『Kiss』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
A kiss is still a kiss
A sigh is just a sigh
時が過ぎて時代が変わっても
恋の基本はおなじ
As time goes by
ピアノと甘い歌声が聴こえてくる
「kiss」
#322
愛は宝だ。例えば愛人がいるとする。その愛人は自分にとってとても大切な存在だから宝と言い換えることができる。私にとって野球はいつも大切で自分の近くにあり宝だ。だから愛は自分が生涯においてずっと身近にあるものなのだ。
お題:kiss
少しBL要素があるので苦手な方はスルーしてください
「うわっまた目の前にカップルいるんだけど、
えー、キスまでしてるよ…」
こんな事を言ったのは何回目だろうか
「まぁまぁ、彼女いた事ないからわからないんだよ笑」
最近出来た友人が言う
「うるせーな、!いた事あるし、分かるわ!!」
もちろん嘘である
ーーーーーーーーーーー
「なぁ、カップルってなんでキスするんだよぉ、」
今日の昼の事が気になり親友に聞いてみる
「そりゃ好き同士だからだろ…多分」
「なんだそれ、キスってどんな感じなんだろ…お前彼女いた事あるし分かるだろ?なぁ笑教えてくれよー」
「はぁ?笑じゃしてみるか?」
「…誰と?」
「俺と」
え?まさかこうなるとは思わなかった
「は?流石に冗談だろ?笑」
「冗談じゃないって言ったら?笑」
「蹴るぞ」
「ははっ蹴るのは勘弁して笑」
少し照れそうになってしまった俺は馬鹿だ
男とキスするなんてごめんだ、
ほんとなんなんだこいつは…
続き書いた方がいいですかね…完全に気分です
すいません🙇
恋じゃないし、愛でもないから
Kissなんてしないで
恋しないで
愛さないで
それでいいの
「バイバイ」
私は遠距離恋愛をしている彼氏を見送りに、夕方頃に新幹線の駅のホームにいた。
彼氏は私の方を見て寂しそうな顔をすると、ギュッと私を抱きしめる。
「またね、俺、この瞬間が一番嫌い」
「私も。朝あなたが新幹線のドアを降りて来た時が今日の一番幸せな時間だったよ。時間ってあっという間だね」
「そうだよな、一瞬しか一緒にいられなかった気がする」
私は彼氏に抱きしめられながら目を閉じる。
暖かい。この瞬間をずっと留めておければいいのにと思う。
「今度来れるのは再来週?」
目を開けて、彼を見上げると、彼は私を見下ろして言う。
「うん、今月は休日出勤少ないから再来週には絶対に時間作って会いに来るよ」
いつもは1ヶ月ほどは会えなかったりするから、今回の間隔は割と短いほうだ・・・でも私にとっては再来週でさえ長く感じる。
「長いね・・・。でも再来週に希望を持って頑張れそう」
私は、彼氏のまた会えるという約束に、心が、少しだけ上を向いた気がした。
それでも、別れたくないという気持ちは変わらずに私の心を占めていたけど。
「俺も、またすぐ会えることを考えて、仕事頑張るよ」
彼氏は私に笑いかけると、顔を近づける。
私も目を閉じて、私達は軽いKissを交わした。
Kissの後で二人で目を開けて微笑み合う。
「好きだよ」
という彼氏の言葉に、
「私の方が好きだよ」
と返す。
「俺に決まってるだろ。再来週証明するよ」
と彼氏は笑う。
私が頷くと、新幹線の出発のベルが鳴る。
「また再来週な」
と、彼氏が新幹線の中に入り、ドアの所で私に手を振った。
彼氏の顔を見てるのが切ないけど、少しでも長く見ていたい。
「また再来週に」
私は無理やり笑顔を作って手を振る。
ドアが閉まって、新幹線は発車する。
新幹線はどんどん遠ざかっていく。
私は、彼氏の乗る新幹線が見えなくなるまでその場から動くことが出来ずにずっと見送っていた。
「んー…おはよー…ふふっ、くすぐったいよ。」
毎朝、ワタシに向けられる、ふやけた笑顔。
そのゆるんだ口元に、ほっぺたに浮かんだえくぼに、ワタシは更にぬくもりを落とす。
「ははっ、なんだよ、お腹空いたのか?…時間…あー…寝すぎたか…。わりぃ、わりぃ。」
優しい大きな手が、ワタシの頭を撫でる。
違う、違うの。
「貴方が目を覚ましてくれて嬉しいの」
「貴方が目の前で笑ってくれているのが嬉しいの」
この言葉は、この想いは、貴方の目を見つめているだけじゃ届かない…。
だけど、貴方の目が今日もワタシを見つめていることにほっとして、ただ見つめ返してしまう。
毎朝、毎朝。
「…お前さ…俺が目を覚ますと、安心した顔しない?」
え?
