「真人(まひと)!今日は虹ってどっから始まってるか探しに行こう!」
真人はそれを聞いて、口に含んでいたコーヒーを吹いた。
「......正気か?」
「当たり前田のクラッカー🎉」
「誰が運転するんだよ」
「え?真人」
「.........マジかよ」
絶対あの虹見て言ったな...と真人は窓の外に視線を移す。
「...外出るの?」
「出ないの?折角の休日なのに。頭にキノコ🍄生えるヨ」
にょき、と陽太(ひなた)はたけのこが生える動きをする。絶対キノコじゃないな。
「ねぇ~行こうよー真人~」
「............」
「イエーイ!真人の運転~🚗」
「はぁ......なんで俺がこんな目に...」
真人は仕方なく車を走らせていた。虹が始まってるとこなんてあるのか?と思いながらハンドルを切る。
「虹のはじまりって初めて探すなぁ!」
「俺もだよ。まさかこんな突発的に探すとは思わなかったけど」
「もしかしたら虹の光✨の中に入れるかも...!?」
「入れたらどうするの?」
「レインボーパワーを貰って、力をみなぎらせる!俺レインボーになるからめちゃくちゃイケると思うんだよね~」
「レインボーパワーって...そんな子供みたいな」
「子供みたいだけど、俺らは急に大人になる必要はないんだよ。だってまだ1年しか経ってないんだよ!?それに時々子供に戻った方が楽しいじゃん!」
「.........」
確かにまだ高校を卒業してから一年しか経っていない。いきなり大人ぶれと言う方が難しいのだ。
(...バカみたいにアイス食ってた頃が恋しい。あの時の約束もまだだったな...)
なんてことをぼんやり考えていた。
しばらく走るが一向に距離は縮まらない。
「あれ?なんか走っても走っても近づかないね」
「.........ちょっと待って」
真人は近くのコンビニに止まり、スマホで何か調べている。
「......真人何調べて___」
「虹の麓って着けないらしい」
真人は陽太にスマホを見せる。
そこには『虹は常に42°を保っているため近づくことはない』と書かれていた。
「......なんだと!?え!?俺のレインボーパワーは!?」
「残念だけどレインボーパワーは手に入らないっぽいな」
「嘘ぉぉ!!」
レインボーパワー......!と陽太はショックを受けて嘆いていた。
「......ちょっと待ってて」
「?」
真人は車を降りてコンビニへと入っていく。しばらくして戻ってきた真人の手にはアイスが二つぶら下がっていた。
「ただいま」
「おかえりー...?何それ?」
「何って......アイス」
「......アイス?🍨?」
「...レインボーパワーは無理だけど、アイスパワーなら手に入るぞ」
はい、と陽太の手にアイスを乗せる。
「.........真人の奢り!?」
「声でっか!...そうだよ、高校の時約束したじゃん」
「!!!」
陽太は思い出したように顔を輝かせる。びり、と真人はアイスの袋を破る。
「ほら、早く食わないと溶けるよ」
「キャー!真人イケメーン!」
「フッ、そうだろ?」
「ありがとうアイスー!」
アイスパワァァァ!と喜びながらアイスを食べ始めた。
そんな陽太を見て、真人も微笑みながらアイスを頬張った。
お題 「虹のはじまりを探して」
出演 真人 陽太
「藍佑(あいすけ)、なんてお願い事書いたの?」
「僕は...特にないから『健康でいられますように』って書いた」
「もしかしてあれかな?」
「そうあれ。山吹(やまぶき)のは?」
「ボクはあそこだよ」
「......は?え、高。なんで?」
「はは!」
「...お、健康でいられますようにって書いてある。じゃあ私は『地球の温度が下がりますように』って書いとこ」
「健康か...俺もそろそろ健康気を付けないとなぁ......」
「じゃあ私も玲人(れいと)の健康書いとこうかな」
「いや葉瀬(ようせ)好きなこと書いときなよ」
「うーん......二つ書いちゃ駄目かなぁー?」
「それは反則じゃない?」
「ハッ、なんか健康のやつ多くね?」
「それだけ長生きしたいということなんだろう。素晴らしいことだ」
「健康で居られたってよ、楽しいことがなきゃクソつまんねェよ」
「なら君は何を書くつもりかな」
「オレはなぁ!『腹一杯食う』って書いてやるよ!」
「それは願望じゃなくて目標だろう」
「じゃあ優凪(ゆな)はなんて書くンだよ」
「私は『弟と妹と爆音(ばくと)が幸せで居られますように』と書くつもりだ」
「...オレの名前まで入れンな」
「嬉しいと素直に言えばいいことを」
「嬉しくなんかねェよ!!」
お題 「願い事」
出演 藍佑 山吹 葉瀬 玲人 爆音 優凪
「なぁ、そういえばなんで委員長は僕に構ってるの?なんか接点あったっけ?」
「いや、無いよ」
山吹(やまぶき)は唐揚げを口に放り込み、何食わぬ顔で答える。
「え?じゃあなんで僕に構ってるわけ?」
「............君が、綺麗だと思ったからだよ」
山吹は口の中の唐揚げをよく噛んで飲み込んでから藍佑(あいすけ)の質問に答えた。
「絶対嘘だ」
「嘘じゃないよ」
「いや今適当に考えたでしょ。どこをどう切り取って僕が綺麗になるんだ。顔だって良いわけじゃないし」
「顔も綺麗だと思うよ」
「ゴブッ!.........委員長もしかして目悪い?」
「いや?視力はいつも2.0だよ」
「それも嘘っぽいな」
コイツふざけてるのか?と藍佑は段々疑い始める。
「そんな目で見られても事実は変わらないよ?」
「はぁ...?」
眉を潜めてご飯を食べ進める藍佑を横目に、山吹はあの日の出来事に想いを馳せる。
なんてことない秋晴れの日の午後、山吹は委員会の用事があって廊下で話をしていた。
「...であるからして...___...」
「......うん、園田さんの案でいこうか。準備なんだけど、買い出しは...」
「それなら鈴木くんが請け負ってくれるみたいだよ」
「そっか。なら大丈夫だね。それで続きなんだけど...」
「あ、ごめん。時間大丈夫かな?ちょっと見てもらっていい?私目が悪くて...」
「わかったよ。えっと時計は...」
キョロキョロと辺りを見渡すと、ちょうど廊下にあるではないか。
そして向かいから誰か歩いてくる。誰だろう?
