『大切なもの』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
無限の繋がりと空間。大切なもの。家族の笑顔と時間。大切なこと。今の希望が大事なこと。
4月2日 のん
花の香り
掛け布団の重さ
朝焼けの色
春はじめの涼しさ
牛乳の味わい
クリアな思考
大切なもの
誰にでも大切なものがあるよね。
私にも、あなたにも。
何が大切かは人それぞれ。
他人の価値観を否定する権利なんて誰にも無いわ。
私の価値観を否定するのに、私の価値観を否定するあなたの価値観を、それが普通だからと肯定しないといけないのはおかしい話だと思わない?
仕方ないじゃない。全部大切なんだもの。
あなたの髪の毛一本まで私には大切なの!
だから私はあなたの全てが欲しいの。
私のものにしないと、何もかも手の中から離れていってしまうかもしれないから。
あなたの愛が欲しい。あなたの視線を独り占めしたい。あなたの心の中を占拠したい。あなたの腕に包まれたい。あなたの足に挟まれたい。あなたの腸を首に巻きたい。あなたの脳を覗きたい。あなたの心臓とひとつになりたい。
信じてよ、あなたが大切なの。
なのに何故私が犯罪者なの?
私はただ大切なものを手に入れただけ。みんなやってることじゃない!
どうして私の大切なものは手に入れちゃいけないの?
ずるいずるいずるい。
みんな私を否定する。だから私も否定する。私を否定した全てを。
あなた達がそうしてきたように。
大切なものはたくさんなくていい
片手に余るくらいでいい
そんなにあっても守りきれないから
守りきれるくらいで丁度いい
この手とこの心から零れ落ちないように
すべて守ってみせる
守りきれないならきっと抱えきれないってことだから
いつだって大切なものを守れる私でいよう
題名:大切なもの
─目に見えないから、大切なんだ。
そんな綺麗事、言わないでよ。
グルって回って、見えるのは、
ぐにゃりと歪む、世界なんだってさ。
─常に意識してないから、大切なんだ。
そんな綺麗事、言わないでよ。
嘘と真実、信頼できるのは、
誰かのための嘘、なんだってさ。
─人生で一番大切なものって、結局分からないね。
大切なもの
いいじゃない
楽しむだけでも
季語がどうとか
知らなくたって
五七五で
ことばをつないでも
大切なもの。
私の大切なもの。
幼少期は宝物BOXにビーズやマスコットなどを入れてた
小学生の頃は、ぬいぐるみ。
中学生の頃は、 初めてできた推し。
高校生の頃は、勉強。
今の私はなんだろな、
でも今迄もこれからもずっと大切なもの
私の家族。
私がまだ生意気盛りな青年の頃、ある日街を歩いていると小汚いお爺さんが針が折れてこわれている安物の時計を大事そうに持っていた。不思議に思って私が聞くとお爺さんは「これは亡くなった妻との唯一の思い出なのじゃよ」と答えた。でも私は壊れているからいくら大事な者でもそこまで持つのかと聞いた。それからお爺さんはニヤッと不快にも好ましくも感じぬ中間的な笑みをたたえて「おまえさんもいつかわかる」と言った。それから10年が経った。成程。確かに人生にはくだらなくても大事なものがある様だ。そう思えてきた。どんなに安くても壊れていても大事なものは大事なんだと理解した。まだ大事なものは見つかっていない。けど大事な考えが見つかった。
この物語はフィクションです。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
更新が遅れて申し訳ありません。
「今日は、皆さんの大切なものの絵を書いてもらいます。」
6時間目の美術の授業中、先生が生徒に向かってそう言った。
