『Kiss』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
"Kiss"
貴女は何かを我慢する時に手のひらに爪を立てる癖があった。
拳が白くなる程に固く強く握り込まれた手を解くと、くっきりと残る爪痕が四つ。
小さい頃から何度も何度もつけられた傷は柔らかい皮膚をいつしか硬く変えてしまったようで、指先でそっとなぞると感触の違いがはっきりと分かった。
一際深く、生命線をぶった切るような位置にある半月型の痕に口付ける。
こんな手、綺麗じゃないでしょう?と貴女は諦めたように笑ったけど。
それは貴女がずっと頑張ってきた証だと、そう思う。
【Kiss】
「上司とのエロマンガ描いちゃった」
「朝から元気だな。
…上司?
あんなにオレを嫉妬させおいて早速他に浮気かよ。
ここまで来ると腹立ってくるぜ。
お前の体はオレのだ。」
「浮気じゃないよ。上司は別枠。
彼氏もちゃんと好きだよ。」
『ちゃんと』…ね…?
「君もオレとおなじくちゃんと決まった人が居ながら他の人と関係を作ることに背徳感を感じて浸っているのが好きなんだよ。
彼氏さんとのキスも、こないだのオレとのホテルも
わざわざ君を気遣って我慢したのに
オレの理性をぶち壊してくるなんて酷いね?
君って本当にオレの理性をぶち壊す天才だね?
言っておくけどお互いに秘密を握っているから
いつでも人生をぶち壊せるんだよ?
さあ、秘密を握った者同士
仲良く遊んでいようよ?
この調子だとオレ達
絶対に結婚向いてないぜ。」
オレは初元カノの心にに釘を刺した。
これはオレからのキスだ。
『独占』『執着』『依存』『性』『愛』『友』
全部含めた不純なキス。
「決めつけないで」と初元カノは否定しているが
やっていることが物語っている。
目の前のことで自分が見えてないのだろう。
哀れな子だ。
そう思いながらオレは
パパにすがるように寄りかかった。
kiss
鏡に向かって唇を突き出しては目を閉じる。
目の前にいる映った自分は見えない。
タコみたいに唇を突き出す滑稽な自分の姿を脳裏に映すとその顔の面白さに無性に笑えた。
キスってどんな味だろう。
レモンの味なんて昔の人は言うけれど
そんな酸っぱさなんて欲しくない。
ケーキのように甘くて
チョコのように蕩けて
ただ幸せだけが口いっぱい広がるような
そんな素敵な恋がしたかった。
ゆっくりと目を開ければ目の前には腫れぼったいほど瞼を赤く染めた想像よりも滑稽な自分の姿が映る。
唇を抑えると、しょっぱい流れる涙の味がした
愛しい思い。
大好きの気持ち。
薄い唇を通して、少しでも、貴方に伝わればいい。
「お題 Kiss」#149
ああ、口惜しや。口惜しや。
誰にも何も言わずに旅立ってしまわれた。
ただの一言も声をお聞かせくださらぬまま。
ちらとこちらへ視線を投げかけられぬまま。
長い長い旅路へと行ってしまわれたのですね。
ならばせめて。
もう戻らぬ貴方様。
冷たく凍てついてしまったその唇に
二度と忘れられぬ接吻を。
私の身へと刻みつけてくんなまし。
ああ、ああ。
貴方様に捧げた身と心も、
連れて逝ってほしかったのに。
ああ、本当に口惜しや。
何で、
接吻でも、
チューでも、
カタカナでもなくて、
英語でkissなんだろう…
別にどれでもいいけれども。
Kiss
息子が初めてしてくれたKissは1歳ごろだっただろうか。
親は産まれてすぐから勝手にチューチューしていたことを、自分から自分の意志でしてくれたことに驚きと喜びがあった。
個人の感想だが「いつもしてくれて嬉しいから僕もやります」という感じではなく、「どうやらこれは愛情を示す行動なのであろうからやってみます」という感触だった。
もちろん小鳥チューみたいのではなく、たっぷりのよだれごとほっぺまで埋め込んでくる、魚拓ならぬ顔拓のようなものであった。
もちろん母は歓喜して10倍返しにしてしまったわけだが、個人の感想でも書いたとおり、息子はKissされることを本能的な喜びと受け取っているようにはあまり思えなかった。
「あなたの行動の動機は理解していますので受け取りはします(はにかみ)」というワンクッションがあったような気がする。
それなのにその後もずっとしまくってしまった。ごめん。
息子はほっぺとほっぺをくっつけたり抱っこは大好きで、自分からもして欲しがるしされて嬉しいことのようだった。
大人でもそうですよね、スキンシップの種類は好みがありますね。
その後に生まれた娘は、こっちが咄嗟に「喰われる」と思ってしまうほどの深度で突っ込んでくる人であった。
Kiss
こういう単純な英語はわかりやすくていいね。というか普段意識しないけどキスって英語なのかな。英語なんだろうな。
