかい? 向こうの方がよっぽど健気だねえ」
「可愛いでしょう? ……女将さん、手を出しちゃダメよ」
「安心おし。あんな若造、あたしの趣味じゃないよ」
「まあ! ふふ、そんな言い方はないじゃない?」
女将の言葉をたしなめながらも、女は肩を揺らして楽しげに笑った。その様子に呆れを隠さぬ女将との間、女の細腕に抱かれて、房状に咲く黄色の花はやわらかく揺れているのだった。
好きじゃないのに
貴方のこと好きじゃないのに
頭から離れないし
ずっと考えてしまう
この気持ちは恋なのだろうか
ポツポツと浮かぶ星に白い街灯。ネオンが輝く煌びやかな風景でもなければ、宝石を散りばめたように美しい星空でもない。所謂、閑静な住宅街。その先には天に向かって伸びる高層ビルが立ち並ぶ。都会の片隅から覗く味気ない景色をアパートのベランダから眺め私はグラスを傾けた。
氷で冷えたコーヒーが喉を潤す。含まれたカフェインが訪れる睡魔を撃退してくれるだろう。そう期待を込めて私はただただグラスを傾ける。だけど虚しいかな、味はしなかった。
氷だけ残ったグラスを置くと私は近くにあったコンビニのビニール袋を漁った。中にはタバコとライターが入っている。箱を開けてタバコを一本取り出すとライターで火をつけた。タバコの先端が燃え、ふわりと白煙がくねりその後筋の様に立ち昇る。その煙を逃さぬように私はタバコを吸い込んだ。
苦い空気が肺に流れ込んで私は思わず咳き込んだ。なんだってこんな苦い物を好んで吸うのか、理解ができないと思った。
銘柄は知らない。ただあの人が同じ様な物を吸っていたので選んだだけだ。たったそれだけ。
立ち昇り黒檀の空に溶けていく煙を視界の端にとどめてから私はそっと瞳を閉じた。
視界を覆う暗闇の中、思い出すのはあの人の浮かれた声と喜色を含んだ笑み。どうしてかその笑みが腹立たしくて、恨めしくて、仕方がない。
再度タバコを吸い込む。やっぱり苦くて身体が受け付けない。咳き込む度に目尻に浮かぶ涙は感情の発露か、それとも生理的現象か。私には分からなかった。
好きじゃないのに
「日常的に多いシチュよな。『好きじゃないのに』」
ぱり、ぱり、ぱり。好物たる堅揚げポテチを賞味しながら、某所在住物書きは己の行動を振り返る。
「なんか惰性でログインだけしてるソシャゲ。明日の話題に必須だからチェックするSNSトレンド」
なんならクソ苦手で全然好きじゃないのに継続してる人付き合い、なんてのも有らぁな。
物書きは付け足し、またポテチを口に放る。
「うん。……別に……好きじゃあ、なかったんよ」
思うところがあるのだろう。ピタリ動作を止めると、
「でも環境が環境で、人権で、完凸必須だから……」
過去のガチャ爆死を告白し、弁明し、崩れ落ちた。
――――――
3週間前から定期的に、週に1〜2度の頻度で、何故か私のアパートに二足歩行の子狐が餅を売りに来る。
理由は子狐から聞いた。私が始めて餅を買ってくれた人間であり、唯一の得意先だから、だという。
シュール過ぎるものの仕方がない。警察でも保健所でも、通報したところで信じてもらえる気がしないし、画像・動画加工技術が発達した昨今では、撮ったところでフェイク認定されて終わる。
仕方が、ない。
納得いかないものに対する諦めと思考放棄は世の常で、なにより子狐の餅は、不思議なことに、食べると何故か心身の毒気が抜けていく心地がする。
それでかれこれ複数回、呪術や魔法が「非現実的」とされ久しい現代に、この不思議な関係を続けている。
今夜も、その非現実が来て、インターホンを鳴らし、「おとくいさん、こんばんは」と頭を下げる。
「キラキラ、いっぱい、いっぱい!」
今日購入した餅は、子狐が私の小言を聞いて一生懸命作ったという、低糖質の、いわゆる惣菜餅。1個200円で5個のお買い上げ。つまり1000円。
子狐はペラペラの紙幣より、キラキラした貨幣を好むようなので、100円5枚と500円1枚を渡した。
案の定、子狐はぴょんぴょん跳んで喜んだ。