ふわふわとした深い藍色のロングヘアー。
白く滑らかな肌。
光を反射するような青く深い瞳。
下に向けられた黒の睫毛。
「どうしたの......あっ」
ボーッと見つめる彼を不思議に思い同じ方向に視線を向けるが、園田はサッと目を反らす。
「ちょ、見ちゃダメだって...!」
園田は注意するが彼は目を反らせない。
瞳の中は青く深海のように輝いていて、キラキラと差し込む午後の光を反射する様はまるで眠る宝石のようだ。
ふるりと睫毛は、そんな深海を隠すように揺れる。
ゆらりと揺れた深海は、閉じられて見えなくなってしまった。
そして藍色の、カイヤナイトのようなふわふわとした髪が揺れて去っていった。
(...綺麗だ)
「...今目合ったよね...?どうしよう...!」
「......彼は、誰なの?」
「知らないの!?高校で結構問題になってるって言われてる人だよ。なんか噂では校舎裏でよく他校のヤンキーと喧嘩してるんだって...!」
「...名前は知ってる?」
「名前?なんだっけ......わかんないけど、近寄んない方がいいよ!今だってこっちのこと睨んでたし...どうしよう何か言われないよね...?」
山吹は慌てる園田を心配もせず、ただ彼の去った廊下をじっと見つめていた。
そして今。
目の前に座る藍佑を頬をつきながら見つめる。
「.........やっぱり綺麗だね」
藍佑は眉を潜める。
「何が」
彼は、ははっと優しそうに笑いかけて言った。
「今日も君が、綺麗だなって思ってね!」
お題 「青く深く」
出演 山吹 藍佑
Q.あなたの子供の頃の夢は?
「え、私?んー、ケーキ屋さんだったよ!私アレルギー持ちだからアレルギー無しのケーキ作って売りたいって思ってなぁ。結局ならなかったけど~」
「俺はー...服作る人になりたかったな。俺、可愛い服とか好きだったからこういう服着たいって、暇な時描いてた。今はファッション関係の仕事に就きたいとは思ってる」
「俺?......んー!なんだっけ?サッカー選手とかだったなぁ、サッカー好きだった!大きくなるにつれてしなくなったけどまた皆集めたい!よし、あの三人誘って、しよう!」
「私は、お医者さん。それは今も変わらないよ。うん、それで構わない.........本当はもう違うことしたいけど、そんなこと言ったら困らせちゃうからね」
上記を踏まえた上であなたの解答を書きなさい。
A.
お題 「子供の頃の夢」
出演 葉瀬 雪 海斗 優雨
「...んー、たぶんこっちだ!」
「あっつ......おい本当に近道なのか?5分で着くって言ってただろ。もう15分くらい歩いてんぞ」
「俺の記憶ではすぐ着いたはずなんだけどなぁ、ミスってたらめんごー(・ω<) テヘペロ」
「許すわけないだろ、こんな暑い中歩いて」
真人(まひと)はパタパタと服の間に空気を入れる。いつも歩かない道というのと他人に案内されているせいで不安でしかない。
草木が生い茂る道を彼の後ろを歩いて進む。
「あっ、出口!」
そう言って彼が指を指した先は、確かに道が出来ていた。
「やっとか...」
「よっしゃよっしゃ!これで帰れる~」
そう言って林を抜けた先には。
「.........は?」
どこかも分からない田んぼが広がっていた。
「...おい陽太(ひなた)」
「真人クン!めんごー!☆」
「めんごー!☆じゃねぇよ!!どこだここ!!」
「陽太クン分かんないナァ(・ω<) 」
「お前が連れてきたんだろ!マジでどうやって帰るんだよ......」
「来た道帰ればラクショウ!✌」
「お前のその冒険者みたいな思考を今すぐ捨てろ」
「ええ~そんなコト言わないでよぅ🥺まぁ歩いてたら家帰れるっしょ!」
「こういうのはまず現在地を確認して...っておい行くな!!」
陽太は真人の制止も聞かずに元いた林に足を踏み入れた。真人も慌てて陽太を追いかける。
しばらくして、二人はなんとか家の近くまでこれたとさ。
お題 「記憶の地図」
出演 真人 陽太