『夜の海』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「夜の海」
静かな波の音、暗い夜に反射された暗い色、冷たい水、夜の海と言うのはどこか儚いものだ。
だけど僕はこの儚い海が好きなんだ。
僕を助けてくれた君との思い出の場所だから
孤独
漁船の光が魚を誘い
振り返れば街の明かりが散らばる
真に暗いのは今ここだけ
誰からも見えない
一番の特等席
※夜の海
「くらげを見に行こう」
もう外は静まり返って良い子は寝る時間なのに
唐突にあなたは切り出した。
「……くらげ?」
私はしかめっ面で見つめていた液晶から視線を上げると彼の目を見つめて怪訝な表情をした、
と思う。
「うん、くらげ。好きって言ってたでしょ?」
相変わらず突拍子もないことを言い出すものだな、と思った。
けれど彼の表情は大真面目で、どう傷つけずに断ろうか、しか私の頭には浮かばなかった。
「無理だよ、いま、忙しいの。ごめんね。ありがと」
私には今日中に終わらせなければいけない仕事が山積みなのだ。
だが彼にはなんとなく傷つけないように付けた
ごめん、も、ありがとう、も意味をなさなかった。
「忙しい?大人みたいなことを言うんだ」
ふーん、と、私よりも一回りも歳上の所謂「大人」が
大人らしからぬ拗ねた顔で私を見ている。
もうこうなったらダメだ、聞かない。
「……わかった、すぐ帰ってこようね」
私がここ数日しかめっ面でパソコンの液晶とにらめっこばかりしているから、気分転換でも、と思って誘ってくれたことはとてもよく分かっていたので、私は今困った顔をしているんだろうなと分かりつつも精一杯の微笑みを彼にプレゼントすることにした。
「それじゃ、さっそく!せっかく海の見える家に越してきたんだから、使わないと勿体ないよ」
さっきまでの表情と打って変わって今度はキラキラ目を輝かせて少年のような顔つきになる。
ああ、そうか、私この人のこういう純粋なところが好きなんだっけ、といつも思う。
軽く身支度を整えて外に出ると
じとっとした夏の暑さがまとわりつく。
「暑いねぇ……」
「そうだねぇ……」
どちらともなく呟くと、それでもしっかり手を繋いで私たちは歩き出した。
目の前に広がる海はここからだと街灯が邪魔して真っ暗な闇にしか見えない。
「飲み物持ってくればよかったねぇ…」
思い出したように彼がつぶやく。
「喉乾いた?コンビニ寄って買っていく?」
海とは逆方向に少し歩けばコンビニがある。
私の親切な提案はううん、大丈夫。はやく海見て帰らないと。仕事、中断させちゃってごめんね。
という彼の言葉で却下されてしまった。
「仕事のことなんていいのに、むしろありがと。酷い顔してたでしょ?」
と笑うと、実はね、こんな顔してた。
と眉間をぎゅっと寄せて
それはそれは酷い顔をしてみせてくれた。
「でも今は、いつもの可愛い顔になってる」
そう笑って彼は繋いだ手をぎゅっと握ってくれた。
海に着くと、月の光が波に反射してキラキラと光っていた。
砂が靴の中に入るな、帰ったらお風呂場直行だな、
なんてことを考えていると
「ねー、こっち」
彼が私の手を引いて私は危うく転びかけた。
危ないでしょーと声をかけると
ごめんね、と肩を竦めて笑う。
波がもうすぐそこ、足が波にさらわれないように気をつけないと、という所まで来ると
「くらげいないねぇ……」
と残念そうに彼がつぶやく。
「本当にくらげがいたら、刺されたら嫌だし、それに居ても暗いから見えないと思うよ?」