「じいちゃんのことも、こうやって起こしてたのか?…亡くなった日の朝も。」
…そう、そうなの。
彼は、あの日、目を覚まさなかったの。
ずっと隣にいて、どこにでも一緒に出かけていた、愛しい人。
「稲穂みてぇに綺麗な毛の色だから、『コガネ』だな。」
その名を何度も何度も、手のひらに収まっていたときから、最後の眠りにつくときまで呼んでくれた、ワタシのご主人様。
「突然、だったもんな…。もう5年…なのか、まだ5年なのか…。お前の気持ちはわからないけど…そりゃ、不安になるか…。」
そう、そうなの…伝わっていたの?
「よしっ!」と貴方はいつも通り、一言気合いを入れて布団から起き上がった。
「ちょっと遅くなったけど、飯食ったら散歩に行こうぜ!今日はなんも予定ないし、お前の気が済むまでさ。…俺は、お前より先には死なねぇから、安心しろよ!な!」
そう言いながら、貴方はわしゃわしゃとワタシの頭を撫でた。
あぁ…あぁ…愛しい貴方。
ワタシの気持ちが伝わるくらい、貴方との生活も長くなっていたのね。
「ワン!」
貴方がワタシのご主人様。
二人目の大事な、愛しい人。
お題「kiss」
これで
やり方
合ってるかな?
いつも
不安になる。
だって
誰にも
答え
聞けないし。
テレビとか
映画とか
そういうものを
見ながら
見様
見真似
しか
出来ない。
とりあえず
あなたが
イヤ
じゃなかったら
それで
いっか。
#Kiss
君のすべてを食べ尽くしたい
さあ、僕に委ねて
「Kiss」
たまに君から届くメールの文末に意味がわからない文字が付いてる時がある。
付いてるのは大抵、帰りが遅くなる時や夕飯が要らない時に来るメールなので、海外流の謝罪か何かかと思ってスルーしていたのだが。
今しがた届いたメールにもソレが付いていた。
しかしメールの内容は、駅前のパティスリーでケーキを買った、というもので。
謎は深まるばかりだ。
何なんだろ、XOXOって。
テーマ「Kiss」
kissねえ…
バレンタインが近いからお題がこれなのかな
それ系ろまんちっくは得意な人にお任せする。正直わからないから苦手なもののひとつ。えっ、結婚してただろって? 結婚とkissは関係ない。残念なほど関係ないのだ。個人差と家庭差があるだろうから、みんな違うと思うけど、私には関係なかった。
だから、「いろいろあるんだな」というやつについて書いてみる。日本と海外では文化的基盤が違うから、「えっ」と思うものも聞いたことがあるな…
割とポピュラーなのは「祝福」としてのkissだ。宗教的背景を持っている向きもある。帆船時代のイギリス人ホレーショ・ネルソンは自分が死ぬ時「kissしてくれ」と言ったとか、「祝福してくれ」と言ったとか伝わっている。部下は彼にkissした。そういえば、ジブリの映画「ハウルの動く城」の中で、ヒロインのソフィーがするkissはすべて祝福のkissだった。ただラストシーンだけ、「ろまんちっくな」ものが描かれ…でも描ききらないで終わる。確定の印象だけ持たせて完了。そりゃそうよね、誰かに見せるものじゃないし。周りなんかどうでもいい。だってkissなんだから。
「えっ」と思ったのは「いやがらせ」のkiss。黒川伊保子さんの昔の著作の中に書かれていた(もう絶版かもしれない)。御主人とケンカしたか何かで朝からイラッとしていた、とか記憶している。朝、出勤の支度をしている御主人に、口紅を塗ってからおもむろに、思いっきり濃厚なkissをしたそうだ。御主人が「いったい何だ」という反応をしたので、「いやがらせよ」と言ったと。その著作は脳で感じる情緒と論理性についての本だった。黒川さんは日本の原発の、データベース検索AIの開発者のひとりだ。そのkissが「いやがらせ」たりうる論理も説明されている本だった。このエピソードは、「脳のモード」の話であって、夫婦仲の話ではない。
kissに「自分なり」はあるんだろうとは思う。けどそれを発揮したことはない…。無いんですよ。それが何か?