お題に則していればなんでもいいらしい。
大切なもの、なんていきなり言われても何も思いつかない。
ためしに周りの人達に何を描くか聞いてみた。
昔買ってもらった飛行機の模型
部屋に飾ってある家族写真
お気に入りの服
部活で使っているシューズ
夏休みの作品で取った賞状……
どれも特別で、大切なことには変わりないだろうが、
何か違う。
じゃあ、僕にとっての[大切なもの]ってなんだろう。
結局思いつかないまま、チャイムが鳴ってしまった。
今日は部活も委員会もないため、いつもの友達と帰る。
友達と、今日の漢字テスト何点だった?とか、今日の数学の
課題だるいよなぁとか、そんな他愛もない話をしながら。
そんな時に、ふと美術のテーマを思い出した。
[大切なもの]
僕にとっての大切なものは、他の人からするととても些細なものなのかもしれない。
それでも自分の中で納得がいくものを見つけたと思う。
これをどうやって絵にしようか。
なんて考えながら、友達と帰った。
僕にとっての[大切なもの]、
それは、[何気ない日常]なのではないか。
僕はその時、そう思ったんだ。
『大切なもの』
大切なもの
少しグロいし悪趣味なので苦手な方は読まないでください。
心中後の死体と生首の話です。
崖下に二つの落下死体がある。
女が一人それに向かって歩いていく。切り立った崖の上を見上げ、ゴツゴツと突き出た岩を眺め、損傷の激しい死体を見下ろす。
手足は捻じ切れ、胴体は二つあるのに頭が一つ足りない。
女は死体の近くの岩に座り、運んできた正方形の箱を膝の上に置いた。
「まだ家の人には見つかっていなかったよ」
箱に囁く。
箱の蓋を外すと目を見開いた少年の生首が姿を現した。
食い入るように二つの死体を見つめている。
「彼女が本当に死んでいるのか確認させてください」
震える掠れ声で女に頼む。
女は箱を岩に置いて、頭部がついている方の死体に近寄った。
「間違いなく死んでいるよ。君を拾ったときにはもう死んでたけどね。どうする、君もここで死に直す? 心中だったんだろ、初志貫徹するかい?」
彼は答えない。
飛び降りて重傷を負ったものの死にきれず、激痛と死の恐怖の中で二晩過ごした彼にはこんな姿になってももう死を選ぶことはできなかった。
沈黙の後、箱の中でかすかに喉を詰まらせるような呼吸音がした。
少年が泣いている。
女は彼の事情を知らない。死にきれない彼を見つけて無事だった首を奪っただけだ。
捨ててきた家も心中した彼女も自分の身体さえ失って彼にはもう何もない。自分を構成するもの全てを失えばもう心の支えも守るものもない。少年は次第にしゃくりあげ、心まで失ったような声をあげて泣いた。
女は箱を覗き込むと涙でぐちゃぐちゃになった頬に手を添えて少年の首を箱から取り出した。
抱きしめて頬擦りする。
涙が彼女の頬を濡らす。声と涙、頭部の筋肉の動き、しゃくりあげ涙を流す動作。絶望と混乱と喪失感と、頭の内部で展開する彼の感情を愛情を込めてきめ細やかに感じ取っていく。今ここでそれを味わえるのは彼女だけだ。
そういうものを味わうことが彼女にとっては何よりの快楽だった。
彼には見えない頭の後ろで、花開くように彼女は歓喜と恍惚の表情で笑った。
少年が静かになった後、首をしまった箱を片手に魔女は家に帰った。
一ヶ月経っても崖下の死体は彼らの家族に発見されることはなかった。
首のない少年の身体は朽ちていった。
だが首がついている方の死体、少女の身体は少しずつ回復しある日意識を取り戻した。
彼女は不死者だった。それは彼女自身も知らない事実だった。
彼女は足元のおぼつかない歩き方だが着実に、少年の首を入れた箱と魔女が去っていった方向に進んでいった。
