『ススキ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
夕陽に照らされて、金色に輝くススキの穂が風に揺れている。そんな光景を、なぜだか生まれるよりもずっと前から知っているような気がする。
遠目では芒も荻も皆一緒。
川辺に生える葦も含めて皆イネ科。
土に水分多めが特に好きな葦。
芒より水分多目が好みの荻。
乾燥気味の土に株を作ってまとまって生えるのが芒。
葦と荻は群れずにまばらでも生えるらしい。
これらを踏まえても。
多分遠目で判断できるのは葦だけだと思う次第。
【お題:ススキ】
いつも月とともにあらわれる彼は、一年で最も美しいと言われる中秋の名月の日には姿を見せなかった。一応メールを打ったものの、その晩は返事がなかった。せっかくお団子やら里芋やら準備してみたのに、結局一人で空を見上げていた。夜が更けるのにはずいぶんと時間がかかりそうだったので、酒を持ってきて窓辺で彼について考えることにした。
晴れた夜には必ずやってきて、長くなると一晩中語り合う。そしてまたフラっと帰っていくのである。よく考えると名前しか知らないような男だ。いや、好きな酒のつまみも知っている。言ってみればただそれだけだが、やはりあのように美しい月夜にはススキのうわさ話なんかしながら、彼と酒をのみたいと思った。
秋の夜風がふくと名の知らないあの人を思い出す
ススキの穂が揺れるさまを
「神風が吹いている」
と言ったあの方の思いにふけている閑散とした顔
「神風が吹くのは危難を防ぐためなんだ。
君も気をつけたほうがいい。
危難は出来事ではないかもしれない。
心の具合を危惧していることもある。
今の当たり前が大切な幸せだったと後悔する前に
周りの人や自分を大切にするべきだ」
あの方はきっと誰かを失くしたのかもしれない
きっとある晩にススキの穂が揺れたとき
その大切な人はあの方に何かを言ったのだろう
あの方が思いにふけるほど重みのある一言を
そしてその後あの方の前から去ってしまった
あるいは心が離れてしまった
だからこそ私に「神風」というものの大切さを教えた
それをよく箒代わりにして皆で空を飛んでいたっけ。
三角座りしていたB子は、川辺で揺れるススキを見つめながらぼんやりと過去に思いを馳せていた。
あの頃は良かった。その時を目一杯生きればそれで人生の課題をクリアすることができていたから。
「母ちゃん!」
おもむろに息子が背中に突撃してきた。鈍い痛み、でも嫌いじゃない。
「B子ちゃん、そろそろ帰る?」
後からやって来た夫が手をゆっくり差し出してくる。
そう、今はもう自分のことだけを考えていたら良い訳では決して無い。
子どものこれからのこと、お金、夫やその家族。考えなければならないことは、空を飛んでいた頃よりも遥かに多い。
それでも、B子は夫の手を握る。
もう空は飛べなくなったけれど、また人生の新たなステージに私はいるのだきっと。
「見て、ススキって空を飛べるんだよ?」
揺れる一つを手折り、息子に見せると途端に輝き出す瞳。
「母ちゃんすごい!まるで魔法使いだ!」
そんな様子を微笑ましく見守る夫。
心の中に柔らかな香りが立ちのぼる。
どんな一輪の花よりも
無数に咲くそれは
人を惹きつけ
周りに色を添える。
目で音で季節を感じる。
自然と私を魅了し
あなたといたあの丘を想い出させる。
『ススキ』 RISU
『ススキ』 ☆ぼく ♡彼 〇じっちゃん
☆ じっちゃん!団子ふたつ!
〇 あいよ!
今日はお月見をする日
家に帰って緑茶を入れる
部屋を暗くして、カーテンを開けて、窓を開けて
団子と緑茶を準備する
あとは、、、
♡ ただいま〜
☆ おかえり!!
彼が帰ってきた
☆待ってました!
♡ おっ。なんか雰囲気いいね
☆でしょ!ススキ取ってきてくれてありがとう!
♡ いえいえ!お団子とセッティングありがとう!
☆ えへへ
彼とくっついてお月見開始!
♡☆ うまぁ
団子をほおばる
☆ ぼく、来年も一緒にお月見したい
♡ おれも。約束しようぜ!
☆ いいね!絶対だよ?
