『たそがれ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
たそがれ
最高とまでは言い難いが
世界滅亡3秒前というわけでもない
燃えるように赤い夕焼けに向かい、ひとり歩いて行く。
辺りには誰もいない。
これはきっと夢の中なのだろう。だから誰も居らず、この場所に見覚えもないのも納得が出来る。
どこから来て、どこへ行こうとしているのか分からないのも、きっと夢の中だからだ。
無理矢理納得して。足を止めずに歩き続ける。
随分長い間歩いている気もする。目の前の夕焼けも、少しずつ赤から紺へと色を染め変えている。
ふと後ろが気になった。
立ち止まり、振り返ろうかとも思ったが、思っただけだった。結局は立ち止まる事もなく、振り返る事さえなく歩いていく。
薄暗さはあるものの、まだ日の赤は鮮やかだ。
しかしそれは前方、見えている部分だけの事。
おそらく後方の、見えていない影の部分では、すでに夜に染められて形を失っているのかもしれない。
そんな想像に苦笑して。
早く目が覚めれば良いのに、と只々目覚めを待った。
歩く先。佇む誰かの影が見えた。
影は動かない。だが影に向かって歩いているために、その距離は段々と短くなっていく。
近づくにつれ、姿形がはっきりと見えてくる。体格からして女性。髪の長い、小柄な女の人。
それでもその影の顔は、近づいても一向に分からない。影が彼女の顔を隠してしまっている。
誰そ彼時。
昼と夜の混じり合う時間。
人と魔がまみえる、禍を呼び寄せる時間。
果たして彼女は人なのか、魔なのか。
少しだけ、歩みが遅くなる。
恐怖からではない。
これは夢だ。醒めれば消えてしまう、一時の幻だ。
ならば、彼女を恐れる理由はない。
彼女はきっと――
「誰ですか?」
彼女を前に、少しだけ距離を開けて立ち止まる。
この時間特有の言葉をかければ、彼女は小さく笑ったようだった。
「元気そうね。安心したわ」
柔らかな声音。
その声を、知っている。
「母さん」
「お父さんと仲良くやっていけてるかしら?お話するのも、いつもわたしを介しているのだもの。心配だわ」
くすくすと、笑う声。
記憶にある少女のような可憐な姿が、鮮やかに思い浮かぶ。
彼女は、母は、離れても変わらないようだ。
「心配ないよ。最近は何かと一緒にいる時間が増えたし。話す事も増えた」
「そうなの?良かった。ちゃんとお話できていて」
「母さんの方は?何かあった?」
こうして夢の中にまで出てくるくらいだ。何かあったのだろうか。
だが母はゆるゆると首を振り、否を示す。
「記憶の一部を飛ばしているだけよ。わたしはもう、眠っているもの」
「そうなの?」
「そうよ。少し心配だったから。あなたはわたしによく似てしまったもの」
眼の事だろうか。
父や他の人とは異なるものを視る眼は、確かに厄介な事はあるが、今はそれを気にする事などほとんどなくなっている。
だから、と心配させないように笑ってみせる。
「大丈夫。庭の子たちは優しいのが多いから。助けてもらう事もあるし。今はもう大丈夫だよ」
「そう。良かったわ。あの子たちと仲良くなれていたのなら、心配はなさそうね」
「そうだよ。だから安心して。父さんの事も任せてくれていいよ、母さん」
戯けてみせれば、ひとつ頷いてほぅ、と息を溢した。
安堵してくれたのだろう。ならばそろそろ行かなければ。
「じゃあ、もう行くね。いつまでも寝てたら、父さんが心配するから」
「元気でね。無理はしちゃ駄目よ」
「分かってるよ。母さんこそ、元気で…は、おかしいか。どっちかって言えば、よく寝てね、とか?」
上手な言い回しが出来ずにいれば、母は確かにね、と笑う。
それでいい。もうたくさん泣いたのだから。今は笑顔で別れるのが一番いいと、そう思う。
「振り返っては駄目よ。隠されてしまうわ。真っ直ぐ前だけを見ていてね」
「うん。それじゃあ、さよなら」
「さようなら」
母に別れを告げて、再び歩き出す。
振り返る事はしない。
