『1件のLINE』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
暗い部屋に1件の通知が鳴り響く
もちろん君からのLINEではない
それでも僕は、もうくる事が無い君からのLINEを待ち続ける
お題 1件のLINE
年に一度とか
忘れた頃にやってくる
元気ですか?
放置し続けてもやってくるたび
こちらの人間性を問われている気がして嫌だ
形式的な年賀状のような 1件のLINE
意図が見えない挨拶の不気味さを知る
ちらりと見えてしまったハートのスタンプ。
彼のスマホを見ようと思って見たわけではない。
彼がトイレに立った時、テーブルの上にスマホを伏せずに置いていったのだ。
スリープモードになる直前、可愛らしい女の人がよく使いそうなそれが目に入ってしまった。
ハートのスタンプ…誰から?なんて聞けない。
彼のプライバシーを勝手に見て勝手に不機嫌になるのもおかしいことはわかっている。
けれど初めてのことに動揺した私の顔に浮かんだ笑顔が、作り笑いになっていたのだろう。
トイレから戻るなり彼が私に小声できいた。
「どうした?体調悪い?顔色少し悪いみたい?」
「違う。」思わずきつい口調で言ってしまった。
ハートのスタンプを送られてもなお平然として、私に優しくする彼に、なんだか悲しくなって無性に腹が立ってきた。
刺のある私の口調に、今度は「もしかして何か怒ってる?亅と私の目をのぞき込んで彼が言った。
彼の澄んだ目に見据えられると私はもう嘘がつけない。
「ごめんなさい。ハートのスタンプを見てしまいました。貴方にハートを送る女性がいるっんだて思ったら…」彼のスマホに視線を落としたまま私は言った。
彼はキョトンとしたが、すぐ何か頭に浮かんだようで、スマホを操作すると、「母さん」といって画面を私に見せた。
そこには先日彼がお母様に送った、彼女の好物だというスイカのお礼が書いてあった。
「スイカ届いたよ」
「ありがとう今年初物!」
「よくできた息子をもって母さん幸せ」
「愛してる」
そしてハートのスタンプ。
私は赤くなって彼に平謝りをした。いろいろな気持ちが入りまじって、それから安堵して涙が落ちそうになったけれど、一生懸命こらえた。
彼は私を咎めることなく「機嫌なおった?あぁ良かった。」と言った。「嫌な気持ちにさせてごめん。だけどさ、君は決定的に間違ってることがある。僕は君が思うほど他の人からはモテないよ。それに僕は君に夢中で他の女性には目もくれない。僕は君が好き。これ大事なポイント。試験に出すからよく覚えておくように。」冗談めかして彼が言った。
「本当に、本当に勝手に誤解してごめんなさい。」改めて私が謝ると、彼は「そこまで深刻に謝らなくても…」といいかけ、「そうだな、君からチューしてくれたら許してあげてもいいかな。」とちょっとイタズラな顔をして笑って言った。
お題「1件のLINE」
1件のLINEどころか連絡も出来ない
ブロック削除されてるししたし
もう無理じゃん
もしかして、?と思ったら結局違って既読無視だし嫌われてるもう無理
落ち込みすぎて体も寒気してる気がする
なんか当たったのかお腹痛いし
今日は早く帰ろうかなあ
1件のライン
∠(3804円)
友人からのライン。なんだろう…?
貸してって話し?それかなんか俺が払い忘れてたっけ?
∠(気にしないで ただのメモだから)
AIのりんな相手にでもやれよ。と思った。
後日会った時にそう話すと、返事返ってくるのがめんどくさいから、とのこと。
確かに俺はラインでツッコミ入れなかったけども。
話をラインで続けるべきかどうか切り上げ時が分からないことはたしかに多い。自分はそうなったらまぁいっかと切り上げてしまう。こういうタイプは珍しいらしい。
今度あった時に話せばいいかって思うんだけど…そんなことない?
あとお前みたいなタイプは絶対モテないとも言われた。
ぐぅの音も出ないぜ!
2次会を開く予定だけど来られますか?
突然、LINEに新しいトークが増えてメッセージが来ていた。
どうやら友人が結婚するらしい。
式は身内で行うとのことだ。
あまり会う機会はなかったが、私としては貴重な関係の一つだったため、誘ってくれたのは素直に嬉しかった。
だが、私は断ろうとしていた。
理由は単純だ。
余裕がなかったからだ。
金銭的にも、精神的にも、ましてや社会的にも落ちぶれてしまった私のような男が行っても、どんな顔で祝福すればいいのだろうか。
心から祝うことができるだろうか。
とはいえ、正直に吐露してしまうのも気が引ける。
しかし嘘も吐きたくないうえ、淡白に断って冷たく思われてしまうのも嫌だった。
他の誰かの用事なら何度も断ってきたが、ここまで悩んだのは初めてだった。
私は、良き友人だっただろうか?
