『麦わら帽子』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
#51【麦わら帽子】
超インドアな私だが
青い空と青い海には弱い。
昔、宮古島に初めて旅行に行くと決まったときは
少し派手な水着と
某姉妹かな?と思うくらい
つばの大きな麦わら帽子を買うくらいには
テンションが上がった。
お気付きの方も多いと思うが
つばの大きな麦わら帽子は、めっちゃ嵩張る。
かぶっても邪魔だし、荷物としても邪魔。
あと目立つ。
無意味に目立つ。
「あ~、アイツ沖縄初めてなんだろうな~」
「はりきってんな~笑」と
思われるくらいには浮く。
サングラスをしてなかったのが唯一の救いだ。
どうして気付かなかったのだろう。
どう考えても邪魔じゃん。
いや、試着したときにちょっと気付いてた。
電車に乗った時には完全に気付いてたし
なんなら空港で、もう捨てようかとも思った。
でも!
青い空と青い海に、つばの大きな麦わら帽子は
マストだったの!私の中では!!
もう、完全に意地です。
歩く度にヘコンヘコンするつばも気にしない!
私はこの麦わら帽子と生きていく!
…
振り返って思います。
…何してんだか。
お題 麦わら帽子
夏の空の下
向日葵に包まれて
にっこり笑う君
白のワンピースに
水色のリボンのついた
麦わら帽子の君
まるで大陽のようだね
素敵だよ
日が強くなってきたから
日傘をさしてはいかがかな?
今の君はまるで
日傘をさす女だね
綺麗だよ
涙が出てしまうね
ありがとう
いい日になったよ
ありがとう
いい思い出だよ
とてもいい走馬灯だった。
初めて貰った贈り物はぶかぶかの麦わら帽子だった。
今まで年に数回しか会わないどころか、まともに顔も合わせたことがなかった。物心着いた時には、父親とは仕事が忙しくて家に帰ることは無い存在だったのだ。
それが世間一般の父親像と違うとわかったのは小学生の時。みんなのお父さんは仕事が終わったら家に帰ってきて、今日楽しかったことや悲しかったことを聞いてくれるそうだ。
「どうして、私の父さんはおうちに帰ってこないの?」
そう母親に聞いたことが一度だけある。純然たる疑問だった。どうして私の家だけ違うんだろう?私は気が付かなかっただけで悪い子なのかな。だから、私のところには父さんは帰ってきてくれなくて、会ってくれないんだ。
その時の母親の顔が今でも忘れられない。いつも私の前では優しく笑っていたのに、泣きそうな顔をしていた。まるで涙が零れないようにぎゅっと眉を寄せてきつく結んで。それでも目は私を不安にさせまいと、笑おうとしていた。私はそれ以上何も言えなかった。
そんなことがあった直後だった。ぶかぶかの麦わら帽子が贈られてきたのは。ずうっと前からたくさん練習して、貼り付けたような笑顔と声で母親はこう言ったのだ。
「今は沖縄にいるんですって。貴方にきっと似合うだろうからって張り切って選んだそうよ。
…とてもよく似合っているわ」
だから私もにこっと笑って、ドラマの中の女の子みたいに明るく振舞って、感謝とともに母親に抱きついた。そうすればいつものお母さんに戻ってくれると信じて。
あの時貰った麦わら帽子がちょうどピッタリになるくらい、時間が経った。興信所から手紙も届いた。今日こそ、顔も声も知らないわたしの父親に会いに行くのだ。
帽子越しに聴く蝉の声、川のせせらぎ、君の声
いつも隠れるように視線を落として目を合わさずにいた私をあなたはどんな顔で見てたんだろう
「麦わら帽子」だけは知っている
夏の風物詩である麦わら帽子。
でも最近は身近で見かけなくなった気がする。
可愛いあの子の麦わら帽子。
今は懐かしいあの日の麦わら帽子。
■テーマ:麦わら帽子
"麦わら帽子"
「あっっっつい…。」