と笑うと彼はそれもそうか、と納得したように言った。
まさかこの人、本当にくらげを見ようと思ってたの?という疑問は湧いたが、まあそれはいいとしよう。
ちょっと休憩しようか、と言われ
波から離れたところに二人で腰を下ろす。
あー、もうこれで服の中も砂でじゃりじゃりになるかもー、とか思った自分がいたのは認める。
でも言わなかった。
この素敵な雰囲気の夜の海を壊さない方を選んだのだ。
グッジョブ、私。
しばらく私たちは二人で夜中にこの暑い中肩を寄せあって波の音に耳を傾けていた。
ああ、いい気持ち……
彼が連れ出してくれて良かったかもな、と目を閉じる。
「ねぇ……」
彼が沈黙を終わらせたことで私は目を開けた。
「なぁにー」
彼の肩に頭を預けるようにしながら返事をする。
「そろそろ、」
「そろそろ?」
帰ろうか、と続くと思ったが違った。
「そろそろ、結婚しようか」
え?なに急に。という私の疑問は口に出す前に解決した。
……そうか、今日は、日付が変わって2年目の記念日だったかな。
仕事に振り回されすぎていっぱいいっぱいで
忘れてたのは私の方か……
「そろそろって言い方がいや。そろそろ期限的に、そろそろしないと、に聞こえる。」
ちょっとめんどくさいかな、と思いつつも
せっかくのプロポーズだ。
もう少しロマンチックに頼みたい。
「……えっと、」
彼はこういう時、歳上のくせに、一回りも上のくせに、困ったように笑うんだ。
付き合った日もこんなだったっけ、と思い出が蘇る。
「…うん。」
私が優しくニコリと微笑みながら彼の顔をのぞき込むと一瞬びっくりした顔をして、でも、ちゃんと私の目を見つめて
「俺と、これからもずっと、一緒にいて欲しい。どんな困難があっても大丈夫……かは分からないけど、乗り越えたい。それに、初めて、ひとりでいたい時はあっても、会いたくない時はなかったな、と思えた人だから。だから、結婚したい。」
と言った。
その目は真っ直ぐで、
乗り越えようじゃなくて、乗り越えたいって言うところが、彼らしいな、なんて。
・
・
・
・
・
「それでそれで!?ママはなんて答えたの!」
「ママはねぇ……やり直しって言ったのよ。笑」
「えー!!なんでー!!超いいじゃん!カッコイイじゃん!なんでダメだったの!!」
学校の宿題で自分の名前の由来を聞いてきなさい、という宿題を出されたおかげで、この話になって目を輝かせながら聞いていた娘が、信じられなーいと言ったふうに問いかけてくる。
「だってパパ、その時、鼻の上に砂、つけてたのよ。それも結構な量を。笑」
ええー!?!?あのパパが!?
と娘が驚いたように笑う。
「だってパパ、いつも仏頂面だし、なんでも完璧?主義だしさあ、この間なんてテストで……」
・
・
・
・
・
こんな昔話、娘にきちんとしてやれるのも、
ちゃんとあの日、鼻に砂をつけて、私を笑わせてくれた彼のおかげだな、と思う。
あの後帰る前に緊張しすぎたパパが軽い熱中症になって、帰るの大変だったのよ、は、彼のプライドのために言わないでおこう。笑
「そろそろご飯できるから、宿題片付けておいで。それとこの話を聞いたのは、パパには内緒ね」
と肩をすくめてウインクすると任せてとウインクして宿題を片付けに行く後ろ姿を見送る。
とほぼ同時に
玄関のドアがガチャり、と音を立てた。
タイミングいいな、なんてふと思う。
もしかして盗聴器でもしかけていて、話し終わったから帰ってきた?