ふと思い返してしまった。
覚えている限り何もしてあげられなかった。
それどころか、迷惑をかけた記憶しかない。
悩みを聞いた時も、気の利いた言葉もかけてあげられなかった。
せっかく会いに来てくれても、もてなすことも見送ることもしなかった。
そうだった、ごめん。
本当にすまない。
私には友人を名乗る資格がない。
そっとスマホを落とした。
……
LINEを開き、トークの一覧を下の方にスクロールする。
それと思しきものを見つけた。
後ろ姿のサムネイルが、まだアカウントが生きていることを示している。
あれから5年が経つ。
今でもトークはあの時のまま、彼女の苗字だけが変わっていた。
~1件のLINE~
【1件のLINE】
午前3時。1件のLINEが来た。
幼馴染の流花から。
内容は「神聖なる檻から逃げてきた」と、一言。
流花のお父さんはこの田舎町の神社の在住だ。
流花は8歳の頃から本格的に神社で働かされており、15歳現在も変わらず働かされ続けている。言い方によりなんとなく分かるとは思うが、流花の意思で働いてるわけじゃない。流花パパに強制されているのだ。
流花パパは流花に対しての執着心や依存心気味だものが猛烈に強い。その為束縛がかなり激しい。流花を絶対に逃がさないという強い意志を感じる。
2年前の中一の夏休みの最後、夏祭りに二人で行った時。その日は1日中流花の様子がおかしかった。
祭りからの帰路、2人で静かに歩いていると、急に横からポタポタと何か液体が垂れるような音が聞こえてきた。
「?ちょっと流花、水筒の水こぼれてんじゃ…!?」
流花は夕暮れを見つめながら息もせず静かに泣いていた。
そんな流花の横顔が、儚くて脆くて、掴んだら消えてしまいそうで、泣いてる流花にすぐに声をかけて抱き寄せてあげたりでもしてあげたいけれど、恐くて、…”下手に動けない”そんな想いが忘れられない。
その日初めて、流花が自分の話をした。
流花は自分の話を一切しない。強くて明るい、太陽みたいな笑顔をする麗しい子。
私はそんな流花の涙も、話も、細い体が冷たくなった小刻みな震えも、初めての光景だった。
家族の話、家の話、流花の想い、きっと誰かに話すのは初めてだっただろうけど、一生懸命話してくれたのを今でも昨日のことかのように覚えている。
流花ママは流花が4歳の頃に離婚して家を出た。
流花は流花ママ似の外見で、とても麗しい。小さい頃っきりだが、流花ママの美貌は今でも鮮明に頭に焼き付いている。
流花のことについて知っているのはこれだけだ。いつでもどこでも一緒で、10年来の親友の私にも、流花から自分の話をしてくれたのはあの日の夏祭りの帰路以来二度と無かった。
そして「神聖なる檻」というのはきっと、流花の家の神社と流花パパの束縛を表しているのだろう。
そこから逃げたということは、言わば家出だろう。
「い、ま、ど、こ、に、い、る、の、?、送信っと…。」
親友の力になってやりたい。できる限り手助けしようと思う。
「学校近くのいつもの公園」
流花からLINEが届いた。パジャマから着替えて、バックに色んなものを詰め込んで家をそっと飛び出し、公園へと自転車を走らせた。
私「流花」
流花「あっ来てくれちゃったの!?あの後来なくていいからねって送ったのに既読付かなかったから寝たかと思ったよー!」
私「失礼な。私が流花の危機に無視して駆けつけない奴に見える?流花は私のたった一人の友達で親友で幼馴染なんだから」
流花「…そっか笑」
私「…で、これからどうするつもり?」
流花「ちょっと遠いところに私の母方のおばあちゃん家があるって言ったの覚えてる?」
私「あーうん、なんか言ってたね。」
流花「覚えてくれてたらならよかった!そこに私のママが住んでるの!お父さんも知らないところにあるって小さい頃にママに聞いた!地図ももらってるの!これ!」
私「行く宛はあるのね、了解。私の自転車後ろ乗って。ナビは任せた。」
流花「ありがとう!安心して任せてよね!」
流花は自転車が乗れない以前に買うことが許されない。これも流花パパの理不尽な束縛の一つだ。
