』の作文集

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』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

7/14/2025, 10:28:59 AM




あの日の空は、まぶしいくらいに青かった。
汗ばむ制服の襟元を緩めて、君はふいに笑った。
「夏って、なんか走りたくなるよね」って。

誰よりも足が速い君と、
走るのが苦手な僕。
なのにあの時、
「負けた方がジュースな!」なんて言って、
全力で君を追いかけた。

蝉の声が耳をふさぐように響いて、
息が切れて、心臓がうるさくて、
でも君の背中だけはちゃんと見えてた。

結局、僕が負けて、
君が買ってくれたラムネの味は、
なんだかちょっとしょっぱくて甘かった。

「また来年も、走ろうね」
そう言った君の笑顔は、
きっと一生、僕の夏の中に生き続ける。

7/14/2025, 10:27:50 AM

セミの声が、時間を溶かしていく。

真昼の陽射しは容赦なく、

アスファルトも、記憶も、焼き付けた。


麦茶の氷がカランと鳴るたびに、

去年の夏がふいに胸をよぎる。

笑っていたはずの誰かの横顔と、

言えなかった一言が、

やけに鮮明に浮び上がる。


今年の夏も、きっと同じように過ぎていく。

けれどどこかで、あの夏とはもう違う。


【 夏 】

7/14/2025, 10:25:25 AM

#夏
#97

夏?
暑い
冬?
寒い
春?
花粉
秋?
好き

夏か〜
夏といえば
アイス〜〜〜〜〜〜〜〜〜
夏といえば
スイカ〜〜〜〜〜〜〜〜〜
夏といえば
プール〜〜〜〜〜〜〜〜〜
夏といえば
あつい〜〜〜〜〜〜〜〜〜
夏といえば
熱中症〜〜〜〜〜〜〜〜〜
夏といえば
すきじゃない〜〜〜〜〜〜

7/14/2025, 10:24:04 AM

外へ飛び出した。

苦痛が僕を襲ったからだ。家にいるとだめだ。外に行こう。風を浴びて、夏の雲と空の青を見にいこう。
そう思って、家を飛び出した。
とにかく歩く。気になっていた道を、とにかく進む。知らない道ばかりだ。スリルを抱え、とにかく歩き続けた。




結構時間が経ったので地図アプリを見てみると、かなり遠くまで来ていた。のども渇いている。もうそろそろ戻ろう、と思った矢先に、坂の下に風に揺らぐ黄緑色の田んぼが見えた。それは「夏」を体現していた。気がついたら引き寄せられるように、そこを目掛けていた。

それからはもう、子供に戻った。
田んぼを見ながら、サンダルのまま走る。走る。走る。ゴム製のサンダルが擦れて足が痛んだが、なりふり構わず走った。風が髪を暴れさせていたが、それすら気持ちが良かった。子供だ。私は今、子供なんだ。だから無邪気に走っていいのだ。気の向くままに、自由になっていいのだ。
空は曇っていた。けれども景色は、まさしく夏だった。

結局その後迷子になって、地図アプリを使ってなんとか家に帰った。

けれども明日から、また頑張ろうと思えたのだった。

7/14/2025, 10:22:12 AM

朝起きたら日差しが眩しくて、蝉の声がずっと聞こえる。
蝉の声でさらに暑くなってる気がして頭がクラクラする。
寝ても醒めても汗をかいてる。体はカラカラなのに熱された皮膚はまだ汗をかく。