「おとくいさん、トーシツノスクナイモチ、好き?」
「特段好き、というワケでもない」
「好きじゃないのに、普通の甘いおもちより、いっぱい買ってくれるよ。なんで?」
「運動量の少ないデスクワークだ。だから、1日の糖質量など150程度で十分足りる。それにこの量と栄養バランスで200円はコスパが良い」
「ですくわーく?こすぱ?好きなの?」
子狐は知らない言葉を聞くと、その場で小さなノートとクレヨンを取り出し、床に広げてぐりぐりメモを……取っているのか絵を描いているだけなのか、よく分からない。何せ書いてあるものが読めない。
まるでそれこそ、小さな子どものお絵描きだ。
「……子狐。人間にはな」
ぽん、ぽん。二足歩行の子狐の、おそらく肩と思われる場所に、手を置く。
「好きだけど食べ過ぎると体に悪い物と、好きじゃないけどお金のためにやっている仕事があるんだ」
目を見て言い諭すと、子狐は頭をかくんと傾けて、
「なんで?」
返答に困る一言を、ストレートに投下してきた。
気持ちが繋がっていると
思っているのは
あなただけ
✎𓂃好きじゃないのに
お土産で泡盛をもらった。
1,8リットルの30度。
最初は、美味しいと思ったが後味が苦手だ。
昨日やっと呑み終わった。
好きじゃないのになぜか寂しい。
覚えてる限りもう呑まないからかな。
もう好きじゃないの惰性で続けるソシャゲや読んでいる漫画。時間の無駄だね。
でも続けた時間や課金したのが無駄になるからなんとなく続ける。こういうのってコンコルド効果って言うんだっけか。
調べたが合っているな。有名だからなコンコルド効果。語感もいいし覚えやすいから覚えてたわ。
こういうのは食べ物や飲み物でもあるな。買って微妙だけどもったいないから好きじゃないけど食べる。
さっさと処理しないとと思って美味しいとも思わずに無駄にカロリーを接種して貴重な食事の機会を無駄にする。
一生で食べることができる回数は決まっているからな。その貴重な食事の機会を無駄にするなら捨てればいいがもったいないから食べてしまう。まさに小市民だね。
しかし連日雨で寒いねぇ。今も電気毛布つけてるよ。この前は扇風機をつけてなんだったらエアコンつけたいと思ったくらいなのに。
まぁ雨だと花粉症が和らぐからいいけどね。そろそろ花粉症も終わりかな。いつ薬をやめればいいんだろうか。
ずっとトモダチだった。
みんなでいると時間を忘れるほど楽しくて
学生時代の休みをほとんどみんなで過ごした
そんなみんなの中の一人だった
卒業が近いたある日、親友の彼氏になった。
慌ただしい日々の中3人でいる事が増えた
黒猫みたいな親友
気まぐれに振り回されながら幸せそうにわらってたのに
今日もトモダチからの連絡がくる。
「仕事の帰りに飲まないか」
今回も黒猫はいないのだろう
気まぐれに疲れ果てた心を私で埋めようとする
ずるいやつ
ただ今でも時間を忘れるほど楽しいの
好きなわけじゃない。
だって私はトモダチだから
この角を曲がったら自宅が見えるはずなのだが、くるりと後ろを向き来た道を戻っていく
自然と笑顔が浮かぶ自分に気づかないふりをしながら
@好きじゃないのに
#63 考察・半世紀分の「好きじゃないのに」
半世紀生きてきて
「好きじゃないのに」はいくら時間をかけても
「好き」に昇格することはなかったです。
(嫌いな食べ物を一応食べられるようになったけれど好きな食べ物にはなっていないし...?)
ただ、現実は
好きじゃないのに、
続けている付き合い
食べているもの
習慣にしようと努力していることなどなど
「好きじゃないのに」していることは
まぁまぁあります。
何故、好きじゃないのにそうしてるかというと
そうしているといい事があるらしい...という噂や
そうすべき的な常識や
単純に大人の事情だったりするわけです。
ただ、限られてきた人生の時間
世間さまが好きなものが
自分も好きとは限らなくて
自分の好きに対する臭覚をもっと信用しても
いい〜んじゃないって思うんだけど
どうかしら?
