『麦わら帽子』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
麦わら帽子
「麦わら帽子」と聞くと、つばが広くて頭頂部が丸くなったような、昔ながらのデザインをイメージする。
私が被ったことのあるものは「カンカン帽」。
頭頂部が平で、可愛いけれどどこか子供っぽい印象だった。
中学生の頃に被って以来だからかな。
その当時は、夏っぽい鮮やかなオレンジのお花のワンピースと合わせるようにして買ってもらった。
大人っぽく見えて、大学生にでもなったような気分で
近所のショッピングモールを嬉々として練り歩いてた。
その行動自体は中学生らしかったかも。
*
大人になった今、麦わら帽子を被ってみたい。
子どもの頃のように近所のショッピングモールに被っては行けないし、
旅行や浜辺や、特別な場所でなければ被れないような気がするけれど、
そんな特別な日に被ってみたい。
そんな麦わら帽子を被れるような日を作れたらいい。
まだ残暑が残る日の事だった。
僕は、咲き終えてしおれた向日葵畑で
麦わら帽子を被った彼女に出会った。
【麦わら帽子】
カタカタと音を立てながら、ミシンが麦わら帽子を編み上げていく。足元のペダルで器用にミシンを制御する君の横顔は真剣そのもので、私はその様を眺めているのが大好きだった。
一度だけミシンを触らせてもらったことがあるけれど、麦で作られた紐はすぐに波打ってしまって、平面に縫うことすら難しかった。模様まで織り込む精緻な編み込みができる君の腕前の高さを実感したことをよく覚えている。
集中している君に話しかけても無駄だ。周囲の音なんて何一つ入っていない。だから私は勝手にお茶を淹れて、畑から刈ってきた向日葵を勝手に牛乳瓶へと飾る。家の中だけど帽子は被ったままで、手元の文庫本を開いた。
小気味の良いミシンの音を聞きながら、本のページをめくる。太陽が西の空へと沈む頃になって、ようやく規則的な機械音がぷつりと止まった。
「あれ、来てたんだ」
「うん、勝手にお邪魔してます」
完成したらしい麦わら帽子が、作業台に並んでいる。君の作る麦わら帽子はあまりに美しくて、まるで芸術作品みたいだ。色濃い麦の香りが、気持ちを優しくほどいてくれる。
「良かった、ちゃんと似合ってるね」
私のかぶった麦わら帽子を見て、君は安心したように笑った。前に作ってもらったものは実用性を重視していたから、少しおしゃれなものも欲しいのだとねだって、オーダーメイドしてもらった特別な帽子。適当なものでも良かったのに、せっかくなら一番似合うものにしたいからといくつも作り直してくれた。
「ねえ、今から帝都まで行って、夕食にしない?」
こうして君を誘うために、今日はこの作業小屋を訪れた。職人気質な君は嫌な顔をするんじゃないかって、ドキドキと心臓がうるさい。
君の作ってくれた麦わら帽子が一番美しく引き立つように、髪型も洋服も一生懸命選んだのだ。君の横で、帝都の人々に自慢したい。私の幼馴染が作る麦わら帽子は、こんなにも素晴らしいのだと。
ぱちりと君の瞳が瞬く。そうして君は私の頭へと手を伸ばした。少しだけ曲がってしまっていたらしいリボンの角度を直し、満足そうに頷く。
「良いよ、行こうか。着替えてくるから待ってて」
「うん、待ってるね!」
弾む声で応じた。君と二人で帝都へ出かけるのなんていつ以来だろう。生まれは帝都なのだという君は、あの華やかな街があまり好きではないらしい。それでも数年に一度、こうして私が誘えばいつだって断りはしなかった。
きっと君は、私に甘い。でも私だって、君以外の人を夕食へ誘おうとは思わないし、君以外の作った帽子をかぶるつもりもないのだから、お互い様というやつだ。
麦わら帽子の編み込みを指先でなぞり、私は思わずくすりと微笑んだ。