だから夏は嫌い。暑いのも嫌い。

けど、それでも


夏休みがあるから夏が好きと言う。

スイカが美味しいから夏が好きだと言う。

ひまわりが綺麗に並ぶから夏が好きと言う。

君が私と見る花火を見られるから夏が好きと言う。

私はそんな夏を好きだという君が好き。

君が夏を好きって言うのなら夏も悪くない。

7/14/2025, 10:21:08 AM

夏って

なんだろね

ひまわり

蝉時雨

入道雲

夕立

蚊取り線香

打ち水

夕涼み

エアコンの中に

ずっといるのが夏なんて

悲しすぎるね


………夏

7/14/2025, 10:18:23 AM

夏の匂いがする。耳に届くのは、蝉の混声合唱と遠く波の音。
「あっつい……」
 自転車を漕ぎながら、私は思わずそう呟く。それもそうだ、道ばたの温度計は三十四度を表示している。
「前はこんな暑くなかったと思うんだけどな……」
 聞いた話だと、昔は普通にエアコン無しで生きていけてたらしい。……無理だ。
 そのうちに道は下り坂になり、肌に当たる風が少しずつ熱を冷ましてゆく。やがて、目の前には青く広がる海。潮風は強く、私の髪を揺らして吹き抜けて行く。

 もしも、この風に色があるのならば。きっとそれは、青く輝いているのだろう。空を見上げて、私は澄み渡る夏の空気へ手を伸ばした。

7/14/2025, 10:18:20 AM



ちょうど去年の9月ごろ
夏の終わりかけだった

あの頃に戻りたい

あの頃にしか彼らはいない

私にはいわゆる「推しグループ」というものがいた

推し始めたのは去年の12月ごろだった

推し始めた頃から動画を沢山見た

何度見ても飽きなかった

その頃、彼らの曲も聞いてみた

ちらっと興味本位で見ただけなのに

コメント欄は悲しみを嘆く者ばかり

だから私はそこグループについて調べた


彼らはもう居ないこと

別のグループだったり個人に別れてしまったこと

数ヶ月前に投稿がストップしている事実に気づきたくなかった。

こんな思いするくらいなら…

「推さなければよかった」

そう思ったが口に出せなかった


もちろん、周りの視線が怖かったのもある

ただそれは違う

彼らの存在を通じて大切な友達と出会えたからだ

だから安易に言えなかった

彼らのおかげで今が充実している

揺るぎない事実だったから

『推しは推せる時に推せよ!!』

これは大好きなグループの1人が言った言葉

もう居なくなるとわかっているのに

そんなこと言うなんてずるい

卑怯だ

推してる本人に言われるなんて思わなかった

だから、もう少し前向きに捉えようと思う

彼らが居なくなった…いや、

新しく再出発した今

私は誰を推すのか

過去の彼ら?

それとも今の彼ら?

どちらも選べない

推しは推せる時に…とは言うものの

終わりなんてない

過去も今もずっと推し続ける

推せる時というものは生きてる今なのだから

今を大事に、自分の選択でどう生きるか

自分次第で結果は変わるもの

これは意識の問題でもある

同じ状況でもどう捉えるか

それだけで歩む道は違うだろう

7/14/2025, 10:17:12 AM

「夏」

暑い暑い暑い

人生17回目の夏

暑いだけで終わらせたくなーい

今年の夏も頑張って乗り切ろー!

⚠ちゃんと水分塩分摂取して
熱中症には気をつけること‼️

7/14/2025, 10:17:10 AM

ミーンミンミン……ミン…

今年もこの季節がやってきた。
夏。いわゆるSummer。
そして“こいつ”が鳴き始めたということは、夏休みが始まる。
高校1.2年生の頃は毎日が楽しくて楽しくて仕方がなく、夏休みなんていらないと思ってた。

