『0からの』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
辛くなったら
苦しくなったら
限界になったら
気持ちだけでも0に戻して
HP回復するまで
ゆっくり心休ませて
それからそっと
また0から踏み出そう
いつでも何度でも新しく
シナーズ・フィート
もう誰も傷つけたくないんだ
もう誰も失望させたくないんだ
僕が何かを言えば、その言葉は凶器となる
『幻想』という名の殻に閉じ籠っていたい
もう朝日が見えなくたっていいよ
永遠に冷たい夜の世界に居るから
僕にとって光明は耐え難い苦痛
僕にとって優しさは神経毒
そっとしておいて欲しいんだ
利用するだけしただろう?
奪えるもの全て奪い尽くしたろう?
何が『救い』だ、もう止めてくれ
僕の人生は、ゆっくり崩壊していく
それを望んだのは他でもない僕さ
お姫様は居なかった、神様でさえ
お願いだよ
もう僕をそっとしておいてくれ
僕はあなた方に全てを差し出したろう?
いずれ絞首台へと登るのは僕自身の足なんだ。
彼女が記憶喪失になったので自己紹介をする。
「初めまして」から始まる会話は、今日で何度目だろう。判らない。数えることは随分前に止めてしまった。けれど、4桁はいかないはずだ。でも、4桁に近い数字であることを否定は出来ない。それぐらい沢山、繰り返してきた。
「初めまして、私の名前は——」
0から築き直す関係は、一度も険悪にならない。
彼女からすれば0より前が無いので悪くなりようもないけれど、だからこれは私の問題なのだけれど、不思議と嫌ではないのだ。苦にもならない。何故かは不明だ。彼女が大好きで愛し過ぎているからかもしれない。0より前を思い出して悲しさや淋しさを煮詰めるより、0から始めて新発見した点に喜びを感じているからかもしれない。実際、彼女は全く飽きない人だ。
0より前が無く、0より先へ行けない人。
過去がなく、未来もない彼女。
飽き性な私が、全く飽きられない存在。
明日もまた「初めまして」な彼女がやってくる。
だから、今ここにいる0のきみを強く抱き締めておく。
0からの出発はよく聞くが、自ら0に戻して再出発を繰り返す人もいて、それがいわゆるリセット癖。リセット症候群ともいうらしい。
SNSのアカウントを突然消したり、いきなり人間関係をすべて切ったり、相談もなく仕事を辞めたり、誰にも告げず引っ越したり、Resetボタンを押すように環境をゼロに戻す。
原因を心理的に探ると、人目が気になる、面倒くさい、完全主義……色々あるらしい。
確かに、悩んだり対応するより全部断ち切ってしまったほうが早いし、すっきりする。
一方では、リセットを繰り返すことによる弊害もあるだろう。自分自身のリセットはできないので、だんだん消耗していく気はする。
私にもリセット願望は少なからずある。ただ小さなリセットはできても、人生に関わるような大きなものはなかなか難しい。実行に移せる人にはそれだけの理由があるのだと思う。
もし私が、といってもNoNameですが、ここから消えたときは小さなリセットが発動したと思ってください。
『0からの』
0からの思い出
俺、圭也には幼稚園、小、中学校の時に良い思い出が無い。
父は俺達を置いていって何処かへ行き、母は父の代わりに働いてくれた。
ずっと一緒だと思っていた。このまま3人で暮らし、高校生や大学生になったら1人暮らしを始めたりする。両親は少し悲しみながらも送り出してくれて、いつでも帰って来なみたいな事も言ってくれて。
そんな日々が待っているんだと思っていた。
でも小学5年生のある日、父が急にいなくなった。
幼い俺は理解が出来ず、寝るまで母に
『ねえ、パパはいつ帰ってくるの?』
と聞いていた。
あの時の母の
『いずれ帰ってくるわ。さ、圭也は寝ましょう』
と言う言葉が、その時の寂しそうな、申し訳無さそうな顔が忘れられない。
幼かった俺は母がそう言うならいつか近々帰ってくるだろうと思い寝たが、今は分かる。
あの時母は、どんな気持ちであんな事を言ったのだろう。
自分を言い聞かせる為にそう言ったのか、はたまた別の意味が込められていたのか。
あの時以来、ずっと考えているが高校生の入学式当日の今でも答えは出ない。
