麦わら帽子を被って、アームカバーを着けて、日傘をさして。
紫外線を完全にシャットダウンする格好で出掛ける。
私の住んでいる地域は盆地であり、非常に紫外線が強いらしい。実際、紫外線対策を怠れば1時間の外出でも日焼けしてしまうくらいだ。
私は中学を卒業して以来、紫外線を避け続け生きてきた。それ故に肌は白人か?と思うほどに真っ白で、会う人会う人全員に「肌が白くて綺麗だね」と褒められる。コンプレックスの塊で長所が何一つない私にとって唯一誇れるのが、この白くて綺麗な肌だ。だから「肌が綺麗」でないとテンションが下がり、肌荒れを気にする余り外出すら困難になってしまう。異様に肌荒れを気にするー。母曰く「肌荒れなんてしてない」のに吹き出物1つあるだけで精神不安定になり、1時間おきに鏡をチェックするようになるのだ。これは醜形恐怖症といって、精神疾患の1つであり強迫性障害に似たようなものである。
私は風俗や水商売などをしていた為容姿に気を遣う必要があったし、それを売りにしなければならなかった。体型管理も同様で、いつでも「綺麗なお姉さん」で居なければならなかったのだ。
だから外見を気にする余り醜形恐怖症になり、挙句の果てには摂食障害を発症したのである。
日本人は美意識が高過ぎると、つくづく思う。また、周囲からどう見られているか?を異様に気にしているように感じる。それは「周りに合わせる」や「輪を尊ぶ」といった日本人特有の国民性かも知れないが、そんなにも周りのことを気にしてどうなるというのだろうか。
海外に行けば痩せた人も太った人も、皆堂々と水着を着て海水浴を楽しんでいるらしい。自分のありのままの姿をさらけ出しているのだ。それに引き換え、日本人はどうであろう。標準や普通であることを良しとし、決して多様性を認めようとしない。痩せが正義で、太いは悪、といったように。ADHDやASD等凹凸の性質を持つ者が疎まれるように。
私は診断こそ下っていないが、発達障害グレーゾーンでありASDの傾向が強い。だから一般社会に馴染めず爪弾きになり夜の世界に足を踏み入れることになったのだ。夜の世界にいる女性の大半は、何かしらの精神疾患若しくは障害を持っていると思われる。特に風俗嬢は、大半が病んでいると言っても過言では無い。そういった女性たちの受け皿になっているのが風俗という仕事であり、彼女たちは風俗が無ければ収入を得ることが出来ない。世間は風俗嬢を売女と言って嘲笑うかも知れないが、好き好んで風俗をやっている者などおらず、ただお金を得るための手段のひとつでしかないのだ。
確かに売春は違法だ。しかし、売春でしかお金を得ることが出来ない事情を持った者が大勢いることを、知ってほしい。昨今セックスワークの是非が問われているが、元当事者の私はこう言いたい。セックスワークは立派な仕事であり、貴重な収入源。グレーゾーンの女性たちの唯一無二の仕事だと。そしてそれは女性の尊厳を侵害するものではないということを。彼女たちは「やらされている」のではなく、自らの意志でやっているんだということを。
8/11/2023, 12:12:32 PM