【空に向かって】
「モクレンってね、ずっとずっと昔から空に向かって咲く花なんだよ」
そう言いながら、君は眩しそうに空を見上げた。
「戦争があっても、災害があっても、長い間同じ姿で咲き続けてるってすごいよねぇ。私、モクレンが咲くのを見るとこれから何があっても大丈夫って言われてるような気がするんだ」
モクレンを見つめる君の眼差しは、愛情に満ち溢れていて思わず嫉妬するほどだった。あの横顔は今も忘れられず、脳裏に焼きついている。
あれから3年が経ち、今年もまたモクレンの咲く季節を迎えた。今ここに、君の姿はない。僕は、君の言葉を思い出す。
「モクレンが咲くのを見ると、これから何があっても大丈夫って言われてるような気がするんだ」
そうだ。きっと大丈夫だ。僕には、モクレンの花とモクレンの花のように生きた君との想い出があるのだから。
【羅針盤】
お前が指し示す方へ進めば間違いないが
間違いがなさすぎて面白みに欠ける
お前が指し示す位置の逆へと進みたいが
そこまでの勇気は持ち合わせていない
結局いつもほんのちょっとズレたところを
おっかなびっくり進んでいる俺がいる
そんな生き方がちょうどいい
【明日に向かって歩く、でも】
明日に向かって歩く、でも
昨日のあの事をつい思い出して
歩みが止まることもある
明日に向かって歩く、でも
歩みの先に居ない人を想うと
涙で前が見えないことがある
明日に向かって歩く、でも
どうしても超えられない壁を目の前にして
途方に暮れてしまうことがある
明日に向かって歩く、でも
先に進めない時は立ち止まって
今できる事を考えてみよう
その場を逃げてもいいし、離れてもいい
違う道を通って回り道をしてもいい
目指すのは遠い未来ではなくて
歩みを進める今、のちょっと先
大丈夫、そうすればいつか
必ずたどり着けるから
私にとって心の灯火は、
根拠はなくても「大丈夫!」だと
言い切ってくれる『推し』がいることです
一生推します!
【刹那】
もう、あなたには二度と逢えないと
何度も心に言い聞かせているのに
時には優雅に舞う蝶の姿で
時には空高く羽ばたく鳥の姿で
時には翼を大きく広げた雲の姿で
私の前にあらわれる
不意に訪れる刹那の逢瀬は
あまりにも愛おしすぎて
気がつけば涙が頬を伝う
もう、あなたに二度と逢えないはずなのに
もう、私は刹那の逢瀬を求めてる