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秋風に揺らされたススキが頬を撫でていく。

友だちと別れた帰り道。夕陽に照らされたススキが金色の海のようで、つい足を踏み入れてしまった。
冷たくなった風とともに、日に温められたススキが柔らかく頬を撫でてくるのに、クスクスと笑い声がこぼれる。
夕暮れの空が夜に変わるわずかな間、一番星が輝きはじめるのを見て、家路につこうと歩きはじめる。
クンっと手を引かれた気がして後ろを振り返る。いや、振り返ろうとしてバランスを崩してしまう。
咄嗟に手を地面につこうとするが、手の先に想像していた土の感触はなく、ふわりとした何かに沈み込む。
ゾワリと手の先から鳥肌がたつ。
倒れ込んでしまった柔らかいナニかから体を起こそうと手足を動かすが、手の先にも足の先にも地面の固さはなく、立ち上がれない。
いつの間にか周囲は暗闇に覆われていた。風は強くなりザワザワとススキを揺らす。
震える口で紡いだ音は、ススキの波音に消えていく。

頬撫で

11/11/2024, 5:21:36 AM