そんなわけないだろ、とひとりツッコミを頭の中で入れる。
カチャリ、という鍵を閉める音の後に
スリッパで廊下を歩く規則正しいパタ、パタ、という音が聞こえる。
リビングのドアがあくと帰ってきた彼と振り向いた私の目が合う。
「おかえり、パパ」
「ただいま」
疲れていても目を見てニコリと笑ってただいまを言ってくれるこの人と、やっぱり結婚してよかったな。
と思えた日になった。
あとで娘ちゃんにありがとうを言わなくちゃ。笑
Fin
【夜の海】
闇の底のように厳かで静かな夜の海は、まるで私たちを飲み込もうとしているみたいだ。波の音すらも獣の唸り声のよう、恐ろしさに身慄いする私の横で、君が明るい歓声をあげた。
「すごい! キラキラしてる!」
満面の笑みで君が指差した先には、月と星の光が海面に反射している。そこで初めて、目の前の大海はただの暗闇ではなかったことに気がついた。
はしゃいだ君が砂浜を駆けていく。危ないよという私の制止は届かない。波打ち際に足を浸した君は、ぱちゃぱちゃと音を立てて、打ち寄せる波と戯れ始めた。
あれほど深淵からの呼び声のようだった波の音が、君の立てる軽快な水飛沫に紛れて愛嬌を帯びる。あれほど感じていた畏怖の念なんて、気がつけばどこかに飛んでいってしまっていた。
私にとっては恐ろしくて冷ややかなこの世界を、いつだって君は美しく鮮やかに彩っていく。君と見る景色は、悪くない。
ふふっと微笑んで、月光と星明かりに包まれた煌めく海へと私は一歩を踏み出した。
夜の海は、墨汁をこぼしたかのように。真っ暗な水平線がただただ続いている。
闇の中、波の音だけ響く世界に、得体の知れない恐怖を感じたものである。
そして今、私はまた恐怖している。
あの夜の海を思い起こすような、激しくこぼした墨汁。
賃貸の床。
夏休みの宿題である習字をやっていた息子。
得体の知れている恐怖は、当時感じた恐怖よりもっとずっと怖いものだった。
『夜の海』
夜の海を見たことのある人って実は少ないんじゃないだろうか。海の近くに住んでいないと、中々見れない気がする。だから、お出かけが嫌いな私は、見ることがないんだろうな。
鬼滅の刃&ハイキュー
主人公「神宮寺雪亜」雪柱カラス「白色」名前「スーリア」
友達 「水海森羅」海柱カラス 「薄い黒」名前「アクア」
これは鬼滅の刃とハイキューのコラボです。さてバレー部の皆は鬼に食われないのか?それは読んでからのお楽しみ。さぁ行ってらっしゃい。貴方も食べられないようにね?
雪亜「あ、森羅じゃん!」
森羅「お〜やっほ!」
隠「雪柱様海柱様。御館様がお呼びです。」
雪亜「あら。ありがとう。」
森羅「行くかぁ」
屋敷
雪亜。森羅「お呼びでしょうか。御館様」
御館様「あぁ来てくれてありがとう。君達には高校に行ってもらう。良いね?」
2人「はい、?」
御館様「高校で鬼の情報が出たんだよ。」
2人「御意」
高校へ
森羅、青葉城西 雪亜、稲荷崎 炭治郎、音駒 伊之助、烏野
善逸、白鳥沢 義勇、伊達工。
雪亜「今日からお世話になる神宮寺雪亜です。」
北「おぉよろしくな。」
侑「よろしく!!」
治「よろしくな!」
倫太郎「よろしく」
美由紀「よろしくね!」
美由紀は北信介の彼女。悠莉は角名倫太郎の彼女。里帆は治の彼女。真央は侑の彼女。全員の彼女はマネージャー。
モブ子「あれ?新人か。よろしく。」
雪亜「よろしくお願いします。」
北「ほな練習始めるで」
全員「はい!」
マネ「スポドリ作ろっか!」
雪亜「はい。」
モブ子「クソッ」小声
雪亜心の中「聞こえてるっつーの」
スーリア「御館様からのお呼びた。すぐ行けぇ」
侑「なんやあれ。カラスが喋っとる」
雪亜「分かった。」
スーリア「かぁー」
(雪亜シュン)
雪亜「どうされましたか?」
御館様「雪亜。北という男に恋していないかい?」
雪亜「ギグッし、してないですよ?」
御館様「したんだね。彼らは鬼の存在を知らない。」
