『半袖』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
このタイトルは、aikoの曲を思い出す
でも思い出すのは「夏服」という曲
いつまでも前に進めない心情を歌っている
切ない曲
「半袖」の曲も好きなんだけどね
ふっと浮かんだのは前者のほうだった
夏の思い出って、なぜか儚く感じる
嬉しかったことも 楽しかったことも
思い返すと切なくなる
思い返すのが秋だからかな
袖丈にあわせて日焼けした肌とか
サンダル焼けとか
あの日を思い出して 泣きそうになる
楽しかったなぁ、って
◇半袖◇
半袖
「何で着替えたよ」
「半袖は駄目でした」
「何で? ボロすぎた?」
「そのシャツで行くなら、あなたの査定をゼロにすると」
「何で⁈」
マーマイトとケチャップの染みが複数、煙草の灰で空いた穴が二つ。コイツはあのボロシャツの持ち主である自分より5インチ背が高い。幅では負けていないから大丈夫かと思ったが、かなり「見せつける服」になってしまったのは否めない。
「…もしかして大胸筋?」
ちょっと刺激が強過ぎたかもしれない。場末のパブに偵察に行くのだから、なるべく労働者っぽく見せたかったのだが。
ダメ出しをして来た我等が上司は捜査能力は一流、社会性はゼロで、「血統書つきの野良猫」と呼ばれている。華奢な身体とお人形さんみたいな顔の持ち主だが、浮いた話はとんと聞かない。意外にオクテなのでは、と専らの評判だが、査定ゼロが怖くて誰も訊けない。
「上腕三頭筋を出すなと」
「どこよそれ」
「上腕の外側、この辺りですね。ドレスシャツをまくるのも駄目と言われました」
「俺らの肘から下に隠すべき部位ってあんの?」
「腕橈骨筋を出すなと」
その筋が出ている辺りですね、とこちらの腕を指して教えてくれた。
「あの人やる気ある? 私情とか職権濫用とか何かそういう」
「二番目の被害者はきちんと背広を着込んでいて、労働者階級にしては小綺麗だった。彼の遺体が一番ひどい状態だったので、『覆われていること』に何か特殊な思い入れがあるのかも知れない。とりあえず背広で行って、怪しげな者がいたら可能な限り監視・追跡、最低でも顔を覚えて帰るようにとのことです」
「お前になんかあったら俺の査定はゼロだな」
「自分は皆さんより頑丈に製造されていますのでご安心ください」
むしろあのシャツの持ち主が自分だとバレていることの方が怖い。
まあ、人生はこんなものである。
事件が絶え間なく起き、全てではないものの犯人を捕まえていく。
そのうちにごく何気ない調子で、あいつの所有権が国家から個人に移ったというアナウンスがあった。人間にしか見えないモノの運命が大きく変わった訳だが、あいつ自身の態度は全く変わらなかった。それでも自分を含めた周囲の連中の意識-コイツは俺たちを助ける係、という依存心には、あまり変わった様子はなかった。
その頃には我等が上司はシャツのボタンを全て留め、きちんとタイを締めるようになっていた。「野良猫」から「ブロフェルドの膝にいるやつ」くらいになった気がする。
「もうちょっとシュッとした猫だよな」
猫好きの何人かが、シャムだの何とかブルーだのと盛り上がっていた。
「どしたよ」
コイツが思い詰めた顔をするのは珍しい。特に最近ちょっと、いやかなりいい背広を着るようになってからは尚更だ。
「法令遵守上の問題について、折り入ってご相談が」
「俺でわかるような話?」
新しい所有者が非道とか? いやいや。
「あの、自分は最近ある方と一緒に住んでいるんですが」
「一応初めて聞いたけど何となく分かってたわ」
「その、割と急に話が決まったんです。話が出た夜から住み始めたんですが、着替えがですね」
「ないよな」
「あったんです」
「?」
「今着ているものを含めて外出着が一ダース、室内着と寝間着が合わせて一ダースほどありました」
「用意いいな」
「それなんです。その、自分が住み始めた晩にすでにそこにあった訳です。それが全部、あつらえたと思われるものだったんです」
