『カーテン』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
カーテン
天井から床まで覆う重厚なカーテン。落ち着いた色合いの布地に触れ、ほんの少し開けて視線を落とす。眼下、高速道路を流れるライトの列。ぼんやり眺めていると「何見てんの」背後から声が飛ぶ。振り返ればバスローブ姿の彼が背後に立ち、先刻の私と同じように窓の外へ視線を向けた。
「Rの33」
「カエルの散歩?」
「ちがうー、えっと……BCNR33」
「ああ、33」
「さっき積載車通ったの。タイヤ山盛りだったからドリ車かも。あした走行会かな」
「そういうことばっかり詳しくなって……」
「教えた張本人がそゆこと言う?」
「え、俺のせい?」
「おかげさまです」
腕を回され身体が密着。背中にじんわり伝わる彼の体温、感触。会えないあいだ、私がずっとほしかったもの。
「なんか、あっつい。熱ある? ねむたいの?」
「シャワー浴びたからだろ。むしろ寝かさないけど。……何笑ってんの」
「いつもすやすや寝ちゃうのにねえ」
「色々吸い取られてるからな」
「わたしのせいかあ」
首を傾げると同時、うなじに唇が触れる。軽い挨拶とは程遠い、明確な劣情を剥き出しにした性行為そのもの。
「まだ我慢させる気?」
耳元の囁きは誘い。俯く私の反応を愉しむように両眼で舐る。それすら私にとっては愛撫。振り向くと視線が交錯し、彼の手でカーテンが閉じられた。
(了)
2023.10.12 藍 お題「カーテン」
秋になってくると日も短くなり、仕事から帰宅する頃には外はもう暗い。
家の明かりや街灯がつき始め、夜道を照らすようになる。明るかった帰り道が暗くなり少し寂しさもあるが、住宅街を通ると子供の楽しそうな声が家から聞こえてくる事もあるので、嫌いではなかった。
その日も、定時よりは少し遅れて退勤して、帰る頃にはもう夜になっていた。
一軒家の家から子供のドタバタと走る音やお母さんの声。色々聞こえて来ると同時に平和を実感する。
微笑ましいなと思って歩いていると、とある家が目に入った。
あかりがついていない平屋。
だが、窓は開いていてカーテンが風になびきゆらゆらと揺れている。
不用心だな、と思いつつその部屋を見るとカーテンがめくれ部屋の中が見える。
すると、女の子が泣いているのが見えた。
可哀想に思い、声をかけようかと平屋のそばに行こうとするとふと違和感を覚えた。
部屋の中は真っ暗なためなんにも見えない。
なのにどうして、 “女の子“ だけはっきりと見えるのだろう。
何か嫌な予感がした時にはもう遅く、
窓を見ると女の子がこちらを見ている。
急に寒気がした。
立ち去ろうにも目が合っているせいか、動けなかった。足が地面とくっついてるかのように動かすことが出来ないのだ。
目はクリクリとしていて、髪は長い。
お化けのようにおどろおどろしい姿はしていないが、動きがなんだかゆらゆらとしている。
きっとこの世のものではないのだろう。
そんな心霊経験をした事もなかったので、為す術なくその場に立ちすくんでいた。
ゆらゆらと揺れる女の子の動きがピタリと止まる。
ゴクリと唾を飲むと女の子が口を開いた。
「た、……たすけ、」
ビュオオオッ
女の子が何かを言いかけた途端部屋から風が吹く。
体も動かないので目をつぶって風を凌ぐしかできなかった。
風が止み、窓を見ると女の子の姿はなく何も見えない真っ暗な闇となっていた。
足も動くようになっていたので、早々に家へ帰宅した。
あとから近所の人に聞いた話では、どうやらそこの平屋にはある一家が住んでいたらしい。
最初は平和に暮らしていたものの、父親の浮気から始まり、離婚、そして母親の暴力により一緒に住んでいた娘さんが亡くなったそうです。
母親も逮捕され、その平屋はそれ以来誰も住んでおらず、空き家のままだそう。
一時期ニュースでも取り上げられていたらしいが、だいぶ前のようで見たことは無かった。
そして、父親と離婚したあと、母親が仕事に出ている間の夜は、女の子の鳴き声がここ近所に響いていたらしい。