日本語だとキスって口づけとか接吻だしやっぱり英語だよな。英語って時々馴染み過ぎて日本語みたいな顔してるやついるな。
そういや昨日三百万動かすみたいなこと書いたけどやめた。
実は貯金は百万くらいしかなくて残りはちょっとリスクある金なんだよな。そこまではいいんだけど問題は前提を間違えていたということ。
金を動かすにあたってAIにいろいろ相談して昨日の覚悟を決めたんだけど、改めて自分でもちょっと計算してみたらAIが間違った答えを出してた。
AIが間違った答えを出すというのは有名だけどこのくらいなら間違えないだろ、みたいなことを間違えて教えられてたから金を動かすという判断につながった。
やっぱりまだまだAIは黎明期ってことだな。便利だし便りになるけど結局最後は自分で考えて結論を出さないといけないということがよくわかった。
「Kiss」
日本を去り、僕はアメリカに来た。
その後すぐにイギリスに飛んだ。
よくある転勤だった。
日本に思い入れなぞなかったのだが、幾度も望郷の念に駆られ、この身を裂いた。
置いてきた人も自分の居場所も日本にはない。
このままヤツらの生活に入り込むべきなのだ。
思い出す。
馬鹿みたいな同調圧力、おいしいご飯、彼女の仕草。
前に住んでたボロアパートと愛犬との生活。
あの頃の思い出にそっと目を閉じた。
Kiss
あなたと過ごした日々は
すごく幸せだった
言葉じゃ伝えきれないから
そっとKissして忘れよう
—初キス—
家族でドラマや映画を見ている時、キスシーンが出てくると、少し恥ずかしい気持ちになった。
たとえそれが感動するシーンであったとしても、なんとなく目を逸らしてしまっていた。
「今日はいっぱいおいしいもの食べたね」
夕焼けの砂浜。隣で彼女が言う。
今日はデートにきていた。
彼女と付き合ってから、二回目のデート。
「そうだね。特にあの店のソフトクリーム、おいしかったなぁ」
波の音が聞こえてくる。
ひいてはおしてを繰り返し、ザザァと気持ちの良い音を奏でている。
「夕日、きれいだね……」
「うん……」
二人で腰を下ろし、手を繋いで見ていた。
そのはずなのに、気づけば自然とお互いに顔を見合わせていた。
彼女が微笑む。
僕の心臓は、波の音が聞こえなくなるくらいに、激しく音を立てていた。
瞼を閉じ、ゆっくりと顔を近づける。
彼女の甘い香りを、すぐそばで感じた。
僅かな沈黙の後、僕らは唇を離した。
「暑くなっちゃった」と彼女は言った。手をうちわ代わりにパタパタとあおいでいる。
「僕も」
まだ、心臓の音が鳴り止まない。
あんなに目を逸らしていた自分が、今はこの時間を、ずっと覚えていたいと思っている。
それが『恋』なのだと思った。
お題:Kiss
柔らかな平穏も
塊の愛憎も
これからの未来も
この肉の端くれの唇の虜
それは可能性
時間も命も淡くたくましく触れて現れる
本能の欲望も
欲望の本脳も
その瞬間に
その命に
淡くたくましく触れて去っていく
「Kiss」
僕はKissを知らない。自分の唇で想像しても、きっとはんぺんみたいな感触なんだろうなと思うだけだ。
僕は他人の温もりを知らない。いつも一人で机の上にいる。ポケットに入れた拳は、腿の温もりしか知らない。
一人が嫌いな訳ではないけど、誰かを抱きしめたいと思うことがある。人間の柔らかさを感じたいと思う時がある。そういう夜は大抵寝付けない。だから僕は歩き出す。
この駅はたくさんの女性が立っている。真冬なのに凍えるカラマツみたいに、誰かを待っている。僕は彼女らを自分に照らし合わせる。そうするとこの惨めさも、寂しさも言外に分かち合えたような気がして、安心して眠ることができる。
こんな事やめたほうがいいのだけれど、僕も死ぬ気で歩いてる。彼女らを灯火にして街明かりをくぐり抜けている。
夜の駅はいつもと違う匂いがする。それは大概香水の匂いで、その甘さと胡散臭さむせそうになる。でも好きな人から漂う匂いならすごく素敵だな、なんて妄想したり。
こんなに寒いのにどうして彼女は立つのだろうか。お金がそんなに欲しいのか。そこに愛はあるんかって聞いてみたい。お金で埋められる寂しさなら僕も喜んで財布を開く。でも、お金で買った愛情は毒のように体を回って、彼女と僕をどこまでも隔てる。それが分かっているから僕は歩く。
こんなに寂しいのに誰かの幸福を思える自分を見直した。だけどお前にそんな資格はないと笑った。そうやって僕は夜を越えている。いつか彼女にお礼を言いたい。でも彼女のKissはきっと冷たいだろうな。
Kiss
ニンゲンが何やら泣いているようにゃ。
何故泣いてるニンゲン。
「ぅっ、あっあぁっ、うぅぅ〜、こむぎぃ〜!」
うにゃあっ!!抱きつくなニンゲン!顔もぐちゃぐちゃのビタビタで!毛が濡れる!!