雪亜「分かっています。」
御館様「好きでいるのは構わない。だが、手は出すなよ?」
雪亜「御意」
稲荷崎へ戻る。
美由紀「どこ行ってたの?」
雪亜「貴方には関係ないですよね?」
美由紀「あ、ごめんね、。」
真央「まぁまぁ」
悠莉「とりあえず今休憩だから質問コーナーしない!?」
里帆「良いね!!」
雪亜「私は遠慮します。」
雪亜以外「あ、分かった、」
雪亜「それでは。」
雪亜以外「ちょっと怖いね」
モブ子心の中「調子乗りやがって、あの女」
雪亜「、、、」 目の前に北さんが居る。
北「お、雪亜。どうかしたんか?」
雪亜「いえ。」
北「そ、そうか。」
侑「あいつノリ悪いよな」
治「そうやな」
倫太郎「初めてだからでしょ」
北さん以外3人「うーん」
次の日
モブ子「お前ちょっと来い。」
雪亜「あ、はい。」
モブ子「お前調子乗り過ぎ」
雪亜「そんなつもり無いです。」
モブ子「ムカつくな!殴らせろ」
雪亜「嫌ですよ」
モブ子「あぁ?口答えすんな」
ボコッゴキボコ
モブ子「あぁスッキリした。明日も殴らせろよ」
雪亜心の中「受け身を取って良かった、」
(体育館に戻る)
モブ子「うぅ、えん、あぁ、う」
雪亜「どうかしましたか?」
侑「どうかしたかやないねん」
治「ほんまいじめっとって自分最低やな」
雪亜「は?なんの事ですか?」
北「とぼけんのか?」
雪亜「ッ、」
美由紀「流石に酷いよ。」
真央「そうだよ。」
悠莉「最低だね。」
モブ子「フフ」
北「何か言うたか?」
モブ子「いいえ、泣」
雪亜「。皆さん最低ですね。」
侑「最低はどっちやねん」
次の日から雪亜は行くのを辞めた。御館様にも報告済み。
(1週間後)
侑「なんやあれ汗」
治「ほんまや」
全員「うぁぁ」
下弦の6「美味そうだなぁ」
美由紀「いやぁぁ泣来ないで」
下弦の6「お前死ねぇぇぇ」
北「美由紀ぃぃ!!!」
美由紀「いやぁぁぁぁ」
雪亜「そうはさせない。雪の呼吸壱の方吹雪」
下弦の6「クソォ。覚えてろよ」シュワ
北「美由紀大丈夫か!?」
美由紀「あ、大丈夫、泣」
雪亜「、、、。」トコトコ
美由紀「待って!雪亜ちゃんありがとう。」
雪亜「、、、。」
美由紀「あ、泣」
北「おい?何無視しとんねん」
雪亜「ッ」トコトコ、シュン
美由紀「あ、雪亜ちゃん、、」バタッ
北「!?大丈夫か?」
美由紀「だ、大丈夫ニコ」
北「、、良かったニコ」
(3ヶ月後最終決戦)
柱「ふぅ」
かまぼこ隊「汗汗」
雪亜「緊張する?」
炭治郎「は、はいィ」
雪亜「www大丈夫よニコ」
雪亜以外「か、可愛い♡」
鬼舞辻「よう。鬼殺隊」
柱「ん、来たか。鬼共」
侑「ん?何てんねや?」
雪亜「はッ来てはダメよ!?」
北「おい。雪亜お前何してんねん。」
治「そやで。謝れや」
鬼舞辻「ほう?余裕があるようだな。ゆ、き、あ」
雪亜「チックソが」
鬼「あぁん?」
鬼舞辻「さぁ戦いの幕開けだ。行くが良い皆」
鬼「はい!行くぞぉ鬼殺隊」
柱「かかってこい」
バレー部「何やってんねん」
(3時間後甘露寺蜜璃死亡。伊黒小芭内死亡。悲鳴嶼行冥死亡。)
全員ボロボロだ。だが雪亜は諦めなかった。
鬼舞辻「もう諦めろ」
雪亜「諦めない。私が諦めたらバレー部の皆は死んでしまう!」
バレー部「ッ泣」
太陽が昇る
鬼「あぁぁ」シュワ
雪亜「勝った、、」バタッ
北「おい!大丈夫かッ?」
もう雪亜は息をしていなかった。
この戦いで生きて残れたのはバレー部だけだ。柱、かまぼこ隊全滅だ。だが鬼も全滅だ。
カラス「鬼殺隊全滅ー。泣だが鬼も全滅だー。」繰り返し
御館様「そうか。全滅。あぁ今行くよ、私の子供達」
御館様も息を引き取った。
それから何年か経った。そしてバレー部全員は結婚した。
バレー部「雪亜ありがとう!」
雪亜「いいえニコ」
バレー部「ッ泣じゃあまたな」
雪亜「はい!皆さんお幸せにニコ空の上から皆と見ていますねニコ」
これで世界は平和になった。めでたしめでたし!おしまい!!
