そらめ

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外へ飛び出した。

苦痛が僕を襲ったからだ。家にいるとだめだ。外に行こう。風を浴びて、夏の雲と空の青を見にいこう。
そう思って、家を飛び出した。
とにかく歩く。気になっていた道を、とにかく進む。知らない道ばかりだ。スリルを抱え、とにかく歩き続けた。




結構時間が経ったので地図アプリを見てみると、かなり遠くまで来ていた。のども渇いている。もうそろそろ戻ろう、と思った矢先に、坂の下に風に揺らぐ黄緑色の田んぼが見えた。それは「夏」を体現していた。気がついたら引き寄せられるように、そこを目掛けていた。

それからはもう、子供に戻った。
田んぼを見ながら、サンダルのまま走る。走る。走る。ゴム製のサンダルが擦れて足が痛んだが、なりふり構わず走った。風が髪を暴れさせていたが、それすら気持ちが良かった。子供だ。私は今、子供なんだ。だから無邪気に走っていいのだ。気の向くままに、自由になっていいのだ。
空は曇っていた。けれども景色は、まさしく夏だった。

結局その後迷子になって、地図アプリを使ってなんとか家に帰った。

けれども明日から、また頑張ろうと思えたのだった。

7/14/2025, 10:24:04 AM