追いかけたりはしない。
父が待っているのだから。
目が、醒めた。
ベッドから抜け出して、そのままリビングへと向かう。
「おはよう。父さん」
「あぁ、おはよう。珍しいね、寝坊するなんて」
「ちょっとね」
曖昧に笑う。
長い夢を見ていた。寝坊はきっと、そのせいだ。
目が覚めて、父に会いたくなったのも、きっと。
「おや?」
何か気になる事があるのか。
少し険しい顔をした父が、側に来て目尻をなぞる。
「泣いていたのか?」
「ん。少し、夢を見てたから」
涙を拭う手が、今度は優しく頭を撫でる。
嫌な夢か、と聞かれるが、よくは覚えていない。
夢なんて、そんなものだ。
「顔を洗っておいで。朝食にしよう」
穏やかな声に促され、頷いてリビングを出た。
顔を洗って、それから着替えてしまおうか。
ふと、窓から見える空の青が目にとまる。
雲ひとつない快晴だ。そこに赤や紺の色はどこにもない。
当たり前の事が、何故か今、寂しいと思ってしまった。
20241002 『たそがれ』
たそがれ
一通りの家事を終わらせると急須に茶葉とお湯を入れる
茶葉を蒸している間に湯呑みとお盆を用意して、それぞれをお盆に乗せて縁側に行く
縁側に座ると湯飲みに急須でお茶を入れ、1口 飲んだ
ホッと一息つくとそのまま空を眺める
「母さん、今日もいい天気だよ」
話しかけるが、返事が返ってくる事はない
当たり前だ
妻は3年前に亡くなったのだから
「母さんと一緒にいたあの頃は楽しかったなぁ」
妻がいた頃に思いを馳せていると視界の端に赤いランドセルがうつり、視線を前に向けると満面の笑顔の孫がいた
「爺ちゃん!」
「おー、来たか」
よいしょ、と立ち上がった時に少しふらついてしまった
慌てたように孫が傍に来て身体を支えてくれる
「ありがとう」
「どういたしまして!」
可愛い孫の笑顔に癒される
昨日、配信のテレビで
SEE HEAR LOVE
見えなくても 聞こえなくても 愛してる
という邦画を観ました。
山下智久主演でとても感動しました。
陽がゆっくりと沈んでいき、あたりを黄金色に染め上げる。ひとりまたひとりと帰路に着く背を横目に銀次郎は立ち上がった。
「そろそろ妖どもが起きてくる時間だな。見回りすっか。──今日こそ目当ての妖に会えるといいんだが」
緋色の羽織りが夕日に混ざるようにはためき、手袋で覆われた左手に力が込もる。
そんな銀次郎に見向きもせず、むしゃむしゃと団子を頬張りながらヨキは前々から気になっていたことを尋ねてみた。
「兄ちゃんさぁ。最近はそうやって夜に妖探しに出掛けてるけどさ、昼は昼で修理屋の仕事してんじゃん? それへーきなの? 妖と違って、人間は夜眠るモンなんだぜ?」
「口ン中にモノいれながら喋んなクソガキ」
コツンとゲンコツが飛んできてヨキは首をすくめた。銀次郎は(見かけによらず)育ちがよく、少々面倒くさい時がある。そんなときは言い返さずにやり過ごすのが得策だと、ヨキは近頃ようやく学んできた。
ごくんと口の中のものを飲み込み、改めて聞く。
「で、どうなんだよ。そんな生活してたらよぉ、ちゃんと寝れねぇし体の調子だっておかしくなっちまうぜ」
「ケッ、ンなこと聞いてナニ企んでやがる。なにも問題ねぇよ、こういうときのためにロウジュがいる」
「オカマが?」
ヨキが首を傾げ、その視線の先、真っ黒な洋装に真っ黒な長髪を首の後ろで結いた全身黒づくめの男──ロウジュはでかでかとため息をついた。
「べっつに、『こういうときのために』いるワケじゃあないけどねぇ〜。アタシは力も弱い、ただの洋時計の妖。時を正しく刻むことしかできない。けど、裏を返せば乱れた体内時計を規則正しく導くこともできるってワケ」
「……なぁ〜んだ。つまんねぇ」
「はっはっはっ! どんなロクでもないこと企んでたか知らねぇけどよ、俺の隙をつこうなんて300年早ぇぜ、クソガキ!」
唇を尖らせたヨキを見て銀次郎は高々と笑い声を響かせる。ロウジュはその脇腹をそっと小突いた。