私が思うに行動範囲を狭める為だと思う。というかこれくらいしか私の脳みそでは思いつかない。
でもこんな田舎は自転車もないとなると本当にどこにも行けない。学校と公園にやっとの思いで着くくらいだ。言ってしまえば完全どこにも行かせないようにしているようだ。
何故そうする必要があるのかまでは分からないけど。
と、まあだからいつも徒歩で行ける公園かお互いの家くらいでしか遊ばないようにしている。
私の流花を後ろに乗せて走れば比較的遠くにも行けるし、近場にも早く付けるだろうが、そうする度に酷い筋肉痛になるから極力控えている。
こんな田舎町に逃げるところなんてない。
だから逃げるには駅を超えなきゃいけない。駅まで行くにも自転車では時間がかかる。
自転車を持ってきて正解だった。
流花「着いたー!!ありがとね!」
私「ゼェハァ…ぜぇ、ハァ、うっ、…」
とても大きい敷地に広々とした庭があり、そこにはテラスと大きな邸が立っていた。全てがアンティーク調のものだ。
流花「お疲れ様〜!…ねえ…息切れやばくない!?大丈夫じゃないね!?えどうしよ!?どうしたらいい!?水飲みな!?これ!あ、これはなっちゃんだ、えっとこれもちがくてこれも、」
私「ちょ、落ち着けって…ふぅ…もう大丈夫。」
流花「あ、そう?ならいいんだけど。じゃあ行こ!」
私「切り替え鬼かよ」
ザッザッザッ……〕
ピーンポーン〕
??「はい。」
流花「ママ!!私だよ!」
ガチャッ キィーー—〕
ルカママ「…花愛?花愛なの?」
…?
流花「そうだよ!久しぶりだね!」
え?
ルカママ「こんなに大きくなって…!!!寂しかったよね、ごめんね…」
流花「パパがいる限り会いたくても会えないって分かってるから」
感動の再会のハグをしている中申し訳ないけど、花愛って何?誰?
ルカママ「あら…後ろの子はもしかして…」
流花「流花だよ!」
どういうこと?私のことを流花って…何言ってるの?だって流花はあなたじゃ—
ルカママ「流花ちゃん!!久しぶりね。花愛と一緒にきてくれたのかしら。あらもうどうしましょうか…とりあえず話は中でしましょう、2人とも上がっておいで。」
—ないの?
ルカママ「?早く入っておいで。」
流花「…行こう」
キィーー— バタンッ〕
ルカママ「とりあえず座って…2人ともどうしたの?そんな険悪な顔しちゃって…」
流花「流花に…ママにも…話してない、話さなきゃいけないことがある。長くなるけどちゃんと聞いてほしい。」
私「…分かった。」
ルカママ「…ちゃんと聞くわ。」
流花「まず前提として流花に言わせて。後で一から説明するから。あなたの名前は流花なんだ。」
私「違う…私は、私は、…か、、か…?」
あれ…私の名前って、なんだっけ?
ゾワッ〕
なんで分からない?どうして?どういうこと?こんなのって、こんなのってまるで—
流花「記憶障害。」
私「あ…」
流花「私の名前は花愛。
とある日に流花は交通事故にあって、後遺症として記憶障害を患ったんだ。
あなたは記憶障害の治療した。それで少し改善されたところもあるんだ。だけどそれでも治らなかった記憶障害は、自分自身の名前が覚えられないのと、過去のエピソードの記憶が部分的に無くなるっていうもの。
私”るか”っていう響きも好きだったけど、初めて流れる花って書いて”流花”って知った時とても感化された。澄んだ青色が咲いている。そんな印象を受けて、とても綺麗で素敵な名前だなと思った。そして何よりも誰よりもこの名前はあなたが一番ぴったりだなと思った。
あなたが忘れたとしても私が覚えていればいい。そう思うようにした。でも流花っていう素敵な名前が流花、あなたなんだっていうのを忘れて欲しくなかった。
でもそうはいかない。独りよがりで自己中な私の願いだった。それでも諦められなかった。
だからと言ってはなんだけど、あなたが自分の名前を覚えられないなら、せめて流花って名前だけでも忘れないようにと思って、私の名前として覚えてもらった。
滅茶苦茶で混乱するよね。本当に、本当にごめんなさい。」
あー、だからかな?