攻略法を考えていたが中々に難航して、気分転換にと思って「外の空気吸ってくる」と言い、病院の外に出てきたんだが…。あまりの暑さにぐったりとベンチにへたりこんで気分転換どころじゃ無くなってしまった。別に気分転換なら外に出なくたってできるし、中に戻って…と思ったけど…、暑すぎてもう1歩も動けねぇ…。頭も痛くなって来たし…。
立派な脱水症状を起こしてきて、もうここからどうすればいいのか分からなくなってきた。汗が頬や首筋を伝う。俺はこのまま死ぬのか…?、なんて縁起でもない事が頭をよぎる。もう限界…。意識を保つのが辛くなってきた…。
「も、う…ダメ、だ…。」
意識が朦朧とする中そう呟く。
と、視界に影が降りた。同時に頬に冷たい何かが当てられ、意識が強制的に引き戻される。あまりの冷たさに驚き思わず「ヒャッ!?」と情けない声を上げる。
「全く何をやっている。」
と、隣から呆れた声色が聞こえた。声がした方向を見ると、そこに飛彩がいた。片手にはそこの自販機で買ってきたのだろう、温度差で結露し汗をかいているペットボトルのポカリが握られていた。恐らく俺の頬に当てられたのはそのポカリだ。それと頭に違和感を感じて手探りで違和感の正体を探る。これは、帽子?…あと、この感触は…麦わら帽子か。
正体を突き止めると、飛彩が「飲め」とポカリを突き出してきた。「お、おう…」と少し驚きながら受け取ると、キャップを開けようと力を入れる。が
「ん、んんっ…んーっ!!」
手汗をかいてるせいか、それとも残っている力が足りないのか…両方だろう。滑ってキャップを開ける事が出来ない。
「ほら、貸せ。」
と、片手を差し出して渡すよう促してきた。素直にその手の平の上にポカリを置くと受け取り、キャップを開けてくれて俺に返した。
「あ、ありがと…。」
礼を言うとペットボトルに口を付けて中のポカリを流し込む。とても冷たいポカリで喉が潤うと同時に、ポカリの成分が脱水して水分と塩分を欲していた体に染み渡り、さっきまでの頭痛が和らいでいって朦朧としていた意識も戻ってきた。
「ふぅー…、ありがとな。それと、悪かった…。」
お礼と謝罪を混ぜた言葉を紡ぐと
「はぁ、全く…。それでも医者か?」
ため息混じりに文句を言われた。ムッと顔を顰めてそっぽを向き
「うっせぇ。…医者は医者でも、無免許医ですよぉーだ。」
と、口を尖らせながら小声で返すと「フフ」と小さな笑い声がした。
「何笑っていやがる!?」
声を荒げながら、また飛彩に顔を向ける。見ると飛彩は人差し指を口に当ててクスクス笑っていた。んにゃろォー…。
「貴方でも子どもの様な事を言うのだな、と思って…フッ。」
言い訳を述べながらまた笑う。
「悪かったな、ガキみてぇな事言って!!」
と、声を荒らげるがお構い無しに笑い続けている。…どうやらツボに入ったらしい。謎すぎんだろ、コイツの笑いのツボ。
「いつまで笑ってやがる!!そんな揶揄うんなら別れんぞ!!」
また声を荒らげ今度は、別れると言ってやる。が、そう言ってやると心がズキン、と痛んだ。飛彩も心を痛んだのか、先程まで笑い声を上げていたのがピタリと止み、笑っていた顔が一瞬で悲痛な顔になる。
「い、今のなし…。その、悪い…。酷い事、言って…。」
と、すぐに言葉を撤回し謝る。すると不意に正面から抱きしめられ
「俺こそ、笑って…貴方に辛い事を言わせて、悪かった。」
そう優しく囁く様に耳元で言われる。少し、ゾクッとするがすぐに首を振って飛彩の背中に腕を回し抱きしめ返す。が、すぐに飛彩の体を押しのけて
「ば、バカ野郎っ…ここ外!!」
と言うと「あ」と小さく声を上げ「そうだった」と言葉を続ける。コイツゥ…ッ。
「…っ。」
と睨んでいると、飛彩がおもむろに立ち上がり
「ほら、立てるか?」
と、片手を差し出してきた。テメェ…ッ、なんも分かってねぇだろ。ホンットそういうトコな、テメェ。口に出しそうになった言葉をグッと飲み込む。恥ずかしいが、恐る恐る飛彩の手の平の上に自分の手を乗せて握る。握ると、手を引っ張られながら腰を浮かせて立ち上がる。立ち上がってすぐ手を離して目だけを動かし辺りを見回す。幸い人1人通っておらず、誰かに見られた心配はない。良かった、と胸を撫で下ろす。