『あなたにとって1番大切なものはなんですか?』
画面の中で街中インタビューの様子が流れている。
「えー?やっぱり家族?替えがきかないので」
「この時計!おじいちゃんがくれたものなんです」
「妻かな、、恥ずかしいですね笑」
妻はとても家庭的な女性だった。料理は上手く、家事も完璧。性格は穏やかで笑顔が似合う。話上手で楽しそうに話す内容も面白かった。俺は妻の話が1番好きだった。喧嘩する時も多少はあったが大体は俺のせいだった。でも結局妻は毎回笑って許してくれた。俺は妻を愛していた。だから俺は妻にはできる限り裕福な暮らしをして笑顔でいて欲しいと仕事に勤しんだ。俺たち夫婦は嘘偽りなく完璧な夫婦だった。
妻は料理にはすごく拘っていた。俺は妻の手料理の中でも特に1年に数回出る肉料理が好きだった。俺にフレンチの知識はないから、カタカナの長い料理名は覚えきれなかった。でも妻は毎度どこの部位を使ったのか説明してくれた。やっぱり俺にはよく分からなかったが、美味しいことはわかった。独特な部位を使った、初めて聞く料理もハズレたことは無い。妻はよく「生き物ってすごいわよね。だって上手に料理すれば脳みそまで食べられちゃうのよ!」と言っていた。
俺の大切なものは間違いなく妻である。そんな妻は結婚生活を初めてすぐくらいに足を怪我した。正確に言えばアキレス腱を損傷してしまい、歩くのが不自由だった。それでも俺が支えて休日は一緒にたくさん出かけた。それに加え妻は時々入院したりすることもあった。でも妻は薬を飲みたがらなかった。「料理の味が落ちるから」らしい。有名なシェフなんかは味が濃いものなどは食べないらしい。舌が鈍って料理の味が落ちるから。妻はプロじゃなかったが、俺のためにと言って料理はどんな時でも最高のものを出してくれた。俺は心配だったが、優先順位は「妻がやりたいこと」だった。妻が嫌がるなら、と薬を無理に飲ませはしなかった。
そんな妻はだんだん弱っていった。でも料理は欠かさずつくってくれた。俺が横から手を出そうとすると逆に「やめて」と頼まれた。だから俺は「料理以外の家事はやらせてくれ」と言った。最初は慣れず、妻に教えてもらったり失敗もしたが最近は「なかなか板に付いてきたわね」と妻も褒めてくれるようになった。妻はよく「ごめんね」と言ってきたが、俺のために頑張ってくれてるんだからこちらが謝りたい気持ちでいっぱいだった。
ある日妻はまた入院した。帰ってきた時には妻はもう喋れなくなっていた。俺は大好きな妻の話が聞けないことに寂しいと感じたが、その分表情は弱々しくだがころころ変わった。喋れなくても会話は二人の間で成り立っていた。妻は帰ってきてから揺れる字で筆談をしていたが、「今日はラング・ド・ブッフ・ブレゼ」と紙に書いて嬉しそうに見せてくれた。この料理は今までの肉料理の中で1番好きだと感じた。この特別感は、紙に書いてくれたおかげで名前を覚えているからかもしれない。
妻は床から起き上がることが難しくなった。この頃から表情ももう変わることはなくなった。料理は妻自身が「きっと動けなくなってしまうから」と冷凍しておいてくれた。俺の好きな肉料理も作り方をメモして、具材を冷凍しておいてくれた。
数日して妻は動かなくなった。
手元で鍋の中身がぐつぐつと言う。
メモには「テッド・ド・ウォーの作り方」
テレビの中でインタビュアーが質問する。
『大切なものを失った時どう思いましたか?』
「絶望、ですかね、笑」
「何時間も泣きました」
「1週間ぐらい動けなかったかな笑笑」
「でも今も私の中で生き続けてる、と信じたい」
妻の最後の料理をどんどん口に運ぶ。
最後の一口。
これが妻の最期。
俺も信じよう。
妻は俺の中で生き続ける。