「何でレモン味なんだろ」
「当時レモネードが流行ってたとかじゃない?知らんけど」
「テキトー過ぎて草」
わあわあと賑やかなグラウンド。屋上フェンス越しからでも聞こえる歓声を二人ぼんやり眺めていた。
「ちなみに何味だったの」
「あ?あー……ミルク系?多分」
「それ新生児期って落ちじゃないよね」
「………」
「それファーストに数えるんだね?」
「……はいはいしたことないよ分かってて聞くな」
「ちなみに今レモン牛乳飲んでる訳ですが」
「そっちがイチゴミルクだから結局駄目じゃね」
「それはそう」
<kiss>
「別に、そんなに長く誓わなくて良いの」
有名な曲のワンフレーズ。薬指を撫でながら。
「私が私で在る間だけ。それなら100年ぽっちもないわ」
永遠を誓った筈の赤い唇は、それでも何処か穏やかで。
「私を貴方の全てにする必要もないの」
花束は青くも華やかに空気を染めて。
「貴方は貴方、私は私。意見を違えることなんて、きっとこれから何回もあるわ」
純白のドレスがキラキラと、一等美しく光を飾る。
「でもね、その代わり。よそ見なんかしないで完璧に完全に愛してね」
<1000年先も>
互いの息が混じり合う距離、唇には程遠く。
もの欲しげに伏せられた瞳は、僕の心を焦がす。
心臓の音までも伝わりそうな距離、吐息が聞こえる。
ぷくりと赤い君の唇に、そっと口付けた。
1度目は優しく、触れるだけのキスを。
2度目は力強く、紅が移るほどに。
3度目は、お互いの愛を確認し合うように。
指輪を嵌める前に、細い薬指に小さくキスをした。
ちょうど休みが取れたから、暫くぶりに帰省した。
昼間は地元の友達とランチして、夜は幼馴染と居酒屋のはしご。
我を忘れるような飲み方は格好悪いから気を付けなさいと上司にお酒の嗜みを教えられたっけ。
ナツキは夜風に当たりながら、帰宅する頃にはすっかり酔いも覚め、寝ている家族を起こすまいと静かにドアを開ける。
もう化粧を落とすのは明日でいいやと、そのまま自室に行こうとした途中、洗面所の明かりが点いたままになっていた。
誰か消し忘れたのかなと思ったけど、どうにも弟が起きていたようだ。
何となく覗いてみると、鏡に向かって自分の顔と睨めっこする弟がいた。
おでことほっぺにニキビが出来ていることに深いため息をついている。
思春期真っ盛りのヤマト少年はニキビに悩むお年頃なのだ。
どこを見ているのか焦点が合わずぼんやり空を見つめたかと思えば顔を真っ赤にして声にならない声を上げている。
ナツキの視線も気付かないほどで、どうも様子がおかしい。
しばらくすると鏡に映るニヤける自分をじーっと見て、真面目な顔を作ってから少し首を傾げ、口を突き出して目を瞑ったーーーー。
ーーーー弟の鼻息は荒かった。
ナツキは音を立てないように自室に戻ると、笑いを堪えるために抱き枕とのたうち回った。
落ち着いて考えてみたら、ヤマトに最近彼女が出来たらしいと母が言ってたなと思い出す。
夜中にキスの練習をする弟が何とも言えない。
鼻息荒くチューと口を窄める弟の顔の気持ち悪さと言ったら百年の恋も冷めるだろうに。
眠れないほどの興奮が伝わってくる。
明日はデートなんだろうな。
しかも初キス記念日かよ!?
緊張と寝不足で失敗する画が目に見えるようでだんだん心配になってくる。
初めてのキスなんて自分も通ってきた道。
ドキドキが止まらなかった。
たった数秒、唇が重なるだけのことなのに。
味なんて何もない、ただ焼け付くように熱かったキス。
一つ上の先輩との日々は今思えば青春だった。
ナツキは胸に広がるじんわりとした思い出を抱き枕と一緒に抱きしめた。
自分の弟ながら少し気持ち悪いけど微笑ましい。
デートの成功を願いながら眠りについた。
解釈違いではあるけど欲望に任せてちょっとあざといアーサーさん。たまにはかわいいフラアサも書きたいよね!