ふわり、と僕のもとへ飛んできたのは、ひとつの麦わら帽子。
真っ赤なリボンはくたびれて、所々網目がもつれている。
どこからやって来たのか。
ひまわり畑の中心で考える。
すると、どこからか幼い女の子の声が。
「おにーさん!そのぼうし、ちょうだい?」
いつの間にか、目の前には小さな女の子がいた。
ひまわりをそのまま擬人化したような、元気いっぱいで明るい子だった。
僕は、その子に手渡しすると、女の子はキラキラ眩しい笑顔で、感謝の気持ちを伝えてくれた。
「ありがとう!」
久しぶりに聞いたその言葉に、僕は微笑みを返して言った。
「どういたしまして」
〜麦わら帽子〜
ひまわり
君の真似をしたんだ
お揃いだねって言いたくて
でもあまりに眩しすぎて
目深にかぶってしまった夏の思い出
※麦わら帽子
麦わら帽子が落ちていた。もう持ち主がいないのだろうそれを被って、君は笑った。
「懐かしい?」
と。
麦わら帽子ひとつにも
煌めく想い出がある…
想い出も
あのひとも
忘れる方法があるのなら
誰か
教えて
淋しくて
たまらないんだ
# 麦わら帽子 (241)
✢ ✢ ✢ ✢
月が雲に隠れた
この夜に
淋しさの海に
落ちました
淋しさは
身体中に
ジュワッと滲み込んで
心まで全部
淋しさまみれ
涙は
慰めにはなるけれど
いくら泣いても
あのひとに逢えない
淋しさを
消せはしないのです
わかっています
時間薬しか
ないことは…
☆ 淋しい夜 2(240)
グリーン牧場へ。
ワンピースを着る娘に麦わら帽子を被せたかった。
2つ縛りでかぶれなかった。
子ども二人を見たから大変だったよ
牧羊犬のショーは驚いたね
無思考を羊に例える理由がわかった
夜は親戚に麦わらの一味について語ってみたよ
驚かれる衝撃の事実
俺もまた読み進めよう
朝の麦わら帽子から夜の麦わらの一味へ。
そんな一日
麦わら帽子
夏と言ったらこの帽子、麦わら帽子。
でも僕にとっての麦わら帽子は一つの逃げ道でもあった。
僕の麦わら帽子は少しつばが広くて、下に引っ張れば顔がすっぽり隠れる大きさの帽子だった。
春夏秋冬、泣きたくなった時はよくその麦わら帽子を深く被って部屋の隅で泣いていた。誰かに泣き顔を見られのが嫌な僕の小さな抵抗だった。
だから僕の中での麦わら帽子は夏の帽子というよりは、幼くて泣き虫だった僕を守ってくれた小さな秘密基地でもあった。つばをたくさん引っ張った僕の麦わら帽子は左右が少しくたびれていて、それだけ昔の僕は弱かった。
今は背中を預けれる人が傍にいる、胸を貸して貰って心の叫びを受け止めてくれる人がいる。幼かった頃のように、小さな僕のプライドのために、部屋の隅で声を殺して鼻水を流さなくてもいい。僕の秘密基地は、少し広めのつばの下から、
僕と君の大切な家になった。
少しつばの広い麦わら帽子は今でもお気に入りで、それを被ると君は似合ってると笑ってくれる。今の僕の麦わら帽子は、炎天下から僕を笑顔を守ってくれる立派な秘密基地だったりする。
麦わら帽子ってなんか良い!。
私が麦わら帽子好きだからそう思うのかもしれないけど、何か麦わら帽子
実際に持った事あるかどうかは忘れたけれども何か名前?がゆるゆるな感じ?と言うか柔らかい感じ?がするんだよねー……⚠僕の偏見です。
えー、やっぱそうでも無いのかもしれないな……いや、そうなのかな……。
でも僕的に麦わら帽子大っ好きだけどな。
あ、麦わら帽子が嫌いな人、誠に申し訳ございませんm(_ _)m
僕の偏見だけど麦わら帽子って麦から出来てんのもあって、凄くなんていうんだろ、
柔らかいイメージ着くよね。
まぁ自分の偏見かもしれないけどね(。-_-。)
僕的にはそういうイメージがありますかね、やっぱり。
「夏が好きになる魔法、君に掛けてあげる!」
だけど、この魔法は嬉しくて悲しい魔法で
