暖かい光で部屋のカーテンが輝らさせる。ありさは目を開ける。そばにある時計を見るととっくに8時を過ぎている。
しまった、とありさは思った。なぜなら、彼女は"完璧な藍沢家の一人娘"でいなければならないからだ。
急いで一階に降りて準備をする。両親とは話はしないが、呆れているのがよくわかった。朝食は入らなかった。走って家を出て学校に行く。
藍沢ありさは中学2年生の、誰からも慕われる優等生だ。
遅刻は許されない。しかし、今日はどうやったって遅刻するのは確定していた。人目を気にせず廊下を走り教室を目指す。
「すみません、遅れましたっ」
クラスメイトや教師から白い目で見られる。もう嫌だ、と彼女は大声で叫んでやろうかと悩んだ。でも諦めた。たとえ時間ぴったりに来ようと、遅刻しようとありさを白い目で見るだろう。
この学校はかなり治安が悪い。いや、悪すぎる、といったほうが適切だろう。だからこそ、ありさは優等生でなければいけなかった。自分も犯罪者になりたくなかったから。─本当は、こんな学校に入学したくなかった。でも親が勝手に決めて入らせた。だから見返したかった。
きちんと規則を守って仕返しをすることが彼女の願いだった。親を後悔させてやろう、というのが作戦だ。
偶にありさはクラスメイトから悪戯という名の虐めの被害にあう。どうせ私の態度が気に食わないのね、そう思いなんとなくリアクションをする。そういうときほど時間はゆっくり過ぎていく。1時間授業を受けていても、何時間もの時が経っているような、そんな気がした。
周りを見渡すと、授業を真面目に受けている人は数人ほどだけだった。他の人は寝ていたり友達と話したりしている。注意する気も起きなかった。まるで低学年の小学生を見ているような気分になった。少し頭が痛くなってきた。
教師に用を話しありさは教室を出た。
10/12/2023, 8:13:16 AM