「夏が好きになる魔法、君に掛けてあげる!」
だけど、この魔法は嬉しくて悲しい魔法で
あの子と私に出会いをくれた麦わら帽子は
私の心に初恋という魔法を掛けた。
だけど、小さな魔法使いは私に魔法を掛けて
姿を眩ませて、会えなくなってしまった。
幼い私は会えない事で泣いてしまったけれど
それでも、会えると信じて疑わなかった私は
両親を、祖父母をとても困らせていただろう。
でも今なら分かる、分かってしまうのだ。
あの子は、ずっと、ずぅっと遠くへ逝ったと。
それでもいつか必ず、あの子にまた逢えると信じて
あの子が私に掛けた魔法を手にして目を閉じる。
思い出の場所へ、想いを寄せながら私は口を開く。
「私、今でもずっと探してるの。だから、いつか…」
8/11/2023, 7:32:54 PM