『1つだけ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
世界に一つだけのもの
それを探しにボクは旅に出た
住み慣れた故郷を離れ
道なき道の森を抜け
右も左もない草原を過ぎ
暑い日も寒い日も
雨に打たれ強い風に向かって
ただ歩き続けた
色んな人に聞いても誰も知らない
世界に一つだけのものなんて見当もつかない
そう言って物珍しげにボクを見ては嘲笑う
いつしかボクは疲れ果て
そんなものが存在するのかどうか疑わしくなって
ここで最後にしようと人伝に聞いた賢者を尋ねた
賢者は言った
もうあなたは答えを見つけている
ここに用はないはず
故郷に帰りなさいと
ボクはまた長い年月をかけて故郷を目指した
いくつもの夜を明かして、ある日の朝、
ボクは懐かしい我が家に帰ってきた
父や母は腰が曲がって歳を取り
兄弟はすっかりシワが増えた大人になっていた
再会を喜び
世界に一つだけのものはとうとう見つからなかったと話そうとしたら
ボクが帰ってきたと知った幼馴染が駆け込んできた
幼かった彼女は大人の女性になっていた
彼女はずっと旅に出たボクを待っていたのだ
怒りながら泣いている彼女はそれでもボクを許した
息を呑むほどに美しい彼女の瞳を見て
ボクはやっと探していたものを見つけた
世界に一つだけ
それは愛
見つけるのが困難で遠回りしたけど
ボクはとうとう愛を見つけた
誰もが愛を探していて迷子になる
遠回りしてもいい
いつか分かる時がくる
愛とは許すこと
それが世界に一つだけのもの
一つだけ
一つだけ 一つだけ 一つだけ
一つだけがいっぱい!
私にはまだ一つだけは決められない
一つだけは もう少し先にしよう
k
『1つだけ』
一体、どれだけの末を見下ろして来たのだろう。
とうの昔に、その青い星に蔓延っていた生命体は突然として背中に爪を立てられてしまった。
私の覗く水面に斜に構える背丈の高く冷たい建造物がフレームインしてくる。
少し前、此処は艶やかな色で溢れかえっていた。だから私にも色があった。いや、色を見て覚え、染められていたといった方が正しいだろうか。私は構成され設定され制御された。数多もの色を学ばされた。
しかし、今となっては文明は若草色へと姿を変えてしまった。
私が学んだ色は一周回って不必要になってしまった。
花は咲いては枯れるもの。"彼等"は分かっていたのだろうか。
......
分かっていなかったのは私の方か。
この道中、動いて行きあった同胞等は片手に数えるほどであった。
他は、とても同胞とは呼べない姿をしてした。空いた片目から小さく芽吹かせていた者、何故か自身のコアを自分で取り出して自滅していた者、など...。
少し、怖かった。
結局、私の最後も突然だった。
右脚の神経プログラムに異常が出たのとログを伝播されて何のことか理解する前に、私は自分の影へと身を沈めてしまった。
立とうとしても立てない。その内手足が動かなくなった。
そうだ、最後にメンテナンスを受けたのはいつだろう。
いつから私は"彼等"に触れていないのだろう。
何故だか寂しい気がして手を伸ばした。
「A"、、、」
狭まりゆく視界に押さえたのは、ただ一つだけ、小さく咲いた名も知らぬ白だった。
小学生の頃、我が家にはおやつは1日1つまでというルールがあった。私は甘いものが好きだったので、いつもそのルールにやきもきしていた。
ある日、父がチョコレートを買ってきた。10個入りのボンボンショコラだ。どうしても1粒じゃ足りなかった私は、駄々を捏ねて父と大喧嘩してしまった。結局部屋にこもった私のもとをたずねた母が持っていたのは、チョコレートだった。
ひとつだけ、ね?
