秋の夜風がふくと名の知らないあの人を思い出す
ススキの穂が揺れるさまを
「神風が吹いている」
と言ったあの方の思いにふけている閑散とした顔
「神風が吹くのは危難を防ぐためなんだ。
君も気をつけたほうがいい。
危難は出来事ではないかもしれない。
心の具合を危惧していることもある。
今の当たり前が大切な幸せだったと後悔する前に
周りの人や自分を大切にするべきだ」
あの方はきっと誰かを失くしたのかもしれない
きっとある晩にススキの穂が揺れたとき
その大切な人はあの方に何かを言ったのだろう
あの方が思いにふけるほど重みのある一言を
そしてその後あの方の前から去ってしまった
あるいは心が離れてしまった
だからこそ私に「神風」というものの大切さを教えた
11/11/2024, 6:19:50 AM