題 sunrise
「夕日が沈むよ、きれいだねー」
私は彼氏を振り返ってそう言う。
「そうだね」
手を繋いだまま、彼氏が優しく笑いかけてくれる。
その笑みに、テンションが上がってしまって仕方ない。
優しい夕日の色が私と彼氏を包む。
その柔らかさが余計私の心を穏やかにする。
「一緒に見れて嬉しいよ」
彼氏がそう言う。
その言葉に私は一気に幸せの感情の頂点に押し上げられる。
「わ、わたしも、私もだよっ」
焦って手を握る力に力を込めると、彼氏は楽しそうに笑う。
「そんなに焦らなくても」
「もー、だって嬉しすぎたんだもん」
彼氏の手を引き寄せて、私の両手で包む。
「ありがとう。いつも私といつもいてくれて。こんなふうに綺麗な景色を一緒に見てくれて」
「もちろんだよ。カリンといる時間はいつも幸せだから、こっちこそ感謝したいよ」
そう言ってくれる彼が本当に愛おしい。
違うよ、私の方が感謝なんだよ。
返しきれないほどの愛を感じさせてくれた人。
隣にいてくれるだけで奇跡みたいに感じる人。
一緒いてくれるから、夕日が特別なものに思えるよ。
私は彼に微笑みかける。
「これからもずっと夕日を一緒に見て欲しいな」
彼は頷いて笑いかけてくれる。
「もちろん、僕からお願いしたいくらいだよ」
二人で向かい合って微笑み合う。
そんな幸福な時間があることを、今はただただ感謝したいなって思えたんだ。
題 どうしても
どうしても思ってしまう。
あの時あなたと一緒にいたら⋯⋯。
あなたと一緒に行けていたら⋯。
そしたら、私は今ここにいなかった。
きっとあなたのそばで、ずっと安心して、なにも心配なくて、本当に溶け合えるような、あなたしかいないようなそんな祝福の日々を過ごせていられたと確信できるから。
だから切なくて⋯。
時間を戻せるならあなたの隣に何百回でも行くけど。
それでも、そんな事は現実的じゃない。
私には私の道があって。
本当にあの時に戻ったとしたら、また同じ道を選んでしまいそうだ。
あなたとの道を選びたかったこの過去だけが
後悔だけの気持ちが私を取り巻いているけれど。
その時その状況で、私なりに考えての結論だったことも確かなんだ。
そうでなきゃ何百回考えたとしても、迷いなく私はあなたを選んだはずだから。
そう出来ないのなら、それはそういう運命だったのだろう。
私の選択はその時それを最善と考えたのだから。
考えてしまうのは後悔と未練。
あなたへの情がそうさせるんだ。
それだけ大好きだった人だっていうのも事実なんだよ。
幸せな時を沢山貰ったのも事実なんだよ。
出会えたのは祝福だって今でも思ってるから。
過去にはもう戻れないとしても、今はもう隣にお互い別のパートナーがいるとしても
あなたへの気持ちは本当に大事な大事な宝物。
心の宝石箱に閉まっておくね。
だから、幸せになってね。
会えてない時間分の祈りをあなたに送るよ。
こうしてふと思い返した時、思い出した時。
あなたがいつまでもいつまでも幸せでいてくれますように。
私の大事な人にいつまでも幸せの波が届き続けますように。
そういう風に思えると、なぜだか心がとっても暖かいんだ。
後悔はあってもね、私も今幸せでいるよ。
題 静かな情熱
私の心は穏やかだ。
まるで海みたいだ。
炎のように燃えたかった気がする。
情熱の赴くまま人を愛したかった気がする。
それでもあなたといる時はとてもとても波が凪いでいて
静かすぎて、心地よくてまるで寝てしまいそうで。
でもほかの人にはそんなことはなくて。
あなただけなんだ。
だからそう思うの。
あなたが特別だとかんじるのは。
他の人には感じないものを感じるからだって。
その気持ちは不思議な感覚。
もしかして前世からの知り合いなのかもね。
懐かしいような、この場所にあなたといる事がまるで決まっていたかのような。動かないような。
だからこそここにいたくなる。
いつまでもあなたとこの優しい海に浸るような感覚で
ずっとずっとここに居ようよ