「あ、そういや…。」
飛彩に返そうと、頭に被された麦わら帽子に片手を伸ばすと
「いや、それはお前にやる。それより、そろそろ戻ろう。」
そう言われ「お、おう…。そう、か」と、伸ばしかけた手を引っ込める。お言葉に甘えて、麦わら帽子を貰う事にした。俺が手を引っ込めたのを見ると病院へと足を向けて歩き出した。一瞬遅れて俺も病院へと足を向けて、飛彩と戻る事にした。
お題
『 麦わら帽子 』
ひらりと揺れる君のその真っ白なスカートは君の心そのものだ。
僕の心は真っ黒だ。
学校ではずっと1人で話す奴なんてもってのほか
陰口で言われる、あいつは黒のオーラがあるとか近寄れない、気持ち悪いとか
そういう奴らが憎いと思うし、、、
まぁ、そんな事言わないでも僕の心は真っ黒なんだ。
親は言った。
僕と離れたいのか知らないけど
「夏休みだからおばあちゃんの家に行きなさい。」
って、
祖母の家は僕の家とはだいぶ離れた田舎。
でもとてもいい場所である。
あそこは僕だけが知っている。と言っても過言では無い。
ひまわり畑
いつも1人って言ったじゃん?
まぁ、それは小さい頃からずっとなんだ。
でもひまわり畑では違った。
あの日も1人で座ってたんだ。
いつも同じ景色で、、でも心地よかった。
君が現れてからも。
『 あ、!ひとがいる!』
びくりとした。
声の主の方に目をやると白色のワンピースにひまわりの造花が付いている麦わら帽子を被った女の子がいた。
『 ねぇねぇ、!なにしてるの? 』
「 えぇっと……… なにも、してないよ、? 」
『 え?なにもしてないの? じゃあ私と遊ぼ! 』
そう言って彼女は手を引っ張った。
『 何してるの? 』
懐かしかった。
でもどこか大人っぽい声で僕に語りかけた。
『 ふふっ、また私と遊んでくれる? 』
僕はあの日よりも少し低くなったこの声であの日と同じ言葉を彼女に放った。
「 うん!!! 」
【麦わら帽子】
「いやー、だってポニテしたかったんだもん」
「だからって麦わら帽子に穴開けるやつがおるかいな」
誤魔化すようにえへへ、と〇〇が頭を掻いた。
よりによって麦わら帽子に穴を開けたらしい。
そうだ、あの切ったところから解れていきそうな麦わら帽子だ。
俺の呆れた顔とは反対に、〇〇は満足そうな表情をしている。
ポニテどころか髪を括ることもできない俺の短い髪では分かり得ないが、意外と快適なのかも知れない。
「別に〇〇が良いんならええけど」
「首元涼しくて超絶快適だよ。これ、売れます」
キリッとした表情で〇〇が言い、「何言うとんねん」と思わず笑いながらツッコミを入れてしまった。
つられたように〇〇も笑う。人から儚いと称される見た目とは結びつかない豪快な笑い方だ。
よく笑い方の表現で花が咲くような、とか花が綻ぶような、とか言うが、〇〇の笑い方は気温が30度超えるときの太陽が一番合っている気がする。
下手したら花たちを萎々にしている。
そんな失礼とも失礼じゃないとも言えることを考えていると、不意に〇〇が「笑い方、冬のときの月みたいだよね」と俺を見て言った。
「…それ、褒めてるやつ?」
「多分?」
「褒めてない可能性あるやつやん」
また笑い出した〇〇に、俺はため息をつくふりをした。
君がさいごに置いていったのは
『麦わら帽子』だった。
風にゆらゆらと揺られて
僕の手元へ渡ってきた。
嗚呼。これを見ると思い出すなぁ。
なぁ、もうこんな時期だし、
そろそろ帰ってきてくれないか。
お題 : 麦わら帽子 #22
麦わら帽子を被って、アームカバーを着けて、日傘をさして。
紫外線を完全にシャットダウンする格好で出掛ける。
私の住んでいる地域は盆地であり、非常に紫外線が強いらしい。実際、紫外線対策を怠れば1時間の外出でも日焼けしてしまうくらいだ。