「え、何が問題?」
「その、その人は元々自分の個人情報にアクセスできる立場の方で」
「…だろうな」
「最近初めて知ったんですが、服を仕立てるにはかなり時間が必要ですよね」
「らしいな」やったことはないが。
「つまり一緒に暮らすかどうかという提案がなされるずっと前に、それらの服は注文されていたと思われます」
「うん」
「それは何というか…業務上どうしても必要なこととは言えないのではと」
「でお前としては、そのお方が職務上知り得た秘密を使ってお前の素敵な服を仕立てちゃったのはちょっと問題じゃないかと思ってて、それをどこぞに相談するべきか悩んでると」
「仰るとおりです」
「…今日うちに帰ってその人の顔をじーっと見て、穴があくくらい見て、それでも『これは不正だ!』って言葉が浮かんだら相談窓口に言え。何かどうでも良くなったら放置。以上。他には? 何かひどい目に遭ってない? 騙されてない?」
「いえ、全く」
「ホントに? 半袖着てキレられたりしてない?」
「基本は背広ですし、寝間着は下しか着ないので、半袖は特に必要ないですね」
「…今の話は聞かなかったことに」
「その、法令遵守上の問題なんですが」
「なんも問題ない。いいからその報告書書いたらすぐ帰れ」
「はい。安心しました。ありがとうございます」
上司の「だいじなひと」が寝る時何を着ているか、というのは知らない方がいいことのような気がする。久しぶりに「査定ゼロ」という言葉が頭に浮かんだ。
緋色に出会ったのは、蝉時雨の降る暑い日の事だった。
「まぁた、変なのが入り込んできたわねぇ」
最初に感じたのは、とても綺麗な人だという事。
鮮やかな緋色の着物を着て、気怠げに煙管をふかす。まるで物語の中から現れたような、とても綺麗な人。
言葉も出ず惚ける私を見て、何が可笑しいのかくすくすと笑う。
「なぁに?変な顔をして。可笑しな坊や」
不意に笑みが消える。
強い光を湛えた鈍色の瞳が、見定めるかのようにこちらを射抜き、そして先程よりも愉しげに弧を描いた。
「だいぶ擦り切れた格好をしているから童男《おぐな》かと思えば。まさか童女《わらわめ》とはねぇ」
擦り切れた格好。
その言葉に自分の今の姿を見下ろしてみる。
よれてだぼついた半袖。擦り切れ穴の空いた短パン。日に焼けた手や足の擦り傷、切り傷。
目の前の綺麗な人を前にして、急に羞恥心が込み上げてくる。
「ぁ…えと、その…ごめんなさい」
「なによ急に。謝ったりなんかして。あなた、悪いコトでもしたのかしら?」
「その…あの、か、勝手に、入って、きた、から…あと、あの、兄さんの、お下がり…き、着て、た、から」
詰まりながら吐き出した謝罪に、どうしようもなく泣きたくなった。兄のお下がりを嫌がる気持ちはないはずなのに、どうしたらいいのか分からない。
見知らぬ場所に迷い込んだ不安と、羞恥心と、劣等感と。
溢れてくる感情に動けず俯く私を見て呆れたのか、綺麗な人は一つ溜息を吐いたようだった。
「まったくもぅ。一旦落ち着きなさいな。それ以上考えた所で、無意味に時間が過ぎるだけよ」
「ごめんなさい」
「それもやめなさい。意図の不明な謝罪ほど無価値なものはないわ…ほら、おいで」
囁く言葉に顔を上げれば、ゆるゆると招く手が視界に入る。
それに誘われるようにその人へと近づけば、抱き上げられ膝の上に乗せられた。
「えっ、あ…」
「本当に馬鹿な仔…まぁ、いいわ。ちょうど退屈していたのよ。勝手に入り込んだ代償に付き合ってもらうわ」
くすり、と微笑んで目を合わせられる。間近で見る鈍色がきらきらと煌めいて、息を呑んだ。
「あなたのようなじゃじゃ馬娘にぴったりな物語をあげましょう。あなたの時間を代償に」
これが、私と緋色の妖の奇妙な関係の始まりだった。
「なにを惚けているのかしらねぇ、このじゃじゃ馬娘は」
頬をつねられ、我に帰る。
「まったく、過去を想うのは夢の中くらいにしておきなさい。時間の無駄だから」
