Akeru

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 日中、日差しが強かったのでカーテンを閉めていた。数時間後、部屋が暗く思えたのでカーテンを開けたところ、黄色さを帯びてきた太陽が目に入り、ああもう夕暮れの時間が近いのか、などと思った。
「あ」
 誰かが声を上げた。
「ちょっと、今良いところなんだけど」
 カーテンである。
「今日の夕焼け、絶対綺麗なんだもの、見ていたかったのに」
 眩しくて何も見えない時と暗くて何も見えない時しか閉めてくれないんだから、これだから人間は、などと愚痴愚痴と言われたので「ごめんごめん」と平謝りしつつ、「じゃあ」と持ちかけた。
「半分閉めて、半分開けるでどうかな」
 両開きのカーテンはぱたりと愚痴を止めた。しばらく押し黙り、もしかして唐突に普通のしゃべらないカーテンに戻ったのかなと思い始めた頃、ようやく声が聞こえてきた。
「……許す」
 どうやらお許しいただけたらしい。
 約束通り、片方のカーテンだけを閉めて、もう片方は開けたままにする。やがて傾いてきた日が濃いオレンジ色になって辺りを照らす様子を、カーテンと共に静かに眺めた。

10/12/2023, 9:39:39 AM