どぉーん、と、音はどこにも引っかからずに真っ直ぐ響いた。
月の無い夜だった。風もほとんど無くて、まとわりつく湿気がぺたぺたと肌にシャツの袖を引っ付けた。
真っ暗闇の中、手元をスマホのライトで照らしながら、見るからに安っぽい色のライターを握り締めていた。爪の先まで光っていた。
華奢な指先だと中々ライターが灯せなくて、「やろうか」「いいよ」と押し問答しながらどうにかこうにか。
しゅぽ、と軽い音を立てて導火線に火がついて、すぐさま背を向けて暗闇の中へ駆け出していく。距離をとる。
安っぽくて、ちゃちくって、おもちゃみたいで。花火大会のなんかとは比べ物にならないほどちっぽけな私たちの打ち上げ花火は、それでも二人分の財布を空っぽにするくらいの値段がした。
ぱっとたんぽぽくらいの小輪の花が咲いて、光って、真っ暗な海に散っていく。
ずっとずっと、訳も分からないくらいに楽しくて仕方が無くて、私たちはずーっと、けたたましく笑い声を咲かせていた。
お題:夜の海
ワンルーム、夜の海。
青い光が壁や家具で揺らいでいて、海の中かと錯覚した。目を擦って顔を上げるとテレビの画面が光っているのが分かる。テレビの前には人影。カチャカチャと聞き慣れたコントローラーの音。どうやら真っ暗な部屋でゲームをしているようだ。
「あ、起こした。ごめん」
「……や、いいけど」
のそのそ布団から出て隣に腰を下ろす。向こう側にある時計を確認すると2時50分を示している。どんな表情をしているのか気になり顔を盗み見た。目の下の隈が濃い。
「隈ヒドいなぁ」
「え〜やだぁ」
ペタペタと目の下を触りながらはにかんだ。
「どれくらいやってる?」
「2時間弱くらい?」
「ちょっと休んだら」
「うん。そうするわ」
コントローラーを机においてすぐそこのキッチンへとぺたぺた歩いて行った。
画面の光だけがこのワンルームを照らしているなんて、不思議な気持ちになる。自分だけではこんな経験することもなかっただろう。
「水どうぞ」
言いながらもう片方の手に持ったコップに口をつけており、立ったまま飲んでいた。気ままなもんだと思いつつ、ありがたくコップを受け取る。
「ぷはーー沁みるね〜」
「オヤジみたい」
「美味しいから飲んでみてよ」
促されるままに水で喉を潤す。するすると流れていくのは深夜だからか、非常に美味しく感じられる。
「どう?」
「美味しい」
でしょ〜と満足げに笑う。
「なんかさぁ、誰かがいる中、夜中にゲームしたら、それで、それが、非日常に変わったらいいなぁって思って」
また、はにかむ。寂しさからくる行動だろう。少し分かる気がする。
「画面見続けてたら疲れるよ。仰向けで寝てみ」
「仰向け?」
光り続けるテレビの前で寝転ぶ。こうしていると芝生の上で空を眺めているみたいだ。尤も、あるのはただの天井だが。
コントローラーを適当に触って画面を動かす。
「テレビの光が壁とかに映って波っぽくない? 海みたいで非日常感あるでしょ」
「すげ〜、なかなか楽しい」
「でしょ?」
「ヒーリングミュージックとか流したらそれっぽくなるかな」
「うわ、ぽいぽい。ぽい……?」
「あは、わかんね〜」
余計なことは考えず、クスクスと。ワンルーム、夜の海にて。
暗くて静かに波が打ち寄せては引いて
全てをまっさらにしてくれるかのようだ
悩んでいたことは何一つとして解決してはいないが
そんなことを忘れさせるようなゆっくりと長い時間が僕を包む
【夜の海】
最近、疲れが溜まってきているようだ。
だから、僕は同じバンドメンバーを連れて
2人で夜の海に行った。
真夜中にも関わらず、少し眠たそうにして
