わをん

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『1件のLINE』

トークルームに元気?と打ったのはもう何年も前のこと。既読が付くことがないその一言を眺めては、もっと早くに送っていれば何か変えられたのではないかと根拠なく思い、そして後悔している。
現場には揃えられた靴とロックの外されたスマートフォンが置かれており、中には家族や知人に宛てたメモが多数残されていた。その中に私に宛てられたものは無かった。
会う機会が少なくなっていたけれど、学生生活の中では一番と言っていいほど仲が良いと思っていた。けれどそう思っていたのは私だけなのかもしれないと思わされて、埋められない疎外感を長く感じている。
忘れてしまえばいいのだろう。けれど知ってしまったことで傷ついたことを忘れるにはまだ時間がかかる気がした。

7/12/2024, 3:38:53 AM