時も過ぎれば3年。受験生。勉強をしなければならない。中学生の頃に思い描いていた高校生活とはかけ離れた生活を今まで過ごしてしまった。

友達とプール、BBQ、旅行などを思い描くだけで、あまり青春ができなかったと感じているが、そう思うのも青春なのかもしれない。

さて、これから勉強づくしの日々が始まる。
気を引き締めて頑張っていこうと思う。

#夏

7/14/2025, 10:15:16 AM




砂浜に刻んだ

去年の記憶は波が攫っていった

夏がまた来た

少し痛い陽射しが傷だけ

浮き上がらせ疼かせる

波が引いた後に

砂の中に煌めくシーグラス

拾い上げてポケットにいれて

歩き出す

少しおとなびた微笑みたたえて

7/14/2025, 10:13:12 AM

(夏)
夏の。。終わりに。。

得られたものは。。何だろう。。

7/14/2025, 10:10:13 AM

喰いたい時に 芋は無く
思い描くも 瞬時に たがう
願望の 正体ニタリ 蜃気楼
黒い想いは 具現るのに

どうなの 古典の 街布教
今どき もっと イケクール
分かり易さで 普及なり
歴史は講師 炙り出し

歩きますとも 曲折難儀
理想と現実 取っ掛かり
見えない答え 解きたまえ
今日1日を お獅子舞い

緩むのも有り 虹は出る
足元見れば わあ 宝石箱や
手の届かない 明日はない
歩き続ける その先々まで

7/14/2025, 10:09:37 AM

[夏]

夏は好きですか?
私はあまり好きではないです。
夏は暑かったり、
梅雨でじめじめしてたり、
だけど、夏の景色や、物とかは良いと思います。

今年の夏も暑い。

7/14/2025, 10:04:24 AM

実は夏 嫌いなんだ

輝く太陽
それに向かう ヒマワリ
自由研究にした アサガオ

明るくて 希望の代表格のようなモノ


でもそれよりね 

7年間地中にいて 1週間しか生きられず

鳴いているセミ


やっと会えたと思ったら 夏と共に去っていくツバメ


一瞬で消える花火を愛でる 花火大会

綺麗だけど 全然楽しくない


かぶれたりする肌

いろんな虫も出てくるし


楽しそうに 海で遊ぶ人達 キャンプする人達

スタイルのいい女性達


だから夏は嫌い


見方が 悪いって?

ん〜 暑いの苦手なの


              〈 夏 〉

6/30/2024, 2:12:46 AM

夏は暑くてあんまり好きでは無い。
けれど、夏の夕方
海に映る綺麗な夕日がすごく好きだ。

6/29/2024, 11:58:56 PM

※ホラー


出口が見つからない。


『願いを叶える双頭の神』が、廃村にいる。
昔、その神の怒りに触れて、村の人すべてが連れていかれたのだという。
神が安置されている村の奥の屋敷の門は、普段は閉じており開く事がない。しかし、ある条件下で開き神に会う事が出来る。

よくある都市伝説だと思っていた。誰も本当に信じてなどいなかった。
だから学生生活最後の夏休みの思い出作りにと、友人の兄も巻き込んでこうして肝試しに来たのに。

最初はよかった。草の生い茂る道は歩き難くはあったものの、雰囲気は最高で。お互いわざと怖がり、写真を撮っては笑い合っていた。
奥の屋敷の他と違い形を残した門扉を見た時、何処か嫌な予感がした。けれどそれよりも、非日常の高揚感が勝り。
門に、手を、伸ばし。

開かない、と思った。開くわけがない、と皆思っていた。
けれども、

扉は、開いた。
容易く。呆気なく。簡単に、開いた。開いてしまった。

どうしようか、と呟いた。
行ってみよう、と誰かが囁いた。
怖い、と皆口にしながらも笑っていた。

ただ一人を除いて。

『この先は止めておいた方がいい。帰れなくなるよ』

水を差された気分だった。
他の皆も同じようで、口々に非難を浴びせた。そのせいかそれ以上は何も言われる事なく。
一人を置いて、皆で門を、潜り抜けた。



衣擦れ。足音。
ひび割れた呻き声。誰かを呼ぶかのように。
心音。呼吸。
気づかれぬように。身を縮めて、必死で息を殺していた。
声が近づく。襖一つ隔てた向こう側を、ゆっくりと、ゆっくりと。