相変わらず緋色は今日も気怠げだ。それでいてこちらを見透かす言葉は何処までも鋭いのだから恐ろしい。
ふと、自分の姿を見下ろして見る。あの時と同じ、半袖と短パン。違うのは、擦り切れた兄のお下がりではない、淡い色合いのリボンがあしらわれた女の子の服である事。
「ねえ、今の私なら、初めて会った時に女の子だって分かってもらえるかな」
「また意味のない事を…まぁ、その格好ならばまず間違えないと思うわよ。格好もそうだけど、肉付きも良くなってきたしねぇ」
愉しげに笑い、頬をまたつねられる。
その手を振り解きながら、そういえばあの頃は随分と痩せていたものだとぼんやりと思った。
「そろそろ、いつものお話を聞かせてよ」
「あなたねぇ…」
呆れたように息を吐かれる。それに対してにこりと笑って見せれば、それ以上何も言われる事はなかった。
「しょうがない。さぁ、今日は何の話が聞きたいのかしら?」
いつもの言葉。
退屈凌ぎに紡がれる物語。
今日もまた遠い世界を夢見て、物語の続きを願った。
20240529 『半袖』
【半袖】
「おい春樹、今度の土曜予定あるか?無いよな、一緒に合コン行くぞ」
相変わらず秋満は強引な奴だ。
「それでよー、プレゼント交換やっから用意しておけよ。じゃあなー」
「おい、何だよそれ、おーい」
まいったな、今月は風邪でバイト休んじまったし、そんな余分な金無いよ。
金額は言ってなかったから、ドンキで安いの見つけよ。
そして土曜日
「「「かんぱ〜い」」」
合コンだって言うからどんだけ来るのかと思ったら2vs2かよ。
「じゃあ、まずは自己紹介から、
俺は秋満、こいつは春樹、高校からのダチ、よろしく」
「私は冬子、短大1年です」
「わ、わはひは......」
「ゴメンね、この子すごい人見知りなの、さっきまで帰る帰りたいって駄々こねてたのを無理やり引っ張ってきたの。名前は夏子、私たち幼稚園からの親友なの」
ずいぶんと対象的なふたりだな、他人から見たらオレたちもそんなもんかな。
合コンは和気あいあいと進み、最も話してたのは、秋満と冬子ばっかりで、オレと夏子はほとんど会話がないままお開きの時間になった。
「おっと、忘れるとこだった。最後にプレゼント交換をしよう。
はい、交換!」と言って秋満は冬子と交換しだした。仕方なくボクな夏子と交換をした。
「開けてひひ?」夏子が聞いてきたので「どうぞ」と言いボクも夏子からのプレゼントを開けた。
パワーストーンのブレスレットだ。これ、高かったんじゃないのかな。
夏子は袋を開け、目が点になり口を半開きのまま固まっていた。
そりゃそうだよな、ドンキで買った500円のTシャツそれもクマだからな、無理もない。
「あ、ありがとふ...」
完全に下を向いてしまった。
もう、会うこともないし、気にする事も無いな。
「じゃあ、これでお開き、俺は冬子ちゃん送って行くから、お前は夏子ちゃん送って行けよ」
「オレがかー!」参ったな。
ゆっくり振り返って見ると、彼女は硬直していた。
「じゃあ帰りますか、家はどこなんですか?」
「ここはら5つ先の駅れふ」
何だ、送ってほしいのか?(いえ結構です)って言うと思ったのにな。
彼女の家の最寄り駅に着いた。(ここまででいいですよ)と言われると思った。でも、まだ後ろを付いてくる。せめて前を歩いてくんないかな、道が分からないんだからさ。
「そこ右です」
「はいはい」10分ほど歩いてやっと着いた。
「ありがとふござひまひた」
「うん、じゃあな」
「あのー、ア、アドレフ教へてもらへまへんか?」
「ヘッ?」断るのも何だから教えあった。
「連絡ひまふ、おやふみなさひ」
変わった子だな。
数日して、メールが届いた。
「今度の日曜日会えませんか」
面倒くさいので無視した。
1週間後、またメールが届いた。
「今度の日曜日会えませんか」
またかよ。仕方ないので「用事があるので無理」とメールを返した。
1週間後、またメールが届いた。
「今度の日曜日会えませんか」
しつこいなコイツ!