私は中学を卒業して以来、紫外線を避け続け生きてきた。それ故に肌は白人か?と思うほどに真っ白で、会う人会う人全員に「肌が白くて綺麗だね」と褒められる。コンプレックスの塊で長所が何一つない私にとって唯一誇れるのが、この白くて綺麗な肌だ。だから「肌が綺麗」でないとテンションが下がり、肌荒れを気にする余り外出すら困難になってしまう。異様に肌荒れを気にするー。母曰く「肌荒れなんてしてない」のに吹き出物1つあるだけで精神不安定になり、1時間おきに鏡をチェックするようになるのだ。これは醜形恐怖症といって、精神疾患の1つであり強迫性障害に似たようなものである。
私は風俗や水商売などをしていた為容姿に気を遣う必要があったし、それを売りにしなければならなかった。体型管理も同様で、いつでも「綺麗なお姉さん」で居なければならなかったのだ。
だから外見を気にする余り醜形恐怖症になり、挙句の果てには摂食障害を発症したのである。
日本人は美意識が高過ぎると、つくづく思う。また、周囲からどう見られているか?を異様に気にしているように感じる。それは「周りに合わせる」や「輪を尊ぶ」といった日本人特有の国民性かも知れないが、そんなにも周りのことを気にしてどうなるというのだろうか。
海外に行けば痩せた人も太った人も、皆堂々と水着を着て海水浴を楽しんでいるらしい。自分のありのままの姿をさらけ出しているのだ。それに引き換え、日本人はどうであろう。標準や普通であることを良しとし、決して多様性を認めようとしない。痩せが正義で、太いは悪、といったように。ADHDやASD等凹凸の性質を持つ者が疎まれるように。
私は診断こそ下っていないが、発達障害グレーゾーンでありASDの傾向が強い。だから一般社会に馴染めず爪弾きになり夜の世界に足を踏み入れることになったのだ。夜の世界にいる女性の大半は、何かしらの精神疾患若しくは障害を持っていると思われる。特に風俗嬢は、大半が病んでいると言っても過言では無い。そういった女性たちの受け皿になっているのが風俗という仕事であり、彼女たちは風俗が無ければ収入を得ることが出来ない。世間は風俗嬢を売女と言って嘲笑うかも知れないが、好き好んで風俗をやっている者などおらず、ただお金を得るための手段のひとつでしかないのだ。
確かに売春は違法だ。しかし、売春でしかお金を得ることが出来ない事情を持った者が大勢いることを、知ってほしい。昨今セックスワークの是非が問われているが、元当事者の私はこう言いたい。セックスワークは立派な仕事であり、貴重な収入源。グレーゾーンの女性たちの唯一無二の仕事だと。そしてそれは女性の尊厳を侵害するものではないということを。彼女たちは「やらされている」のではなく、自らの意志でやっているんだということを。
麦わら帽子の似合う君を
必死に追い掛けていたあの日々に戻りたい。
周りの男を蹴散らしちゃう君の姿は
僕のヒーローだったんだ。
何時かは僕が守ってあげなくちゃ、
そう思ってたのに。
「何で、死んじゃったの?」
大切な人が明日
亡くなることだってあるのです
潮風に飛ばされないように麦わら帽子を押さえる君を、真っ白なカンバスに書き写す。体が弱い君はよく海に行きたいと駄々をこねて泣いていた。自分の体の弱さを呪うほどに。
今日は念願の海だ。君は子供みたいにはしゃぎまわって楽しそう。この日を忘れないようにとこの瞬間を切り取るのだ。
また来年来ようね!と笑うその顔が、いつか来る日に失われる前に。
28.『麦わら帽子』
期待しすぎたから麦わら帽子を深く被る
きみの顔なんて見えないように、はやく、歩く
お題『麦わら帽子』
主様が13歳の夏は水の都・ヴェリスに来ている。貴族の依頼で祭りの警備のためにデビルズパレス一同でやって来たのだけれど、道中主様はずっと不安そうだった。
「畑の野菜、大丈夫かな? 留守中にちゃんと水遣りしてもらえるって本当に信じていいの?」
「はい、大丈夫ですよ。屋敷の世話をしてくれるようグロバナー家にはきちんと話を通していますから」
「でも、アモンのお庭は……」
「そちらもきちんと頼んでいますから大丈夫です」