なんで今更気付くかな。私の記憶の中でも流花に、いや、花愛に、私の名前一度も呼ばれたことないや。
私「……分かった。全然分かってないけど分かった。今はもっと私の知らない事実ってものを早く知りたい。」
花愛「うん。中1の夏休み最終日、街外れに大きな夏祭りがあって、祭りが終わって帰っていた道中、
その時期私はお父さんのことについてとても思い詰めていて、突如そのタイミングで耐えかねなくなって、
流花が隣に居るにも関わらず気付けば泣き出してた。
それから私は確か、”実は…私やパパの家に代々続く血筋に関する言い伝えが色々あるらしくて、パパはおばあちゃんからの教育で、子供の頃からその言い伝えに対し熱狂的信者の様子なんだよね。
私も小さい頃から今でも、パパからその言い伝えに関して教育を受けてる。けど、非現実的すぎて、何が何だかちんぷんかんぷんなんだけどね。
それで話は戻ると、私が物心つくきっと3歳くらいの頃から何を思ったのか、私に特別な力があると信じて疑わないようになって、そんな私の〈力〉ってものに執着してて…それのせいでパパとママとのすれ違いが激しく起こって、私が4歳の頃、2人は離婚したんだって。
毎日お父さんに意味のわからない部屋に閉じ込められて、何時間も延々と解放されず立ちっぱなしで、ぶつぶつ崇められて。もう意味がわからない、怖いよ、嫌だよ…”ってことを流花聞いてもらったんだ。だんだん涙も収まって、流花に背中をさすられながらまた帰り道を歩き始めた。
町外れのそこは車通りが多くて、私たちの住んでる街と違って横断歩道もあった。私達は赤信号で止まっていた。
でも交通の怖さも知らず、私は横断歩道のギリギリの目の前に立っていた。そして、慣れない遠出と人混みの疲れが出て、力が抜けて少しふらついただけで横断歩道を飛び出してしまった。
その時にはもう目の前に軽トラックが居て、息が止まったかの様な表情をした、運転手さんと目が合って、もうダメだ。と全てを悟った瞬間、
後ろから歩道へとものすごい勢いで引っ張り飛ばされた。
次の瞬間に私を歩道へ引っ張り飛ばした流花は、遠心力で私の代わりとなって横断歩道へ出てしまい、1秒の間もなく軽トラックに道路で轢き飛ばされた。
私は打撲、流花は重体だった。けれど一命を取り留めて、そこからは順調に回復していった。
さっき言ったように、記憶障害という一つの後遺症を残して。それからは—
あの夏祭りの日、花愛が私に話してくれた内容、覚えてなかったな、私。
“自分のことについて話してくれた”それだけだった。
あの夏祭りの日、私は死にかけたんだ。
そうなんだ、全部そういうことだったの?
脳裏で色々なことを不思議に思ってたの、私だけ…?
私の知ってる記憶と違う。知らないことだらけの現実を付けつけられて受け止められない。
なんだ、あれ。私、本当に記憶障害なんだ。
あれ?…じゃあ流花は自分のことを話さない子なんじゃなくて、話してるのに…話しても話しても…全部私が忘れてるだけ?
なんて残酷なことだろう。ごちゃ混ぜの感情が絡まってゆく。
花愛「って、感じなんだ…。流花、急にこんなこと言われてすぐ受け入れられるはずがないよね。ごめんね、ゆっくり、ゆっくりでいいから。」
流花「ちょっと待って…花愛、あんたは私に花愛パパの事打ち明けてくれたのに、唯一どうにかできる私が忘れたばっかりに、いまだに苦しみ続けてるの?」
嘘でしょ、こんなの…”親友の力にってやりたい”なんて言って…悔しい、悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔し
花愛「そっちこそ待ってよ!!」
流花「え、?」
花愛「流花のせいみたいな言い方しないでよ。そんなんじゃない。元々私のせいで流花を命の危険に晒して、記憶障害を患うことになっ」
流花「ちょっと、もういい。分かった。どうしようもないことなんだね。聞いてらんないわ。あんたのせいじゃないでしょ。」
花愛「だから流花のせいじゃないでしょ!!」
流花「分かった分かった、誰も悪くない。これでいいね。」
カアイママ「花愛、そろそろ時間じゃない?」
花愛「えっ?あっほんとだ!?じゃあ庭で2人で遊んでこようかな!流花!早く行くよ!」
流花「え?なに?急展開だな…」
タッタッタッタッ〕
花愛「ふー!!庭の人工芝最高!!ふわふわ!!流花はどう!?」
流花「…うん気持ちいいよ。ただ…流花って呼ばれるのが慣れない。」
花愛「あはは笑だろうね!」
花愛「…ねえ聞いてよ、流花っていう花を愛すのが私、花愛なんじゃないかなと思って。」
流花「へぇ。」
花愛,流花「…」
花愛「ねえちょっと塩対応にも程があるくない!?」
流花「いや、本当になんともロマンティックな奴だなと思って。」
花愛「なにそれー!!からかってるでしょ!?」
流花「あはは笑」
花愛「ふふ笑……実は夏祭りの帰りの日は〈力〉なんてよく分からない、パパがおかしい、なんて言ったけど、実は本当にこんな不思議な力があったみたいなの。ふふ。」
流花「え?なに?こんな力って、どういうこと?」
花愛「忘れないといいな。。またね!。」
流花「え、?だから何が?—
——ハッ!!ここは…ベットの上?