「えっ、えぇっ、ぅあああ〜っ!」
逃げれなかったにゃ。それにしても一向に泣き止む気配がないにゃ。うるさいし濡れるし汚い。いったい何があったんにゃ。早く話してスッキリしてボクを解放してくれにゃ。
「ひっ、ぅうっ、がれっ、彼氏がねっ、う、浮気してでっ、元々眼中にないって、暇つぶしに付き合ったって…もうほんとにむりぃ〜」
はぁ…。そんなクズと見極められなかったお前が悪いにゃ。そんなヤツのこと考えるくらいならボクにちゅ〜るを献上することだけを考えてろにゃ。ほい、お前の好きな肉球を揉ませてやるからいい加減落ち着けにゃ。
「こむぎ〜っ!。すきぃ〜っ」
うぐえっ、そ、そんな強く抱きしめる必要にゃいだろっ!!。く、くるじいっ。
「……大好き」
………分かったからボクの毛で鼻水拭いたりするのはやめろよにゃ。はぁ……。
「こむぎっ、へへっ、嬉しいけどっ、顔を舐めるのはやめっ、いたっ、いたたたっ、」
ボクのこと好きなら黙って受け取れにゃ。
だから早く元気になって元に戻れにゃ。
ボクも好きに決まってるにゃ。
それは派手でもない、透き通った服装をしている女性だった。
初夏を過ぎた少し汗ばむ季節。
空は入道雲が幾つも成して夏空を描いている。
何回も見た空か、その女性とはある下町再興の商店街のイベントで知り合った。
地元にある事情があって戻ってきたと初対面の時に言っていたがそれ以外のことは知らない。
初めてのデート。錦糸公園で待ち合わせして、何かを伝えようと考えていたら、私を驚かせるようにすっと横から出てきて、手のひらにkissをした。
今この空にいるのは彼女と私だけみたいだ。
レモンティーを1口飲んだ瞬間カラカラに乾いていた喉に
すっと冷たい感覚が侵入してくるのがわかった。
Tuki
やあ(´・ω・`)
今日も1日デスマーチなので、枠だけ確保しとくよ(´・ω・`)
「Kiss」ってお題見たら、ずっと脳内で
「夢でKissKissKiss♪KissKissKiss♪何処でも何処までも~♪」
って石野卓球氏が歌ってるよ(´・ω・`)
そうか、Shangri-laって30年近く前か(´・ω・`)
おばちゃんですまんな(´・ω・`)
じゃ(´・ω・`)
(´・ω:;.:...
kiss
幼なじみの男の子
震える唇が、頬にすこし触れた
イタリア人の男性
荒々しい、けれど確かな愛を感じた
バーで出会った女性
なめらかで、バニラの香水の味がした
お母さん
寝る前に、「おやすみ」とおでこにしてくれた
『小さな歩みの中で』
彼はよく言った。
「意味は見つけるものじゃない。
歩きながら、勝手に立ち上がってくるものだよ」と。
誰かが
「意味がないから動けない」とこぼすたび、
彼は少しだけ微笑んだ。
その微笑みには、
諦めでもなく、説教でもなく、
どこか子どもが秘密基地を知っているときのような
確信めいた明るさがあった。
彼自身、
完璧な理由を持って生きていたわけではない。
朝が苦手で、
好きなことに夢中になると
世界の音が全部消えてしまうような人だった。
だけど、
理由が無い日ほど
一歩を踏み出していた。
散歩道の落ち葉を踏む音や、
コンビニで買った温かいコーヒーの湯気や、
「おはよう」とだけ書かれたメッセージや、
そんな些細なものに
なぜか胸が軽くなる瞬間があって、
そのたびに
「ああ、これが意味なんだろう」
と静かに確信していった。
意味は用意されていなくていい。
誰もくれなくていい。
ただ生きた痕が
少しずつ形になる。
その形が、
彼にとっての“見出す”ということだった。
だから彼は今日も言う。
「意味がないなら、なおさら歩けばいい。
歩いているうちに、
その靴の先で
意味がこぼれてくることがあるから」と。
それを聞いた人は、
少しだけ沈黙する。
反論する理由を探すけれど、
胸のどこかで
わずかに温度が動くから
言葉にならない。
彼の生き方は、声ではなくて
足音で語られる。
たった一歩の、
小さな進みだけで。
苺のように甘くなく、檸檬のように酸っぱくもない。彼の、煙草のあとの苦い匂いと味でたくさんになる。
「Kiss」
あなたとお別れする最後のキスは
涙の味がした。
もう会わない、会えない。
感情が溢れ出した。
私は、これから泣くたびにあなたのことを思い出すのだろう