「…ドコ……ネエ、サマ…ネエサマ…ドコ、ニ…」

漏れ出る声を、呼吸ごと押し殺す。
気づかれてはいけない。襖を開けられてしまえば、もう逃げる事は出来ない。

衣擦れ。足音。呼び声。
遠ざかる。少しずつ、少しずつ。声が小さくなる。

聞こえなくなる。

「………っは、ぁ…」

息を吐く。出来る限り静かに。音を出さぬように。
力が抜ける。動かなければと急く気持ちとは裏腹に、今は指一本すらまともに動かない。

あの時、忠告を聞いていれば。或いはすぐに引き返していれば。
皆と逸れる事もなく、得体のしれないアレに追いかけられる事もなかったはずだった。

最初にアレと遭遇したのは門を潜り抜けた先、広大な庭を散策していた時だった。
違和感は感じていた。風化を感じさせない屋敷。綺麗に整えられた庭。
あまりにも門の外とは時の流れが違っていた。
けれどその時は、その異様な様子さえ肝試しというイベントの興奮材料にしかならなかった。
怖いと嘯きながらも無遠慮に庭へと踏み入れ、そして。

広い池の向こう。佇むように、アレはいた。
紅い振袖を着た黒髪の少女。けれどその背には、着物と同じく紅い翼が生えているように見えた。
遠目では、そう見えていた。

最初に動いたのは誰だったか。
声にならない呻きを上げて後退し、脇目も振らずに走り出した。それを合図として皆一斉に逃げ出した。

門には辿りつく事が出来たが、それは二度と開く事はなく。
背後から聞こえる声に、仕方なく屋敷の中に入り込んだ。

迷路のように入り組んだ、暗い屋敷の中。出口を求めて彷徨い。
追いかけてくるアレから身を隠す内に耐えきれず、友人達は皆おかしくなっていった。一人は泣きながら笑い続け、一人は意味の伴わない言葉の羅列を永遠と話し続け。
気づけば一人になってしまっていた。


動かなければ。
逸れてしまった他の皆と合流して、出口を探さなければ。
目を閉じ力を込めて両手を握り、開く。震える足で無理やり動かし、立ち上がる。

アレから身を隠す為に入ったいくつかの部屋で見つけた、書物の内容を思い出す。
村の事。祀られていた双頭の神の事。
落雷で焼けた御神体。流行病。
神の依代。齢七つの双子の女児。
屋敷の裏。石段を上がった先。社。儀式。
アレの背にあるのは翼などではない。背から生えるのは、天に両手を伸ばした、紅い振袖の。

目を開ける。
襖に手をかけ、音を立てぬようゆっくりと開ける。
声は聞こえない。紅く揺らめく振袖の裾は、アレの姿はない。

一歩足を踏み出す。音を立てぬよう慎重に歩き出す。

動かなければ。皆を探してここを出て。
一人待っているであろう、忠告してくれた  に謝らなければ。

「……ぇ?」

ふと、気づく。
忠告してくれたのは、本当に友人だったのか。自分達は何人でここを訪れたのだったか。
彼、或いは彼女の名は。声は。姿は。

そもそもその誰かは、本当に人の姿をしていたのか。

気づいた。気づいてしまった。
記憶の中の誰かの姿が途端に色褪せ、形を失っていく。まるで土で作った人形が、ぼろぼろと崩れていくように。


耐えきれず叫声を上げる。僅かに残った精神で、声の去っていた方向とは逆の方へ走り出す。

逃げなければ。
今はただ走る。逃げ続ける。



出口はまだ見つからない。




20240629 『夏』

6/29/2024, 6:54:29 PM

「ここではないどこか」「夏」(6/27、28)

そこそこ書き上げていたのに入力した内容が全て消えてしまったからまとめて投稿することにしたよ!!!
これ、何回やっているんだろうね?!!。°(っ°´o`°c)°。

あと、一昨日と昨日の分で内容に温度差がありすぎて風邪をひきそうだよ!!!でもあまり気にせず読んでもらえると嬉しいな!!!

゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。
「ここではないどこか」

その前に!!!「前回までのあらすじ」だよ!!!
わかりにくくなってきて書いた本人も色々と忘れているからね!!!これからはちゃんと書くようにするよ!!!

「前回までのあらすじ」─────────────

ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見する!!!

そこで、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て、原因を探ることにした!!!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!!!

調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!!!

聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!!!

それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!!!悪気の有無はともかく、これ以上の被害を出さないためにもそうせざるを得なかったワケだ!!!

……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにした!!!

すると、驚くべきことに!!!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚!!!さらに!!!アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかった!!!

ボクも色々と探しはしたものの、きょうだいはなかなか見つからない!!!そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!!!

というわけで、ボクはその場所へと向かうが……。

゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。

「ここではないどこか」

……今日はやけに騒がしい。まだ朝の4時だっていうのに。
自称マッドサイエンティストがまーた変なことをしようとしてるのか?

目が覚めてしまったので、自称マッドサイエンティストの元に向かうことにした。

……おい、今何時だと思ってる!
「おや、随分と早いお目覚めだね?起こしてしまったかい?」

「たった今、急用が入ってね!ちょっと出掛けることになったのだよ!というわけで、自宅警備を頼む!!」
ああ、わかった。……いや、自分も行くよ。

「おやおや、どうしてキミがご同伴するのだい??」

なんとなく、もう二度と会えないような気がして。
……ここではないどこかへ行ったまま、帰ってこないかも、なんて思ってな。

あんたのことだから、大事なことをいつも言ってくれないんだろうと踏んでいるが、おそらく「急用」っていうのは……。
あんたの片割れとやらが見つかったとか、だろう?

「……流石は我が助手!!!なんでもお見通しってワケだね!!!しょうがない!!!キミも一緒に行こうか!!!」

こうして、自分たちはこいつの片割れのいるところへと向かった。

01100101 01101110 01100011 01101111 01110101 01101110 01110100 01100101 01110010

……この空間の内部にいるのか。
現場の前だからか、捜査員らしきひとたちが多くいて物々しい。

自分たちのもとに、黒いのか赤いのかわからない、金属みたいな艶のある髪の女の子が近づいてくる。

「マッドサイエンティスト、もう来たんだ。あ……そっちがニンゲンさん?」
「ああ、その通りだ!!!人手は多い方がいいだろう?!!」

「いつもあんたは声がデカい!もし『回収対象』……いや、あんたの双子の兄?を刺激したらどうすんの?」
「まあまあ!!!ここの音は内側にゃ届かんよ!!!」

「ニンゲンさん、どうも初めまして。当事件を捜査している者です。いつもやかましいこいつの子守、お疲れ様。」
……あ、どうも。

「ここから先は、かなり危険が伴うことが予想できる。だから、こっちとしては別室で事情聴取でも受けてもらった方が安全だと思うけど、多分この奥に行くよね?」

そのつもりでここに来たんだ。

「はぁ……。本当はうちらだけでけりをつけたいけど、一応あなたも重要参考人みたいなものだから、今回は特別に内部への出入りを許可するよ。」

「但し、危険な行動は慎んでね。」
……そんなことをするつもりはないけど、一応気をつけるよ。

こちらの会話をよそに、マッドサイエンティストは空間の入口をじっと見つめている。
……どうした?何か気になるのか?

