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私がまだ生意気盛りな青年の頃、ある日街を歩いていると小汚いお爺さんが針が折れてこわれている安物の時計を大事そうに持っていた。不思議に思って私が聞くとお爺さんは「これは亡くなった妻との唯一の思い出なのじゃよ」と答えた。でも私は壊れているからいくら大事な者でもそこまで持つのかと聞いた。それからお爺さんはニヤッと不快にも好ましくも感じぬ中間的な笑みをたたえて「おまえさんもいつかわかる」と言った。それから10年が経った。成程。確かに人生にはくだらなくても大事なものがある様だ。そう思えてきた。どんなに安くても壊れていても大事なものは大事なんだと理解した。まだ大事なものは見つかっていない。けど大事な考えが見つかった。
この物語はフィクションです。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
更新が遅れて申し訳ありません。

4/4/2024, 8:43:22 AM