【カーテン】
夜、少し肌寒くなった気がして目が覚めた。
すぐ横で、薄青いカーテンが時折ヒラヒラとしている。どうやら、換気のために少しだけ開けておいた窓から風が入ってきたらしい。
ベッドから起きあがろうとして、自分の寝ていた場所がひどく左に寄っていたことに気がついた。十年前からのクセが、未だに抜けていない。あの頃、右隣に必ずいてくれた人はもういない。二度とは会えない人と、寄り添っているような感覚がないと眠れない。そして毎日、目が覚めては現実に引き戻される。
あの薄青いカーテンは、あの人と二人で選んだものだ。この部屋で、ずっとずっと一緒にいられると思っていた。
ひとりぼっちを受け入れきれない今の自分と、夜風に揺れるカーテンとが重なる。揺れ動いて揺れ動いて、いつか一人になった自分を本当に受け入れられる日は来るのだろうか。そんな思いの中、またベッドの左端に身体を寄せてしまう自分がいた。
10/12/2023, 9:07:04 AM