「ここ、キミも覚えているかい?」
「……この空間は、キミも会ったことのある旧型管理士の少女が作った空間だよ。」

「そしてここは、ボクがわざと作った脆弱なセキュリティポイントの前。ちょっとつつけばすぐにでも入れる。」

「ねぇ捜査員くん。本当にこの内部にボクのきょうだいがいるんだよね?」
「ああ、間違いなくいるよ。」

「ボクが気になるのは、弱いポイントがあるとはいえ、本来ならボクとニンゲンくん、あともうひとりの少年にしかこの空間のアクセス権がないから誰も見つけられないはず。」

「なのに、ボクのきょうだいがここの内側にいるというじゃないか。……どうやってこの場所を認識して侵入したのだろうか。」

「そんなのわかんないよ。ただ、アーカイブの追跡タグがここを示しているから、このセキュリティポイントから入ったんだろうってことは予想がつくってだけだ。」

「とにかく、一刻も早く回収したいからもう突入するよ。」
「ああ、ボクも準備万端だよ!!!」

「それじゃ、行くよ……3、2、1……。」
『許可されていない挙動を感知しました。コマンドを入力してください。』

「……なにこれ?」
「おや???ボクはこんなものを設定した記憶がないが???」
コマンド?なんだそれ?

「まあとにかく!!!ものは試しだ!!!仕方ないからブルートフォースでも仕掛けよう!!!」
ブルートフォース……?

「よし!!!『コマンド』といったらまずはこれだよね!!!」
『↑↑↓↓←→←→BA』

『コマンドの入力を確認しました。空間内へのアクセスを許可します。』
「入れたんだが?!!」

「ウッソだろう?!!セキュリティの意味がまるでないじゃないか!!!」

「……それ、なんのコマンドなの?」
「詳しくは上のコマンドを検索してくれたまえ!!!」

「みんな、心の準備は出来てるよね。十分注意を払って行動するように。」
「イエッサー!!!」

……本当に大丈夫なんだろうか。
とにかく、自分たちは空間内部へと入ることとなった……。

To be continued…

゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚ 

「夏」

夏が来るとふと思い出すことがある。

高校の頃、月に何回か土曜授業があった。
いつも通り、夏の暑いなか学校へと向かっていく。
あともうちょっとで学校に着く。

そう思ったとき、右の方から観光バスが来るのが見えた。
あー、もしかして修学旅行とかかな?なんて思って見ていると、車内の知らない制服を着た女の子と目が合った。

あ、どうも……なんて思っていると、その子が手を振っている。
周囲を見渡しても私以外誰もいない。

「もしかして私?」とジェスチャーを送るとその子は嬉しそうに頷いた。

私に向かって手を振ってくれたとわかったので、私もできるだけ大きく手を振り返した。

そうしたら、その子だけでなく、こっちを見ていた別の子達も手を笑顔で振ってくれた。

バスはあっという間に行ってしまったので、手を振れた時間は多分10秒もない。でも、知らない子たちと言葉も交わさず楽しくなれて、とても嬉しかった。

彼女達が地元での修学旅行を楽しんでくれていたら嬉しいなぁ、なんて思いながら、私は学校へと歩いた。

夏が来ればこの短い時間を思い出して、今でも嬉しくなる。
あの子たち、今元気にしてるかな?

゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚

6/29/2024, 5:55:10 PM

お題「夏」

 真っ青な空。空と地平の間に、もったりと重そうな白い雲がある。
 空気がどろりと揺れて見える程に暑い外からは、割れんばかりの蝉の声の大合唱が聞こえてくる。割れんばかり、とは何を割るのだろう。私の鼓膜か。
 何もかもが億劫で、床に寝転がる。フローリングに汗ばんだ肌が張り付く感触が気持ち悪いが、同時に少しだけひんやりとしているのはちょっと気持ちいい。
 扇風機から送られてくる風は温かった。どれだけ風を強くしようと温いものは温い。ここまで来ればクーラーを入れるべきだとは思うが、あの人工的すぎる冷気は身体に障る。それで体調を崩す度に「君は夏風邪しか引かないね」と、彼が些か感心したように言うのがちょっと癇に触るのだ。誰が馬鹿だ。私は難しいことは考えられないのではなく、考えないのだ。あえてだ。