あの子と私に出会いをくれた麦わら帽子は
私の心に初恋という魔法を掛けた。
だけど、小さな魔法使いは私に魔法を掛けて
姿を眩ませて、会えなくなってしまった。
幼い私は会えない事で泣いてしまったけれど
それでも、会えると信じて疑わなかった私は
両親を、祖父母をとても困らせていただろう。
でも今なら分かる、分かってしまうのだ。
あの子は、ずっと、ずぅっと遠くへ逝ったと。
それでもいつか必ず、あの子にまた逢えると信じて
あの子が私に掛けた魔法を手にして目を閉じる。
思い出の場所へ、想いを寄せながら私は口を開く。
「私、今でもずっと探してるの。だから、いつか…」
私にとってこの麦わら帽子は、大切なものなのです。祖母との思い出が詰まっています。幼い頃、私が気まぐれで農業を手伝うとき、祖母はいつも自分の麦わら帽子を私に被せてくれました。そう、この麦わら帽子です。見ての通り、使い古されてボロボロになった麦わら帽子は、幼い私には格好が悪いように思いました。でも、祖母は「やっぱり似合うね」と笑顔で言ってくれるのです。両親は共働きで殆ど家に居らず、祖父は早くに他界したしました。兄弟もいない。私には祖母しかいませんでした。だから、祖母がそうやって笑ってくれると私も嬉しかったのです。格好が悪いなんて思ったことに罪悪感があったくらいです。
そんな祖母が五年前に亡くなりました。老衰です。最期は住み慣れた自宅で過ごしたいという祖母の希望で終末期は私たち家族と過ごしました。そして穏やかに家族全員に看取られて亡くなりました。祖母の遺品を整理していると、あの麦わら帽子が出てきました。懐かしくて涙を流している私を見て、両親は私が持っているべきだと渡してくれました。
この麦わら帽子は今でも私の宝物です。この麦わら帽子を見ていると、昔のことが思い浮かぶのです。祖母の嬉しそうな笑顔が、あの私の全てだった日常が思い出されるのです。
いつまで経っても、私の大切な宝物なのです。
『麦わら帽子』
私の青春と言えば、あいみょんの「麦わらの帽子の君がー」っていうフレーズが鳴り響いていた。うん、マリーゴールドって歌の歌詞なんだけど。君を花に例えた素敵な歌だなって思った。多分、夏の歌なんだと思う。麦わら帽子といえば夏だし。とはいえ、夏に麦わら帽子を被る人なんてそう居ない。素敵な君に麦わら帽子を被せても、唾の広い帽子でも、ニット帽でもきっと素敵なんだろうなって思う。でも、夏!って感じるのはやっぱり麦わら帽子だなって思う。もうほぼ誰も被っちゃいないのに。
失ったもの。あの日の夜の蛍とか、みんなで集まった放課後とか、家の裏の駄菓子屋とか。想像するだけで、あの頃、あの季節を思い出させる。でも、もう今は無い。私はあの頃の蛍を、放課後を、駄菓子屋を知っている。だから思い出すことが出来る。きっと、麦わら帽子=夏もいつかの記憶なんだろう。たぶん、保育園かな。でも、将来のみんなが麦わら帽子って言葉を聞いても夏を想像できなくなるのはちょっと悲しいな。ブランコって春の季語だったっけ。
#麦わら帽子
生まれて初めてできた彼氏。
曖昧な関係になった人は前に何人かいた、
だから彼氏が出来たらこんな感じなんだろうなーって
想像はついてた。
だけど、全然違うの。
あってる時は毎秒ときめいてる訳じゃないし
エスコートしてくれる訳でもない、
「男らしい」と感じたことなんて数える程しかない。
だけどね、
君にならどんな話もできるの。
会いたい時に会いたいって言える。
話したくなったら電話ができる。
大好きって言ったら愛してるって返ってくる。
会えば会うほど好きになるし欲張りになる。
前はハグだけで十分だったのにもっと、もっとって
彼はまだ。1年後がちょうどいい。なんて悠長なことを言っている。
どうやら焦ってるのは私だけみたい笑
この話を周りにする度に本当に彼氏なの?