ピコンッ〕
午前3時。1件のLINEが届いた。
幼馴染の流花から。
内容は「神聖なる檻から逃げてきた」と、一言。
え?これってさっきの…夢、?
現実になってるってこと、なの?
(こんな不思議な力があったみたいなの。)って、。。。
…
(忘れないといいな)花愛のあの一言…
私の記憶の限りには、正確なタイムリミットがあるわけでもない、から、忘れないように夢の全てのことを書こう。
よし、できた。今、ただ忘れないように、覚えているうちに、早く花愛の所に行こう。
たった1人の親友兼幼馴染を救う為に。
覚悟はできた。
刑事もののドラマでよく、遺体に犯人の毛髪が付着していた、とかってあるけど。
もし、全く無関係の人の髪の毛だったらどうするんだろ?ってドラマで見る度に思う。
風の強い日なんかだったら、遠くまでフワフワ飛んでいきそうじゃない?
タイミング悪く近所で事件が起きて、そこに抜け毛が着地しちゃったら、もしかして犯人にされちゃったりする?
現実にはウキョウもマリコも、クライシすらも居ないわけで。
あれよあれよと犯人に仕立て上げられて、強面な刑事に自白を強要されちゃう?やだ、冤罪!
検察もグルなんだよ!もう皆グル!あ〜やだやだ
「馬鹿なこと言ってないで仕事してくださいよ、先輩」
心底呆れましたといったような後輩の顔に「は〜い」と応えて、目の前のキーボードを指でパチンパチンと弾いた。
テーマ「1件のLINE」
「ひとまず1件メッセージが来れば良いんだな」
これは汎用性高いお題じゃないか?某所在住物書きは喜々として、早速物語を組み始めた。
「初めて送った文章。仕事系通知。『電話番号登録してたけど君誰だっけ』の確認、『チケットご用意できました/できませんでした』の当落告知、怪しいグループからの招待あるいは指示通知。等々」
1件挟めばお題クリアだもんな。簡単よな。
あるいは「Line」の意味から、英単語として1件の何かを書くとかな。物書きは今日も今日とて、ネットでお題の意味をまず検索する。
「……簡単なハズなのにムズい」
線、通信網、工場のラインに配線に手相、セリフ、それから口癖に家系に道に方針、あと専門家、赤道と結婚証明書。Lineの和訳に物書きはうなだれた。
「うん。ムズい」
――――――
いつぞやの都内某所、某アパートの朝。
部屋の主は元物書き乙女で現社会人。前日、3月から共に仕事をしている付烏月、ツウキという男を引き連れて、スイーツバイキングを堪能したところ。
カーテンの隙間から差し込む光と、枕元に置いていたスマホのメッセージ受信音にイタズラされて、
もう少しで二度寝に寝入っていたところを、ベストタイミングに邪魔された。
自室の窓の外では、貴い黄色の陽光照る中で、天気雨(きつねのよめいり)が降っている。
受信した個人向けメッセージは1件。
『負けたノД`)』
あぁ、「負けちゃった」、溶かしちゃったんだね。
かつての物書き乙女は眠い頭で、しかし届いた文面だけで、誰が何をした結果としてメッセージを送信してきたのか、すぐ理解した。
1件のメッセージは送信者の慟哭を表していた。
元物書きの友人である。スマホに入れているソーシャルゲームに実装された、ガチャの話題である。
推しカップリングの2名が、互いに対となる服装で復刻。彼女はそれを引いたのだろう。
全ツッパに違いない――そして「負けた」のだ。
片方だけ複数枚獲得して、もう片方が1度も出なかったか、そもそも双方さっぱり出なかったか。
惨状は乙女も特定できなかったが、それはそれは、もう、それは。絶望というより失意の2字が相応しい心境に違いなかった。
『しっかりしろ致命傷だぞ』
ザンネンだったね。乙女は1件、同情のメッセージを送る。相手の推しは己の推しでもあり、彼女自身は復刻以前に双方揃えていたので無事だった。
『大丈夫?ガチャ敗北の憂さ晴らし、行く?』
メッセージをもう1件。すぐ既読されたのを確認して、乙女はベッドであくびと背伸び。
離れた場所で友人が確率と乱数に挑み散ったとは想像しづらい程度に、美しく、清純な朝であった。
『行く。そっちの先輩さんのアパート、行く』
『ウチの先輩の部屋ナンデ?』