♡ おれはお前がいなきゃヤダ
☆ 照れるなぁ
秋を彩るススキ
月見だんごとよく合う
ゲームのアイテムに
ススキの垣根が増えた
どこに飾ろうかな…
✴️207✴️ススキ
眞夏の碧天
搖るる麻布
身嗜みにせちなる
徒然なる友
其の襟首に
滲みいづる幸福
夢を嘯く
僞りの大人ら
謀りあひつつ
欺き合ひつつ
小鳥の如き
黄色の囀り
天使なりつつ
黒き翼の山羊の瞳
隱しつつも
嘲笑ひつつ
つと待てり
つとまもれりか
天使よいつか
挽き肉になれ
「ススキ」
六畳一間の窓から見える裏山。
そこには誰も手入れしてないであろう、
無数のススキがある。
僕はそれをボーっと眺めるのが好きだ。
窓を開けてのんびり眺めていると、
風に押されたススキが「さー」という音を奏でる。
どんな流行の音楽よりも、
僕の心を癒してくれる。
夕方になると夕陽をバックにしたススキが、
黄金に光輝く美しい景色を作り出してくれる。
どんな有名な絵画よりも、
僕の目を釘づけにしてくれる。
たったそれだけではあるが、
僕はそれだけで満足している。
六畳一間から見えるススキ。
それは僕だけの秘密の閲覧席。
秋風に揺らされたススキが頬を撫でていく。
友だちと別れた帰り道。夕陽に照らされたススキが金色の海のようで、つい足を踏み入れてしまった。
冷たくなった風とともに、日に温められたススキが柔らかく頬を撫でてくるのに、クスクスと笑い声がこぼれる。
夕暮れの空が夜に変わるわずかな間、一番星が輝きはじめるのを見て、家路につこうと歩きはじめる。
クンっと手を引かれた気がして後ろを振り返る。いや、振り返ろうとしてバランスを崩してしまう。
咄嗟に手を地面につこうとするが、手の先に想像していた土の感触はなく、ふわりとした何かに沈み込む。
ゾワリと手の先から鳥肌がたつ。
倒れ込んでしまった柔らかいナニかから体を起こそうと手足を動かすが、手の先にも足の先にも地面の固さはなく、立ち上がれない。
いつの間にか周囲は暗闇に覆われていた。風は強くなりザワザワとススキを揺らす。
震える口で紡いだ音は、ススキの波音に消えていく。
頬撫で
テーマ「ススキ」
満月の夜にそよそよと揺れているススキ
つづらな景色を眺めて
味噌汁を飲んだ時の温かさが
安らぎに変わる
ススキ
私が小学生の頃、家が近所で仲のいい幼馴染が居た。
その子は活発で、ちょっとアホで、でも誰よりも良い奴で。
彼と遊ぶ毎日はとても楽しくて、幼いながらに恋心を寄せていた。
けれど、小学四年生の夏休み。
家族と行った旅行先で、私はトラックに跳ねられ重傷を負った。
当たりどころが悪かったとかで、私を跳ねたトラックの運転手はそのまま逃げたそうだ。
私は長いこと意識が戻らなかったらしく、目を覚したのは事故から約二週間後のことだった。
私が目を覚した時、病室には誰もいなくて。
だから、一番最初に目に入ったのはベッド横にある棚の上。
私の大好きなフルーツや綺麗な花、学校の友達からの手紙などが置いてあった。
どれも心が温まるものばかり、でもそれらよりも私の気を引いたのは大きなススキだった。
「というか、普通はお花を持ってくるでしょ。」
びっくりはしたが、自然と元気になれた。
その後、看護師さんが私の目が覚めた事を知り、三十分もしないうちに家族が駆けつけた。
家族みんな私の無事を喜んだ。
事が落ち着いた時に聞いてみたのだが、ススキをくれたのはどうやら家族ではなく、近所に住む幼馴染らしい。
でも、私はどうしても彼のことを思い出す事ができなかった。
家族に彼のことを聞いても、顔をしかめ、合わせるばかり。
けれど、当時の私にソレを察する事はできなかった。
ススキ
この時期になると、家の裏の土手にススキが起き上がる。秋風になびいて波のように揺れるのを見るのが好きだった。
あのススキの海を眺めながら心に決めた。オレは人を助ける仕事に就こうと。だから警察を目指した。
親友だった鈴木も一緒に、伊達メガネをかけて勉強した。白い布にマーカーで日の丸を描いて頭に巻いたら、鈴木はふんと鼻を鳴らした。
「それじゃあまるで浪人生じゃないか」
それでもオレに付き合ってくれるあいつは、やっぱりいい奴だった。
いい奴だったんだ。
今年もこの季節がやって来て、実家の裏の土手にはススキがそよめいてるんだろう。
思い出すのは、あいつと道を別れたあの日。
