セミの声が、時間を溶かしていく。真昼の陽射しは容赦なく、アスファルトも、記憶も、焼き付けた。麦茶の氷がカランと鳴るたびに、去年の夏がふいに胸をよぎる。笑っていたはずの誰かの横顔と、言えなかった一言が、やけに鮮明に浮び上がる。今年の夏も、きっと同じように過ぎていく。けれどどこかで、あの夏とはもう違う。【 夏 】
7/14/2025, 10:27:50 AM