『一緒にツー様の部屋のポールラック錬成して、そこにルー部長のコートをサマー仕様にして採寸して作って、掛けたじゃん。参拝しに行く』
『ちょっと待った落ち着きましょう』
『大丈夫。ツー様のラックにかかってる部長のコート拝みたいだけだから、数秒だけだから』
『ルー部長のコート(新着情報があります)』
『なんぞ』
『先輩の部屋に去年あたりから近所の稲荷神社に住んでるらしい子が遊びに来るんだけどね、
コートをバチクソ気に入って、先輩に着せてもらって、すそ引きずって部屋の中走り回ってる』
『 ゚Д゚) 』
『見た目が完全に子供時代のツー様が大人のルー部長のコート着て遊んでる宗教画』
『 ゚Д゚))) 』
1件、また1件、そして1件。メッセージが流れ、送り出して、既読に変わって流れてくる。
『ありがとう わたし まだ がんばれる』
友人からの言葉はそれが最後。どうやら自分の出勤準備を始めたようであった。
「……はぁ」
ため息を吐き、少しだけカーテンを開けて外を見て、再度あくびに背伸び。彼女もまた職場へ向かう前に為すべきことを始める。
友人からガチャの最終報告たる1件が送られてきたのはその日の正午過ぎ、昼休憩の頃。
今月の食費の四半分で済んだとのことであった。
『1件のLINE』
トークルームに元気?と打ったのはもう何年も前のこと。既読が付くことがないその一言を眺めては、もっと早くに送っていれば何か変えられたのではないかと根拠なく思い、そして後悔している。
現場には揃えられた靴とロックの外されたスマートフォンが置かれており、中には家族や知人に宛てたメモが多数残されていた。その中に私に宛てられたものは無かった。
会う機会が少なくなっていたけれど、学生生活の中では一番と言っていいほど仲が良いと思っていた。けれどそう思っていたのは私だけなのかもしれないと思わされて、埋められない疎外感を長く感じている。
忘れてしまえばいいのだろう。けれど知ってしまったことで傷ついたことを忘れるにはまだ時間がかかる気がした。
ネトゲで出会った友人であり、アパートの隣人であるイツヤは、いつも語尾に感嘆符をつけて喋るような人間だった。明るいが考え無しで、行動力はあるがせっかちで、LINEはメッセージより通話を好んだし、たまに送られてくる文面は単文が羅列され、翻訳中の外国語のようだった。
そんなイツヤから俺に珍しく単文でないLINEが一件来た。
しばらく帰れん!お宝処分よろ!引き出し二段目!家の机!鍵番0528!元気!しばいたら帰る!
色々とツッコミどころが多過ぎる。俺は眉間を解しながら矢継ぎ早に返信を打った。
今どこにいるんだ?
語尾が勢い良過ぎる自覚あったんだな。
何をしばくんだ。
俺お前の家行って不法侵入で捕まらんよな?
いつ帰ってくるんだよ。
帰り次第、鍵の番号をわかりにくいのに変えろ。
色々と尋ねたいのに全く既読がつかない。
半日待って変わらない画面を確認した俺は重い腰を上げた。俺達が住んでいるこのアパートでは、数字の暗号鍵でも、普通鍵をかけていない場合のみ開錠できるようになっている。
(い…つ…や…)
0528と入力して隣の部屋を開錠する。おそるおそるお邪魔した部屋は、全てがやりかけで終わっているような有様だった。 米粒のついた茶碗。半分だけ開いたカーテン。片方だけ部屋の真ん中にあるスリッパ。頑張ってそれらを無視して、イツヤが指定した「お宝」を確保した俺は深いため息をついた。
ケモ耳の娘がミミズのようなものに囚われている表紙のソレやアレを濃紺の袋に入れて厳重に封をする。
オマエのお宝は俺が預かった。
俺の趣味と疑われたくねぇわ。
さっさと、しばき倒して帰ってこい。
既読のつかないLINEに追加で送る。
何お前、魔王でも倒しに行ってんの。
流石に、送った後にすぐに消去する。
しかしイツヤなら、今流行りの異世界転移とやらをしても、ケモ耳の女の子に囲まれて大喜びしながら最短で問題を解決してくるだろう。
(いやまさか…まさか、な。イツヤの好きな展開に影響されすぎ。)
結局、だ。
イツヤがWi-Fi設備の壊れた遠洋漁業船から、冷凍マグロの写真を片手に帰ってきたのは数ヶ月後。
「重要なことが抜けてるわっ!