「ここではないどこかにいきたい」

 ぽつりと呟いた言葉は、蝉の声やら何やらに掻き消された。
 悔しかったので、今度はちょっと大きめな声ではきはきと言う。
 私の叫びに、部屋の奥の方でアイスキャンディーを齧っている彼がちらりと視線をくれた。アイスずるい、私も食べたい。いや、自分の分はさっき食べ終わったのだった。
 ごろりと寝返りを打つ。移動すると再びフローリングがひやりとした。気持ちがいいなとその冷たさに浸っていたけど、すぐに体温で温もる。新天地を目指し、再びごろりと寝返りを打つと、カチッと言う軽い音の後に、扇風機の風が追従してくる。何だろうと顔をあげると、彼が扇風機の首を、私の動きに合わせて動かしてくれていた。
 ありがたいけども、君はそれで良いんだろうか。

「ここではないどこかって」
「なに」

 君がアイスキャンディを再び齧って、咀嚼して飲み込んだあとに、ぽそりと呟く。

「永遠に行けない場所じゃないかって思うんだ」
「どうしたの」

 少しだけ、自分の声に困惑が混じってしまった。あれか。先ほど言った『ここではないどこかにいきたい』に対する返答が今なのか。
 彼は最後の一口を同じように食べたあとに木の棒を少し寂しそうに眺めて、ゴミ箱に捨てた。そして本腰を入れて喋り始める。

「『ここ』の定義と『どこか』の定義次第だとは思うんだけど」
「なにがはじまるの」

 こわごわと上半身を起こして、彼を見る。何が君のスイッチを入れたのだろう。

「自分がいる場所を『ここ』、自分がいない場所を『どこか』と定義するならば」
「やだなにこわい」

 頬を上気させて、楽しそうに話し始めた君がちょっと怖い。

「僕が『どこか』に移動してしまえば、その『どこか』は僕が行った時点で『ここ』になってしまわないかなって」
「熱暴走してる」

 口から思わず洩れた。いつもと違って血色の良い肌は、たぶん熱中症的なあれだ。
 頬に赤みが差しているのは君がこういう話を好きで、話せる機会が巡って来たからなのかと思ったけど違う。逆上せている。逆上せたせいで、ちょっとテンションが上がってしまっている。

「『どこか』を追い続けて移動し続けたって、僕がいるのはずっと『ここ』で、『どこか』には永遠に辿りつけないんじゃないかって」
「私にはそんなに難しいことは考えられない!」

 そう叫ぶように言って立ち上がる。彼は自分の体調に無頓着だ。おそらく熱中症と、テンションの上昇による体温の上昇との判別がついてない。
 慌てて扇風機を彼に向ける。熱気を含んだ風にか、最大風量の風圧にか、両方か。ちょっと不愉快そうに眉をしかめた。

「君、良くこれで我慢出来てたね」

 それでいてなお、凄いねと、君は感心したように言う。いつもなら、どうだ凄いだろうとドヤ顔でもかましてやるが、それどころではない。
 机の上に置いてあったエアコンのリモコンを手に取り、電源をいれる。すぐ手にとれる場所にリモコンがあったと言うことは暑さの限界だったのだと思う。私がクーラーを嫌がるので、我慢していたんだろう。君はそういう気の使い方をする。クーラーの電源を入れたら次はと、開け放たれた窓や扉を全て閉めていく。
 どたばたと動き回る私を、君は呆気に取られたようなポカンとした顔をして眺めていた。そんなにか。私が働くのはそんなに珍しいか。
 一言二言文句でも言ってやろうかな、という気持ちになったけど、この現状は私の我が儘を君が聞いてくれたが故に引き起こされた惨状なのはわかっていた。なので、何とか文句を噛み殺して、言う。

「理想の『どこか』なんかを探す前に、『ここ』を理想の場所にしよう」

 彼はびっくりしたように目を見開いたけど、すぐに楽しそうに笑って「そうだね」と返事をしてくれた。
 クーラーの恩恵によりどんどん下がっていく室温と、それに伴って冷たくなってくる風に、彼は心地よさそうにほっと息をついていた。良かった。まだ何とかなる段階だったみたい。
 かくいう私の方は汗が冷えてどんどん体が冷えていく感覚に襲われ始めたので、上着を取りに自室へ向かうことにした。
 ついでに帰り道に彼に麦茶でも入れて持ってきてやろうと思う。多分またびっくりしたような顔をするだろうから、その時に改めて、その反応への文句をつけよう。



