ネジが外れたウサギ

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9/24/2025, 6:22:56 AM

「僕と一緒に結婚してください!」

生涯一度や二度あるかないかのセリフに私は心が躍る

プロポーズしてくれた彼は、私が長年片思いをしている幼なじみだ。


いつもドジばっかりして危なっかしい子だと思っていた。

でも、写真だけはプロ並みに長けている。

彼が撮る写真はいつも空だけ。

私は彼が撮るフィルターを通した夕焼けの写真が好き


オレンジとピンクのコラボレーションが見事な風景に

カップルがハートを手で作っている黒いシルエットが

遠近法で重なって写っているその写真が圧巻だった。

条件が合えば誰にでも撮れそうなその写真が、

彼しかない魅力があると思った。


だけど、そのカップルの片割れは私ではない。

言い換えればそのカップルの片割れは

彼の本当のプロポーズの相手。

私にあのセリフを言ったのは、ただの練習だった。


じゃあ、ハートを作っているもう一人は?

と誰もが疑問に思うだろう。

それは彼が思いを寄せていた彼女の彼氏。

つまり、幼なじみは振られた。

わかっていながら彼女に振られた幼なじみは、

その彼氏に花を持たせた。


幼なじみの愛を断った女性と彼氏の二人の記念写真を

皮肉にも私はどんな写真よりも好きだ。


9/19/2025, 6:31:05 AM

「もう、あさってはありません。明日で世界が終わります」

気象庁が笑える冗談にもならない予言をした。

そして、テレビの中の彼は続ける。

「なぜなら、地球温暖化がピークに達して地球が爆発するからです。

地球が爆発すれば私たちの『人生』はあっけなく宇宙のチリとなって一粒一粒の星になるでしょう」


「拓也、私たち宇宙のチリとなっても一緒にいられるかな?」

佳澄が言ったため息のようなその願い事に対して俺は

「チリになっても記憶は残るよ」

「そうだよね!それだけ私たち愛し合ってるもんね!」

「うん」と俺は言葉にならない返事をした。

佳澄は「明日、どこかにいこーよ!」

と言って俺の腕を引っ張る。

「なんで?」俺は面倒くさそうに言う。

「だって、明日で世界が終わるんだよ?
だったら、いろんなことを目に焼き付けたい」

俺は佳澄の言う『明日で世界が終わる』という、
気象庁の予言を間に受けるところが嫌いだった。

当たり前に来る明日と当たり前に来ないあさっては

どう違うのかわからない。

自分が死ぬならともかく、地球が爆発するなんて想像できない。

もし、本当に地球が爆発して世界が終わるなら、

俺は佳澄と月に行きたかった。

月に住んでいるうさぎになりたかった。


「ねぇ!拓也!」

「そんなに言うなら、俺と宇宙へ行こう」

「えっ?先に宇宙のチリになるの?」

「違う。月で一緒に見知らぬうさぎになろう」


佳澄は目を丸くした後、

「荷物っているのかな」と真顔で言った。

9/12/2025, 9:00:18 AM

青春時代をテキトーに過ごして来たせいか

今の俺はひとりぼっちだ。

誰かが作ったマニュアルを当たり前のようにやり過ごした。

そのマニュアルは王道の生き方だった。

友達を作ってみんなで遊んだり、時には傷つけあった。

好きな子ができて、初めてを経験して恋を知った。

そして必死になって勉強して、二度の受験を経験した


大学に入ってからも同じやり方を慣れた手つきで操作した、つもりだった。

中学や高校とは違って、

大学生にはやりたいことが無数に枝分かれしていた。

サークル、研究、アルバイト、夢への努力。

みんなそれぞれ自分のマニュアルを持っていた。

だから、俺はひとりぼっちだ。


そんな俺のため息を独自のマニュアルに変えてくれた人が現れた。

その人は、俺の知らない同級生だった。

その人は、俺をよく知る同級生だった。


同じ高校だった(らしい)のに、

俺に恋をしていたと言うのに、

俺は知らなかった彼女のこと。


目立つ華やかな雰囲気の花しか気づかず、

雑草に紛れた名の知れない花は見てなかった。


そんな彼女を俺は大切にしたい。

心から、そう思った。


やさぐれた大学生活に四葉のクローバーをくれた人が

彼女だったから。


俺のマニュアルは彼女のマニュアルでもある。

そう信じた俺は彼女と大学生活を謳歌した。


もう、俺は一人きりではなく、守るべき人がいる。

9/10/2025, 5:59:22 AM

いつも何か新しいことに挑戦する時、

私はよくドリッパーとペーパーフィルターを使って飲んだレギュラーコーヒーを思い出す。

初めてすぎてドリッパーの使い方もフィルターの向きも

何もかもが私を混乱させた。


そのくせに「大人っぽいことをしてるな、私」と

少し背伸びしたようなあの頃のダサくて幼稚な思想が浮かんだ。


でも、あの時のその手段が一つの知識になったことに

なんとなくだが誇りを持っている。


今までに得た、知識かつ経験が新しい何かに挑戦する私を後押しする。


夢を叶えるなら、

もっと沢山の新しいことに挑戦しなければらない。


挑戦にまとわりつく失敗もやり遂げた達成感も

夢を叶えたい私にはもってこいの材料だ。


夢という料理は壮大で自由だからこそ難しい。

私は即席のドリップコーヒーよりもおいしく得られる

苦労の味を知っている。

その味は叶えた夢を味見するのにちょうどいい。

9/3/2025, 7:43:30 AM

憧れの作家の詩集のページをまた一つめくっていく

紡がれる言葉たちは規則正しいようで正しくない

でも、あの人が語る物語のような流れるメッセージは

読む人の心の天気によって色が変わる

だからこそ、私はあなたの言葉の声が好きです

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