その時に食べたチョコレートは格別に美味しくて、もっと食べたいと思っていたはずなのにすっかり満足してしまった。
そして今、件のチョコレートが目の前にある。1粒摘んで口に入れる。上品な甘さが口の中にひろがる。大人になって、もう甘いものは好きなだけ食べてよくなった。だけどこのチョコレートは、あとひとつ食べるだけにとどめよう。
『あとひとつだけ』
ひとつだけの
みどりいろの
おおきなめが
みつめている
よんでいるから
いかなくちゃ
いかなくちゃ
きっとあいをくれる
きっとしあわせをくれる
うけいれてくれるから
あのかみさまのところへ
わたしのささげられるもの
ひとつだけの
わたしじしんを
もっていくから
1つだけ(お題)
「昨日みた夢ね、すっごく幸せだったの。
10年後の未来の夢。
お父さんがいて、お母さんがいて、お姉ちゃんがいて。
でもね、1つだけ足りなかったんだぁ」
「何が?」
「……キミだよ。キミだけ、いなかった」
ほんの少しだけ、声がふるえた。
おかしいな、もう未練なんてないはずなのに。
「そっか」
キミはなんてことないみたいに、遠くを見る。
星空の下に、ゆらゆらキラキラと光る海が見える。
「ねぇ、別れよ」
「……たかが夢でしょ?」
「そういうところだよ。
夢でキミがいない未来を見るほど、私のなかでのキミは、小さくなってしまったの」
「そう。きみの言うことはいつも、よくわからないや」
目の前の海が、ふたりで見る最後のけしき。
……本当はね、未来にキミもいたんだよ。
けれど、私が先に死ぬ未来を知ってしまったから。
私が死ねば、キミは悲しむでしょう。
少年の願いは叶っている。
青年に出会うまでの環境は最悪であった。
名がそれなりに知れており、裕福で飢えることなく上に立つものとして日々勉強。
幼子なりに理解し、義務であれば仕方ないと思っていた。
が、父は才のありすぎる少年を畏怖し遠ざけ、兄ばかりをかわいがった。
母は生まれたときにはおらず、一人であった。当時幼子なのもあって無力であり、孤立している幼子に手を差し伸べる人はおらず、皆腫れもの扱いをしていた。
が、幼子にも転機がやってきた。孤児院に預けられるという最悪の形で。
幼子は理解ができなかった。
したくなかった。自分が捨てられたと理解したくなかった。
期待に応えようと努力もしていたのに、今は自分を見てくれなくてもいつかはと。
捨てられたショックのせいで当時は誰も信じられずに荒れた。
物を壊し、近づく人すべて敵だと思った。
周りに来る人も、勝手に解釈していろいろ何か言ってくる。それがただ煩わしかった。
しばらくそのような日々を過ごしていたある日、眠れずこっそり外に出た。
ただ一人になりたかったのもある。
月が良く見える日で。
庭にある大きな木に少年がいた。少年は一瞬幼子に目を向けたがすぐそらした。
見たことのない少年であった。それに今まで向けられたことのない目を向けていたのもある。
今までは、畏怖、哀憫と幼子を知ったかのように遠巻きにしたり声をかけて来たりと分かった気になって勝手であった。
近づいてくる割に目には恐怖を浮かべていたのがなおさらで。
何も知らないくせに!側しか見ない周りに嫌気がさしていた。
けれど。少年はどれでもなかった。ただ、そこにいる。
それだけ。
けれど今まで憐れむのでもなく、恐れるのでもなくただ幼子がいても気にしないと言わんばかりに。
今までで一番安心した。このままの自分を受け入れられているとそう、思ってしまった。
だから幼子は無言で少年の隣に座りそこにいた。
何も言わない少年が気になり目線を向けると持ってきていたのであろう、半分に割ったおにぎりを渡してきた。
何も言わず、ただ受け取るのを待っている。
幼子は受け取り、じっと少年を見る。黙々と食べる少年を見て幼子も一口食べた。
ただの具なしおにぎりであった。冷めていて冷たかったけどなぜかあたたくて。途中なぜかしょっぱくなって食べづらかったけど最後まで食べた。
それから幼子は少年とともにいた。
少年の妹になりたいという少女と三人でそれから沢山の出会いを、日々を楽しく過ごした。
少年が青年に、幼子は少年になっても変わらない。
今はただ少年のことを理解し時にはふざけ笑い喧嘩しても、青年が隣にいてくれる。
莫大な権力、富では絶対に手に入らない。ただ一つだけ。それだけで少年はこの上ない幸福を感じていた。
"最後に1つだけ叶えてあげる"
「じゃあ私は、君が欲しい!ニコ」
俺でいいと言うのなら
俺なんかでいいのなら
くれてやる
だから、帰ってこいよ
”1つだけ ”
みんなでワイワイ大皿料理をつつくのは楽しいね!
でも1つだけだったり少しだけお料理が残ってしまうときあるよね。
それを「遠慮のかたまり」と言います。
僕はその「遠慮のかたまり」を遠慮なくいただきます!