変な言い方すんじゃねぇ!
何よりてめえの性癖の変な布教をすんじゃねぇっ!」
イツヤに対する俺の言葉全てにしばらく感嘆符がついたのは仕方がないと思う。
あー!もー!おかえりっ!
___________
フィクション。その後連絡がつかなくなった相手からのメッセージは気になるだろうなと思って作りました。多分マグロはしばいて獲りません。
___________
調べたら遠洋漁業船は今ほぼWi-Fiついてるし、バイトは無くて正社員だし、思い付いたは良いけど本当は割と詰んだ設定でしたね。10年くらい前ならありなのかもしれない。
ただ、明るくてサッパリした性格のイツヤは、ネトゲで廃課金者なので勢いで漁師さんになっても良いかもしれない。ただし一本釣り猟法は2時間とかかかる我慢比べでもあるらしいので、無理だな。
在宅ワーカーな「俺」はコツコツが得意なツッコミ役だけどイツヤみたいな明るいぐいぐい系の人になんだかんだ救われる人。
久しぶりの友へのLINEを送ることができる人がイツヤで、受け取って返信内容に悩むのが「俺」かな。
…これを小説内に盛り込むんだよ!(反省会)
ある夜に届いた一件のLINE
そのメッセージが、まさか波乱を呼び込むだなんて当時の私は思いもよらなかったのだ。
[日記 まだまだコドモ。]
19歳 大学生。あと半年で成人式。
好きな歌から借りると、
「どっから見ても子供と呼ぶには
無理があるサイズ」だし、
「駄々をこねても可愛くないので」、
子供か大人かで言えば、たぶん大人なんだろう。
でも、やっぱり、
わたしはまだまだ子供だな、と思う。
特に、バイト先で、生徒の子に対して
イラっとしてしまったとき。
とんでもなく生意気なことを言われたり、
言うことを全く聞いてくれなかったりすると、
イラっと、というか、
どうしたらいいのかわからなくて、
投げ出したくなる。
そんな自分にも嫌気がさす。
そのことでもやもやしていたある日、
教職の授業で、先生がこんなことを言った。
「生徒のことは嫌いになっちゃだめだよ。
まだ成長中なんだから。」
ハッとした。
そういう心の余裕や、包容力があるのが
大人なんだと思った。
だから、生徒の言動にイラっとしてしまう自分は、 やっぱりまだまだ子供なんだな、と痛感した。
見た目や生活だけではなくて、
そういう精神的な意味でも
大人になりたいと思った、19歳 夏。
1件のLINE
人と面と向かって話すのが苦手だが、メールでのやり取りならばあまり緊張せずに会話が出来る
それを知った周りの人達は、LINEを交換しようと言ってくれた
今日もクラスの子の1人がLINEを送ってくれた
「あちらは雨か」
新着のメッセージを開いて彼女は呟いた。
窓の外は快晴、今日も太陽が元気に地上を焦がしている。
ここ数年の暑さは異常だと、テレビ画面の中のコメンテーターは口々に言う。
地球温暖化がとか、二酸化炭素がとか、氷河の消滅がとか、極の氷がとか、色々話してはいるが『我々も意識していかないといけないですね』というなんとも曖昧な台詞で終わらせて次の話題へと進む。
地球温暖化はデータを見れば明らかだが、原因は果たして二酸化炭素なのだろうか?
