セピア

Open App
10/3/2024, 10:47:39 AM

『 巡り会えたら 』


      帰宅ラッシュ、大都会のど真ん中

   沢山の音、色、そして香りで覆われたその場所で

      香りの混ざり具合に嫌悪感を抱く中

   少し俯いた鼻を掠めた懐かしいあなたの香り

  私をいつも包み込んでくれた、あたたかなにおい

     知らないふりをして前を見据えて歩く

       伝う熱が揺らぐ涙が視界を滲ます


       運命のそのまた先で巡り会える

        そんな香りに思いを馳せて

2024-10-03

10/2/2024, 9:56:21 AM

『 たそがれ 』


夕日が眩しく煌めく海辺で黄昏た高三の夏。

果たせなかった夢の先の未来が見えず、

溢れる涙も注ぐ西日もうざったく感じたあの日。

もう着ることの無いユニフォームから着替えることもせず、

砂で少し薄汚れた白を見つめたのち、大の字に広がった。

思い出しては伝う悔し涙を拭うかのように吹いた海風は、

涙で揺らいだ背中を押すような力強い北風だった。


徐々に弱くなりつつある夕日が滲む海辺で黄昏る高三の春。

夢に向かって走り出すために未来を見据え、

子供という18年の長い年月を越え、卒業したこの日。

もう着ることの無い制服から着替えることもせず、

海辺の方向へ足を伸ばしながら、砂浜へ腰を下ろした。

思い出しては伝う寂し涙を拭うかのように吹いた海風は、

涙が出そうになるほど優しい北風だった。



2024-10-02

9/27/2024, 9:47:25 AM

           何度歩いても
          何度やり直しても
         何度生まれ変わっても
         秋風が君の姿を覆い隠す

       遠ざかっていくその姿に零した
       愛の言葉は、何処へゆくのだろう

        「こんなにも、好きなのに」

        女々くて馬鹿らしい言葉
        遠ざかる背中に啜り泣く秋

2024-09-27

9/25/2024, 9:29:00 AM

        はじめて夢中になれたの

    あなたのことが愛おしくてたまらなかった


       はじめて人を好きになれたの

      あなたのことが誰よりも好きだった


       はじめて愛したいと思えたの

       あなたのことしか見えなかった


        この気持ちに形がなくても

        この気持ちが見えなくても

             ずっと

2024-09-25

9/23/2024, 9:46:29 AM



           声が聞こえる

          大好きなあなたの声

         誰よりも大切なあなたの声

          聞き間違えるはずない

      もう二度と聞けるはずのないあなたの声

           セピア色の、幻聴


 2024-09-23

Next