「みんなで会うなら」と返した。
次の日、秋満から「日曜日、この間のメンバーで会うって?」
「なんで知ってるんだ?」
「冬子から聞いた。俺達あれから付き合ってるんだ。お前は夏子ちゃんと会って無いんだって?冬子が心配してたぜ」
「大きなお世話だ」
「夏子ちゃん人見知りが酷いけどいい子だって冬子が言ってたぜ。それに、化粧の仕方教えてほしいって、ガンバッテルらしいぜ」
化粧したって変わらないと思うけどな。まぁいいや一回くらい合ってやるか。
そして日曜日
「お待たせしました」
そこには、クマのTシャツを着たとびっきりの笑顔があった。
おわり
半袖
5月26日
貴方は半袖だったね。
あまり見た事ない新鮮な姿、5月だから暑くても貴方は薄手の長袖で来ると思っていたから少し嬉しかったんだ。
私も半袖だった。
貴方が帰る時は少し肌寒かったな。
半袖
毎年、この時期になるとだんだん暑くなってくる。
半袖にしようか、長袖にしようか…
毎年、この時期になると少し迷う。
自分は暑く感じるんだし、半袖にしよう。
まだ長袖の人も多いし、周りに合わせよう。
脳内には天使と悪魔…とは違うけれど、相反する考えを持つ2人が現れる。
結局、長袖にした。暑くなったら袖でもまくればいい。
…と朝は思っていたが、想像以上に暑くなってしまった。
袖をまくっても暑い。ボタンを少し開けても暑い。
嗚呼、やっぱり半袖にするんだった…
これが先週末の話。今週こそは、失敗しないぞ…!
と意気込んだ。朝は少し冷えるが、日中は暑くなると昨日の天気予報で聞いた。今日は半袖にしよう。
…と、朝は思っていた。そして、後悔した。…想像以上に涼しかったのだ。
肌寒くて、少しだけ腕をさする。天気予報は当てにならなかった。
うぅ、やっぱり長袖にするんだった…
どっちにしろダメな時はダメ。それなら…
両方持っていけばいい!
そうだわ。なんで思い浮かばなかったんだ。
ということで、明日は両方持っていくぞ!
今度こそは絶対大丈夫だろ!
そう考えながら帰路に着く。
…明日にはそう考えたことをすっかり忘れ、また失敗してしまうなんて、私は思ってもみなかった。
「半袖」
……暑い。あまりの暑さに目が覚めた。時計は6時くらいを示している。……まだ眠いが二度寝するには時間が長いうえ、この暑さだ。
仕方ない、起きるか。立ちあがろうとすると、ふと手に柔らかいものが触れた。何かと思って手元を見遣るとミントグリーンのふわふわしたものがある。
びっ……っくりした!なんであんたがここで寝てるんだよ?!
「ん……今日は早いね〜、おはよう!」
「というか、そんなに驚かなくたっていいじゃないか!!!ちょっとキミのベッドを拝借したくなっただけだよ!!!」
「そういえば、今日は何か用事があるのかい?!!」
いや、あまりにも暑くて起きてしまっただけで用事はない。
……もしかしてあんたがベッドにいたから暑かったのか?