【Kiss】※フラアサ
間違いなく異常事態である。
なにって、もう隣の腐れ縁と付き合ってから三週間もたつ。それだのに未だ手を出すどころか、キスすらしてこない!会ったばかりのふたりじゃない、もう出会って千年はゆうに越えているんだ。早く接吻のひとつやふたつ寄越すのが恋人の義務だろうが。
植物に霧吹きで水をやるフランシスを、アーサーはソファから恨めしげに眺めていた。腕に抱えたベルベット生地のクッションは年季が入りごわごわして、さわり心地が良くなかったから横に放った。
「何、アーサー。変な顔して」
フランシスは嫌味かそうでないのか、アーサーの方を振り返りながら悪気のない顔で言った。アーサーはその悪口じみた言葉に腹をたてることもせず、フランシスの唇を見つめた。決して若々しさはないが、年相応ながらの色気がある。言えるわけがないだろう。恋人らしいことをしてほしいなど。素直じゃない性格でこの千年生きてきたんだ。しかも誰よりその性格を知ってるのがフランシスである。
【未完】
キス、…接吻というと菊池寛を思い出してしまう俺はやはり文学少年すぎるのだろうか。
高校時代いくら教室の隅で勉強ばかりして本を読んでいたとしてもこの歳になって思い出す女性が一人もいないのは如何なものか。
「……キス、してくれないんですか?」
こんな状況になっても文豪に思いを馳せてしまうのだから俺はとうとうダメなのかもしれない。
身長差で必然的に上目遣いになる彼女の瞳がゆらゆらと不安定に揺らぐ。
頬に触れた指先からじんわりと熱が伝わる。
心臓がうるさいぐらいに音を立てて、たかがキスぐらいで……でも、俺にとってはされどキスなのだ。
「、……」
目をつぶったまま、そっと唇に触れた。
ただ肉をぶつけるだけの行為のはずなのにひどく胸が苦しい。
触れ合った唇からお互いの熱を慈しむように分け合う。
生徒も教師も関係ない恋人としての接吻。
この接吻が何かの誤りでなければいい。
俺は漠然と誰かに従うのも自由に生きられないのも嫌だ
勘違いされるのもするのも臆病な俺には向いていないから
2024.1.4『Kiss』
【kiss】
今日は休日で仕事もない。週末は妻と2人で家事を分担して過ごしている。
ひと段落ついたところで、今度は先日産まれたばかりの娘の面倒を見る。
娘は仰向けで布団に寝そべって笑っていた。そんな娘の横に手を添えて覆い被さる。あー、うー、と声を発して小さな手足をパタパタと一生懸命振る姿に癒される。
「今日も可愛いねー」
顔ほころばせながら言う俺と、その言葉に反応するかのように動きが少しだけ大きくなる娘。
その額に思わずキスすると、さらに激しく手足を動かした。
だらしない顔のまま近くの気配に目を向けると、妻がビデオ片手に立っていて、急に顔が赤くなるのを感じた。
「ちょっ、何撮ってんの!?」
照れを隠すようにやや大声で妻に話しかける俺。
「や、だってどっちも可愛かったから」
思い出になるよ、とつけ加えて妻は笑った。傍であーあーと言いながら娘も笑っているのも見て恥ずかしくも嫌な気持ちにはならなかった。
あなたとの口付けを
いつの日だったか
忘れたけれど
忘れられない
あなたの香りに
ただただ包まれながら
ふわりと私は空へ浮かぶ
《Kiss》
ど ん な 恋 愛 物 語 で も 必 ず 出 て く る そ の 行 為
僕 は そ れ を 君 と し て み た い
な ん て 思 っ て い る け ど
君 は 嫌 が り そ う だ な
君 に は ち ゃ ん と 、 僕 以 外 に 好 き な 人 が い て
失 恋 し ち ゃ っ た こ と を 悲 し そ う に そ の 話 を し て く れ た
ま だ 未 練 が あ る の か な
ま た 僕 は 君 の 好 き な 対 象 に な れ な か っ た
だ か ら せ め て 、 と 思 っ て
僕 は 君 を 気 遣 い 文 を 打 つ