もしかしたら、亡くなった今でも誰かに助けを求めているのかもしれないと思うと、胸が苦しくなった。
#カーテン
これからの未来を
美しく仕上げるために
どんな今をも受け入れる
おはよう世界
先ずはカーテンを開けることから
背中が痛くて目が覚めたら、自分の家の床の上で寝ていた。むくりと起き上がって洗面台に向かう。昨日の服装、化粧も落とさないまま。髪の毛は凄いことになっている。不細工な鏡の中の自分がこっちを睨んでいた。
部屋中の窓を開け、換気をする。とりあえずお風呂に入ろうと思って湯を沸かす。その間にこの酷すぎる顔を何とかしたくてクレンジングに手を伸ばす。顔を洗いながら、考えるのは嫌でも昨晩のこと。ああ、終わったんだな、って。どこか他人事に思えるのは何故だろう。
「タオル、タオル……」
ぼーっとしてたらフェイスタオルをそばに準備しとくのを忘れていた。泡まみれの顔でサニタリーの棚を漁る。その後泡を流して顔をうずめるとリネンの香りが鼻腔に入り込んできた。少しだけ、気持ちが落ち着いた。わりとゆっくり行動していたらお風呂が沸いた。昨日の服を脱ぐ時、ストッキングに伝線があるのを見つけた。いつからあったんだろう。昨夜、あの人といた時はどうか無かったことを願う。
せめて最後は完璧な私で迎えたかったから。
熱いシャワーと熱いお湯に浸かって、長湯から出た時はもう昼時に近かった。籠の中のさっき脱ぎ捨てた昨日の服。もうこんな、背伸びしたワンピースなんて着ない。鼻を近づけると煙草の匂いがした。途端に気持ちが落ちてゆく。心がずんと沈んでゆく。もうあの人には会えないのに、あの人の匂いを持ち帰ってしまった。折角お風呂でさっぱりして、このまま昨日のことは夢だったんだと言い聞かせようとしたのに。香りは瞬時に記憶を呼び起こす。涙腺が脆くなるのも必然だった。
「あーあ」
ばたりとベッドに倒れ込んだ。泣きたくない。頭じゃそう思っていても心は言うことをなかなか聞いてくれない。たかが失恋。あの人に私は必要なかった。ただそれだけのことだ。それで終わらせてしまえたなら今、こんなに苦しんではいない。本当に、好きだった。でも叶わなかった。気持ちだけでは駄目なんだ。恋は2人でするものなんだ。分かっちゃいるのにうまくいかなくて、やりきれなくて。それが涙となり頬を伝った。
さっき開けた窓から少しの風が入り込んできた。涙に濡れた頬に当たって僅かにひんやりとする。ベランダのカーテンが揺れている。ひらひらと揺れ風に舞う姿は私の今の心境と正反対に軽やかだ。見てるとなんだか、さっきまでのざわめきが薄れていくような気がした。
そうだ、カーテンを洗おう。ふと思い立ち、レールから外しにかかる。何もない土曜日の昼間。外は快晴で洗濯日和。昨日の弱った私と決別するために、部屋中のものを洗濯するのだ。
カーテンを外しきった窓の向こうに青空が見えた。目に染みるほどの青。深呼吸を1つしてから洗面所へ向かった。
自分の心もまっさらに洗えたら良いけどそれは無理だから、一先ずカーテンを洗おう。お気に入りの柔軟剤で、昨日のワンピースもついでに。大好きな匂いに囲まれていれば、少しは気が紛れるだろう。もう煙草の匂いは嗅ぎたくない。
カーテンが揺れている。
彼がその事に気付くと冷たい風が入ってきた。
今は21:00だ。
彼の夜の時間はあっという間に過ぎていく。
彼の世界に夜しか無かったら人生はあっという間だ。
夜の仕事をしている人はそうなのだろうか。
彼は冷たい風を追いかけて街に出掛けて行きたくなった。
だけど、明日も朝早く出勤する。
結局、彼の夜は寝るために眠るために存在してしまう。
日中、日差しが強かったのでカーテンを閉めていた。数時間後、部屋が暗く思えたのでカーテンを開けたところ、黄色さを帯びてきた太陽が目に入り、ああもう夕暮れの時間が近いのか、などと思った。
「あ」
誰かが声を上げた。
「ちょっと、今良いところなんだけど」
カーテンである。
「今日の夕焼け、絶対綺麗なんだもの、見ていたかったのに」