まあいい、とりあえず着替えて朝食でも食べよう。
「う〜む……キミに満足してもらえるような朝ごはんを作りたいものだが……。」
暑くても平気なように、半袖のTシャツをタンスから引っ張り出して着る。何ヶ月か前までは半袖の服なんて寒くて着ていられないと思っていたが、今なら随分と快適だ。
「おや、ちょうどいいタイミングで来たね……おや?!!」
「それ、半袖!!!半袖じゃないか!!!ホンモノは初めて見たよ!!!」
……こんなものを見て喜ぶのか。
この星の外から来た自称マッドサイエンティストの感受性は未だによくわからない。
「いーなー!!!ボクも半袖の服を着たいものだよ!!!」
「さて!!!今日の朝ごはんは夏野菜をたっぷり使ったサンドイッチだよ!!!夏野菜には火照った体を冷やす効果があるのさ!!!今のキミにぴったりだね!!!」
いただきます。……うん、美味い。
感受性はよくわからないのに味覚は自分に相当合っている。
一体どういうことなのだろうか。不思議でたまらない。
「驚くことなかれ……ボクはキミの味覚を熟知し、それに最適化した食べ物をお出ししているのだよ!なるほど、それはそれは美味なものばかりなわけだ!!!」
なるほど……ちょっと怖……。
「ねー、せっかく早起きしたんだからさ!!!ボクが着られる半袖の服を買いに行こうよ!!!キミがいなけりゃボクがこの星で何にもできないのは知っての通りだろう?!!」
頼むよー!!!なんて言いながらあんたは頭を下げる。
やれやれ、仕方ない。半袖を買いに行くか。
「やったー!!!」
とはいえ、服屋が開くまでにまだしばらく時間がある。
それまでの間、どういう服が欲しいのか聞いておこうか。
「そうだねー……ボクは桜の柄のTシャツが欲しいなぁー!」
日本かぶれの観光客みたいなチョイスだな。
あんまり売ってないと思うぞ。
「む〜……難しいね!!ねー、良い感性をお持ちのキミよ!!!」
「ボクに似合いそうな服を選んでくれたまえ!!!」
実際に見てみないとどれが似合うかなんてわからない。
「選ぶ楽しみがいっぱいというわけだね!!!」
「店に行くまでのお楽しみにしておくよ!!!」
……そう言われても、服のことは正直何にもわからない。流行りとか、パーソナルカラーとか、何にも把握してない。
でも、あんたは可愛い見た目だからなんでも似合うんだろうな。
だから、服選びはちょっと楽しみだよ。
……なんてことを考えながら、朝日が高く昇るのを待った。
彼女は半袖を着ない人だ。
その理由はたぶん私が一番知っていると思う。
その日は雨が降った。
突然の天気雨だった。
その時気付いた彼女の腕にある赤い線に。
それ自分でやってるの
彼女は驚いたような顔を作った。
言ってしまたった。私はすぐに後悔した。
これじゃあ彼女の思うがままではないか。
彼女は思えば昔からそうゆうとこがあった気がする。
母親が亡くなってみんなからかわいそうにかわいそうと言われ続けだ結果自分が一番苦しくて辛い立場でないと納得しないのだ。
彼女は泣いていたそれすらも腹ただしい。
なぜ自分はずっと悲劇のヒロインでいれると思っているのだろうか。
ずっと自分が一番かわいそうだと思っているのだろうか。
ここまで言えば分かると思うが私は彼女が嫌いだ。嫌いだったのだ。
そんな私のことを嘲笑うように彼女は14階のビルから空を飛ぶ鳥の様に飛んだ。
なぜ飛ぶ時私に電話をしたのだろう。
私はずっと彼女は苦しくないと思っていた。
いや思おうとしていたけだったのかもしれない。
彼女はクラスの人気者で大学生の彼氏がいって。
すべて持っているではないか。
きっとこんなただの嫉妬の感情も彼女は気付いていたのだろう。
今考えると彼女はずっと孤独だったのかもしれない。
私は一人だったが孤独ではなかった。
家に帰れば大好きな家族がいて、ネット上には本心で話せる友達がいる。
彼女にはいたのだろうか。本心で話せる友達は。
これはただの私の後悔。
これはただの私の独白。
せめて来世では彼女孤独じゃなくなりますように。