お題 「好きじゃないのに」
コールド・マン
『嵐が起きたようだ』
大都市に住むコヨーテのように、私は孤独だった。
いつの間にか嵐がやって来た。
遠い地球の裏側で、嵐は人々の生活を奪っている。
それでも世界はまわる。
絶えず太陽と月は追いかけっこをする。
『それでも世界は美しい』
私は憂鬱だった。
そして、冷酷。
自分のことにしか興味がない。
他人を思いやる気持ちなど、持ち合わせていない。
『コールド・マン』
孤独は冷酷にさせるのだろうか。
冷酷が孤独にさせるのだろうか。
私にはどうでもいいことだ。
『腹が減った』
夜食は買ってきたまずいサンドイッチとコーヒー。
野良猫の糞尿の臭いがする部屋。
レディオヘッドのベストアルバム。
タバコを吸う。
『特別な存在になりたい』
考えてみたが、人生は退屈なゲームだ。
これといって楽しいことはほとんどない。
それでも社会の奴隷のように奉仕活動。
生きてくため。
『生きてくためさ』
私は、負け組。
少なくとも幸福とは程遠い生活。
私が知らないだけで世の中はもっと悲惨だろう。
死ぬのは馬鹿馬鹿しい。
『死ぬのは馬鹿馬鹿しい』
指をピストルの形に折り曲げて、こめかみを撃つ
『好きじゃないのに』
「ねね、聞いた?」
こう始まる話はロクな話ではないが円滑なコミュニケーションとして相手に合わせるようにはしている。
穏便な学校生活を送るためだから多少の事は仕方ない。
「○○君がミキの事が好きらしい。」
「えー嘘でしょう!!ヤバっ。」
○○君は学年のアイドル的な存在で度々話題に出るほど女子人気が高い。
「えー○○君は皆のものだから誰か一人のものになってほしくないー。」
雲行きが怪しくなってきた。
私は好きじゃないのにていうかそんな感情生まれてこのかた感じたことないのに・・
「噂でしょ?」
何とか話の流れを変えたかったが無理があるか・・
「噂じゃないよA組の子が好きな子がいるからって振られたんだって。その子の後に男子達が誰だよって詰め寄った時に名前がでたらしい。」
完全なアウトだ。不穏な空気を感じる。
明日から私はどうなっちゃうんだろう。
「あーね。」それしか言えなかった。
私は好きじゃないのにって心の中でつぶやいた・・・。
好きじゃないのに
皆が思い思いのことを話していてガヤガヤしていても君の声だけははっきりと聞こえる。気が付けばいつも君を目で追っている。自分でも不思議に思い友達に相談してみたら「好きなんじゃない?」って。俺は全然、好きじゃないのに。
君と話せると嬉しくて、遊べるともっともっと嬉しくて、もっとずっと一緒にいたいなんて思っちゃったりして。ほんとに、俺は君の事なんか好きじゃないのに最近調子が可笑しいんだ。
まあそのうち治るだろうって思ってたのに、君といる時間が長くなってからどんどん悪化していく一方。誰にでも優しくしないで欲しいとか、俺だけを見ていて欲しいとか、まるで俺が君に恋してるような、そんな感覚になってしまう。
そんな中、君に告白された。
「お前のことが好きなんだ。」
「俺、男だよ?」
「そんなの見れば分かる。」
「だよね」
「お前は、俺のこと好きじゃないのか?」
「好きじゃないよ。」
「なんで?」
「なんで、って言われても」
「じゃあ、俺が女だったら?」
「分かんないよ。ただ、最近は調子が可笑しいだけ。」
「どんな風に?」
「君のこと目で追っちゃったり、俺だけ見てて欲しいなぁ、なんて思っちゃったりしてさ、変なんだよ。」
「なあ、それはもう俺のこと好きじゃん。」
「友達としてってことでしょ?」
「いや、付き合いたい方の好き」
彼は一体何を言っているんだろうか。俺も君も男で、世間の目は冷たくて、好き同士でも、いくら愛し合っていてもこの国での結婚なんて出来なくて 、外で堂々と手を繋ぐことだって出来ない。
「だから、好きじゃないって」
俺は、怖かったんだ。自分が好奇の目で見られたら、って思うと。もし、付き合えて苦しくなることが嫌だったんだ。だからもういっその事、自分の気持ちに気付かないふりをしちゃおうって、そう思った。
「なんで。俺は、お前と居られたらそれだけでいい。周りなんて気にしなくていい」
「君が気にしなくたって周りの人はそういかないでしょ。」
「大丈夫だから、俺が守るから。自分の気持ちに嘘付かないでくれ。」
「そんなの口だけでなんとでも」
言えるでしょ、そう続けるはずだった言葉は出てこなかった。