地元に帰るとススキを2本刈って、縁側からぼうっと月を見上げる。それから1本をへし折って庭へ投げ捨てる。
スズキ、お前を思いながら。
『ススキ』
随分と遅くなってしまった帰り道。
明日は休みだから焦って帰る必要も無い。
空は晴れていて時折流れる雲が夜空と星を隠す。
のんびり歩いているとススキを見つけた。
いつも歩く帰り道なのに気が付かなかった。
ススキといえば十五夜のお月見に
添えられているイメージだった。
案外どこにも生えているのかもしれない。
十五夜の満月が目立ちすぎているから
影が薄くなっているだけだろうか。
1本引き抜こうとしたが小さい頃に手を
ズタズタにされたことを思い出して手が止まる。
いや影が薄い上に引き抜かれるのは可哀想だ。
なんて頭で言い訳しながら帰り道を歩き始めた。
ススキの擦れる音が静かな夜に添えられる。
前言撤回。ススキは充分秋の主人公じゃないか。
語り部シルヴァ
ススキ
少し思い出話をしよう。
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あの日ススキを見に出かけていた。
風は強く天候も降雨こそないが雲は厚く暗雲も見えていた。
昼過ぎくらいに最寄りのバスから降り、傾斜のあるそこにたくさんのススキがあった。
風に吹かれ激しく舞うように揺れながら、時より光差すススキ。
全てではないが時折見せる綺麗な景色を携帯に収める。
休憩含めて1時間かもう少しそこにいた。もっといい景色を探していた。
残念ながら夕方からは更に天候が崩れるらしい。夕日に映えるススキを見る事は叶わない。
また来るかどうかも決められないまま、冷たい風を背にバスに乗り込んだ。
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拙い文章ではありますが。
本日のテーマ『ススキ』
ススキ……俺の思っているとおりなら、そこらの野原の辺り一面に群生しているフワフワした白い花穂をつけた秋の植物である。
最近、目にしていない。
最後にススキを目にしたのはいつだろう。
今住んでるとこじゃ見たことない。だとすれば田舎で見たのだろうか。
思い出す。
今でこそ立派なシティボーイだが、実家はとんでもない山奥にある田舎なので、そこで生まれ育った俺の本質はただのポテトボーイである。
小さな頃は俺と兄貴、幼馴染の6つくらい歳の離れたお兄さんとお姉さん、それからまだ5歳くらいだった弟や6歳くらいの近所の子と一緒に田舎の野山を駆け回って遊んだものだ。
田舎の遊びがどんなものかというと……
納屋からかっぱらってきた父さんの海釣り用の釣り竿で土から掘り出したミミズをエサに川で釣りをし、釣った川魚をクッキーの空き缶と蝋燭を用いた簡易フライパンで調理して食べたり(内臓の処理もなにもしてないので危険。しかも生焼け)、イッタンドリを収穫して塩をふって食べたり(すっぱ苦い)、山ブドウもどきを磨り潰したモノを手にぬりつけて紫鬼(山ぶどうまみれの紫の手形をつけられたらしぬ)という遊びをしたり、戦士ごっことかいってヒガンバナを棒きれでなぎ倒したり(暴力的コンテンツ)、山に迷い込んでわざと迷子になってスリルを楽しむ遊びをしたり(本当に危険)していた。
他にもリーダー格の年上のお兄ちゃんが持っていたスケボーに三人で跨り、恐ろしいほど急な下り坂から猛スピードで下り落ちるデス・コースターなるいつしんでもおかしくない物騒な遊びや、かけっこしながら段差や2メートルぐらいある川辺の堤防を乗り越え、神社の狛犬の足元にある宝玉に最初に触った人が勝ちという、現代でいうところのパルクールの原型のような遊びをしていた。
……どうにも話がおかしな方向に逸れてきている気がするので軌道修正。
とにかく、そういった遊びの中で、俺はススキに触れていたはずである。なのにススキに関する事柄を何も思い出せない。
ススキがフワフワした白いヤツと知っているので、見たことはあると思うが……
ススキ……ススキについて書かねば……そう思うが何も思い浮かばない。
(困ったな……ススキで思い出すものなんてなにも……)
心の中でポツリとそう呟いたとたん、はたと気がついた。
(そうだ、そうだよ! ススキと言えばお月見の代表的な飾り物だ! 昔話なんかじゃなくてお月見の話を書けばいいんだ!)
