「真人(まひと)~アイス買ってこ~」
そう言ってコンビニを見る陽太(ひなた)。
「悪。金欠」
「マ?」
「ま。あんな頻繁に食ってたら、金欠なるだろ」
真人は悔しそうに「金がねぇ...」と呟いた。
「じゃあ俺のやつ半分あげる。二つに分かれるやつとかあるじゃん?」
「おま、そこまでして食いたいのか」
「ノンノン真人くん。俺はそこまで食い意地無い」
コンビニに入り、陽太は目当ての二つアイスを探す。真人は、ぼけっとそんな陽太を見ている。
「じゃあなんでそこまで食いたいわけ?陽太ってもしかしてアイスマニアだった?」
「発想が面白いね真人クン。アイスマニアは考えてなかったよ」
お、見っけ~と陽太はショーケースを開けてそのままレジへと持っていく。
「...やっぱ俺も食うんだし払う」
「はい駄目~真人は払っちゃ駄目です~残念でした~俺に奢られてくださ~い」
陽太はササッと会計を済ませてしまった。
二人は土手に座って、夕日を眺めてアイスを頬張る。
「うんめー」
「...なんか悪いな」
「悪くなーい」
「...でもなぁ...」
食べてはいるが、浮かない顔をしたままの真人に陽太は言う。
「じゃあ真人クンが大学生になって、バイトして、金銭的余裕ができたら!...奢られてあげるよ?」
「奢ってよ、とかじゃなくて奢られてあげるかよ」
「だって~真人は俺のワガママに付き合ってくれてるんだから、このくらい当然なんだけどね」
「ワガママじゃねぇけど」
「え?」
「俺はそれに好きで付き合ってるわけだしなぁ」
もにょもにょとアイスを食べる真人を見る。
「ほ、へぇふぅん?」
「なんだその返事」
「真人って意外と緩いんだなぁって」
「緩い...?」
「わは」
黄昏時にアイスを食べる二人であった。
お題 「たそがれ」
出演 陽太 真人
10/2/2024, 9:18:48 AM