「ちょっと、ギンジ。なに馬鹿なこと言ってんの。ヨキ坊はね、アンタのこと心配してんのよ」
「は? 心配?」
「そーうよ! 今朝だってね、アンタがなかなか起きてこないもんだから、夜のうちにどこぞの妖になにかされたんじゃないかとか、不規則な生活で無理が祟ったんじゃないかとか、ブツブツそんなこと唱えながらずっと心配そうにしてたのよ! ちょっとはヨキ坊の気持ちも考えてごらんなさい!」
「おま、それ……。まじ?」
銀次郎と目が合う前にヨキは勢いよく立ちあがった。団子を突き刺していた串が舞い上がる。
「うるせぇ! 誰がオマエなんか心配するもんか! オカマ野郎の嘘吐き野郎! ばか、ばーか! ばーーーーか!!」
「あ、おい! 待てって!」
暗闇に向かってヨキの背はみるみる小さくなる。銀次郎は伸ばした手で所在なさげに空をかいた。
「ちょっと、ギンジロウ! なにボサっとしてんのよ! 早く追うわよ!」
「──あ、ああ。そうだな、悪ぃ」
背中を叩かれて我に返った銀次郎は慌てて走り出した。
そして考える。
誰かに心配されるのなんて──いったい何年ぶりだろう。
20241001.NO.68.「たそがれ」
『 たそがれ 』
夕日が眩しく煌めく海辺で黄昏た高三の夏。
果たせなかった夢の先の未来が見えず、
溢れる涙も注ぐ西日もうざったく感じたあの日。
もう着ることの無いユニフォームから着替えることもせず、
砂で少し薄汚れた白を見つめたのち、大の字に広がった。
思い出しては伝う悔し涙を拭うかのように吹いた海風は、
涙で揺らいだ背中を押すような力強い北風だった。
徐々に弱くなりつつある夕日が滲む海辺で黄昏る高三の春。
夢に向かって走り出すために未来を見据え、
子供という18年の長い年月を越え、卒業したこの日。
もう着ることの無い制服から着替えることもせず、
海辺の方向へ足を伸ばしながら、砂浜へ腰を下ろした。
思い出しては伝う寂し涙を拭うかのように吹いた海風は、
涙が出そうになるほど優しい北風だった。
2024-10-02
陽の傾く夕暮れ時。
暗くなった空に混じる橙色は
なにか、現実ではないような
そんな雰囲気を感じる。
不思議とどこか、寂しい。
たそがれ時は色が黒に寄り、影絵になりゆく時間帯。
日が落ちりゃ地面が伸びたように物体の影が長くなり、影が影でなくなる。そのような感覚を時折覚えるようになった。
今年の前半、「デ・キリコ展」というのを上野の美術館でやっていて、僕は知識ゼロでその人の絵画を見てきた。
夕暮れ時をよく描くなあ、と思ったものである。
美術館にて、その人の説明文を斜め読みすると、夕暮れ時に天啓を受けて、このような不思議な絵を描くようになったんだと。
その時まで、夕暮れ時に対し、「綺麗な色彩」とか「一瞬の光景」などというように、良い印象を持っていたけれど、色合い的には闇夜に切り換わるわけなのだから、負の印象を持つのが感性的には正解といえる。
それは僕たちは生まれる前からもう、地球は自転するものだと当たり前のように知っているから、日没前のこの不気味な時間帯を不気味だと認識しないのだ。
日が没するという表現も、今考えてみると素敵だ。
没するとは、沈むではなくて一旦死ぬということだ。
だから昔の人は、一日のうちに太陽は生まれ、そして死んでを繰り返すことに対し「奇跡」だという風に自然信仰をするようになる。
繰り返すことが「奇跡」だと思ったわけです。
対し、僕を含む現代の人たちは、繰り返すことに対して飽きてきている。感謝の念を抱かずにいる。
そっぽを向いた目の隙に、本当は太陽は生まれ変わっているのかもしれない。
その光景を影は影絵の一員として表現しようとする。
それを当たり前と受け取るか、デ・キリコのように芸術的延長線と捉えるか。
あるいは、「ふと」と気づいたように、たそがれに呼び寄せられ、影絵の住人になるか。
僕は住人になる資格……たそがれ時に外にいない。
『誰そ彼時相談所、はじめました』
秘密厳守! どなた様でもご自由に!