君は愚痴を言っている。でも、その愚痴ですら
愛おしく思えた。海に到着して、車を降りる。
すると、潮の匂いが鼻を刺激した。
今夜は、満月で1人寂しく輝いている。
「綺麗」と呟いた僕と君は、靴を脱いで
海で遊ぶ。ひんやりとしていた。冷たかった。
僕は、君の手を取って君の腰をこっちに寄せる。
赤く染まる君の頬に、優しくそっとキスを落とす_。
次の曲は、同性恋愛者…だなんてどうだろうか。
『夜の海』
波が立ち
水飛沫が舞う
そうして僅かな海達が
夜空に逃れて光輝く
夜の海は仄暗い
見下ろす月光が与える栄誉は
少ないからこそ価値があるのだ
逃げたくなった。
真っ暗で何も見えないところに。
私を優しく撫でるように波は揺らぐ。
さらさらと。すーっと。
ゆっくりと深呼吸をさせてくれた。
優しい音に身を委ねたかった。
そして私は目を瞑るのが怖かった。
月だけが私を見守ってくれていた。
夜の海は優しい
何も照らさない、優しい黒
命の源
珊瑚の雪
海はすべてを知っている
すべてを静かに見守る
最期には、夜の海に還る
月の光さえ呑み込んでしまうほどの深い闇。
沈めば沈むほど外界の光が届かなくなっていく。
深く 深く
だが何故だろう、地上にいる時よりも身体が軽い。
辺り一帯の静寂、光も音も届かない。まるで宇宙空間の闇のように。
静かに 静かに
呼吸は気にするな、それでいい。
何も考えるな。苦しみも、切なさも、悲しみも。
ただ目を閉じて、身を委ねよ。
毒された意識が夜の海に沈んでゆく。
ここな
いづれ いずこ
を
いま 掻
き
まぜ
て
嵐
夜
よ 生
の れ と
人 踊
魚
「こちら本日のデザートでございます。」
目の前に置かれたのは、暗く深い色をした水信玄餅のようなデザート。ペンダントライトの光が反射して淡くきらめいている。
ナイフが空気をなぞるように通り、口に入れると溺れるような甘さとほんの少しのしょっぱさを感じる。
「これは…?」
舌の上で静かに溶けたそのデザートは、私に何かを思い出させようとする。
「…真夜中の海を切り取ったものです。」
去年の夏の記憶が、頭の中を泳ぐように通り過ぎていく。
夜の海
燦々照りつける太陽の光が差し込む海
真っ赤に燃えた夕日に時の流れを感じる海
水平線も何も見えないさざ波の音だけが残る海
どれも魅力的だ。
数時間前までは色んな人が訪れていだであろうが今では1つの音だけが残っている。
どこまでも続く大海原に自分の心を委ねてみるのもいいものだ
ひとり防波堤に座り海を見つめた。
人も、鳥も、船も、何もいない。
ひとりぼっちみたい。
なんだか寂しい。でもいい気分。
昼間の暑さでにじんだ自分の輪郭が、
夜風できちりと押し固められて、
なんだか別の自分になったみたい。
夜の海のおとは静かで、清らかな感じがする。
風も穏やか。案外暖かでやわらかい。
ぬるい風が涙の跡を拭った。
またね、今日の私。
2023.8.16.夜の海
一人の夜は
暗い、冷たい、そんな海。
そこに一人、足を踏み入れる。
ザザーンと音がしてふと空を見上げた。
綺麗な月。
まん丸じゃない、どこか欠けている三日月。
愛おしげに眺め、ふふっと笑った。
そしてまた、もう一歩、もう一歩と海に入っていく。
太ももら辺まで海水に浸かった。
夏とはいえ、夜の海は凍えるほど寒い。
体温をもっていかれる。
身体が冷たくなるにつれて海と同化していくような感覚を覚える。
足に力が入らない。
海に取り込まれるのかな?
ガクッと倒れてしまった。
冷たい海になってゆくようだ。
息を吐くとゴボゴボと音がした。
苦しい、寒い、何も見えない。
そんな中、一人ぼっち。
夜の海