6/27お題「ここではないどこか」とネタかぶりをしたので別視点。

6/29/2024, 11:24:12 AM

【夏】

夏と聞いて思い出すのは子供の頃に田舎のおばあちゃん家に行った時にやっていた神社のお祭り。
僕はそこで不思議な体験をしたんだ。

その日は一緒に行くはずだった田舎の友達が熱で寝込んでしまい、家族たちもバタバタしていてお祭りに行きたいと言い出せる雰囲気じゃなかった。
でも家で過ごすのもなぁ…と1人お祭り会場へ向かった。

少ない小遣いでラムネといちご味のかき氷を買い、屋台がズラリと並ぶ通りから少し離れた神社の境内でゆっくり花火が始まるのを待つことにした。
境内は人がいない分とても涼しく快適だった。
階段に腰掛けてかき氷を食べようとした時、「美味しそう」と後ろから声が聞こえた。
振り向くと顔の半分を黒狐の面で覆った星柄の着物姿の男の子がいた。

「だ、誰?」
「お?ボクが見えるのかい?」
「えっ、普通に見えるけど…」
「ボクは『いろは』だよ!よろしくな少年!」
「あ、あぁ…よろしく…?」
「なぁなぁ、その手に持ってる赤くてキラキラした奴は何て食い物なんだ?」
「いちご味のかき氷だけど…半分食べる?」
「えっ!いいのか?!」

目をキラキラと輝かせ、僕からかき氷を受け取ると勢いよく頬張った。
「あっま!冷たくて美味しいな!」とニコニコと喜んで食べてるいろはに僕はついラムネもあげ、いろはは「シュワシュワで美味しい!」とゴクゴク喉を鳴らして飲み干した。

「そうだ!かき氷とラムネのお礼に良いモノ見せてやるよ!」

そう言ったいろはバッと立ち上がって境内で踊り出した。
その繊細でとても美しい踊りに僕は目を離すことができない。
「周り、見てろよ〜」
いろはに促され、周りを見渡すと境内の木々がポツポツと色んな色に染まり始めた。
桜のような桃色、夏の涼し気な緑色、温かみのある黄色や橙色、降り積もった雪のような白色。
この場所だけに四季をぎゅっと集めたような、幻想的な景色。
それに便乗するように花火が始まった。
「綺麗…」
僕は幻想的な景色と花火に見惚れてしまった。

花火が終わる頃、いろはの声が聞こえた。
「今日は楽しませて貰ったよ。また何処かで会おうな、少年!」
辺りを見渡すと、いろはは居なくなっていた。
呼んでも返事をすることは無かった。

後日、僕はまた会いたくて「いろは」について色々調べた。
すると、あの神社から少し離れた社に「イロハ狐」という狐の神様が祀っていることが分かった。
『イロハ狐』は『彩葉狐』と書き、木々を色付ける役目を持った神様。
子供と楽しいことが大好きで、姿は星柄の羽織を身に着けた黒狐と言われている。

もしかして「いろは」って…。

翌日、僕は「イロハ狐」が祀られているらしい社へと足を運んだ。
長い事手入れをされていないのか、随分汚くてボロい小さな社だった。
持ってきた掃除道具で社を綺麗にし、近くに落ちていた枝や板で補強。
少し不格好だが、さっきよりはマシだろうとラムネをお供えし、手を合わせた。

「また来るね」と社に背を向けて帰ろうとした時、「ありがとう、少年」と夏の風に乗っていろはの声が僕に届いた。

大人になった僕はこの田舎に引っ越し、あの社の近くに家を建てた。
社を綺麗にし、「イロハ狐」との思い出が消えないように守り続ける。
またいつか、いろはと再会するその日まで…。

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