お題「1つだけ」2024/4/3
「じゃあな」
「おー。向こう着いたら教えてくれや」
そう言って、俺達は固く握手を交わした。もしかしたらこれが最後になるかもしれない。離すのが名残惜しい。でもそれを感じさせないようなやり取りだった。
「向こうは暑いの?寒いの?」
「どうだろう……基本的にはこっちと大して変わらないって聞いてるんだけど」
「食いもんは?」
「それに関してもあまり情報が無くてさ」
「じゃーもしかしたらカエルとかが主食かもしれねぇんだな、ヒヒヒ」
「おいおいやめてくれよ」
こういうバカな会話をしてくれるのがコイツらしいなと思う。わざと、湿っぽくならないように接してくれてる。
「1つだけ、約束してくれ」
「ん?」
「絶対に、死ぬな」
「……任せとけ」
ありがとな。約束したからには絶対に守ってみせるさ。男同士なのに最後は強く肩を抱き合った。最高の友を持って良かったと心底思った。
たかが一つだけ
されど一つだけ
#1【一つだけ】
重く澱む「観」が明るさを遮って存在を主張する只中をメインフィールドとする者モノと渡り合うのも丸3年を過ぎ、彼らの「観」が自分のフィールドへ侵蝕することと闘い続けるにも疲労感のある今日このごろ。
…というような感覚は、ある種の職業界隈(例えば精神科医やカウンセラー)の方々にはお馴染みかもしれない。ホントお疲れ様である。しかし上記の状態は私自身の現況でもある。私はメンタルヘルスのプロなんかではないし、そのような現場で働く気もない。「絶望なんてそのへんにいくらでも転がっているから」と、若いシンガーソングライターの女の子が言ってた記憶があるけど、その視点で「観れば」、確かにそのような風景もある。
平たく言って私はこの澱みの放つ響きを捨てたい。もしくは全く同調しない波長域に自分の認識焦点を在らしめたい。なんだか帰巣本能のはたらきがポンコツになってしまって困る犬みたいだ。「おうち」へ帰りたいよぅ。
道しるべを何か、と思い巡らすと、一つだけしか思い浮かばない。木だ。木、木……白樺、カラマツ、ミズナラ、クルミ、ネコヤナギ、エゾマツ、桜……うん、ひとつだけじゃなくなった。キイチゴ、オオバコ、ミヤマエンレイソウ、ヤマユリ、エゾエンゴサク、芝桜……どんどん出てくる、「ホームポジション」の者モノが。澄んだ水、午前の陽光、安心している自分。よし、帰って来た。ここからちゃんと、手ぶらでGOだ。
もしも
一つだけのお願いできるなら
あなたの愛情
たった一つ
お金でも買うことのできない芯からの愛情の恋を与えてほしい
一つだけ
ひとつに意味がある。
それがあなたを気づかせてくれるだろう
輝きを放つひとつの光。ひとつだからこそ意味がある。
私が叶えなければいけない願いが
一つだけ、ある
それは幸せになり、幸せにさせることだ
それが私の生きる理由だから
うちに1つだけピアスがある。
一回だけ使った、飾りもなんもないピアス。
とてつもなく若~い頃
今からでは考えられないがピアスの穴を開けてみた。
一丁前に私にも好奇心的なものがあったんだろうか。
なんとなく片耳だけ開けた。良ければ両方やろって思って。
一月そこらは付けっぱで
その後、自分で買ってきた何の変哲もないのに付け替えて。
そしていろいろあって、あっという間にピアスの穴が埋まった。
開けたときのピアスは捨てた。
原因は多分、オシャレ心が皆無だったことと
面倒くさがりやだったことだろう。
うん、続くわけがない。ホントなんで開けたのやら…
今や耳たぶには痕もなーんにも残ってない。
一回だけ使ったピアスが申し訳なさげに机の引き出しに
1つ残っている。
(1つだけ)
「一つだけよ」
そう母親に言われてしまえば、逆らえない。
ゆきはお菓子売り場で真剣にお菓子達を睨みつけていた。
チョコレートが食べたい。でもこの前食べたポテトチップスはとても美味しかった。このクッキーはだいぶ前に食べてこっきりだから久しぶりに食べたい。キャンディの袋はいっぱい入っているからとってもお得に感じるーー。
むむむ、と悩む姿に通り過ぎる大人達から暖かい視線が送られていることにも気づかない。
選べるのは一つだけ。
