「バイバイ」
私は遠距離恋愛をしている彼氏を見送りに、夕方頃に新幹線の駅のホームにいた。
彼氏は私の方を見て寂しそうな顔をすると、ギュッと私を抱きしめる。
「またね、俺、この瞬間が一番嫌い」
「私も。朝あなたが新幹線のドアを降りて来た時が今日の一番幸せな時間だったよ。時間ってあっという間だね」
「そうだよな、一瞬しか一緒にいられなかった気がする」
私は彼氏に抱きしめられながら目を閉じる。
暖かい。この瞬間をずっと留めておければいいのにと思う。
「今度来れるのは再来週?」
目を開けて、彼を見上げると、彼は私を見下ろして言う。
「うん、今月は休日出勤少ないから再来週には絶対に時間作って会いに来るよ」
いつもは1ヶ月ほどは会えなかったりするから、今回の間隔は割と短いほうだ・・・でも私にとっては再来週でさえ長く感じる。
「長いね・・・。でも再来週に希望を持って頑張れそう」
私は、彼氏のまた会えるという約束に、心が、少しだけ上を向いた気がした。
それでも、別れたくないという気持ちは変わらずに私の心を占めていたけど。
「俺も、またすぐ会えることを考えて、仕事頑張るよ」
彼氏は私に笑いかけると、顔を近づける。
私も目を閉じて、私達は軽いKissを交わした。
Kissの後で二人で目を開けて微笑み合う。
「好きだよ」
という彼氏の言葉に、
「私の方が好きだよ」
と返す。
「俺に決まってるだろ。再来週証明するよ」
と彼氏は笑う。
私が頷くと、新幹線の出発のベルが鳴る。
「また再来週な」
と、彼氏が新幹線の中に入り、ドアの所で私に手を振った。
彼氏の顔を見てるのが切ないけど、少しでも長く見ていたい。
「また再来週に」
私は無理やり笑顔を作って手を振る。
ドアが閉まって、新幹線は発車する。
新幹線はどんどん遠ざかっていく。
私は、彼氏の乗る新幹線が見えなくなるまでその場から動くことが出来ずにずっと見送っていた。
2/4/2024, 3:02:13 PM