口を開く。
----------------最後の妻を口に運ぶ。
『大切なもの』
(二次創作)(大切なもの)
――まったく、貴女は何をしているんですか。
懐かしい声がして、オワパーは目を開けた。まだ夜が明けるまでしばらく掛かりそうだが、やけに明るいのは今宵が満月だからか。
(夢……よね)
当然だ。声の主は、かつてオワパーの住む離れに気まぐれに通ってきた水のエナジストで、オワパーの恋した相手でもあった。今はもう、ここを訪れることのない男。
(ハルマーニは……)
一緒のベッドで眠っていた息子を探す。月明かりのおかげで、すぐに見つけることができた。ベッドの下の方で、丸くなってすうすうと熟睡している。
「…………」
柔らかい頬に、そっと触れる。月の光を優しく反射する水色の髪は、恋した男から受け継がれたものだ。肌掛けを掛け直してやってから、オワパーはしばらく、眠る息子を優しく見つめる。途中で起きてしまった自分と違い、ハルマーニが起きる気配は無い。
一番大切なものは、その時々で変わってきた。『彼』に出会うまでは、アヤタユの人々だった。『彼』に出会ってから『彼』が一番大切なものになった。そして『彼』が去って久しい今、一番大切なものは、静かに眠っている。
(わたくしったら、随分と自分勝手になってしまったわ)
もちろんアヤタユの皆も『彼』のことも、大切であることに変わりはないけれど。ふと、窓から水分を含んだ甘い風が吹き込んできた。カーテンがさらりと揺れる。窓なんか開いていただろうか?このままでも寒くはないし、と、とろとろと蘇ってきた眠気に身を任せる。ハルマーニは温かく、そっと抱き締めるととても心地よい。
(ハルマーニ、わたくしの宝物)
アヤタユの皆に愛されて、ややわんぱくに育ちつつある息子が、愛らしくて仕方がない。今はまだ、幼いけれど、言葉を話すようになればもっと愛しくなるだろう。『彼』はなんと素晴らしいものを置いていってくれたのだろうと、オワパーは嬉しくなった。
ありふれた月夜の話だ。
大切と大事ってなにが違う?
はっきり使い分けてはいないかなと思う。強いて言えば、大事は「価値」、大切は「思い入れ」に重きを置いている気がするくらい。
あとは、大切は濁らないけど大事はふたつも濁点が付くぶん、ちょっとだけ重々しい、かもしれない。
グリム童話の白雪姫も、昔は「ゆきじろひめ」だったのを、語感を整え取っつきやすくするため「しらゆきひめ」にした、なんてエピソードを聞いたことがある。
それはさておき、大切なもの。
私の場合はコアラのぬいぐるみ。
幼稚園に上がる前から一緒だった。
さすがに持ってないと寝られない、なんて時期は卒業したけど、それでも腕に抱いて床につく(そして朝起きると足もとに吹っ飛んでたりする。なんでだろう?)。
彼はコアラらしく木に掴まるようなポーズで座っている。それで少しななめを向いているのが、左胸に抱いたときものすごくしっくり来るのだ。安定感がはんぱない。ユーカリの大木になった気持ち。
ココア色のボディと、傷んでごわごわになった耳。破れたおなかを母が「しゅじゅつ」してくれた跡。見た目はずいぶんと薄汚れてしまった。
彼を見つけてくれたのは二番目の姉だ。親子で行った幼稚園のバザーで売られていた。隣にいた子が欲しそうにしていたので、慌てて私のところまで持ってきたという。
なにがきっかけだったかもう思い出せないけれど、コアラが好きだった。
それを家族みんな承知していたのだろう。まだ元気な頃よく可愛がってくれた祖父は、コアラのためだけに大阪の天王寺動物園へ連れていってくれた。当時家から行ける距離でコアラが見られるのはそこだけだったのだ。