「だけど貴族との約束だなんて……」
このやりとりを何度しただろうか? 主様は本当に貴族のことが好きではなく、全然信頼もしていないらしい。まぁ、今までが今までだっただけに、貴族への心象が言い訳はないのだけれど。
「それよりも主様。そろそろヴェリスに到着いたしますよ。ヴェリスに着いたら真っ先に日焼け止めクリームを塗りますからね。あと、麦わら帽子もお忘れなく」
麦わら帽子と聞いて、お顔の色がパッと晴れた。
「うん、海だもんね。紫外線から目を守るためにもツバの広い帽子は欠かせないんだよね?」
「はい、その通りです」
そう、主様は13歳にして初の海辺の旅だ。仕事2割くらいで、あとはめいっぱい楽しんでいただかなくては。
麦わら帽子
麦わら帽子を被った
お人形さんと…
向日葵の花畑
に行ったの
見渡す限り…
向日葵に囲まれて
夢心地…
「だってさ、難しくない?」
「分かる」
私たちは、麦わら帽子を持っていない。雑貨屋に売られていたそれを見て、そんな会話が始まった。
「普段使いできる人は上級者だなって思っちゃう」
「被るとしたらやっぱり海とか?夏って感じの場所に限定されるよね」
「ねー」
だけど、可愛いな。そう思っているのは彼女も同様なのか、麦わら帽子から目を離さない。かと思えば、麦わら帽子を両手で掴んでそのまま私の頭に被せた。びっくりして思わず、わっと声が出る。
「あ、サイズぴったりだね」
彼女自身も片手でひょいと色違いのそれを頭に被せており鏡を見て「私似合う」と自画自賛していた。
もう、と私は呆れながらも釣られて鏡を見る。
そこには夏があった。
「……」
少しすると彼女は「よし」と言って、今度は私の頭から麦わら帽子を取っていった。そのまま陳列棚に戻すと思ったのに、2つ抱えてレジのある方へ向かうものだから慌てて追いかける。
「え、ちょっと」
「つまり、」
分かったよね?と言わんばかりに偉そうに振り返った彼女は、私の目を捉えてニッと笑う。
「一緒に海に行こ!ってこと」
また歩き出した彼女の機嫌のよさそうな後ろ姿を見て、一瞬呆ける。そんなの私だって。
スタスタと早足で横に並び、彼女を肘で小突く。
ぎゃあ、と笑ったその腕から麦わら帽子を1つ抜き取って、同じ台詞を言ってやった。
/麦わら帽子/
お題:麦わら帽子
あの夏の日
君はひまわりを見ていた。
僕が誕生日の日にあげた麦わら帽子を被って。
本当はまだ一緒にいたかった
けど君は僕から離れていった。
麦わら帽子が風で飛んで行ったのと同じように
僕の恋は終止符を打った。
「麦わら帽子」
そよ風が吹いた時
ヒラヒラ動くワンピースと
風で落ちかけた麦わら帽子
「セーフ!」
息があい笑いあった
「海に飛んでったらどうしようかと思ったよ笑」
そう君が言った途端さっきより強い風が吹いてきた
ギリギリ抑えれそうなところで麦わら帽子は海に落ちてしまった
「あっ、」
どうしようと考えていたら君が
浅瀬に入っていた
「取ったー!!!」
嬉しそうに笑う君
「麦わら帽子には紐かなにか付けようね笑」
「次の夏の時は紐がある麦わら帽子を持ってくるね!」
そう言って君は麦わら帽子をまた被り
楽しそうに走った
麦わら帽子
夏が来ると思い出す、麦わら帽子のお姉さん。
私が六歳の頃家族で遊園地に遊びに行って、迷子になった時、助けてくれたよね。
分けてくれたポップコーン、どんなお菓子よりも美味しかった。
ありがとう、お姉さん。
私、今日からここのキャストになるよ。
今度は私が案内したいな。
また、あの麦わら帽子で遊びに来てね。
「老若男女、お前の持ち主はどんなひと?」
夏物語のひと欠片を
砂浜に置き忘れられた
麦わら帽子だけが知っている
拾い上げて砂を祓う
昼間の灼熱を和らげた西日を
スッと透過する鍔(つば)からの光は
何処となく
優しい夏の終わりを感じた。
#麦わら帽子
(申し訳ありません。今日のお題は何度か描き直してます。納得のいく一文って難しいですね)