場所:彼岸公園内
営業時間:17:00~19:00
「これでよし!」
刷り上がったチラシを見て、男は目を細める。
「完璧な作戦だと思わないか?」
傍らにいる猫? のようなモノに声をかける。
「そうですね。……魔王様の敗戦が全てのきっかけであることを除けば」
「ぅぐッ!」
男——魔王は先日、勇者に敗れたばかりだった。
猫によく似た使い魔の機転のおかげでどうにか一命は取り留めたものの、魔王の敗戦の報は瞬く間に魔物たちの間に広まっていった。
魔王が負けた。
この事実はそれまで魔物たちを支配し、抑えつけていた者がいなくなったことを意味しており、それに伴って各地で魔物たちの狼藉が激化していった。
従来であればこのような時こそ勇者の出番! のはずなのだが、勇者たちは魔王を討伐した達成感からかしこたま酒を飲み、今は世界の万物を司る女神様のもとで永い眠りに就いているという——。
決して死んだわけではないのだが、世界が再び魔王の恐怖に支配されるその日まで目覚めることはないのだとか。
「それにしても勇者も女神もアホだよね。完っ全に我のこと倒したと思ってんだもん。我なんとか生き延びたのに。んでもって、もう我世界を支配しようって気ないし。やる気失せたわ。なのに、我が恐怖で世界を支配するまで起きてこないって……どうすんのこれ。起きるタイミングなくない? とんだお寝坊さんがいたもんだよ! おまけに我の部下たちも我が死んだと思ってやりたい放題始めるしさ。なんなん? この世界アホしかいないのw? 部下ならもうちょっと上司のこと心配しろよ。何勝手に死んだと思って他人様に迷惑掛けてるわけ? おかげさまで魔力取り戻す暇もなく元部下どもの尻拭いに奔走させられることになるとかさ、我不憫すぎない? あーもう、我超不憫だわー(怒)」
そんな不憫な魔王が始めたよろずお悩み相談所『誰そ彼時相談所』は、魔の力が強くなるという黄昏時のみ営業中。
皆様のお越しを心よりお待ちしております……。
【たそがれ】
風がバサバサと髪を揺らす。頬を擦り、服の中に入って涼しい。
不思議と怖くはない。飛ばないほうが、余っ程怖かった。
ビルの窓に、美しい夕日が反射するのが目に入る。
…綺麗だな。
柄にもなく、少し感動してしまった。
目を瞑る。眠るように、意識を手放した。
たそがれを飛び越えて、私は貴方に会いに行く。
「たそがれ」
今は、秋に黄昏ている私がいる。
何故かこんな時期で涼しくなり、夕焼けが綺麗だ。
風も心地よくまだ、青葉があるのが、夏を感じる。
速く、紅葉が、始まってほしいものだな。
もう、少しこの黄昏を楽しむとしょう。
1つ前の、きっと明日も。と、たそがれ。です。
よろしくお願いしますm(_ _)m
きっと明日も
「何か楽しいことないかなぁ」
毎日同じようなことの繰り返しで、退屈なんだよね。
と、読んでいた本をパタンと閉じて、キミは言う。
「イヤなことがないなら、それでいいんじゃない?」
そう言った俺に
「そうなんだけどさぁ」
キミは苦笑いする。
「毎日がさ、読んでる本のストーリーみたいだったら、どうする?」
俺の問いにキミは少し考え
「…読むだけでいいわ」
ゲッソリした顔になる。
「まあ、そうだよね」
読んでいるのは、殺人鬼に追われるストーリー。毎日生きた心地がしないだろう。
「読んでる内容によっては、本の中の方がいいのかもしれないけど、本の世界は、なかなか自分が体験できないことの方が多いだろうからね」
「そうだね」
「だからさ」
俺はニコッと微笑み
「何か楽しいことないかな?って言えることが、幸せなんだと思うよ」
きっと明日も、同じようなことの繰り返し。
だけどそれが幸せなんだと、思うのだった。
たそがれ
太陽が一日の役目を終えた、たそがれ時。
薄暗い中、路地裏の壁に寄りかかってタバコを吸っていると
「何してんの?」
と、声をかけられる。
「見りゃわかんだろ。タバコ吸ってんだよ」
声をかけてきた隣人に返事をすると
「大変だね」
と、苦笑される。
「まあ、仕方ねえよ。タバコやめらんねえし、部屋で吸うと臭いがつくからな」
吸った煙を空に吐き出すと
「大家さんに怒られそうだよね」
煙は暗闇に溶けていく。
「いつもここで吸ってるの?」
あまり話す機会のない隣人。
「…そうだけど、何で?」
何でそんなことを?と不思議に思っていると
「タバコ吸ってるときに、見かけたらまた話したいなって。一人暮らしであまり話せる友達もいないし、邪魔じゃなければ…」
たそがれが似合いそうな、少し淋しそうな顔で言われる。
「構わねえよ。吸う時間は決まってねえけど、時間決めんのか?」