彼の顔を見てしまったから。何時もとは全く違う、真剣な目で俺を見ていた。ああ、もうこれは俺が何を言おうとどんな態度を取ろうと諦める気は毛頭ないんだなと、そう思わせる目だった。
「な?だから、俺と付き合ってくれない?」
「はあ、降参です」
これも惚れた弱みというやつだろうか。もう何を言ってもダメだと確信して、大人しく君の恋人という特権を貰っておくことにした。
「好きじゃないのに」
納豆は苦手です
幼少期に、父親が毎朝食べていた匂いが
どうしても嫌でした
出産してからは母乳のためにチャレンジ
しましたが、どんな工夫を凝らしても残
負、、、
鯖で乗り切ろうとしましたが、なかなか
上手くはいかなかったです
子どもたちにはそんな思いをさせたく無
かったので離乳食から取り入れました
どの子も嫌がること無く食べてくれて嬉
しかったです
大人になった子どもたち、今でも食べれ
ることに感謝です
私は好きじゃないのに、、、ね
〜鯖缶のコーナー〜
皆様、お久しぶりです。
しばらく勝手に休んでおりました。
お題で浮かばない日が続いたのは
初めてのことで、無理せず気の向
た時の投稿に切り替えます。
投稿ないのにも関わらず♡くださ
った方々に感謝です。
また機会がご縁がありましたら、
よろしくお願いします。
好きじゃないのに
目が離せない
好きじゃないのに
夜ねむる前の天井にあらわれた黒点
明かりをつける勇気がない
さりとて目蓋を閉じる勇気も持てず
どうか動くな こちらへよるな
ただの染みであってくれ
ただじっと息をひそめて 見つめる
目が離せない
好きじゃないのに
目が離せない
『好きじゃないのに』
好きじゃないのに
高校生の時男性と初めてお付き合いをした
と言っても言葉でそう言うことになっただけで、数回電話で話をしただけの付き合い
同じ高校の私は全日制、その彼は定時制
あの頃はよくあるパターンだった
写真でしか知らない彼は、決してタイプではなかったが、断るなんて申し訳ない感じがして、一応受けた、
結局好きになることはなく、断るに断れない日が続いた
そして、フラれた
おまえからフルんかい!
あいつのことなんて好きじゃないよ
むしろ嫌い
俺の言葉にいちいち突っかかってくるし
嫌がらせしかしてこないあいつに
好きなんて感情ある訳ない
「もしもあの子に彼氏が出来たらどうする?」
「は?」
「もしもの話だから」
「そんなの分かるワケないだろ」
「えーつまんない」
もし、あいつに彼氏が出来たらなんて考えた事ない
彼氏が出来たら話すことも無くなるんだ
想像つかないけどきっと
俺はあいつから目を離せられないだろうな
「好きじゃないのになんでなんだろう」
「やっぱり好きなんじゃね?」
「いやいや、ありえない」
この話をしてから早く脈打つからだに気づく俺は
本当はあいつのことをどう思っているのだろう
彼女を想う気持ちに気づくまであと少し
─────『好きじゃないのに』
あれは小学校4年生の時だから、もう10年以上は前の話。
クラス替えして、初めて隣の席になった男の子に恋をした。
初恋だった。
ある日の下校時間、昇降口で、
その男の子の男友達に話しかられた。
「あいつ、あなたのことが、好きだって」
女友達と一緒にいた私はとても恥ずかしくて
「ふーん、あいつがね」
と素っ気ない返事をしただけだった。
翌日、特に私と男の子の関係に変化はなかった。
しばらく経って、席替えの時期になった。
驚くことに再び、男の子と隣の席になれた。
気を利かせた先生が皆の前で、
「もう一回、席替えする?」
と、右手でマイクを握る形を作って、
私と男の子に尋ねてきた。
私はこのままで良かった。このままが良かった。
けれど男の子が「席替えしたい」と言ったから、
すかさず後を追うように「私もしたいです」と言った。
それから私は別の男の子を好きになったりして、卒業した。
好きじゃない。もう、好きじゃないよ。
でも、たまに、彼が夢に出てくる。
私の頭が勝手に彼を成長させた姿で。
夢のなかで、私は自由に振る舞う。
「私ね、昔、あなたのことが好きだったの」
そう言うと、彼はとても嬉しそうに微笑んでくれる。
私達はほんの刹那、結ばれる……
夢から覚めた後に押し寄せるのは、
どうしようもない悲しさ。
好きだった。きっとすごく、好きだった。
願っても願っても、過ぎた時間が戻ることはない。
▼好きじゃないのに