キ ス を す る 文
君 は 嬉 し そ う に 返 信 し て く れ た
真 実 は 、 わ か ら な い け ど
2/4 「kiss」「叶わない君との距離」
#作者の日記帳
フロストランドの寒村。どこの部屋でも暖炉ではかっかと薪が燃えている場所。その規模からか、そういう趣旨を掲げた宿はない。だからあのひとは道すがら数本の酒と、少しの肴を求めた。
そうして訪れた宿の主とおぼしき五十くらいの痩せた女性は、俺たちの目的を即座に察したようだった。ベッド、壊さないでくれよ――そう、面倒くさそうに告げて壁に架けてある鍵を取ると、ごとりとカウンターに置いた。
部屋は冷えきっている。あのひとは慣れた様子で、すでに暖炉の中で組まれていた薪に火をつける。
さすがに冷えたな。少し飲もう――そのひとはそう言うと、俺の手からバスケットを取って酒瓶の栓を抜くと、必要以上に高い位置からコップに注ぎ――そのぞんざいな手つきの割には、酒は一滴もこぼれることはなかった――、それを少し口にして息をついた。
「あぁ」
そう言って口を拭う。俺はそっともうひとつのグラスに酒を注ぐと、やはり慎重に口をつけた。
「美味いです」
「そうか」
素っ気なくそう言うと、目の前のひとはさらに酒を注いでひと息に飲み干し、鼻で息をついた。その無頼なふるまいもどこか様になっているから、一体このひとはどこでこんな所作を身につけたんだろう――そんな疑問が湧く。
「ほら、来い」
そう言ってそのひとは俺を呼ぶ。
俺は黙ってそれに従う。鼓動はすでにはっきりと聞きとれるほどに高鳴っている。
だって、これから俺はこのひとに――。
彼女は俺の襟を掴むと酒瓶に口をつけ、そして俺の唇を塞ぐ。
反り返るようにして、俺は彼女の口づけを受け入れ、注ぎこまれるわずかに温まった酒を嚥下する。とろん、とした顔をしていることは自覚している。
そして、酒を注ぎこみ終わった彼女が顔を離すと、今度は俺のほうから唇を合わせる。ほぼ同時に互いの舌が差し出され、触れあい、絡みついては離れる。
「ん、ふぅ」
「っは」
そう、息をつくと、すぐにまた口づけをする。何度も、何度も。そのたびに、あのひとの口から酒が送りこまれた。
「あ、ん。ヴィオラさん」
「苦しいか?」
口もとを拭う俺に、このひとは問う。俺は首を振ってシャツのボタンをひとつ外した。
「なんだ、堪え性がないな」
ぼふ、とベッドに腰を下ろした俺を、この人は見おろした。
「ええ。もう半月ですよ。早く――」
「わがままな奴め」
そう言って、このひとはやはり酒瓶に直接口をつける。
俺は両腕を伸ばし、あのひとの来てくれるのを待った。血の巡りがよくなっているのが分かる。胸が震え、目に映るものが極端に狭くなる。あのひとが俺の胸をつき、横たわらせる。そして顔が限りなく近づき――俺は目を閉じた。
ああ、あなたが、あなたに俺を――。
じんわりと涙が浮かんできているのを感じ、俺はそれを続けざまに注ぎ込まれた酒のせいにすることにした。
今日も、俺は――
唇を突き出すのが彼女の癖だった。キスをしてほしい、という可愛らしい合図を見てみぬふりをする。だって忙しい。繁忙期で、可愛らしい恋人にかまけている余裕はない。彼女との平穏な暮らしの為には金を稼がなければならない。不条理極まりないが、これも社会人となってしまったからには社会と会社に迎合する他はないのだ。
「ねえ」
とジャケットを控えめに引っ張ってくる彼女の薬指の根本で、先日渡したばかりの指輪が煌めいている。横目で彼女を見やれば、やはり艷やかな唇を突き出して、不満げにこちらを見上げていた。
「ちょっとだけ、それであたしも頑張れるから」
彼女だって繁忙期で疲労している。同じ量の仕事を熟しているのだから当然だ。
「トイレに行こう」
「いいの?」
「私もしたいから」
そういって彼女の顎のラインを指の背でなぞる。うっとりと目を細めた彼女が、うふふ、と笑う。