『一筋の光』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
あぁ、駄目だ……。
負ける。俺は死ぬのか。
世界の平和を託された俺は、勇者として魔王を倒す旅に出た。
長い旅路の果てに、魔王と対峙した俺は、魔王の強烈な一撃に倒れてしまった。
視界が闇に染まる。
俺が死んでしまったら、世界はどうなるのだろう。
大切な人達。世界の平和を祈るみんな。家族や、地元に残してきた大事な人。
みんなの希望を背負ってここまで来たのに。
自分の命が尽きることより、失いたくない、みんなの顔が浮かぶ。
でも、もう何も見えない。
ごめん。みんなごめん。
その時、瞼の向こうに、うっすらと一筋の光が差し込んでくるのが見えた。
「トドメだ!」
魔王の唸るような低い声が轟く。
必死に目を凝らす。
魔王の胸の辺りにどす黒い光が集まっている。最後の一撃を放つ為に魔力を溜めているのだろう。
ここだ。
禍々しい光が、今は希望の光に見える。
そこを目掛けて、全ての祈り、力を込めて剣を投げつける。
剣は闇を切り裂くように真っ直ぐ進み、魔王を貫いた。
『一筋の光』
【一筋の光】
暗闇の中で息を潜めて待っている。私たちを殴るあの男が何処かへ出かけるまで。あの男が連れ込んだ女性たちの声が聞こえなくなるまで。膝を抱えて、身じろぎ一つしないように。私の存在があの男の意識にのぼることがないように。そうしていろと、兄が私に厳命したから。
押入れの狭い闇はいつだって怖い。このまま誰にも知られずにここで朽ちていくんじゃないかって、そんな錯覚がする。一人きりで膝を抱えてどれほど経ったか。片足を引きずるような歪な足音が押入れの前で止まり、障子が細く開かれた。
「おいで。あの人たち出かけたから、もう大丈夫だよ」
障子の隙間から覗く一筋の光。優しい兄の声。それだけで全てが救われたような気持ちになる。震える指で障子を開けた私を、兄はそっと抱きしめてくれた。
いつだって傷だらけでボロボロな兄は、それでも絶対に私を守ってくれる。いつか一緒にこの家を出ようと誓ってくれる。頼るべきじゃないって、兄だって私とたいして歳の変わらない子供にすぎないんだってわかってるのに、それでも私にとって兄の存在は眩しい光そのものだった。
「うん。いつもありがとう」
謝罪を口にするより、お礼を言うほうが兄は喜ぶから。足手まといでごめんなさいと謝りたい気持ちを押し殺して、私は兄が好きだと言ってくれた無垢な笑顔を取り繕った。
天から垂らされた細い糸を
人々は救いだと言うだろうか
私には諦めることを許さない
重い枷のように見えて仕方がない
『一筋の光』2023/11/0621
こうすればいいよ
一緒にやるか
年の離れた兄は
僕に優しかった
年齢が離れてるから
喧嘩もしたことがなかった
兄が僕に怒る時は
大体僕のため
友達が自分の兄弟の悪口を言ってる時なんて
理解ができなかった
大好きだから
自分も
兄みたいになりたいって思うから
どんな時でも隣にいてくれる
でも
だからって何でもしてくれる訳じゃなくて
やってみなって
アドバイスをくれるだけ
将来
自分で出来るように。
部屋は違うけど
僕はいつも兄の部屋にいる
迷惑かなって思うけど
1人だと少し怖かった
僕は今
兄と同じ仕事をしている
やりがいだってある
僕を
僕の人生を
導いてくれる光が
僕のお兄ちゃんだから
どのくらい眠っていたのか
目覚める時を迎えたようだ
道程が眩く照らされている
今はまだ夜が明けたばかり
焦らずにゆっくり進むんだ
周りをしっかりと見渡して
キミの大切なもの見極めて
忘れかけていた夢を抱いて
『一筋の光』
とても眠いの。
朝早くから私は働かなくちゃいけなくってでも毎回起こされる。決まった時間に。カーテンから差し込むひと筋の光に
私の『一筋の光』
一筋の光を見い出そうと
日々、暮らしている人がいる
良くも悪くも
それを見いだすことすら
忘れている人もいる
それなのに…
それなのに、私は…
何をしてきたのだろう??