自分の学校は、体育の時間は絶対に半袖短パンにならなくてはいけない決まりがある。
自分はそれが嫌いだ。
友達も嫌いだと言っていた。
こういった決まりは人権が尊重されてないと自分は思う。
半袖
暑く、蝉の声が響く頃、僕は1人この狭苦しい世界から逃げ出した。
夏になるといつも思い出す、君の声を、笑顔を、もう『ここ』にはいない君を1度たりとも忘れた事はなかった。
あの日は、いつもよりも蒸し暑くて雨が降っていた。放課後ぼくは、受験のため机に向き合っていたそんなときインターホンが鳴った、誰かと思いドアを開けると雨でずぶ濡れになった君がいた、夏が始まったばかりというのに君はひどく震えていた。そんな話で始まるあの夏の記憶だ、、、
少し出遅れた衣替え
ビシッと決まる重厚なコートや
抱きしめたくなるくらいふわふわのセーター
攻撃力高めのブーツetc…
君達とは一旦お別れ
それから夏のベストメンバーをお迎えする
収納ケースを開けると
鼻をツンと刺す樟脳の匂い
一年ぶり。
IQ高見えブラウスに
ユニオンジャックのTシャツ
深い青の贅沢フレアスカート
白のプリーツスカート
真っ赤なバレエシューズ
ミントカラーのバッグ…
今年も私を最高の場所に連れて行ってね
忘れられない夏が来るよ
◼️半袖
「ねーねー。風弥?」
「どした?」
〜「どうしていつも半袖なの?」〜
その一言で思い出が溢れてくる。
僕はかつて吹奏楽をやっていた。そして高校でベースを兼用するようになってからのことだ。
ある女子に言われた言葉が心に深く突き刺さった。
「制服にベースって似合わないね。」
いつもなら、高校に入って明るくなれた僕はその時だけ真に受けてしまった。直後に先輩が「去年の先輩も制服だから別に違和感ないよ」とフォローしてくれた。
あれ以来、校則ギリギリの範囲でしっくりくる格好を試行錯誤していた。だけども、気付いた時には冬になっていた。指先が冷たくてベースを弾くのが困難だった。
ある日、音楽室の暖房が壊れてなまら暑くなっていた。そして中に来ている半袖のパーカーを露わにして合奏に望んだ。
「ありがとうございました」
部員による顧問への感謝が溢れるミーティング。後に片付けをしていた時に言われた、
「その格好イイネ! 特に半袖パーカーつと学ランって相性イイ!」
あの時の女子だった。
とにかく嬉しかった。嬉しくて嬉しくてふわふわした感触を覚えていた。
……
「ちょっと、風弥?」
言われてハッと気づき、時が動き出した。
「ちょっと昔を思い出してたんだよ。」
あれから10年で地球の環境は変わってしまった。
極端な地球温暖化対策によって二酸化炭素濃度が激減し、日本でさえ夏に氷点下付近になってしまった。そうなると半袖はほぼ下着同然と化す。製造量が少ない半袖はそもそも貴重品になってしまった。
「ベースに半袖パーカーが似合うと言ったのは君だからね。責任取り続けてよ?」
僕は今日も趣味に没頭する。
喧嘩して、飛び出したあたしをきみは迎えに来てくれた。ものすごい怖い顔してた。でも怒られはしなかった。「帰るぞ」と、それだけ言って右手を掴まれ家までの道を歩いてる今。
無理矢理引っ張られて歩かされてるからきみの背中が見える。背中もやっぱり怒ってる。勝手に飛び出したこともそうだし、こんな時間に迷惑かけるなバカヤロって言いたいんだと思う。
ごめんなさい、って、言わなきゃダメなのに。つまらない意地がそうさせてくれない。喧嘩の原因なんてもうほとんど忘れかけてる。どっちが悪いかなんてどうでもよくなってる。ていうか多分、どっちも悪いんだと思う。
「寒いね」
ごめんでもありがとうでもなく、場違いなことをあたしが言ったから、きみは思わずこっちを見た。まるで珍獣を見るかのように凝視された。だって本当のことだもん。飛び出したのがかれこれ2時間くらい前。そこからずっと外にいたから身体が冷えちゃった。
なのに。
「全然。むしろ暑い」
よく見るときみの格好は半袖のTシャツ1枚だけ。まだ夜は冷えるのに、そんな薄着でよく彷徨けたね。心の声に留めておくはずが、無意識に口にしてたらしい。あたしの言葉を聞いてきみは眉間に深いシワを刻む。
