夜猫

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7/17/2025, 10:08:20 AM

風が通り抜けるたびに、
木陰が水面のように揺れていた。

昼下がりの静けさに、
心のざわめきも少しだけ和らいでいく。

言葉にできないことは、
葉のざわめきに預ければいい。
誰も知らない場所で、
ただ、ひとりでも、苦しくないと思えた。

揺れる木陰の下、
少しだけ、呼吸が軽くなった。


【 揺れる木陰 】

7/15/2025, 10:18:21 AM

世界が喧しくても、
この瞬間だけは、
ふたりだけのものだった。

交わした言葉は少しだけ。
それでも、沈黙は温かく、
手のひらのぬくもりがすべてを語っていた。

誰にも見せない顔で、
誰にも届かない声で、
そっと笑い合う。

たとえ明日、名前を呼べなくなっても__
この夜は、
ふたりだけのもの。


【 二人だけの。】

7/14/2025, 10:27:50 AM

セミの声が、時間を溶かしていく。

真昼の陽射しは容赦なく、

アスファルトも、記憶も、焼き付けた。


麦茶の氷がカランと鳴るたびに、

去年の夏がふいに胸をよぎる。

笑っていたはずの誰かの横顔と、

言えなかった一言が、

やけに鮮明に浮び上がる。


今年の夏も、きっと同じように過ぎていく。

けれどどこかで、あの夏とはもう違う。


【 夏 】

7/12/2025, 12:26:41 PM

風鈴の、その微かな響き。

一瞬の風が、この夏を彩る。


風が、囁くように通り過ぎ、静かに音を奏でる。

遠い日の記憶が、胸の奥で揺れた。


【 風鈴の音 】

7/11/2025, 10:17:55 AM

部屋の隅で膝を抱えたまま、

現実は音を立てて進んでいく。


だけど、私の心だけは

誰にも気づかれぬまま、

ひとりで旅に出た。


夕暮れの匂い、潮風の音、

見たことのない星座の下、

ほんのひととき、

この身体を置き去りにして。


心だけ、逃げていた。

生きるために。

壊れないために。


【 心だけ逃避行 】

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