高校生も母の事を手伝ったりバイトをしたりして良い思い出が無いまま卒業するんだと思っていた。
だが、その考えは間違っていた。
入学式が終わり、教室に行き自分の席に座ると隣から声がした。
『あなたが隣の席の人なの?』
俺が声のする方に振り向くと、そこには美少女いた。
それが俺と隣の美少女、桜との出会いだった、そして俺の思い出が0から増えていく。
0からのスタート
躓いて躓いて戻って戻って
やっと一歩
まだまだ先は長い
舞華
ザァーーと雨が降る。
なかなか、やまない。
だんだんと、崩れてく。
こんなつもりじゃなかったのに。
またいちからやり直す。
また崩れてく。
何度も、何度も、
雨が消していく。
ああ、もう、疲れた。
もう一生、無理だ。
そんなとき、
雲間から太陽が顔を出した。
あきらめないで。
あなたの終わりはここではない。
そう言われている気がして、
励ましてくれている気がして。
私は、まだ、終われない。
希望が見えた。
私にはまだ続く未来がある。
何度だって、やってみせる。
0からだって、やってみせる。
君が笑い続けてくれるかぎり。
お題【0からの】
題名【柑子の花車】
新しいノートを開く。離れがたくしているページ同士をそっと剥がすようにめくる。真新しいノートはそれだけでわくわくした気持ちになる。思わず撫ででみたりする。
罫線だけのきれいなページ。何と書こうか。どんな世界を描こうか。
綺麗な色鉛筆を買う。日本の色、というテーマの色鉛筆セット。薄い缶の入れ物にきれいに並んだ12色入り。意味もなく撫でてくるくる転がし色の名前が揃って見えるようにしてみる。
先がツンと尖っている。何色から使ってみようか。何を描こうか。
どんな場面で、何色で、メロディーはどうしようか。最初のひらめきを見つけるまで今日も研ぎ澄まし向き合う。
完全に何もない所からのスタート。
どんなに過酷なことだろうか。
雨風を凌ぐ物も、寄る辺も友も無く、知識も経験もない。
今どき流行りの物語のように、助けてくれるモブやヒロインは存在しない。
素手で穴を掘り、夜が明けるのを狭い穴の中で縮こまって待つ。
干乾びたパンの欠片をチビチビ齧りながら。
テーマ「0からの」
人生初のバイトに応募。すごく緊張。
まずは書類審査から。受かりますように。
1年待った。絶対あそこでバイトしたい。
「……『リトライだよ』しか思いつかねぇ」
初出から今年12月で20年だってさ。アレの影響でサ□ゲッチュ3買ったわ。
某所在住物書きは今回配信分のお題に対し、ほぼそっちのけで、昔々の隠れんぼゲーと猿捕獲ゲーをスマホで検索しては、当時を懐かしんでいる。
買い切りソフトと月額数百円のガラケーゲームが主流だった時代である。後に基本無料のガチャゲーが台頭するなど、誰が想像しただろう。
「個人的なハナシとしてはな」
基本0、無料からのガチャゲーが一番怖い。物書きは呟いた――凝り性なのだ。皆までは言わぬ。
「このアプリの♡の数に自惚れそうになったら、某ポイに置いてる二次創作垢見るの。全部リプ0だから」
自分を過信しないこと。「もっと」が欲しくなり始めたら、まず手元の力量を確認すること。0からの今までを確認できる方法を、可能なら作っておくこと。
物書きは全課金額を、試しに計算してみようと――
――――――
私の職場の先輩は、物知りで、謎が多い。
淡々と仕事をこなす比較的平坦な人、と思えば
自宅のアパート近くの神社に咲く花を撮るし、
無駄より効率を好む比較的無機質な人、と思えば
無害な冷やかしおばーちゃんに「お茶淹れるの上手ね」って褒められて長話を聞かされてるし。
一番の謎は、先輩の自称「独学の付け焼き刃」。
先輩は相手の年齢と性別からだいたいの性格と性質を予測して、少しの表情の変化から相手の心を読む。
「50代男性はPFCが」とか、「人が感情を偽っていると表情の対象性が崩れる」とか。
まるで警察か探偵とか、心理学者とかだけど、先輩いわく、そういう仕事をしたことはないらしい。
先輩はいったい、どこで勉強したんだろう。
アパートにはたくさん難しい本があるけど、本読むだけで、そこまで身につくものなのかな。
それとも大学でそういう卒論書いたとか?