まだ、
誰かの光になれるのだろうか
まー
「ひとすじの光」
些細なことから
喧嘩みたいになって
お互いに無口になったまま
別れた夜
自分の言葉があなたを刺して
あなたの心が血を流している
そんなときは
傷口に優しく触れたいのに
魔法を使ってでも癒やしたいのに
なんと言ったらいいかわからず
スマホケースを開いては 閉じる
バッグの中は まるで
私のこころのように暗く
物を探すのにも手探り
あなたの姿を探すにも
真っ暗で泣きそうになる
そんな時、突然漏れる
あなたからの着信を告げるスマホの光
それが私にとって
どれほど嬉しいか
そのひとすじの光が
私をどれだけ照らしてくれるか
嬉しい
そのこころをそのまま
飾らず 気取らず
素直にあなたに伝えよう。
「ひとすじの光」
「神は言った、『光あれ』と。されば、光があった。」
「光は、全てを照らした。光に照らされた世界は徐々に色付き始めた。」
「光は、熱を産んだ。この世界に理を産んだ。物の理とは熱、あるいはエネルギーである。」
「光は、影を産んだ。強すぎる光はやがて、ある場所を懇ろに照らし、ある場所を慎ましく照らすようになった。」
雨音が地面で跳ね返り、燻る駅前で酔っ払いがぶつぶつとそのような事をボヤいていた。ああ、だとしたらあんたは影だ。世間という大きな光が照らすことの無い惨めな―
ああ、沈黙は金という言葉もある。なんせ世知辛い世の中だ。クズがクズに講釈垂れようがなにが変わるわけでもないし、爺の説法に耳を傾けるも一興だろう。
神は1週間でこの世界を作った。
「正確に言うなれば6日だ。7日目は神は休息を取った。ああ、今で言う日曜日だ。基督教の言うところの安息日だ。いや、ユダヤだったか。」
「なんせ急に創った世界だ。間違いもある。なあ、そこの兄ちゃんよ。間違いとはなんだと思う?」
急に話を振られるものだから驚いて表情が強ばった。老人の面を覗き込むと、先程までの酩酊具合からは想像がつかない程の、様な眼でこちらを凝視していた。
「ああ、俺の話をこんなに熱心に聞いてくれるヤツは初めてでな。つい質問しちまったよ。」
で、俺の話はちゃんと聞いてたのか?
「ええ、おそらく聖書の創世記の話ですよね。確か旧約聖書にもありますが。さすがに世界で1番読まれた本だけあって味わい深い音の響きをしてますが、」
「おいおい、俺はそんなことを聞いたんしゃあないぜ。神様だって間違う。それは何かって問うてるんだ。さあ、アンタはどう思う?」
「なにせ私は無神論者ですし、そこら辺の方々の言う神が何たるかを深く考えた事はありませんが、アプリオリに万理が認められる装置と言う解釈をしましょう。それは文化だったり、信仰だったりが担保する所なんでしょうが、要は努力次第です。して、その神が過つと言うのは単に努力不足としか私は思えないのです。解釈の幅の問題と言うか」
「ああ、アンタが言うことはよくわかる。モダンなニヒリズムがよく現れてるよ。だが、明らかな不具合がある。それが無ければ今頃全人類が聖書の全文を空で言えるし、南の空が赤く染まることもなかっただろうよ。あるんだ。明らかな不都合が」
「やみ、の1節ですか?」
「ご名答。光はそこにあった。そしてやはり、やみもそこにあったんだよ。『光あれ』と唱えたその時かつちょうどその時にはな。『光あれ』と唱えたからには光が必要だが、はたして神はやみを呼んだのか、はたまた『光あれ』の前からやみはあったのか。ああ。あったんだよ。やみはそれよりずうっと前から。それこそ神様なんてのが産まれる前からな。やみが、神様をつくったんだ。」
「はあ、いささか暴論の様な気がしますが、なんとなく言いたいことはわかりました。装置としての神はやはり信頼たる程の強度を維持していないというか。定義不足と言いますか、まあ、私も昔からずいぶんと人が作ったような話だなあと思ってはいたんですよね。オチとしては弱いですが、興味深い話でした」