「誰かさんが突然姿を消すから探して走り回ったせいで、今もの凄く暑い」
「あ……そ、なんだ」
「なんだその返事は」
「だって、そしたら、私のせいじゃん」
「そうなるな」
けど、そう言った時のきみの顔。斜め後ろからほんのちょっと見えた時、私には笑ってるふうに見えた。もう怒ってないのが分かったから、その腕に思い切り抱きついた。
「ほんとだ。暑いや」
「抱きつくな、暑苦しい」
ひどい。でも言葉と裏腹、引き剥がされるようなことはなかった。あれ、そう言えばなんでこんな時間にこんな所にいるんだっけ。忘れちゃうくらいだから、きっと大したことじゃないんだ。
「あそこのコンビニ寄ろ。アイス食べたい」
「お前の奢りな」
「財布持ってない」
「ざけんな」
きっとこんなふうに大したことない諍いが積み重なって、そのおかげでもっと好きになるのでしょう。今日のことも必要だった。そーゆうこと。
帰りにちゃんとアイス買ってもらえた。パピコ半分こして帰りました。
初めて半袖で外に出た。
今季、はじめて。
半袖ってあまり得意じゃなくて。
何か1枚羽織っていたくて。
それでも初夏の風は
気持ちよく通り過ぎていくから。
空の雲は
もう夏のかたちをしているから。
もっと私に夏を教えて。
「半袖」
ムダ毛の処理をしないと、子供の時程は迂闊に着れない。
半袖。
もういいか そう思ったら 寒くなり 失敗踏まえて 汗かく季節
お題「半袖」
はい
ん〜
そうですね〜
でも
半袖のパジャマはまだ早い気がします
※『半袖』で言葉遊びしました
半袖のパジャマだと夜中に寒いってなりません?笑
砂の上で大輪の花が
寄せては帰る波に洗われ
そっと微睡んでいる
向こうから聴こえる歌声に
心奪われて
少しずつその花開く
夜を閉じ込めた小瓶からは
懐かしい海の匂いがした
もうすぐ5月が終わる。
6月に入って梅雨も明けると夏が来る。
夏といえば半袖の季節だ。
押入れにしまってある半袖を出して夏になるための準備をしなくちゃね。
ストレスと夏と半袖と
5月の終わり、もはや夏。
衣替えの季節になった。
ゴールデンウィークの晴天と雨で
庭の草木は鬱陶しいほど覆い茂り
梅の木は青い実がなりている。
あっという間に春が終わってしまって、少し寂しい気持ちになる。
梅雨がやってくると湿気の混じった空気がなんだか気持ちが悪かった。
たった一月の間にこんなに気持ちが泳がされるのだ。
5月病にもなるし、疲れもする。
ぶっ飛んだ自律神経を調整するにも時間とコツがいるとさえ思う。
そんな日常にすら、小さなストレスを感じるのは人間も動物も同じだろう。
「ストレスを感じた事がない」
そういう人間がいる(いた)。
その人は生きていて今までにストレスを感じた事がないという。
私は信じられない。
例えば…満員電車で背中をぎゅうぎゅう押され、隣の人の体臭がきつかったりしたら?
自分のせいじゃないのに濡れ衣きせられたら?
挨拶されて無視されたら?
これは大抵の方がストレスだと思うのだが。
この人はそうではないのだという。
おそらくは虚勢だとは思うが、日常生活の不可抗力みたいなストレスさえ感じないのが本当だとしたら。
幸せな人だな。と思う反面。
可哀想な人だな。と思った。そして納得した。
この人の言葉選びのずさんさはここから来ているのだと。他人へこの言葉を言ったら嫌な思いをする。
きつい言い方。嫌みともとれる小馬鹿にしたような言い方。
そういう言葉選びがわからず、平気で通り魔のように傷をつけていく。
鈍感過ぎるとも違う、最初からわからないのだ。
場面での空気がわからない。
その人にとっての正解は一択。自分のみなのだから。
そんな大人がいるんだ、小さな子供だって場の空気を読むこの時代に。
どおりで狂っていってしまうはずだ。
季節も世界も。病気にかかっているようだな。と
今日は暑かったから半袖をだした。
外に出たら少し肌寒い。
その人からしたら、その変化すらもわからないのだろう。
私は今日も一つその人からストレスをもらったというのに。