――「……いや、完全に上京してからだ」
ニャンニャンニャン、猫の日の職場の、いつものお昼、いつもの休憩室、いつものテーブル。
先輩に「付け焼き刃」の心理学を聞いたら、「心理学というより脳科学だ」って。
ドーパミンやオキシトシン云々、脳のブレーキの利き具合云々。そういう視点だって。
「前の前の、もうひとつ前の職場だったか。図書館の臨時職員をしていて、その時の3類……社会科学の担当に仕込まれたんだ。0からの叩き上げだよ」
「ゼロからの、たたきあげ、」
「付烏月、ツウキという男だ。私以上の変わり者さ。哲学や自然科学の担当ではないのに、心理学と脳科学の蔵書に関して、ともかく詳しかった」
「そのツーキってひとが、先輩の0からの先生?」
「そうだな。……そう言われると、そうだ」
「『そう言われると』?」
「向こうが一方的に詰め込んできた。『覚えとくとベンリダヨ〜』と。それはもう悪い笑顔で」
「悪い笑顔、」
「最近数年ぶりに会ったが、『面白そうだったからヒマつぶしにやった』『反省はしてない』だとさ」
「はぁ」
まぁ、今思えば実際に、ノルマの消化やら何やらに役立っているから、少し感謝はしても良いな。
先輩はそう言って、コーヒー飲んで、ため息。
先輩の前々職だか前前々職だかが図書館で、
その図書館の社会科学担当さんが変わり者で、
その変わり者さんが、ヒマつぶしで、先輩に。
そんな過去を辿って今に至った先輩について、少し分かったような、逆に分からなくなったような、
でも結局先輩は先輩であって、花が好きでお茶淹れるのが上手で、そこは何も変わらないような。
「ツーキさん、付烏月さんねぇ……」
どんな人だろう。私はただお弁当突っついて、ミートボールかじって、見たこともない「先輩の心理学の先生」を、低解像度で想像した。
「最近菓子作りにハマっているそうだ」
「マジ?!」
「コロナ禍を機に、それこそ0からの独学で。
クッキーを貰ったが、なかなか美味かった」
「マジ……?!」
『0からの』
ラジオからふいに流れてきたピアノの旋律に心奪われて急いでスマートフォンからラジオ局のホームページを検索し、今しがた流れていた曲名を知った。もう一度聞くために動画サイトで知ったばかりの名前を打ち込んで曲を聞き、終わってはもう一度、またもう一度。スマートフォンを触れない職場では脳内で曲が再生され、通勤中に聞くためにワイヤレスイヤホンというものを初めて買った。
何日間も聞いているうちに胸のうちにある想いが湧き上がる。この曲を弾くことができたならどんなに素晴らしいことだろう。けれど音楽経験のまったく無いこの身が新たに物事を覚えられるものだろうか。心配は頭に浮かぶが手元は県内にあるピアノ教室を検索していて、気づけば体験教室の予約完了メールが着信を知らせる。
イヤホンから流れる曲を自分が演奏する姿はまだ想像すらできないが、期待は胸に膨らむ一方だった。
「もう一度、やり直せるかな」
君が言う
「0からの関係性に戻ればいい」
僕は君を抱きしめる
「マイナスからじゃなく?」
「うん 0からだ」
僕は君の髪に頬をつけた
君のシャンプーの匂いに
僕は胸を締め付けられる
【0からの】
お題:0からの
0からのと言ったら0から始める、0からやり直す
そんな事しか聞かない
僕は1でも100でも無く0が最終的に行き着く数字なのではと考える。
お金は例外なのだが…
この理由はずっと上を目指すのでは無くあえて人がいない下を目指す事で唯一無二になる事ができると思うからである。
ただの屁理屈でしかないけどな
あいうえおも知らなかったこどもではなくなった私たちは、何も知らないまっさらなところから、新しく何かを始めることってまだできる?
1からじゃないよ、0からのスタート。
まったく言語の通じない国にでも行ってみようか。
私は1人でインドを旅した。
深い理由とか、納得して貰える目的なんてない。
強いてあげるなら、子供の頃に父が読んでくれた『西遊記』だったかも知れない。
とにかくインドは魅力のある国である。あらゆるスケール感が日本人とかけ離れており、それも気楽な旅行者であれば面白い。
インド人は0(ゼロ)を発明したと云われている。
へーー。だからなに?
0とは数値や数学の概念であり、他の数字とは違って特別な値を持つ。0は何もない状態、つまり空っぽの状態を意味する。
てことは「空(くう)」なのである。
「色即是空」とは、この世ものは一切が空だとする考え。物質的な存在や、現実も時間も、この世のものは何もかもが「空」であり、実は存在しないのである。
飛躍すると、この世はすべて仮想的な世界なのだと云うのも有りだろう。
でも、この世は全て幻想だというような考え方は大昔の人は、割とみんな考えていたかも知れない。
例えば、ソクラテスも「洞窟の比喩」なんて事を述べているのだ。
ま、これはおいておいて、
「色即是空」は「空即是色」とそれを反転させて展開するのが『般若心経』である、
ここで『般若心経』語っても仕方ないので気になる方はそちらの本を読んでいただきたい。
ああ、
0の事を考えてると眠れなくなってしまうのである。
ゼロに何をかけてもゼロ。
ゼロがひとつ。ゼロがふたつ。みっつ。よっつ。
だからひとつひとつ足していくしかない。
地道に、一歩ずつ。
そんなのやってられるか。
それじゃ何年かかるというんだ。
いろんなもの飛び越えて
今すぐそこに行きたいのに。
あまりに遅すぎた始まり。
笑っちまうな。
0からの
0からの1歩は貴方にとって、とてもとても大事な1歩で、
誰かへのための1歩でもあるんだよ。
でもそれは自分のために使ってあげてね。
0からまた始めたい。
よく不祥事を起こした芸能人とかが言うよねー、とワイドショーを見ながらふと考える。
0とは一体どこから始めるのだろうか。
究極の0は生まれたときからではないとかと思う。
だから汚名であれそこそこの立ち位置から仕事をもらうのであれば0からにはならないのではないかとは思っているのだが。
まあ、しょうもない発言だな。
なにごとも0からのスタートだ。
それを一歩また一歩と歩いていく。
それらのものごとには、終わりがない。あるとすれば、それは自分が死んだときなのかもしれない。
それを分かってても進むのが、人間なのかもしれない。