夢を叶えるために上京した君の背中を追って
私も高校を卒業してから地元を出て東京にやってきた
君は進学せず、フリーターになっていた。
意外だった。
夢を叶えるため安全で確実なルートしか選ばないと
決めていた君が夢を叶えるために
人とは違う道を選ぶことが。
君は言った。
「誰かが敷いてくれたレールを辿るだけなら、
失敗はないだろう。
だけど、そればっかりが正解じゃないんだ。
人が気づかない路地裏にこそ穴場がある。
俺はその穴場を手探りで探しながら、
自分だけしか掴めない夢を叶えようと努めてる」
その君の一言が私のコンパスを狂わせた。
そしてまた、君の背中を追っていきたいと思った。
なぜなら、その先に私の知らない私の夢の世界が
あると思ったから。
美しい嘘があるならば
そこに少しだけ、悪というスパイスがあるだろう。
完全なる優しい嘘は存在しない。
優しい嘘ほど美しい嘘はない。
他者を傷つけるのが怖くてついた優しい嘘は
自分を守るためのナイフを隠し持っているから。
遅めの青春だから、初めての彼氏だった。
だからこそ、君を深く愛し過ぎてしまった。
だからこそ、余計に君を傷つけたしまうこともあった
謝りたい、まだ「好きだよ」って言いたい。
でも、これで最後にするね。
「私に恋を教えてくれた君に、幸あれ」
もし君が孤独の風にさらされているなら、
僕が君を甘い羽衣でそっと包み込んであげる。
孤独の風は冷たく、苦く、鋭いから、
甘い羽衣で暖かく、甘く、ほんわかと守るよ。
君には見えなくても、羽衣は孤独をさえぎってくれる
彼の9回目のため息と共にタバコの煙が空に溶ける
「私たち、別れよう?」
そう言うと彼は言葉の代わりにため息をつく
別れたくないのか
それとも振られる事にプライドが傷ついたのか
彼はため息を言葉代わりに使う。
そして、10回目のため息のあと彼はこう言った。
「君は俺に何度もため息をつかせるくらい、
俺にはもったいない女だったよ。
もう少しだけ待ってくれたら…」
彼は言葉に詰まったあと、かすかに聞こえる声で
「シンデレラになれたのに」
と空に言葉を溶かして、私を置いて駅へ向かった。