もしくは連絡先の交換?吸いに行くときに声をかける?と考えていると
「ありがとう。タバコを吸ってるのが見えたら来るね」
隣人は嬉しそうに笑う。
「…吸ってるのが見えるのか?」
タバコを吸う時間は、だいたいいつも今くらい。人の姿は見えないんじゃ…。
「見えるよ、タバコの赤い火がね」
隣人はそう言ってニッと笑う。
「わかった。じゃ、また会ったらな」
「うん」
なるほど、そういうことか。
隣人の言葉に納得し、タバコを吸い終え、隣人と一緒に部屋に戻ったのだった。
たそがれ
故郷のやまに
陽が落ちる
そして わたしは
こうもりを統べる王になる
たそがれ
部屋の中が茜色に染まるとき
今日起きたことをゆっくりと振り返って
明日の思いを馳せる
:たそがれ
たそがれ、誰そ彼、黄昏。夕暮れ。比喩的に、盛りを過ぎて勢いが衰える頃の意。
『ゲド戦記』の挿入歌である「テルーの唄」、エンディング曲である「時の歌」は、言葉そのままの意味でも、比喩的な意味でも、歌詞や曲調に〝たそがれ〟を深く感じて好き。この2曲は、歌詞も調も対になっている気がして、2つで1つなようで面白い。
新卒で社会人を2年
月曜日から金曜日までの5日を
早く休みになれと過ごす
ただお金を得るために時間を使う
仕事を辞めてドイツに来て3ヶ月
バイトが見つからず時間だけが過ぎる
時間があると今度は
何のために生きるのか分からなくなる
多分完璧な人生はない
学生時代。
北欧神話のロキを題材にしたアニメにハマっていたのがきっかけで北欧神話が今でも好きだ。
それによく出てくる言葉。
神々の黄昏。
黄昏って言葉をあまりよく理解もせずにかっこいい日本語だなと思っていた。
夕暮れ。薄く暗くなった夕方を言い換えると、厨二病臭いがなんかいい。
もう一つの意味は。盛りを過ぎ勢いが衰えることへの揶揄として使われる。
あんなに素敵な響きの言葉が。
急に現実的に聞こえてしまうんだ。
私は今の日本の政治にも、身近な所だと職場の上司にもそのイメージが浮かんできた。
あの頃は良かった、あの頃はもっと厳しかった。
とそんな過去にしか目の向かない連中。
だったらその経験値を保身じゃなくて、自国の未来へ投資してくれ。
若い人から希望を奪い、夢を奪い。
金まで巻き上げる。
そんな黄昏時になら早く夜になってくれ。
そしたら夜明けがやってくる。
夕暮れの時間は短いのだから。
たそがれ
黄昏という言葉の対義語に黎明という言葉がある。
これは、夜明けとか明け方という意味を持つ。
黎明期とは、新しい時代・文化などが始まろうとする時期を指す。
現代社会において新時代の到来に欠かせないのがAI。
1960年代。コンピュータの黎明期でもあるこの時代に第一次AIブームが勃興したらしい。
第三次AIブームの渦中にある今、注目を集めているのは「シンギュラリティ(技術的特異点)」だ。
一説によると2045年頃にはAIが人間より優れた知能を持つ可能性があるという。
そこで私はchat GPT4oに聞いてみた。
「AIがアカシックレコードにアクセス出来る可能性はあると思いますか?」と。
答えはNOだった。
そりゃそうか。
AIは、あくまでも学習したデータに基づいた情報を取り扱うものであり、直接的にアカシックレコードにアクセスすることは不可能なのだ。
本当の意味でAIが人智を越えることは出来ないはずだ。
子供達が帰った後、ブランコが微かに揺れる。ブランコに腰掛け、たそがれているのはまだ若いのに顔がやつれているスーツの男性。
はあ、と大きな溜息を吐きそのまま視線を地面に向けている。
「どうしたの?」
と声をかけた。男性は思った以上に業務が忙しく、つまらないもので希望を見出せないらしい。可哀想に。
「私が助けてあげるよ。お兄さん。」
歳をとってしまうからいけないんだよね?任せて。
お兄さんの大きな手をとって導いてあげる。今は私の時間。逢魔が時、黄昏とも言うんだっけ。...詳しいことはどうでもいいか。
「お兄さんの味は悪くはなかったよ」
2024/10/18 #たそがれ
すれ違う人の顔さえ薄暗い中ではわかりにくくなる
黄昏時。
黄昏時は『誰そ彼』時。
いま隣で話してる君も
いま後ろから声をかけてきた君も
誰そ彼は?
問いかける僕に笑いかける君。
「んーふっふ、さぁさぁ誰だろうねぇ」
そしてアンタも
「誰そ彼はぁ?」
「彼は誰……あぁ、そうだね」
僕は誰なんだろう?
君は誰なんだろう?
黄昏時は誰そ彼時。
黄昏時は逢魔が刻。
さぁさぁ誰だろうなぁ。
僕は君はアンタは
黄昏時に出逢う貴方はだぁれ?