「おいおい、オチはまだ着いちゃいねえよ。俺はそんな神様をつくったやみの使者だぜ。話を聞いたんだから対価を支払ってもらう。神は求めずともやみはすでにもう行ってるんだ。」
男は機敏にナイフを喉元に押し付けた。ああ、そういうオチだったのか―と。やはりクズはクズに変わりやしないんだ。ここで死ぬんだ。そう思った。一筋の光が2人を貫いた。音は雨音に、硝煙は燻る駅という空間に染み込んだ。
#一筋の光
『一筋の光』
書いても書いても落選ばかりで、自信をなくして、暗闇にいた学生時代。
作家になんてなれるわけないって周りから言われて、夢を諦めかけたこともあった。
それでも、私は書き続けた。
そんな中、私の夢を笑わずに聞いてくれて、応援してくれる友達に出会った。
私の中に、一筋の光が差し込んだみたいだった。
下北沢教会。美樹子の、ということは20代の初め、乳房のしこりを検査。一条の光を求めて神にすがった。
せいたかあわだち草の
花粉をふりまいて
風は
田園を黄金色に染めました
この絵の具が
次の風に吹きはがされる頃
秋は
いよいよ終着駅へ
秋の終点が
冬の始発駅となるのなら
あなたとの恋の終点は
想い出の始発駅
サヨナラを合図に
発車のベルが鳴りひびけば
わたしの心も
蒼白な冬へ
ひとり
旅立ちます
☆ 旅立ち (323)
~一筋の光~
夕方まで寝ていた。ずっと行き詰まっていたアイディアに光がさしたと思った。
だからパソコンにむかってみたのだけれど、砂浜のお城のように、波がそれをかっさらっていくように、すう、と溶けてしまった。
ベッドから机までの数メートル、そこにさっきのアイディアは落ちていないかしら。
天使が現れたのだと思った。
あの日、ただ僕に微笑みかけてくれた彼女が、天使のように映った。いや、僕からすれば天使は彼女なのだ。
ああ、一筋の光に照らされた僕の輝いた瞳といったら!
だからこそ、僕の光である彼女が尊く、眩く、何より愛おしかった。
だから、君がただの幻覚でも良かったんだ。
「一筋の光」
あの頃はきちんと見えたのに
光の筋もキラキラした粒子も
目が悪くなったみたいだ
ここに確かにあったはずなのに
当たらない攻撃に、増える傷。覆せない力の差。だんだんボロボロになっていく身体に限界はすぐそこだった。体勢を崩され見えたそれにあ、終わった。と思った瞬間。聞こえた。
「もう大丈夫だよ」鮮烈な閃光と共に現れた優しく、柔らかく、そして絶対の安堵をもたらす存在の登場に無意識に息を吐き出した。
一筋の光
見えたの
光が、
勇気をくれる一筋の光が見えたの
とっても綺麗だった
まるで
貴方のように光り輝いてたの
だから
貴方も私の光なの
私にとって一筋の光となるのは左腕のあざだろう
このあざが過去の努力と報われなかった経験を想起させ、今の私が歩む道を照らす一筋の光となっているから
襖がわずかに開いている。
その隙間から光が差し込み畳に直線を描いている。畳特有の干し草の一本一本を丁寧になぞる光。
その光景を見守っているのはチラチラと漂う埃くらいの様なもの。あいにくとそれに背を向け障子越しに見える光を利用して本を読んでいた。
僕にはこのくらいが丁度いい。
太陽の下は眩しい。
隙間から部屋に差し込む一筋もまるで肌や書物に線を引いてるようでゾッとしない。
それでも、日光の下が嫌いなわけでもない。
襖の隙間も自ら作ったのだ。一差しが恋しくなって開けたのだ。
一筋の光すら途絶えた今日
さようなら
もう言葉を交わすこともないわけで
伝わる思いもないわけで
どこで何をしていますか
愛してるその言葉の意味を今
最後に振り返る