父は父で淡路島のイングランドの丘へ何度も行ってくれた。せっかちな人なのに、コアラのエリアでは何十分眺めていても急かされたことがない。
鹿児島旅行で寄った平川動物公園も言わずもがな。アルバムはコアラの写真でいっぱいだ。
思い出したら寂しくなってきた。今日はちょっと早めに寝よう。
コアラ君。
朝までちゃんと腕のなかにいてね。
(大切なもの)
22:00訂正、平川動物公園は行ってました。
ユメ、リオ、バンビオ君。可愛かったなあ。
<読まなくてもいい前回(3月18日分)のあらすじ>
かつて高ランクの冒険者として名を馳せた主人公のバン。
だが、仲間の裏切られトたラウマからダンジョンに潜れなくなってしまう。
バンの恋人でもある聖女クレアの勧めにより、心の傷を癒やすため故郷の村に帰るになった。
冒険者の経験を活かし、村で自警団で働いていたバン。
しかしある日、誰も踏み入れたことのないダンジョンを発見する。
そのダンジョンを前に、バンは過去のトラウマを振り切り、クレアと共にダンジョンへ踏み込むことになった。
そしてバンとクレアの二人は、力を合わせてダンジョンを攻略し、最深部までたどり着く。
だが、そこには最強の代名詞、ドラゴンが巣を作っており……
◆ ◆ ◆
「お前、『人として大切なもの』をどこかに置き忘れたんじゃないか?」
俺の率直な感想を思わず口に出す。
俺の言ったことが分からなかったのか、クレアはコテンと小首をかしげる。
「忘れ物をなんてしてませんが?」
「そうじゃない。後ろを見ろ、後ろを」
「後ろ?」
クレアが、「何か忘れたっけ?」と言いつつ、後ろを振り返る。
だがクレアは相変わらず『何も分からない』といって視線をも戻す。
「あのバン様……特に変ったものはありませんが?」
クレアはどうやら、自分が何をしたか分かってならしい。
あまりの常識外っぷりに頭が痛くなってくる。
「あれが、変じゃないなら、この世界に変な物なんてないぞ」
クレアはなおも『意味が分からない』と困惑顔で、俺を見つめる。
「いいか、よく聞け。
世の中にはな、複数のドラゴンを相手取って、無傷で倒すなんて奴なんて存在しないんだよ!」
そう、ここはダンジョンの最深部。
ダンジョンの主ととしてドラゴンが君臨していた。
ベテランの冒険者パーティでも、一瞬の油断が命とりになるほどの脅威。
そんな存在が、一匹でも危険なのに、ここには五匹のドラゴンがいた。
だが俺の目の前にいるクレアは、そんな危機的な状況をものともせず、朝飯前だと言わんばかりに、一人でドラゴンを全て倒してしまったのである。
伝説級の武器を持っているならまだ分かる。
だが彼女が使うのは、駆け出しの冒険者が使うような安いメイスである。
この使い勝手も、攻撃力も低い安物のメイスでドラゴンを倒したのだ。
もはや人の所業ではない。
「何を言っているのですか?不可能ではありませんよ」
「不可能だよ。実際、俺は出来ねえもん」
これでも、俺の実力は冒険者の中五本の指に入ると自負している。
そんな俺でさえ、複数のドラゴンは逃げの一択しかない。
だが目の前はクレアは、聖女らしく優しく微笑みながら答えた。
「神の加護さえあれば、ドラゴンを倒すことなど造作もありません」
後半物騒だな、おい。
「どうです。バン様。
この機会に、神の加護を受け取りませんか」
「なんか嫌だ。お前の信じる神、恐いもん。
代わりに、なにか大切なものを無くしそうだ」
「まるで悪魔の様に言わないでください」
俺の答えを聞いたクレアは、不服そうに頬を膨らませていた。
このまま話を続けても、面倒なので、話題を切り替える。
「逆にお前がダメな相手がいるのかよ……」
「いますよ」
予想外の言葉に、一瞬耳を疑う。
え、いるの?
