三日月はしょっぱかった。
雲は砂糖の味がした。
雨は少し苦かった。
虹はさっぱりしたジュースみたいで、
雪は夏の味がした。
満月はおせんべいの味がして、
青い空は炭酸水のようにしゅわしゅわと弾けた。
大人になるにつれて、味を感じなくなってしまった。
きっともう、二度と味わえないのだろう。
『三日月』
新年だ。
外を歩いていると、静かながらも楽しそうな雰囲気が伝わってくる。
走り回って笑う子供。
初詣にでも行くのか、全員揃うことが久々のような雰囲気の家族。
落ち着いているけれど、しっかり手をつないでいる夫婦。
コンビニのはしで、兄弟が身を寄せ合って何かをのぞき込んでいる。
肉まんを美味しそうに頬張る彼女を、楽しそうに眺める彼氏。
それだけのことで、もしかするとこの世界は美しいのかもしれないなどと、単純に気が変わってしまった。
今年はよい年になりますように。
君を好きだなと思う瞬間が、何度も何度も、何度もあった。
それら一つひとつは、ちいさな、本当にちいさなものだった。
だけど、気づいたら、もう戻れないところまで来ていた。
降り積もる想い
あたたかい手のひら。
細くてかたい指。
爪の感触が好きで、何度も撫でる。
パズルのように組み合わせた指。
指の間にかかる圧力が心地良い。
君がくれる、大好きな贈り物。
「手のひらの贈り物」
心の片隅で、本当の優しさを信じる。
心の片隅で、純粋な優しさを疑う。
心の片隅で、世界を憎悪する。
心の片隅で、あいつに嫌なことがありますようにと祈る。
心の片隅で、もう会うこともないあの子の幸せを祈る。
心の片隅で、黒いしあわせを抱いて泣く。
心の片隅で、もう二度と味わえない空気を吸う。
心の片隅で、眠っている原石に布団をかける。
心の片隅で、今日がはじまったと嘆く。
心の片隅で、今日がはじまったと歓喜する。
心の片隅で、誰かのしあわせを願う。
心の片隅で、