『 たそがれ 』
夕日が眩しく煌めく海辺で黄昏た高三の夏。
果たせなかった夢の先の未来が見えず、
溢れる涙も注ぐ西日もうざったく感じたあの日。
もう着ることの無いユニフォームから着替えることもせず、
砂で少し薄汚れた白を見つめたのち、大の字に広がった。
思い出しては伝う悔し涙を拭うかのように吹いた海風は、
涙で揺らいだ背中を押すような力強い北風だった。
徐々に弱くなりつつある夕日が滲む海辺で黄昏る高三の春。
夢に向かって走り出すために未来を見据え、
子供という18年の長い年月を越え、卒業したこの日。
もう着ることの無い制服から着替えることもせず、
海辺の方向へ足を伸ばしながら、砂浜へ腰を下ろした。
思い出しては伝う寂し涙を拭うかのように吹いた海風は、
涙が出そうになるほど優しい北風だった。
2024-10-02
10/2/2024, 9:56:21 AM