太陽がほんの少し活動を活発化させれば、地球の温度なんて簡単に上昇しそうなものだけど、なんて事を考えながら、モニターに映し出された文字の羅列を目で追う。
「この辺、もう少し言い回しを変えた方が良いか」
目を閉じ情景を思い浮かべる。
男と女が見晴らしの良い丘の上、巨木の下に佇む。
手を伸ばせば触れられる距離、されどお互い視線を合わせることなく見ているのは少し先にある街並み。
女はあの街の薬屋の独り娘で、男はここより南にある土地を治める領主の四男。
お互いに冒険者として活動し、意気投合してここ2年は恋人同士だった。
家を継ぐ必要がなく、親にも自由にすれば良いと言われ選んだ冒険者の道。
だが、事情が変わった。
去年から徐々に広まり始めた熱病。
罹患者のうち2割ほどが命を落としている。
初めは軽い咳と発疹で、次に高い熱が二、三日続く。
半数はこの後快方に向かうが、半数は高熱と咳が続き発疹が酷くなる。
そして、半月ほどで熱が下がれば命は助かるが、発疹の痕が残る。
また、熱が下がらない場合はひと月もしないうちに息を引き取る。
男の1番上の兄と3番目の兄が、この病で命を落とした。
父親は、男に家に戻るよう手紙を寄越した。
「うーん......」
いくつか文字を打っては消し、打っては消しを繰り返す。
仕事の合間に書いていた趣味の小説が、いつの間にか真琴の本職になった。
元々ファンタジー物が好きで、小説や漫画、映画、ゲームと手をつけたが、仕事が忙しくなればなるほど時間を捻出することが難しくなり、そのうち仕事をしながら妄想の世界に入り込むようになった。
そしてこれが真琴にはあっていた。
驚くほどスルスルと頭の中で物語が展開していく。
そしてそれを自分だけ楽しむのは勿体ないと思うようになり、スキマ時間で文章にするようになった。
ダラダラとそれをネットに上げ続けた結果、今それが仕事になっている。
「ん?また来た」
LINEの通知が真琴の思考を停止させた。
メッセージを開くとそこには綺麗な虹の画像が送られてきていた。
この画像をくれたのは、会社員時代の後輩で、3年前に真琴を置いてアメリカに飛んだ恋人。
今も恋人と呼んで良いのかどうか、真琴には判断できなかった。
別れ話をした訳ではない、むしろ彼には待っていて欲しいと言われた。
真琴は普通の会社員で、親も普通のサラリーマン。
だが、彼は違った。
世界的に有名な企業の御曹司と言うやつで、真琴とは違う世界の人間だった。
親に呼ばれアメリカに行く時に、そのことを知らされた。
騙されたとは思わなかったが、心の中に穴が空いた気がした。
「3年...か...」
彼からはいつも画像が届く。
空だったり、山だったり、食事内容だったり、公園で遊ぶ子供だったり。
いつもいつも画像だけが届く。
言葉はひとつもなく、彼自身の画像さえない。
彼が目にしているものだけが、真琴の手元に届けられる。
「ふふっ」
送られてきた画像はきちんと保存して取っている。
消せないのは、未練からだろうか。
この3年間、声の一つも、後ろ姿さえも見ていない。
時折LINEに届く画像だけが、真琴と彼を繋げている。
いや、この画像も彼が撮ったものとは言えないかもしれないが。
「ん?また?今日は頻繁だね」
1件のLINE。
それが真琴の全て。
1件のLINE。
それが彼と真琴を繋ぐ。
「バカじゃないの」
ぽつっと画面に雫が落ちる。
落ちた画面には、『結婚してください』と書かれたメッセージカードとキラリと光る指輪が納まっていた。
1件のLINE
たかが1件、4文字のLINE
それでも私にとっては十分嬉しくて
いつもの朝より体が軽い
今日はなんでも出来そうな気がする
学校で喋れるだろうか
しわくちゃな楽しい笑顔を見れるだろうか
私の中で太陽が昇る
世界の始まりの最前線に立っている
たかが1件、されど1件のLINEに私は一喜一憂するのだ。
「1件のLINE」
"ライン♪"
ベットの上でのんびりしている時に通知が鳴った。
僕は飛び起きて急いで支度して家を出た。
だってその通知は……
……今日のゼミの発表会に遅刻してる事を告げる、1件のLINEだったのだから。
【1件のLINE】
赤いポップアップが見える
返信来た、と覗きにいくも
いつものニュースの通知
ちょっとだけ期待外れ
早く気がついてと催促はしないけど
ある日、小さな町に住む少女リリーは、森の中で不思議な光を見つけた。その光が導く先には、美しい輝く宝石が輝いていた。リリーはその宝石を手に取り、不思議な力を感じた。その日から、リリーの周りには不思議な出来事が次々と起こり始めた。彼女はその力を使って、町の人々を助けることになり、やがて彼女の名前は町中に知れ渡ることになった。リリーは、その力を使って、人々の心に希望と勇気を与えることを決意した。