ふわり、と僕のもとへ飛んできたのは、ひとつの麦わら帽子。
真っ赤なリボンはくたびれて、所々網目がもつれている。
どこからやって来たのか。
ひまわり畑の中心で考える。
すると、どこからか幼い女の子の声が。
「おにーさん!そのぼうし、ちょうだい?」
いつの間にか、目の前には小さな女の子がいた。
ひまわりをそのまま擬人化したような、元気いっぱいで明るい子だった。
僕は、その子に手渡しすると、女の子はキラキラ眩しい笑顔で、感謝の気持ちを伝えてくれた。
「ありがとう!」
久しぶりに聞いたその言葉に、僕は微笑みを返して言った。
「どういたしまして」
〜麦わら帽子〜
8/11/2023, 9:12:54 PM