しかし、俺は産まれてこのかたお月見なんてしたことがなかった。
春の花見や、夏の縁側での花火や、お正月のお餅つきや、鯉のぼりもあげてくれたし、乳歯が抜けたら丈夫な永久歯が生えるようにと屋根に向かって投げる教えだったし、このように主だった重要イベントは体験させてくれたのに、なぜうちの両親はススキを飾ってお団子を作ってお月見をしてくれなかったんだ。なにかしてはいけない制約でもあったのか……
「はあ……」
思わず溜息が出た。
だめだ、完敗だ。今回ばかりはススキの勝ちだ。手も足もでなかった。
今回はススキに勝ちを譲ろう。
だが、いつかとびっきりのススキに関するエピソードを入手したら、その時は俺が勝つ。
『ススキ』
ススキを見ると
秋が近づいてきたのだと感じる。
秋は、一番好きな季節で
子供の時を良く思い出す。
徐々に、寒くなって来て
学校からの帰り道も
急ぎ足になる。
その帰り道が、いつもワクワクしていた。
今朝には無かった炬燵を
今日は出してくれているのかなと
期待した帰り道が好きだった。
大人になっても
ススキを見ると同じ気持ちになる。
家に帰って、今朝には無かった
炬燵を母が出して、うたた寝をしている。
日常であった景色は
いつの間にか、深い思い出となった。
秋は、帰る家の温かさを
思い出させてくれる。
辛かったけれど、今はそんな季節が好きだ。
「自分、オギなんで。ススキに用があるなら他当たってな」
月見用のススキを採りに河川敷にやってきたが、どうやらコイツはススキではないらしい。
「あ、露骨にガッカリした顔しよって。こちとらススキと間違えられまくって迷惑しとるんじゃ」
風に揺られた穂が苛立たしげだ。ときおり強く吹き付けられるせいもあって地団駄を踏んでいるようにも見える。
「だいたい何でススキばっか選ばれるんじゃ。自分らオギのほうがずっとフサフサしとるし色だって負けとらん! アンタもそう思わんか? 今年の月見はススキじゃなくてオギでどうや?」
オギに売り込みをかけられる日がくるとは。折角の話だが、ススキでないとまずい事情がある。
「え? 学校行事で使う? 理科の先生もいるから誤魔化せない? なんや融通のきかんヤツやな……」
垂れた穂がうなだれているように見えて心が痛む。家ではオギを使うよと言えば元気を取り戻したのか穂が少し持ち上がった。
「ススキも必要なんやっけ? ここいら一帯はオギやし、ススキは見たことないな。なあそこのアンタ!ススキ見たことないよな?」
「あ、自分ススキです……」
気まずい沈黙が流れた。遠目やったから間違えたかな、というオギの言葉が余計に居心地悪い気持ちにさせた。
ススキ 「秋の七草」
萩(ハギ)薄(ススキ)桔梗(キキョウ)
撫子(ナデシコ)葛(クズ)藤袴(フジバカマ)女郎花(オミナエシ)これや秋の七草
秋も深まって来ました、日本人ならご存知ですよね秋の七草(笑)謙遜とは日本人の美徳ですが、謙遜は自信がないことや、過小評価とは違います。自信があるから出来る「負けて勝つ」
もう少し柔らかく「負けるが勝ち」まあ、勝ちって強くなるのではなく負けて強くなる能ある鷹は爪を隠すのですよね(笑)また逆に謙遜も謙虚も無い人間は、自分に自信が無いものだから、否定したり批判したりすることに一所懸命になり、みっともなく自分を下げていることにも気づけない。「言うが易く行うが難し」も分からず人の仕事を否定し批判し自分の正義のために人を呪う独善的な単なる我儘な鬼畜になりて己を神や士や先生などと呼び徳を下げるものなり。
先生と呼ばれる程の馬鹿で無し、人の振り見て我が振りなおせ気をつけたいですね。
話は、日本人ならご存知の「秋の七草」秋の七草は万葉集にも詠われた秋に美しい花をつける野花で、お粥の具の「春の七草」より先輩でした。春の七草は、その頃万葉集で詠われたのは芹だけでした。実はこの芹、若葉が競り合っているように見えるため「競り勝つ」と言う意味が込められた縁起物ら・し・く、それを食するとは「負けて勝つ」「負けるが勝ち」と言いながらな訳で(笑)漲る闘志は内に秘め勝ちを譲ったふりして勝つ謙虚な日本人らしかったり致しますと皮肉(笑)
秋も深まった休日の午後、秋の七草の薄(ススキ)が風に揺れ雁でも連なって飛んて行く姿でも眺めたいものだとは清少納言さんの言葉だが
夏は終わらないのかと心配した2024年の夏もやっと終わり駆け足で秋が過ぎて薄(ススキ)が風に揺れるを情趣を持って眺めていますと、千年前の貴女を想います…。
令和6年11月10日
心幸