眩しくて何も見えない時と暗くて何も見えない時しか閉めてくれないんだから、これだから人間は、などと愚痴愚痴と言われたので「ごめんごめん」と平謝りしつつ、「じゃあ」と持ちかけた。
「半分閉めて、半分開けるでどうかな」
両開きのカーテンはぱたりと愚痴を止めた。しばらく押し黙り、もしかして唐突に普通のしゃべらないカーテンに戻ったのかなと思い始めた頃、ようやく声が聞こえてきた。
「……許す」
どうやらお許しいただけたらしい。
約束通り、片方のカーテンだけを閉めて、もう片方は開けたままにする。やがて傾いてきた日が濃いオレンジ色になって辺りを照らす様子を、カーテンと共に静かに眺めた。
カーテンの隙間から、溢れ出る極光が私の顔を照らした。
夜は白夜であって、開けることはなかった。
ノルウェーの、北東部。
朝方、エミリアは季節性のメランコリックで、起きるのが遅かった。
セントジョーンズワートのハーブティーを飲んだのも、眠りが深い要因の一つだった。
ただ、その眠りが彼女を深い悲しみへと、突き落としていた。
酷い夢だった。
なんだか、とりとめなくて、それでいて別れを想起させるような。
「また会おう」
彼はそう言った。
もう一度会いたいと思っていた、あの顔だということに気がついた時、エミリアは慌てた。
「会おうって!?」
ここは夢の中なのに。そう、夢の中だと分かっている夢だった。いわゆる明晰夢みたいな。
起きると、なぜこんなに空が明るいんだろうと、憂鬱になった。
遮光カーテンを買うべきかもしれない。
だがしかしそれだって、憂鬱を増幅させる材料になるだろう。
永遠に続く夢なら良かったのに。
とりとめもない夢は、夢の中に消えた。
カーテンの隙間から朝日が差し込み、いやでも目が覚める。
今日は休日で特に予定もない。
隣でスヤスヤと寝ている彼女を起こさぬよう、そっとカーテンを閉めなおした。
「ゆっくりおやすみ」
彼女の額にキスをして再び布団の中へと潜り込む。
さて、何時に起きることやら。
"カーテン"
今日もまた一日の始まりをお知らせする朝の光が差し込んできた。
#カーテン
『カーテン』
カーテンがレールの上を滑る音が、眩い光が、意識を浮上させる朝の合図。
東向きの窓から差し込む日差しに小さくうめいて、柔らかなタオルケットを抱え込んだ。
「ごめん、まぶしかった?」
不意に影に覆われて顔を上げると、君が朝の陽を背負って歩み寄ってくる。
「おはよう」
「おはよ」
さぁ、今日は君と何をしようか。
~カーテン~
カーテンと窓の間に入ってみる。窓からひんやりした空気が来て、夜だから私が映ってる。
カーテンの向こうは知らない。こっちから見えないのだから、あっちからも見えてないんじゃないかな。
【カーテン】
夜、少し肌寒くなった気がして目が覚めた。
すぐ横で、薄青いカーテンが時折ヒラヒラとしている。どうやら、換気のために少しだけ開けておいた窓から風が入ってきたらしい。
ベッドから起きあがろうとして、自分の寝ていた場所がひどく左に寄っていたことに気がついた。十年前からのクセが、未だに抜けていない。あの頃、右隣に必ずいてくれた人はもういない。二度とは会えない人と、寄り添っているような感覚がないと眠れない。そして毎日、目が覚めては現実に引き戻される。
あの薄青いカーテンは、あの人と二人で選んだものだ。この部屋で、ずっとずっと一緒にいられると思っていた。
ひとりぼっちを受け入れきれない今の自分と、夜風に揺れるカーテンとが重なる。揺れ動いて揺れ動いて、いつか一人になった自分を本当に受け入れられる日は来るのだろうか。そんな思いの中、またベッドの左端に身体を寄せてしまう自分がいた。
「カーテン」
我が家のベランダは東向きに作られており、午前中は日当たりがよい。
確実に洗濯物を乾燥させるためには、早めの洗濯が必要だ。
朝活を始めるようになってから、毎朝4時頃に起き、すぐに洗濯機を回すことができている。
土日も早朝に洗濯をするため、天気がいい日は昼前に取り込みが可能だ。
しかしながら、カーテンは洗濯のタイミングがよく分からない。
月1回?シーズンごと?年末?