「幽霊がダメなんですよ」
「ふうん……これ言ったら失礼だと思うけど、なんか普通だな」
「私は普通ですよ」
「普通のやつはドラゴンを倒すことは出来ない」
本当に何言ってんだコイツ。
「ちなみに理由は?」
「殴れないんですよね」
「だと思ったよ」
「まあ、いいや。そろそろ始めるかね」
「何を――ああ、素材の剥ぎ取りですか?」
「それもあるけど、量が多いから、解体は他に人を呼んでからだな。今回は他にすることがある」
俺は目当てのものが無いか、周囲を見渡す。
ここはドラゴンの巣。
であれば『アレ』があるはずだ。
隅々まで巣を捜索し、お目当ての物を見つける。
「あった」
「……それはドラゴンの卵ですか?」
「ああ」
「食べるのですか?ドラゴンの目玉焼きなるものが存在すると、以前どこかで聞いたことがあります」
「いや、今回は違う」
クレアに振り返り、俺はニンマリ笑う。
「あの卵を孵すんだよ。ドラゴンは生まれて初めて見た生き物を親だと思い込む。
冒険者仲間の中に、ドラゴンを飼ってるやつがいてな。
で、飼ってるドラゴン戦わせたりとか……
俺もやってみたいと思ってたんだよな」
「……モンスターを飼いたい?戦わせる?」
後ろから冷ややかな声が聞こたので振り向くと、クレアは理解できない顔で俺を見つめていた。
「……前々から思っておりましたがバン様は――いえ、冒険者の皆様は、人として大切なものが欠けているように思います」
大切な物か
なんだろうな
あの人からもらったお手紙かな
初恋の人に手紙をあげた、その時にお返事くださいって最後に書いた、その時にもらった
お手紙
悲しい時、寂しい時会える時はもちろん遠くにいて会えない時もお手紙で何度も励まされた今でもだ
だからそれが私にとっての宝物かな
お題[大切なもの]
No.89
深夜24時のファミレス。
「だって、どっちかは諦めなきゃいけないわけでしょ」
冷めたフライドポテトにマヨネーズをつけて平らげると それから結芽は大きくため息をついた。
「…でもそれって、結局どっちかは大切じゃなくなるんじゃない? いずれ。」
楓は結芽にポツリと言い放つと、窓から見える通過していくトラックをぼうっと眺めていた。
「まあ明日にはもう出さなきゃいけない訳よ。
なんでこんなに急に人生の選択肢って選ばなきゃいけないんだろ!」
「自分で願書出したんじゃないの(笑)」
「そうだけどー、いきなり海外勤務なんて聞いてないし」
結芽は就職活動でホテルマンを目指していた。
運良く第一志望に受かったものの、東京本社ではなく
いきなりロンドン支店への入社が打診されたのだった。
結芽自身にとっては栄誉なことだったが、付き合っている同期の佑亮はすでに東京で転勤なしのメーカー勤務が内定していた。ちなみに楓は親の小さな会社を継ぐことになっている。
「こわいな、遠距離なんてしたことないし」
「まあ…私も会えなくなるのは寂しくなるよ」
「だったら止めてよー!」
いつもなら深夜ノリで騒げば、楓も乗ってくれるのだが今日は全然乗ってこない。つまらなくもあり、でもそれが嬉しくも感じた。
「応援してるよ、
何処にいたって結芽と私は変わらないから」
そっくりそのまま
同じ言葉を佑亮にも期待している結芽がいた。
目の前でとびきり嬉しい言葉をかけてくれた楓に対して申し訳なく感じた。
「…うさぎ?」
通勤ラッシュ終わりかけの駅のホームで拾ったのは、ボールチェーンのついたうさぎのぬいぐるみ。
黒いアスファルトのホームに、白っぽいピンクの色は映えるというのか、とりあえず目立っていた。
にも関わらず、目的地に行くのに忙しいサラリーマン、OLには見向きもされなかったようで、11時勤務開始のバイトの俺に時差で拾われてしまった、というわけだ。