まるで中学生みたいな恋愛。
だなんて言われる。
それでもいいの。だってずっと一緒にいたら、いつかはするでしょ?
焦って先走る方がもったいない
もっと大事にしたいから
今を大切に、有意義に過ごそうと思う。
窓から見える銀世界。
その中にひときわ鮮やかに咲いたのは、ひとつの麦わら帽子。
少し歪な雪だるまの上に被せてあるそれは、悲しいほどに眩しく映った。
「これで良かったのかな、なーちゃん」
ぺしょりとこたつに突っ伏しながら独り言ちる。
私一人だけの家にはやけに響いて、いっそ窓を開けて雪に音を吸い取ってもらおうかと思った。
気付くと麦わら帽子に払ったばかりの雪がまた積もり始めている。
「なーちゃんはそのままにしといてって、言ってたけど……」
たまらずコタツを抜け出した時、プルルルルと無機質な音が家に響いた。
タイミングが良かったのか悪かったのか。
「……もしもし、伊藤です」
「あら~沙苗ちゃん!?帰ってきてたのぉ!」
「恵美おばさん、お世話になっております。あいにく家族は今出かけ」
「ね!最近どうなの!ちゃんと食べてる?仕事は順調?あ、彼氏はどうなの!」
麦わら帽子は紫外線をカットしてくれたり、
熱を反射してくれたりで、
熱中症対策になるらしい。
だから太陽の下で農作業中のおじさんも、新世界を航海する海賊王も、麦わら帽子を被ってるんだな!?
なるほど理にかなってる。
とはいえ自分が被るとなったら結構ハードルが高い。
どこが?と思うかもしれないが、
つば広の麦わら帽子を被る女子は美人なんやろな、っていう勝手なイメージがあるから、
白いワンピース着てな笑。
ハードル高いよ、勇気いるよ、麦わら帽子。
そもそも帽子というアイテムをコーディネートに取り入れてる人はお洒落上級者だよ。
むろん、それも自論だが。
だから、そうだな、熱中症対策なら日傘がいいな。
……て、日傘も、それはそれで上級者アイテムな気がするな苦笑。
【麦わら帽子】#38
『とある彼女』
彼女はいつも、夏に麦わら帽子を被っていた。
笑顔がとても素敵で、あの、白いワンピースと向日葵が似合う女性だった。
その人が、この世の人ではないのだと気付いたのは、知り合ってから少し経った頃だった。
「そういえば、ユリさんってどこらへんに住んでるんですか?」
「んー、今はもう無いけれど…向こうの方よ」
「今はもう無い?」
「そう。私、貴方と普通に話しているけど、言ってなかったことがあるのよね」
「なんですか?」
「私、……約、20年前に死んだの。
結構ニュースになってたんだけど、まだ君は生まれてないかもね」
彼女が言うのは20年前の、一家殺人についてだった。父、母、三人の子供が就寝中に殺された、無差別殺人。その被害者だと言う。
「…………そんな」
僕は正直、彼女に恋をしていた。だからショックだった。居ない人だとは思わなかった。
お題:《麦わら帽子》
一番初めに浮かぶのは、夏
暑い日差しの中、上を向く向日葵と同じ方を見る少女
その少女が被っているそれは風にさらわれそうになるが、
少女の細い右手がそれを阻止する
朝起きてラジオ体操に向かう。
今日もあの子は赤いリボンの麦わら帽子。
僕はいつもその子の斜め後ろで体操する。
この夏休みの体操が終わる頃までには
話しかけられると
いいな
ひまわり畑の真ん中に
麦わら帽子の影一つ
少女の小さな笑み一つ
3年前の真夏の日
昨日訪れた畑には
焼けて爛れた影一つ
ただ一つ小さな思い出
彼女はもうこの世にいない
......3年前、ここを焼き払って去っていった戦闘機のエンジン音を、私は一生忘れない。