結局、気が向いたときにしか洗えておらず、前回いつ洗濯したかも記憶にない。
ごめんよ、カーテン。
団地の二階に住む私は、遮光カーテンが必要だ。
全ての二階住まいがそうというわけではないが
私の部屋は運悪く、真ん前で外灯が煌々と輝いているからだ。
ただ遮光カーテンも何でもいいわけでなく
以前素材で失敗したことがある。
カーテンを買い替えた時、買ったときは気づかなかったが
裏地がゴムっぽくゴワゴワしたカーテンだった。
なかなか重くて分厚い。
ま、見た目はともかくホントに完璧に光を通さず
いたく気に入っていたが、その後洗った途端問題が発生した。
裏地のゴムが切れたり小さな穴が無数に開いてしまったのだ。
その夜、私の部屋はプラネタリウムと化した。
ま、ステキ!とはならない。気を付けよう。
「カーテン」
分厚いカーテンで外の光りを遮断する
ひっそりと独り安心する
すき間から洩れる光りは強すぎて
今の自分には眩しすぎる
まだこのカーテンをひくには早い
カーテン
いつもは閉じているカーテンの窓。
今日は、しっかり開いていた。
隣の窓の僕は、珍しいと思って、じっと見つめた。
パッと一瞬、長い黒髪の女の子が窓を覗く。
彼女は僕に気づいて、再び姿を見せてくれた。
窓越しに僕らは見つめ合う。
彼女の黒髪が風にたゆたう。
きれいだと思って、その髪先を目で追いかける。
彼女が僕の目線に気づいて、くすりと笑う。
また目が合って、どちらからでもなく、微笑んだ。
暖かい光で部屋のカーテンが輝らさせる。ありさは目を開ける。そばにある時計を見るととっくに8時を過ぎている。
しまった、とありさは思った。なぜなら、彼女は"完璧な藍沢家の一人娘"でいなければならないからだ。
急いで一階に降りて準備をする。両親とは話はしないが、呆れているのがよくわかった。朝食は入らなかった。走って家を出て学校に行く。
藍沢ありさは中学2年生の、誰からも慕われる優等生だ。
遅刻は許されない。しかし、今日はどうやったって遅刻するのは確定していた。人目を気にせず廊下を走り教室を目指す。
「すみません、遅れましたっ」
クラスメイトや教師から白い目で見られる。もう嫌だ、と彼女は大声で叫んでやろうかと悩んだ。でも諦めた。たとえ時間ぴったりに来ようと、遅刻しようとありさを白い目で見るだろう。
この学校はかなり治安が悪い。いや、悪すぎる、といったほうが適切だろう。だからこそ、ありさは優等生でなければいけなかった。自分も犯罪者になりたくなかったから。─本当は、こんな学校に入学したくなかった。でも親が勝手に決めて入らせた。だから見返したかった。
きちんと規則を守って仕返しをすることが彼女の願いだった。親を後悔させてやろう、というのが作戦だ。
偶にありさはクラスメイトから悪戯という名の虐めの被害にあう。どうせ私の態度が気に食わないのね、そう思いなんとなくリアクションをする。そういうときほど時間はゆっくり過ぎていく。1時間授業を受けていても、何時間もの時が経っているような、そんな気がした。
周りを見渡すと、授業を真面目に受けている人は数人ほどだけだった。他の人は寝ていたり友達と話したりしている。注意する気も起きなかった。まるで低学年の小学生を見ているような気分になった。少し頭が痛くなってきた。
教師に用を話しありさは教室を出た。
過去の自分の投稿を見て、
423人もの人にイイネされてた。
幸せだな、私の気持ちが
共有されて嬉しい。
今回のお題は「カーテン」
前も、言ったけどやっぱりわたしは
カーテンを開けてからの青空が好きだ。
曇りでも雨でも晴れでも、頑張って
生きてるからいいなって思う。
この世界に生きてると、やっぱり
1回は死にたくなる時がある。
だけど、友達とか家族の面を考えると
やっぱり死ねない。
だけど、辛くても生きててよかったって
思う時があるんだ。
友達に救われる時もある。
友達は、わたしのかけがえのない人なんだ。
家族とは違うと感じる。
これからも、辛いことがあっても
絶対に死ぬことはしたくない。
生きてて幸せと思うときがあるから。
頑張ろう、わたし
頑張ろう、みんな
知ってた?
劇団四季を見にいって、
終わっても拍手が鳴り止まないと
「カーテンコール」でカーテンが
再び開くんだよ。
ふふふ、この情報が
ちょっとでも役に立てればいいけどね
カーテンが嫌いだ
光を遮ってしまう
遮るものが嫌いだ
唯一の希望さえ見失ってしまう
#11