NoName

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カーテンの隙間から、溢れ出る極光が私の顔を照らした。
夜は白夜であって、開けることはなかった。
ノルウェーの、北東部。
朝方、エミリアは季節性のメランコリックで、起きるのが遅かった。
セントジョーンズワートのハーブティーを飲んだのも、眠りが深い要因の一つだった。
ただ、その眠りが彼女を深い悲しみへと、突き落としていた。
酷い夢だった。
なんだか、とりとめなくて、それでいて別れを想起させるような。
「また会おう」
彼はそう言った。
もう一度会いたいと思っていた、あの顔だということに気がついた時、エミリアは慌てた。
「会おうって!?」
ここは夢の中なのに。そう、夢の中だと分かっている夢だった。いわゆる明晰夢みたいな。
起きると、なぜこんなに空が明るいんだろうと、憂鬱になった。
遮光カーテンを買うべきかもしれない。
だがしかしそれだって、憂鬱を増幅させる材料になるだろう。
永遠に続く夢なら良かったのに。
とりとめもない夢は、夢の中に消えた。

10/12/2023, 9:32:53 AM