「___!」
「_____...!」
二階で勉強していると、今日もまた母親と祖母が怒っている。
「___...」
「____...!!」
「____!」
祖父も混ざったらしい。まただ。
いつものことだから、気にする必要は無いんだけど......
(聞きたくないなぁ)
くだらない内容のことなんだろうけど、こうやって大声で怒鳴る感じで話されるのは...嫌だなぁ......なんて。
「............夢か」
目を覚ますと枕を抱えてベッドの上に居た。いつもある温もりは、今日は無い。
(そうだった、今日泊まるって言ってたから一人なんだった)
いつも彼が使っている枕を抱えていた。
(...早く帰ってきて)
そう思いながら枕を強く抱えて眠りについた。
お題 「遠雷」
出演 葉瀬
ふわっ、と触れたそれは、彼の手だった。
「っ...!?」
「あっ」
藍佑(あいすけ)は驚いて彼の手が触れていた髪を奪い取り、他の髪と一緒に1つにまとめて両手で隠した。
「ごめんね!急に触られるのは嫌だったよね」
「......なんで触ったの、千切るため...?」
「千切る?こんなに綺麗な髪なのにそんなことしないよ!」
「...綺麗?」
「そうだよ、君の髪は凄く綺麗だ。まるで星が浮かぶ遠い空のようにね」
彼は歯の浮くような台詞を何度も言う。そしてそれは偽りではなく、本心からのものだと藍佑も理解できた。
「......ふーん...」
「でも急に触ってごめんね、今度からは触っていいか聞くよ」
「.........もう触らないの?」
「え?」
「別に...千切るわけじゃないんでしょ?だったら触ればいいじゃん」
はい、と一束にした髪を彼の前に持っていく。
「いいのかい?」
「千切らないんだったら別に......あ、引っ張るのも無し」
「しないよ!」
では失礼...と山吹(やまぶき)は藍佑の髪をちょいちょい、と指先で触る。それ以上は、強く握ったりとか掴んだりとかはしなかった。
「.........もっとちゃんと触りなよ。そんなのじゃわからないでしょ」
「えっ」
ぐいっ、と彼の腕を引っ張って肩にかかっている髪を触らせた。
「あ、わっ」
「どう?」
「ちょ......ふ、ふわふわだね!」
「でしょ?」
「なんてこともあったよね」
ふ、と藍佑を見て微笑む。
「あー、あの時ね」
「あぁ、藍佑が自ら髪を触らせてくれた日のことは今でも覚えているよ」
「...まぁあの時はいいかなって思って」
短くなっちゃったけど、と襟足を触る。
「また伸ばそうかな」
「ボクはいいと思うよ。でも今の髪型も素敵だな」
「ん、じゃあ考えてみる」
「うん、楽しみにしているよ」
藍佑は内心、山吹って僕の髪好きだよなぁ、と考えていた。
お題 「Midnight Blue」
出演 藍佑 山吹
「!マークじゃ足りない感情」
「夢じゃない」
「真人(まひと)!今日は虹ってどっから始まってるか探しに行こう!」
真人はそれを聞いて、口に含んでいたコーヒーを吹いた。
「......正気か?」
「当たり前田のクラッカー🎉」
「誰が運転するんだよ」
「え?真人」
「.........マジかよ」
絶対あの虹見て言ったな...と真人は窓の外に視線を移す。
「...外出るの?」
「出ないの?折角の休日なのに。頭にキノコ🍄生えるヨ」
にょき、と陽太(ひなた)はたけのこが生える動きをする。絶対キノコじゃないな。
「ねぇ~行こうよー真人~」
「............」
「イエーイ!真人の運転~🚗」
「はぁ......なんで俺がこんな目に...」
真人は仕方なく車を走らせていた。虹が始まってるとこなんてあるのか?と思いながらハンドルを切る。
「虹のはじまりって初めて探すなぁ!」
「俺もだよ。まさかこんな突発的に探すとは思わなかったけど」
「もしかしたら虹の光✨の中に入れるかも...!?」
「入れたらどうするの?」
「レインボーパワーを貰って、力をみなぎらせる!俺レインボーになるからめちゃくちゃイケると思うんだよね~」
「レインボーパワーって...そんな子供みたいな」
「子供みたいだけど、俺らは急に大人になる必要はないんだよ。だってまだ1年しか経ってないんだよ!?それに時々子供に戻った方が楽しいじゃん!」
「.........」
確かにまだ高校を卒業してから一年しか経っていない。いきなり大人ぶれと言う方が難しいのだ。
(...バカみたいにアイス食ってた頃が恋しい。あの時の約束もまだだったな...)
なんてことをぼんやり考えていた。
しばらく走るが一向に距離は縮まらない。
「あれ?なんか走っても走っても近づかないね」
「.........ちょっと待って」
真人は近くのコンビニに止まり、スマホで何か調べている。
「......真人何調べて___」
「虹の麓って着けないらしい」
真人は陽太にスマホを見せる。
そこには『虹は常に42°を保っているため近づくことはない』と書かれていた。
「......なんだと!?え!?俺のレインボーパワーは!?」
「残念だけどレインボーパワーは手に入らないっぽいな」
「嘘ぉぉ!!」
レインボーパワー......!と陽太はショックを受けて嘆いていた。
「......ちょっと待ってて」
「?」
真人は車を降りてコンビニへと入っていく。しばらくして戻ってきた真人の手にはアイスが二つぶら下がっていた。
「ただいま」
「おかえりー...?何それ?」
「何って......アイス」
「......アイス?🍨?」
「...レインボーパワーは無理だけど、アイスパワーなら手に入るぞ」
はい、と陽太の手にアイスを乗せる。
「.........真人の奢り!?」
「声でっか!...そうだよ、高校の時約束したじゃん」
「!!!」
陽太は思い出したように顔を輝かせる。びり、と真人はアイスの袋を破る。
「ほら、早く食わないと溶けるよ」
「キャー!真人イケメーン!」
「フッ、そうだろ?」
「ありがとうアイスー!」
アイスパワァァァ!と喜びながらアイスを食べ始めた。
そんな陽太を見て、真人も微笑みながらアイスを頬張った。
お題 「虹のはじまりを探して」
出演 真人 陽太