そのうさぎは有名なテーマパークのキャラクター…だったと思うのだが、彼女いない歴イコール年齢プラステーマパークに興味のない俺には、キャラの名前までは思い出せない。
「だいぶ年季入ってんなぁ」
改めて見ると、俺が知ってるそのキャラクターよりも、体はほっそりとなり、色もくすんでいる。
正直、小汚いシロモノだった。
「あの、それ…」
「え?」
しげしげとうさぎを眺めていたら、駅員のお姉さんに話しかけられた。
「あ、申し訳ありません、突然」
「あー、いえいえ」
「そのうさぎさん、私が知ってるお客様のものだと思うんです」
駅員さん曰く、そのお客様は通勤ラッシュの時間帯に大人にまじって、ランドセルに制服で通学している小学生の女の子だという。
「私もそのキャラクターが好きなので、つい目で追っちゃってたんですよね」
「あー、なるほど」
「よろしければ、私が窓口まで持っていきますよ」
「あ、じゃあ、お願いします」
「はい、お預かりします」
受け取った駅員さんが、えらく優しい目でうさぎを見てるな、と思ったが、去り際にさらにうさぎに話しかけているのを聞いてしまった。
「こんなに長く大事にしてくれる子のところに行けて、良かったね」
なんの思い入れもない俺からすれば「小汚いシロモノ」でも、持ち主やキャラを愛する人からすれば、また違うものになる。
「…俺にもなんかあんのかなぁ、そういうもの」
改札を出ると、「さくらまつり」という横断幕の桜の写真に目をひかれた。
「春だし…探してみるかな…」
お題「大切なもの」
癒着し合っていたものが分離する時、お互いが綺麗に分かれて剥がれ落ちるなんてことは不可能で、大抵の場合もう片方の内容も多かれ少なかれ巻き込まれる。
道連れとでも言わんばかりに、一緒に雪崩落ちてしまう。
「埋まらない心の穴」はこうして作られるのだと思う。
離れたくないのは、剥がす時が痛いから。
剥がせば自分ごと持っていかれそうだから。
手放すのが怖いのは仕方ない。
【大切なもの】
「自分の大切な物がある人〜?」
「はーい」「あるよ!」「俺これ!」etc....
先生が皆に問いかけると、皆は次々に手を挙げ発表しようとしていた。
僕の大切な物ってなんだろう。
僕は、いつも明るいと言われるけど、家では姉と2人きりで仲は良いとも言えないので喋ることは無かった。好きな色も食べ物も、趣味も好きな人もコロコロ気分で変わってしまう。その中に大切な物だって入ってる。僕は何が好きで何が大切で何が嫌いなんだろう。気持ちがあやふやになっていつも心がずっと重くて、それをバレないようにって隠す事に涙が出てきて息が続かなくてお腹がきゅうっとなって…。
親には言いずらいからと何回もそれを解決する方法は探した。でも何回やっても精神科医に言ってくださいの一点張りで僕は行けないって言ってるのに。
僕の大切な物…大切なもの…たいせつなもの…。
頭がぐるぐるしてきて僕はぐらついた。
ーバタッ
..........................................................................................。
僕は何をしていたんだろうか。
気付くと僕はベットに横たわっていた。
嗚呼、そうだ僕は大切なものを考えていたんだ。
探さなくちゃ。僕は起きるために横を見た。するとクラスの皆と家族からの手紙が来ていた。その手紙を読んで見ると何故か心がふわっと軽くなった。僕の大切なものって今僕を大切にしてくれてる人なのかな。僕はそのまま眠りについた。
大切なもの
大切だと思い込んでいたものを、
削ぎ落とそうと思った。
それは、
少し寂しいことかもしれないけれど、
これ以上持っていても、
私には大切にできないと気づいたから。
どんどん身軽になっていきたい。
本当に大切なものだけを、
この手に握って。
#197