あれが良い、これが良い、こっちは昨日食べた、あっちはあんまり好きじゃなかったーー等々悩みに悩む。
うーとかむーとか眉間にシワまで寄せて悩む娘に母は呆れた様子で声をかけた。
「まだ決まらないなら、先に他の所に行くよ。また来よう」
1回目は無視。分かっていたので、母はゆきの首根っこを捕まえて手を繋いだ。
「ほら」
無理やり連行されていくゆき。その顔は未練がましいさがありありと現れていた。
母親と一緒に野菜やお肉、お魚といった所に次々と立ち寄る。母はそこらから買い物かごにいれたりいれなかったり。ゆきはそんな姿を心ここにあらずで見ていた。
食パンが置いてあるコーナーに辿り着き、食パンを選ぶ母親。商品を選ぶのを見るのに飽きたゆきは落ち着きなくキョロキョロした。
すると、小さい花を見つけた。
見たこともない花に興味津々に手を伸ばした。母はその姿を見て首を傾げた。
「ゆき、落雁好きだっけ?」
「らくがん?」
聞き覚えのない言葉にぽかんとする。
「お菓子だよ。食べたことあったっけ?」
可愛らしいお花の形をじっと見る。……お菓子?
ゆきの目はいきなり輝いた。
「ママ、これ欲しい」
落雁が入っている容器を差し出すゆき。母親はその姿を見て一瞬怯む。
……値段が、いつも買っているスナック菓子の方が断然安いのですんなりと頷きづらい。
「これだけにするから!」
うるうると上目遣いのおねだり攻撃。
母は逡巡し……、根負けしたかのように落雁を受け取った。
「……今日だけだよ」
手に取った落雁の容器が買い物かごに吸い込まれていくのをみてゆきは目をキラキラさせる。
「うんっ! ありがとう!」
ゆきはお母さんの手をぎゅっと握った。
『1つだけ』
帰宅途中、妻から買い物のお願いのラインが入った。またか‥と憂鬱な気分で目を通す。買う物が
特定な物なら問題無いが、困るのは何でもいいと言われた時。本人は何でもいいと言いながら実は何でも良く無い事が多いからだ。
先日もそうだった。明日子供が学校へ持って行く
タオルを買い忘れたから‥とお願いされた。白の
フェイスタオルであれば何でもいいと言われ買ったところ「もう少しふんわりした物が欲しかった」と。毎回こんな調子でこっちはそろそろ限界だ!
家に着くと今日頼まれた「桜柄であれば何でもいいレターセット」を妻に手渡した。案の定妻はまた何か言いたげな顔をしている。そこですかさず桜柄の物はこれ1つだけだったよと伝えた。本当は桜柄が何種類もあったが、それは内緒にしておくとしよう。
「1つだけ」
私は七夕の短冊に毎年同じ願い事を書きます。
神社にお詣りするときにも同じことを念じています。
『心願成就』
自分が一番願っていることって、簡単に決められなくて、いつも欲張って色々お願いしていたのですが、
「心」なら私が願っていることを分かっているはず。
そう思って数年前から心願成就と願うようにしています。
私にとって願い事は、叶えるためというよりも、
最善を尽くすための誓いのようなものです。
頑張るから見守っていて下さい🙏というような。
亡くなった大切な人や虹の橋を渡ったワンちゃん、先代のインコたちも見てくれていると思うので、いい報告ができるように、前を向いていきたいです。
---それでは、また---
今作を書いていて気づいたのですが、私は気持ちを言葉にすることで「自分を励ましたいんだな」「自分を励ましているんだな」と感じました。
今の自分、そして未来の自分の支えになるような言葉を残したいのかもしれません。
そして読んで下さった方に何か届くものがあれば、これ以上ない喜びになると思います。
自分にとって、ひょっとすると画面越しの誰かにとって、
お守りになるような文章をのせていきたいです。
お題から少し逸れた文章になりましたが、書けてよかったと思える文章になりました。
🐠🐠
一つだけ、もし一つだけ許されることがあるなら、あの夏に私を戻して。
そして、あの人と話したい。
2人で帰って、とにかく、あなたと2人だけの空間を誰かがくれたなら
それだけでいい。
いや、「だけ」じゃないよね。だって、あなたと2人きりになるのは、ものすごく難しいことだもん。